二十六話
「なに?」
思わず声に出ていたようですね。お父さん…いいかげん名前を教えてもらえないでしょうか。
いや、それはいいとして、ちょっと怖い目で近づかないでください。
「り、リサを知っているのか!?どこで…どこにいるんだ!?生きているんだな?」
生きてます。教えます。だからちょっと落ち着いてください。
◆
「アルメッテ領…」
「知らねべ?」
知らなくても怒りませんよ。
田舎で王都の話が出ないように、王都でも田舎の話なんて聞かないでしょう。最近私はこのことに気づいたので知らなくてもショックを受けません。
「いや、北の方にある男爵領だよな?名前は忘れたがアルメッテ男爵は新興貴族の一代目で…くらいしか知らない」
私この店に人探しを依頼に来たんですが期待が持てるかもしれません!
「たしか…一年くらい前にぼろくずばなってたの拾われたって言ってたべ。名前はアリサでそれ他が不明だな。記憶ないのかなーんも覚えておらんと。あ、見た目はその写真そっくりだが、髪がもっと短かったはずだな」
もう少し聞いておけばよかったかもしれませんが、こちらにも都合がありましたし。
そもそも良く似た別人かもしれませんよ?あまり期待を持ちすぎるのもどうかと思います。
「いや…行方不明になった場所、名前、容姿。今までこれほど符合した情報はなかった。あいつが簡単にくたばるとは思ってなかったが…そうか…リサ……よかっだ…」
安心したのかジョイルさん(名前教えてもらいました)が泣き出してしまった。
頭をなでてあげましょう。よしよし
「んんっ…恥ずかしいところを見せちまったな。できれば忘れてくれ」
「なんの事だべ?なんか忘れるようなことあっただかな」
「嬢ちゃん、いい女だな。男だったら娘をやりたいところだ」
言っていることが、女として何一つ評価されてないところがすごいですね。
「それより、嬢ちゃんの依頼の件だが」
「うん、お願いするだ…」
「俺はできそうにない。悪いがやることが出来た」
「うぇ?」
「でも安心してくれ、俺より腕は悪いがそれなりの奴を紹介して…」
「ちょ!?」
まさか。
まさかまさか。
「迎えに行く気だか?」
「ああ、確かに本人と確定したわけじゃないが、俺のカンがリサ本人だと告げている」
「アホだべ」
私やアルメッテ様でも急いで一ヶ月以上かかる道のりを、片足怪我した人間が行けると思ってるのですか。どうみても戦える怪我じゃないでしょうに。
「いや、怪我ではなくてな…昔はお前のような兵士だったのだが、膝に矢を受けてしまってな…」
「んな身体で山道さ行くとか、よけいアホだべ!魔物から逃げれっか?それでジョイルさに何かあっただらパシェはどーすっだ?一人にすんだか?」
「あ、あいつはもう一人で生きていける。結婚したっていい年齢だし、なんだったらランディの奴にでも…」
「…子供が一人立ちすれば親は死んでもいいだか」
死亡前提で話している気もしますが、まあ片足引きずって山道と山道越えた先は無理でしょうね。
獣も多いですから、走って逃げれないと。
「う…そ、そうだ嬢ちゃんに案内は頼めねえのか。地元みたいなもんだろ?」
「無茶言うでね。わだすはそんな長く休めねべ」
「ぐ……なら、どうしろってんだ!あいつを、やっと見つけたリサを…くっ」
ふっふっふ まあ、落ち着け。
私にいい考えがある。




