二十八話
「たっだいまー」
ランドルト様ことアインの話をジョイルさんに確認しているとパシェさんが元気に戻ってきました。一緒に連れていかれたランディはなんだか疲れているようです。
「これから出かけるだに大丈夫だか?」
「あれ、ロカちゃんはランディとどこか行くの?お姉さんもついて行っていい?」
いいか悪いかはわからないのですが。
あ、ランディが何かアイコンタクトをしています。これは…
「ショーカンてとこ連れてくて言ってただ。一緒に行くべ」
「ちょ!?」
一緒に行くように誘えという意味ですよね?
あれ、パシェさんが鬼蜘蛛のような顔をしています。
逆にランディは青ニンジンより青い顔してますね。大丈夫ですか?
「ロカちゃん。お姉さんまたランディに用事が出来ちゃったから借りてくね?ランディとお出かけするのはまた今度にして欲しいな」
「ろ、ロカぁ助けっ…」
「恋人達の逢瀬を邪魔するほど野暮でないだよ」
私とジョイルさんが見守る中で、ランディの首を掴んで引きずるパシェさんはまた外へと消えていきました。
…
…さて、お腹もすきました。まだ兵舎のお昼には間に合いそうですね。
走って帰りましょうか。
◆
兵舎に戻って食堂へ向かおうとしていたら見知った人に出会いました。
一方的に知っているだけですけどね。
「フェリクスさーん」
手を振るとこちらに気づいたのか足を止めて顔を向けてくれる。
ランディほど仲が良いわけじゃないですけど、挨拶程度はする仲です。
「これから昼飯だか?」
「…ああ」
「わだしもだ。一緒にいくべ」
「…ああ」
寡黙な人なんですよね。他の方とも話ししている姿を見かけませんし、こちらから話しをしても頷くか相づちをうってくれる程度です。
深いグリーンの瞳に日が当たると少しくすんで見える金髪。今は横に流してますが、運動中は紐でまとめていまして紐を解くとさらりと広がるその髪は先ほど見たイエローダイヤのように輝きます。手足も鍛えられているのに傷一つありません。羨ましい。
「…なんだ?」
おっと、食事の手を止めて見つめすぎました。
別に食べているところを眺めていた訳ではないですよー。
「綺麗な髪だな。イエローダイヤみたいだべ」
「っ…ごふ、ごほっ」
スープが気管に入ったのか咽せました。今日のスープ少し塩辛いですものね。
水を渡すと涙目で睨まれてしまいました。
「こほっ…いきなり…へ、変な事……言うな」
「何か気に障ったか?」
「その、綺麗だ…とか」
「ああ、そりゃほんとに綺麗だべ。目の色が映えて見えっからよけいべっぴんになるだ」
「…」
赤い顔で明後日を向いてパンを食べるだけになった彼女。
あとは一方的に私が話しかけ、フェリクスさんがたまに相づちを打つだけの会話。
兵舎での一週目と初めてのお休みはこんな感じで過ぎていったのでした。
MIA 一名
次章は挿話を挟んだ次になります。




