第二刻、勇気?なにそれ?
<脩視点>
あれから3ヵ月…勿論あの事故からという事だ、俺は何ともないんだが二階の俺の部屋の窓から見て見渡す限り皆ゾンビ化している。部屋のカギはしっかりと掛けてある。朝、降りてみたら両親ともに頭も肉体も逝っちゃってた…だけどゾンビ化じゃない。近所のクソババァに喰われてた…。そろりそろりと靴&模擬刀だけ持って自分の部屋に逃げ込み今の状態になっている。さて、俺は遺伝子上抗体を持っている人々の中の一人という事だ。ブレイも大丈夫そうだ…多分こいつも遺伝子上とか言う奴だろう。取り敢えずニュースでも見ますかね、テレビを点けるとかろうじて音声だけ流れていた。機械っぽい声が繰り返し告げる…。
[生き残っているみなさん!近くの空港に向かってください。他国の救助ヘリが待機しています!]
何度も何度も…同じことを、何ヵ国もの言葉で。
でもね、ここから空港ってだいぶあるよ?しかもゾンビが食い物探してるし~車なんか絶対駄目だし。まぁ元々車の免許取れる年齢じゃないけど…。少しイラッとしたのでコンセントを抜いてやった。まずは準備が必要かな、いろいろと。
-準備完了-
こんな時は装備の強さより、テンションが大事だ!という事で準備完了したんだが…どうなんだろ?フード付きの気に入ったジャンバーに鎖帷子に見えないこともない普通の長そで。ズボンは何か緑色で、長くて強そうなやつ…背中にでかいリュック。中は飲食物(主に缶詰)やホイッスル、何故かカチューシャ…など。カチューシャは昔道端で拾ったやつだが、勝手に入り込んだんだ…まぁいいや。で、どうする?さっき缶詰取りに行くだけでだいぶビビったんだぞ?行けるか…外へ?行くしかないみたいだけど。脳裏に父親の言葉がよぎった…男なら勇気を出せ!!だったかな。だが今の俺なら言える!はっきりと、勇気?なにそれ?美味しいの?
<澄礼視点>
私は誰なんだろう?声が上手く出せない…目が見えない…ここはどこ?何もわからないよ、ただ一つ…わかることがあるのならばそれは感情。恐怖という名の魂の叫び…。ううん…私、何かを知ってる。まだわからないけど、何かを知ってる…今やれることは存在を示すこと、でもどうすれば?
澄礼「一つ目の言葉は夢…眠りの中から…胸の奥の暗闇をそっと連れ出すの…二つ目の言葉は風…行く手を教えて…神様の腕の中へ翼を煽るの…」
声が…出た?この唄は何?私、聞いたことの…ない唄。でも、これなら伝えることが出来るかもしれない…だったら私は歌い続ける。誰かが来てくれるまでは、そうしないと…命が尽きてしまうから。