二十話
三人が此方を睨みながら去っていくのを眺めていると、先ほどボッシュさんの腕を止めた人がこちらに近づいてきました。
「見る限り私が出なくても大丈夫そうであったが…これも仕事なんでな。私は君達ヒヨコ専門の教導隊長になるハーケンだ」
「はい、私はロカ・アルメッテいいます。ご指導の程よろすくお願いいたじます教官殿!」
「楽にしてよろしい」
階級は言わなかったが、隊長職と言われた所で身体が敬礼の姿勢をとって苦笑されてしまった。どうも場所が場所だけに戦場気分になっている。
「…先ほどの諍いを見ていたが、今の姿勢といい君は軍の訓練を受けているのかね?」
「はい。いいえ、生きることは戦だ言われとります」
「いや、そういう意味でなくてだな…」
プライベートと戦場は分けてますよ?
ハーケン隊長はアルメッテの誰にも当たらないタイプの人ですね。雰囲気はラザットさんのようなお堅いタイプに見えますけど、歳を重ねている分、大きく見えます。
昔のようにきっちりと指導を受けないと怒られそうではありますが。
「まあよい、明後日からではあるが、私は君達の指導者であるとともに保護者でもあるからな。自分で対処できる範囲を超えた問題は相談するように」
「はい、了解いたしましだ。教官殿」
◆
部屋に戻った私はさっそく旅装の手入れを始めた。
といっても、水で汚れを落とすくらいしかできませんけど。あと、砥石ないからナイフも研げないし。
やれるだけやっておこうと、ナイフを抜いたところでドアをノックされた。
誰でしょう。私の知り合いなんていないはずですが。
…ボッシュさん達でしょうか。
「どちらさん?」
「隣の部屋のランディ・バッヘムってんだが。英雄さんに挨拶したい」
は?
何か不穏な言葉が聞こえましたよ。
一応袖にナイフを隠しながらドアを開けると、赤毛のお兄さんが立っていました。
彼からはおかしな感じがしませんし、近くに誰かいることもないですので入れても大丈夫そうですね。
いえそれより…
「ちゃーす。改めてランディ・バッヘムだ。お隣さんなんでよろしくな」
「…ロカ・アルメッテ言います。よろすく、でなくて英雄ってなんだべ?」
英雄ってのは長く生きた者のことだーってガルツじいちゃんが言ってたのを思い出しますが、私まだ14ですよ。戦場に出て10年も経ってない新兵ですが。
私が英雄視されるような事って何かありましたっけ?
ここに来る遅刻ギリギリだったこととか?
「わだす。何したべか」
「さっきの中庭見てた奴が結構いてな。ボッシュと腰巾着二人を投げ飛ばした英雄に一言挨拶をってな」
…
…
…わーお
もしかして彼等有名人でしたか。それを投げ飛ばした人は英雄(笑)ですか。
クロービス たすけてー
「ろか チカラコソ正義ダ」




