十八話
案内に従って指定された建物に行ったところ、制服と個人寮の鍵を渡されて入校式まで待機を命じられました。
この部屋がまた…アルメッテ様の私室より豪華じゃないでしょうか。田舎と都の生活の違いを見せ付けられた気分です。
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思わず一日ほど暇になりました。
待機中に施設外に出ることは禁止とのことですので、施設を見学させてもらいましょう。
既に教練を行っている所もあるらしく、運動用の広場で走ったり模擬試合をしている人達がいます。
走っている人たちは何時間くらい走っているのでしょうか。砂袋を背負ってもいないのに、ずいぶんトロトロ走っています。もしかすると、トレーニング後のクールダウン中なのかもしれません。
模擬試合の方は木製の剣と盾を使ってカンカンやってます。盾を使った戦いというものを知らないので私は興味を持って見学していたのですが…あまり参考になりません。
アルメッテで習っていた、逸らす避ける払うを攻撃に繋げる方法と相性が悪そうでした。
防御から攻撃、攻撃から防御のスイッチのような戦い方がここで主流のようです。
小一時間程、施設を見学して場所と道順を覚えてやることが無くなりました。
今何をしているかといえば、広場横にあったベンチに座って、まだ運動中の方達をぼんやり眺めてます。
あと二日も何をしていれば良いでしょうか…
(街に出て行ければ、ランドルト様を探す事もできるのですけど)
「おい、そこの田舎臭い面した奴」
こっそり出て行ってしまいましょうか。
ダメですよね。幸い壁は飛び越えれそうな高さしかないので出る事はできそうですが、魔法か何かで監視が引かれているかもしれません。
それに、待機してろと言われたからには出歩く訳にもいかないですし。
(町で待機を指示された時は何していたでしょう。…戦闘中は装備の点検と、身体を休めるくらいですし、町で暮らしているときには待機なんてありませんよね)
「聞いているのか!…無視するとは良い度胸をしているな」
町にいて仕事がないときは、家の家事手伝いに狩りやクロービスに会いに行くとか…。
そうだ、旅装の洗濯をしておきましょう。汗臭くなってそうですし。
忘れる前に鉈もナイフも油引いておいたほうがいいですしね。
「おい、やれ」
「ふぇ?」
何故か目の前に足の裏が迫っていました。
思わずその足を持ち捻り上げ、軸足を蹴っ飛ばしてしまいました。誰かの悲鳴が聞こえたのですが、受身取れなかったのでしょうか。
助けようとしたのですが、左から別の拳が迫っていたのでその拳を逆手で引き、胴に手を当て力に逆らわないようにひっくり返しました。変な体重のかけ方をしていたのか、エラく高くふっとんだ上、マダラガエルが潰れたような声が聞こえました。大丈夫でしょうか。
…ええと、ところでこの方達はどなたなのでしょう?
気がつくと私の前には二人のノビた方ともう一人。私と同じ制服を着てるのに、なんだか全体的にキラキラした人が真っ赤な顔でこちらを指刺してます。
カラフルな人ですね。
二人の関係者でしょうか。この人に聞いたほうがよさそうです。
「あんのぉ~…」
「貴様ぁ…あくまでこのボッシュ・ザン・アレニウスに逆らうというのか!」




