十話
裏道に向かい歩きながら先ほどルシエール様から聞いた話を思い返す。
子供を作る術。
人間の女性は、どんな種族の子供でも産めるらしいです。
ただし、男性の種族が産まれるらしく人間の子供は産まれないとか。
逆に人間以外の女性と、人間の男性では産まれる事は無いらしいです。
探しに行くというからには、既にカイリーアさんに子供を作ろうとしてダメだったのでしょうね。
子供が出来ない為に反対されてる点もありましたから。
その辺を調べに町を出たというのは、探す手がかりになりそうです。
しかし…
「子供はどうやったら出来るのでしょう?」
こんなことになるなら母さんかローザねえちゃんに聞いておけばよかった。
せっかくの手がかりです。王都に着いたら誰かに教えてもらいましょう。
◆
ドォドォと響く音とここまで返ってくる水飛沫。
先日も通ったマザーロックの雪解け水を流す川は途中から巨大な滝となって地に落ちる。
落差70メル。
アルメッテの町を放棄する際の緊急路であり、裏出口等呼ばれることも。
なぜ裏”出口”かと言われると、入れないからですね。
ここを抜けると麓の一番近い村まで2日で行けます。
便利なのですが荷物を持って降りれない為に普段は使用されません。
滝口に飛び込み板のような物はありません。
ロープに繋がれた板が滝口に向けて何枚か浮き沈みしているので、それを伝って飛び込むのです。
腐ってなければいいけど。
「モトの村での番号は今は3・3・1・2だからね。はい復唱」
「はっ!3・3・1・2覚えました」
「よろしい。では、任務遂行願います」
推薦状が入ったケースを受け取りさっと敬礼をします。私はこれがへたくそで何度も怒鳴られました。最近やっと及第点が貰えるようになったくらい苦手です。
にこりと笑って敬礼を返してくれるアルメッテ様。合格のようです。
さて、行きますか…の前に
「ロザリー様にお伝え下さい。必ずランドルト様を連れて参りますと」
あれからロザリー様にお会いしておりません。
責任感の強いロザリー様です。家族の問題で人に頼る事を許せないとかお考えなのでしょうけど、誰かを頼るのは悪い事ではないと思うのですよ。
私はむしろアルメッテ様に頼られて嬉しく思います。ご信頼いただけたのです。
だから、私が頼りないとか思わないで頂けると幸いです。
吉報をお待ちくださいね。
服を脱いで雨天時の貫頭衣を着ます。さすがに山から村まですっぽんぽんは気まずいのです。嫌な世界に目覚めそうですし。
牙の髪飾りが取れないようにしっかりと巻き、耳に栓をして準備完了。
川の冷たい水を浴びて身体を馴染ませ、あとは少し柔軟運動をしながら待ちます。
こちらも準備良し、とアルメッテ様がフラッグを持って立ちます。
あ、アルメッテ様の準備とは今回に限り上流に網を張ってくれたそうです。流木と一緒に落ちるのは痛そうでしたから助かります。
気つけ薬を舌の裏に咥えフラッグを待ちます。
赤フラッグが落ちた瞬間、全力で板切れに向かってダッシュ!
「GO!GO!GO!」
10メルほど離れた最初の板を踏みつけ、次の板、次の板とテンポ良く踏み込みます。
こういうのは慎重さよりもリズムの問題なのです。ほいほいほいっと。
最後に見える小さな板を踏み、全力で滝口を越え飛び込む。
では
「行ってきます!」
参考にナイアガラの滝で落差50メートルくらいらしいです。
次の章は月曜から開始です。




