二十一話
クロービスの声が聞こえた気がしました。
力こそ正義。彼等より強い私は正義です。
いや、そうじゃなくて。
「争うつもりなんてこれっぽちもなかっただが」
「わかってるけどさ、二人をベンチに座ったままあっという間に…だろ?見てた奴全員スゲーって言ってたぜ」
ランディさんは私が何も言わないのに勝手に部屋に入って来ました。女性の部屋にズカズカ入ってくるのってどうなのでしょう。
…ああそうか。
ボッシュさん他二人もランディさんも礼儀がなってないから教育を受けに来たんですよね。
ってことはこの人も貴族なんですか。
「わだし”も”貴族の事なんも知らんだけど、ランディさんのご実家も貴族なんだべか」
「俺は貴族じゃなくて親父が騎士爵で国軍に所属しててな。それに倣って来たって感じだ。ロカはなんでガーズ受けに来たんだ?」
「あー…ここに教育さ受ける要請のと、街で家出した人ば探すの頼まれてな。あと、年齢ば引っかかんのと町の外興味ある人とかん中でわたしが行くことなっただけだ」
「??? よくわからんが、人探しのついでに受けたって事か?」
「んだよ」
色々ありますが、要約するとその通りです。考えている内にランドルト様を探す事のほうが重要な気がしてきました。
ぶっちゃげ貴人の来訪者や役人に対する礼法なんてアルメッテに必要なさそうですし。
今のところ誰も存在を知りませんからね。
私にとっても家出人二人を探す事は、より良い結婚生活を目指す為ほかなりません。酷い話だ。
「王都にいるのかは知んねえけどな。人が多いなら知ってる人もいるかもしんねえからな」
「うーん…俺の知り合い…なんだが、街の便利屋みたいな人がいてな。顔も広いからその人に頼めば何か分かるかもしれないぜ」
「ほんどか?」
「人探しなんかもしてくれるだろうから休みになったら案内してやるよ」
「助かるだよ」
いや、ホントに。
王都に色々な仕事をしている人がいるのは聞いてましたが、その人を探す方法については知りませんからね。
誰かに聞こうと思ってたので渡りに船ですよ。
「休みっていつなんだべ?」
「入校日から5日ごとに休みだったはずだが…ほらアレ見てみろ」
示された方を見るとドアの横に張り紙がしてありました。
起床消灯、食事の時間に風呂の時間、休み…が5日ごと。なるほど。
「さっそくで悪いだが、頼むべ」
「おう、任された。それじゃ…」
ランディさんが右手を此方に向けてきました。
ああ、そういやまだでしたね。
私も右手を出して握り返しました。
「「これからよろしく」」
握手したところでランディさんが左手をパチンと鳴らします。
そちらを見たところ、右手を外側に捻りながら引き落とされそうになったので、重心を下げてランディさんの手を握り返しました。
なんなんでしょうコレ。
「…なんだべ?」
「ふっ…ははは…やっぱすげーわ。おまえ」
なにやらご機嫌そうなランディさんはそのまま出ていってしまいました。




