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怪異をすべて封印するように、神様から仕事を手伝わされた件  作者: チョコ大福


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第1話:放課後のオカルト部と、神様のスマホ

ご覧いただきありがとうございます!

今回は「現代の都市伝説×神様から押し付けられたスマホ×オカルト部」をテーマに、少しブラックでテンポのいいローファンタジー(ホラーコメディ)を書いてみました。

スマホでポチッと怪異を封印していく爽快感と、主人公たちのドタバタを楽しんでいただければ幸いです。

面白いと思っていたら、ブックマークや評価、感想をいただけると物凄く励みになります!

それでは、どうぞお楽しみください!

「――というわけで、我が『超常現象研究会』の調査によれば、今夜の旧校舎裏には“首なし二宮尊像”が出没する確率、実に八十七パーセント! いざ出陣です、部長!」

 放課後の部室。夕日が差し込む薄暗い部屋で、一年の後輩――篠原しのはらカノンが、お手製の怪異マップをバシンと机に叩きつけた。

 俺、神山かみやまソウタは、窓際のパイプ椅子に浅く腰掛けたまま、やれやれとため息をついた。

「おいおい、カノン。それ、先週の学校裏サイトの記事だろ。そもそも『超常現象研究会』なんて名前だけど、実態は俺たち二人しかいない幽霊部員ギリギリの雑草サークルだぞ」

「だからこそロマンがあるんです! ネットの都市伝説をこの手で暴く、それがオカルト部のプライドです!」

 カノンは目を輝かせ、気合十分にカバンから怪しげな塩の小瓶や、百円ショップの磁石を取り出している。

 俺がこの高校に入って暇つぶしに入部したオカルト部。まさかこの後、本当の意味で“本物の怪異”と命を懸けて対峙することになるとは、この時の俺はまだ夢にも思っていなかった。

     *

 放課後のざわめきが消え、夕闇が校庭を飲み込み始めた午後六時。

 俺たちは「部活動の一環(という名目の肝試し)」として、立ち入り禁止の旧校舎へと足を踏み入れていた。

「ひゃっ、暗いですね、先輩……。なんか本当にいそうですよ、首なしの銅像が……」

「お前が言い出したんだろうが。ほら、足元気をつけろよ。床板腐ってるから」

 懐中電灯の光を頼りに廊下を進む。

 その時だ。ズズッ、ズズッ、と、重い足音が板の間を鳴らす音が聞こえた。

 カノンがビクッと俺の制服の袖を掴む。

「せんぱい……今、なんか……」

「ああ、聞こえたな」

 角を曲がった先の薄暗い通路。そこに立っていたのは――言葉を失う光景だった。

 薪を背負い、本を読むはずの二宮金次郎の石像。その首から上が、きれいさっぱり消え失せている。それどころか、石の体がドス黒い瘴気を纏い、ギチギチと音を立てながらこちらに歩み寄ってきた。

「ひっ……! ほんもの……本物の怪異ですぅぅーーっ!!」

「おいカノン、逃げるぞっ!」

 足がすくんで動かないカノンを引っ張り、俺たちは必死で廊下を駆け出した。

 しかし、背後から猛烈な殺気が迫る。ガシャアアアアッ! と、石像が廊下の窓ガラスをぶち破り、俺たちの目の前に巨体の進路を塞ぐように着地した。

(詰んだ……っ!)

 逃げ場のない行き止まり。石像の巨大な腕が、逃げ惑う俺たちめがけて振り下ろされる。

 あまりの恐怖に視界が歪んだその瞬間――ポケットの中で、急にスマホがものすごい熱を帯びた。

「熱っ……!?」

 反射的にポケットから取り出すと、見覚えのない黒いスマートフォンが、勝手にまばゆい光を放って起動していた。

 画面がパッと開き、スピーカーから脳内に直接響くような、気怠げで尊大な声が流れ込んでくる。

『――おっ、丁度いいところにピンチの人間がいるな。聞こえるか、オカルト部の若者よ』

誰だお前! ていうか、今それどころじゃないんだけどっ!

『我が名は、この国の裏側を取り仕切る神様のようなものだ。そして、今お前の手にあるソレこそが、我が代行者に与える社用スマホ【神代カムイ・フォン】だ!』

 神様? スマホ? 頭が追いつかない。

 目の前では、首なしの二宮金次郎がトドメの一撃を放とうと、巨大な石の拳を振りかぶっている。

『いいか、よく聞け。近年、SNSや学校の噂せいで現代怪異が増えすぎてな。お前たち「オカルト部」が普段から変なことばかり調べているから、適性があると見て指名した。目の前の首なし像を、そのスマホで片っ端から「封印」しろ!』

「オカルト部を何だと思ってやがる! つーか、どうやって封印すんだよ!」

『スマホのカメラを起動して、怪異を画面に収め、ボタンをポチッと押すだけだ! 神様特製だから安心しろ!』

 理不尽すぎる説明だったが、目の前の石の拳がもう目の前まで迫っている。

 選んでる暇なんかない。俺は震える手でカメラアプリを立ち上げ、首なし金次郎に向けた。

「頼む……! オカルト部の部費全額あげるから何とかしてくれぇっ!」

 画面越しに怪異を捉えると、ピン、と硬質な電子音が響き、ターゲットの周囲に赤いロックオン枠が展開される。

 俺は迷わず、画面に表示された巨大な【封印する】ボタンを思い切り叩いた。

 ――瞬間。

 スマホのレンズから、眩いほどの神々しい金色の光が炸裂した。

「ギャアアアアッ……!」

 石像から野太い悲鳴(?)が上がり、光の渦に巻き込まれるように、巨大な体がグニャリと小さく圧縮されていく。そしてパチン、と乾いた音を立てて、光ごとスマホの中に吸い込まれてしまった。

 シーンと静まり返る旧校舎の廊下。

 あとに残されたのは、ぽかんと口を開けて固まっているカノンと、荒い息を吐く俺だけだった。

 恐る恐るスマホの画面を見ると、ホーム画面に新しいアイコンが追加され、そこには可愛らしくデフォルメされた“首なし金次郎”のイラストがちょこんと収まっていた。

 その下には、冷徹な文字でこう記されている。

【No.001:旧校舎の二宮像(学校怪異)―― 封印完了(State: 収容中)】

「……嘘だろ……」

『上々だな、オカルト部の若者よ』

 スマホの向こうで、神様がふふん、と鼻を鳴らした。

『さて、今夜はまだ始まったばかりだ。お前たちの学校、そしてこの街全体に巣食う数千体の怪異を、明日からの放課後、すべてそのスマホで片っ端から封印してもらう。もちろん、部活動の邪魔は……しないとは言わんが、しっかり労働基準法無視の神恩ボーナスは出すぞ』

「ふざけんな、俺たちの青春を返せ――!!」

 放課後の旧校舎で、俺のブラックすぎる神様の下での部活動(強制労働)が、こうして幕を開けたのだった。

第1話「放課後のオカルト部と、神様のスマホ」をお読みいただき、本当にありがとうございました!

いかがでしたでしょうか?

首なし金次郎という最初の難敵(?)をどうにかスマホに押し込めた主人公のソウタですが、ブラックすぎる神様のおかげで、彼の平和な部活ライフ(と青春)はここから完全に崩壊していきます。

次回、第2話では、さっそく次のターゲットが現れます……!

学校の裏に潜む、さらなる「ヤバい怪異」とは一体何なのか。ぜひ次話もお楽しみに!

「続きが気になる!」「頑張れソウタ!」と思っていただけた方は、ぜひブックマーク登録と【⭐⭐⭐⭐⭐】(評価)をポチッとよろしくお願いいたします……! あなたの応援が、次の執筆のガソリンになります!

それではまた、第2話でお会いしましょう!

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