十五話
ニールを助けることが出来なかった無力だった私。
ですが、今は違います。
この人を助ける為に
「往きます!」
私は彼に相対した。
とはいったものの困ったことがあります。
聞いた通りだと、この症状は精神の限界から来るもので、切り傷のように縫ったり焼いたり薬で治せるものではないのです。
いえ、さらに聞いたところでは魔法による治療は可能であるとの事ですが、私にはそんな高度な魔法は使えません。
穏やかな時間のみ、心の傷を治すことができます。
であれば、気を失わせる事ができればあるいは…。
「死ね」「金を出せ」「アタマネジリキッテオモチャニシテヤルゼー」など意味不明な事をにやにやと笑いながら言っています。よほど恐怖に当てられたのでしょう。
右手で土魔術を使い固めの土くれを作り出します。
ナイフがあさっての方向に振られた時に持った手首を掴み、つま先を踏みつけ、お腹の中央に土くれを当ててその土が潰れる威力で掌底を打ち込みました。
うまくいったようです。彼の体から力が抜けぐにゃりと私にもたれかかりました。
ほっとしましたが、その油断をつかれたようです。
彼の背中に3本の矢が生えたのです。
気配察知が得意が聞いて呆れますね。
改めて気配を探ると矢の飛んできた森に8人居ます。
いえ、探る必要なく森から全員出てきましたが…全員矢の生えた彼と同じような格好しています。
髪型はまちまちですけど。山鶏のトサカのような頭は王都の流行なのでしょうか?
一人ずつ相手をするのは危ないですね。仲間の見分けがつかないのか平然と撃ってきました。
全員一度に気絶させましょう。うまくいけばいいんですが。
両手を上げて彼等を興奮させないように近づきます。あの時のケビンさんのように…落ち着け…落ち着け…。
にやにや顔の皆さんが近づいたところで上げた手を彼等に向け、力を込めた。
『ハァイ皆さん。…ごめんね?』
◆
全員を気絶させることに成功しました。
力加減が難しいかと重いましたが皆さん大人の男性なので頑丈だったようです。
彼等が起きた時に悪夢が終わっているといいのですが…無理でしょうね。
矢の生えた人も止血をしましたので、そうそう死ぬこともないでしょう。一緒のところに寝かせておきます。
「できれば麓まで連れて行ってあげれれば良かったのですが…急ぎなのです」
町か村を見つけたら必ず助けを請います。
だからそれまで…。
彼等のお腹の上に道中で狩った獣肉を置いて、私は山を下りました。
それを食べて元気でいてください。
気絶した山賊はスタッフが美味しく頂きました。




