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二十三話

 やっぱりロクなことにはなりませんでした。

 私が自己紹介するや否や、全員の目がこちらに向きました。

 三種属性魔術でも希少となると、全属性の私はさらに希少ということで。


「おまえは良い意味で騒ぎを起こすようだな」


 自己紹介の後、隊長室へ連れ込まれました。

 皆さんは最初は主に体力作りとかで、庭を走らされているようですが私一人だけここに呼ばれております。


「わだしも全部使えんのがこったら騒ぎになるとは思ってもみなかったで。全属性つっても初級ですだよ?」


 あ、言葉遣いは追々全員に教えるということで、今は普通に話せと言われました。


「脅威という意味では確かに劣るが、希少性からいえば二種ですら足元に及ばん。魔術師を目指さなかったのは何故だ?」

「才能と欲がなかったからだす。魔術ば教えてくれた人にも言われたと。んだども使えれば生活すんのにも便利だけ使っちょります」

「おまえの師も無茶苦茶だな…地方と中央の認識の違いなんだろうか」


 いやあ、認識というより種族違いですから。

 ゴブリンのエリシアさんが教えてくれた人になりますが、他のゴブリン族も殆ど全属性か四種使えますからね。それも上級がごろごろと。


「とにかく希少性だけで魔術団に引っ張られかねないからな。書類上は土と風の初級にしておく。いいか?」


 ここは素直に頷いておきます。

 まあ、あんだけ騒がれた今変えたところで意味がないかもしれませんがね。


               ◆


 退室して庭に向かうと皆さんが走っているのが見えます。

 でもおかしいですね、隊長室に連れて行かれて一時間も話してませんよ?

 何故何人も休んでいる方がいらっしゃるのでしょうか。運動不足にしても致命的やすぎやしませんか。

 まあ、いいです。人は人私は私、私も走りましょう。


「よう、ロカ」


 ランディさんと何人かがまとまって走っていたので、そのグループに着いて行くことにしました。う、周りの目が痛い。


「隊長はなんて言ってた?」

「戦闘で使えんが土と風なんで、二属性さしとけと」

「魔術団に行かないならそれが妥当かもな」


 周りで聞いていた人たちもウンウン頷いています。

 水の無いときや種火が必要な時とか便利なんでけど、皆さん持ち歩いているのでしょうか。


「水袋に水を、火口箱から火を、使えなければ代用品で事足りるからな」

「でも旅中だったら楽かもしれないな。水場を探す必要なさそうだし」

「行軍中とか輜重隊に必要性があるかもしれん。レポートでも書いてみるか」

「ああ、多人数用はお勧めしないだよ。中級とかになると水を貯める事ができねで」

「そうなると結局”あったら便利”くらいに収まるんだな」


 そんな感じでワイワイやりながら庭を走っておりました。



 でも、昼食までずっと走っていましたが、最後まで走っていたのは私とランディさんとフェリクスさんだけになっていました。


「皆さん運動不足だすな」

「いや…息も切らさ…ん……おまえがおか…しい」

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