暇な私の説明書
※かなり長いと思います。無理せず。
基本主人公の頭の中です。日常的なところは僕の感覚入りまくりです。
風景を書くことに挑戦しました難しいっ!
グロ表現があったりなかったり...一応作ったつもりですが下手くそでグロくないかも...
『』=お相手【】=僕 です
朝起きる、もう春間際だというのに、肌寒い。体に巻かれた、細い糸をちぎるように体を起こす。
キシキシと体が軋む。そのまま、ベットの縁で少しの間座っておく。特に何も考えない。
そもそもすることがない。ぐちゃぐちゃになっている布団に背を向けてカーテンを開ける。
鳥が一羽空を翔ける。光が少し眩しい。部屋の中だというのに外が寒いことがわかる。
こうなってしまうと、何をするにも億劫になってしまうのだ。
幸か不幸か、家にはこたつまであってしまう。
入らないなどという選択肢は無論なく、寝惚け眼なくせに迅速にこたつへ入る。
ほふぅ。思わず声が漏れてしまう。何か食べようと思い、こたつの上へと手を伸ばす。
が、空を切る。そうか、みかんやせんべいなど気の利いたものなんてありはしないのだったな。
きっと、毎日しているであろう、愚かな行動に少ししょんぼりする。
では、朝食にしよう。そう思い部屋を見回す。
うーん。グラノーラ、食パン、昨日のご飯は肉じゃがか、確か残ってたよな。
そんな途方も無いような考えだけを頭の中でこね回す。
よし、今日はハムエッグトーストだ。卵あったよな。ハムは...あるだろう。よろよろと冷蔵庫へ近づく。
フワッと、冷気が顔を撫でる。寒っ。あ、ハムあと一枚だ。買わなきゃなぁ...いつか。
冷蔵庫の中は、あと一枚のハム。あとコップ一杯程度のお茶。半分だけ残った人参や、四分の一のかぼちゃ。そんなものしか置いていない。はぁ、とため息をこぼす。こいつの行先は、昨日の僕か。
きっと、明日の僕だって今の僕へ力のないため息のプレゼントだ。いつまでかな。
そんな宛もないぐちゃぐちゃとしただけのことがここのとこずっと頭を支配してる。
チーンと、少し寝かけていた僕の脳を後ろから叩くように鳴る。
できた。美味しそう。あ、ケチャップ。ついでに取り出せばよかったな。
そう思って、また冷蔵庫を開ける。あぁ、切らしてたんだった。うっかりうっかり。
うっかり...じゃあ冷めないうちに食べちゃおう。
ふわっとしたパンに、ほのかに小麦の香りが鼻を駆け抜ける。冷たいハムがいいアクセント?だ。
飲み物ほしいな。お茶...水でいいや。コップに水を注ぐ。あ、ちょっと服に垂れた。
まぁいいや、どうせ洗濯してビチョビチョだ。スマホを手に取り連絡を確認。
その曜日はシフト変われません、っと送っとこ。今日はバイトはなし。じゃあ散歩かな。
着替えて歯磨きをして家を出る。
んー、寒い。鍵は掛けたし、電気も切った。山へ行こう。
タクシーで二十分歩いて十分程度の山奥へ来た。経過はどうかな。
あんまし腐ってないね。まだきれい。この山奥で僕は、僕が僕の手で僕だけの力で殺めた人を放置している。そのなかでも選抜したのがこの人たちだ。名前は知らない。この世の全員。
僕は暇だ。ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずーーーっと暇だ。
ゲームだって、本だって、アニメだって、映画だって全てつまらない。
最近では、この遊びにも飽きてきた。そろそろ潮時だ。
僕は別に殺人が好きじゃない。血なまぐさいし、何より犯罪だ。
じゃあなんでこんなことをしているのかって?だって暇なのだからしょうがない。
はじめは楽しかった。背徳感がたまらなかった。でも今は、薄れてきてしまった。
あーあ、暇だ。
おや、見ない顔だね。僕のお気に入り、野々口大寒の左隣にもう一つ真新しい死体が転がっていた。同業者がやった?これは死後かなり立っている若い女だ。胸に一つ刺し傷がある。
もしこんな場所を見つけたら誰だって通報する。
でも、ここは極秘なはずだ。なんだこれ、死体のポッケに紙が一枚挟まっている。
なになに、『貴方はここで、何回も死体を埋めていますね。私は初めてです。これもなにかの縁ですし、一つ手紙のやり取りをしませんか?ですがこのことは隠密に。』
ふむふむ、面白そうだ。久しぶりに暇から解放されそうだ。
えっと、お手紙読みました。ちょうどこの遊びにも飽きていたので良かったです。ナイスアイディア!
ところで、【何故ここへ?僕はあなたを知っていますか?っと。僕、字は綺麗じゃないから、不安だな。
お返事はまた明日かな。】
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翌日
ふわぁ、もう全く最近は眠い。んんー。はぁ今日も暇だなすることがない。
電車で人が轢かれるのを見るのも、大きな石でゴツンと殴るのも、後ろからゆっくり首を絞めるのも、
暗闇の中相手を海へ突き落とすのも、毒を飲ませて、苦しんでもがいて必死に生に縋り付くのをみるのも、
眠らせて空き家へ連れていき、困惑と恐怖とでぐっちゃぐちゃになった顔をわざーとらしくニタァっと睨みつけてゆーーーーーっくりナイフを入れて、大声を出したり命乞いをしたり、果には涙なんか流したり、そんな無駄なことを見ながら、ピッと一太刀でちょん切るのも、長ーい時間をかけて友達になった、いやそう思い込まさせた奴を薄暗く、湿って、埃臭くて最っ高の路地裏で出会い頭に、サクッとお腹にナイフを突き立てて、僕は信頼すらしていない、一方的な信頼のくせに裏切られたような顔だけをして小さなうめき声を上げて、血が流れているのも、苦しそうな顔も、ダランとした腕も、お腹に刺さったアクセサリーも、そんな外行きのおめかしをした姿をみて、初めて好意が芽生えた経験も
全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部
飽きた。
でも、初めての快楽は永遠だ。
森の中、どこの山だったっけ、で初めて出来たカノジョ?を連れて行ったっけ。
大きなバッグを持って行って、重たかったなぁ。
予め調べておいた、誰も使っていない古い山小屋へ行って、ドサッとリュックを窓辺へ下ろしたっけ。
ちょうどよくベットがあってね。そこに腰掛けたんだ。いや、椅子だったかな。
とにかく精一杯伸びをして、これからのことに思いを馳せてたね。イメージトレーニングはバッチリだった。
ベットで、隣にカノジョが座ってきて最後だからとハグをしてあげたっけな。
そうすると、トローンとしたような顔をして僕が立ち上がってナイフを取りに行くのもじっと待ってたよ。
僕はナイフを背中で隠して、カノジョのもとへ近づいた。
今から死んじゃうってのに、まだ何か期待しているような無様で、可笑しくて、美しい表情をしていた。
きっと僕も、もっともっと嬉しそうな顔をしていたと思う。
足から床の冷たい感触が伝わってきて、ざらでもないようなヒュウっとした呼吸をした。
床が少し軋み、カノジョが目を瞑ってソワソワしている。可笑しい、本当に可笑しい。
特段、僕にはいたぶる趣味はないから、サッとナイフを取り出した。
そのまま何回も何回も練習した体制でスパッと。
初めてだったからナイフをチラつかせて、驚いて大声をあげないか、逃げたりしないかなんて色々考えちゃったから。
今になっては恐怖のどん底の人間は動けないって知ったけど。こんな学びがあるのもいいとこだよね。
血がいっぱい出た、っていっても海になるほどではない。
でも、その赤黒くて少し粘り気があって、ゆっくりと床に流れる血や、
まだ息があるのか知らないけどおぞましい、されど恐れおののいているような表情で見つめる
かつてのカノジョを見ていると、犯罪をした意識が襲ってきた。
しかし、罪悪感なんかはない。
別に僕は、特段殺人が好きな気狂いな輩ではないから、美学なんかない。
運動会とかの練習でグラウンドにいるとき、暇だから眼の前を歩いていたアリを潰したり、砂をかけたり
するのと同じだ。その行動に、アリは殺すけどカメムシは殺さない、なんていう美学は存在しない。
カノジョがモノになった瞬間にフワァっと体中に涼しい風が駆け巡った。
最っ高野の気分だったよ。長く語りすぎたね。さて、今日は何をしよう...そうだ!あの手紙を見に行こう!
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ふぅ、おっ!あったあった。
えっと、『お手紙拝読させていただきました。暇潰しになればと、面白いゲームを持ってきてまいりました。
貴方は以前、私が貴方について知っているのか、と尋ねられましたね。そのことについてです。
ここで一つあなたの昨夜の行動をあててご覧に入れます。
貴方は、きっと帰りにハムとケチャップ、ついでにトマトを買われましたね。
お家に帰られて、まずベッドに転がった、数十秒ほどそのままでおられましたね。
その後クローゼットにコートをしまい、残り少ないお茶を飲みきった。
さて、このようなところでしょうか。いえ、驚かないでください。
これからが本題です。私は誰でしょうか。きっとあなたは見たことがあるはずです。
それにこの死体、誰なのでしょうか...』
え、なんだこれ。すごいピッタリと僕の昨日の行動が当てられている。尾行されてたか?
いや、そんなことはどうだっていい。
これは、楽しい!すごくすごく楽しい。今まで頭を使う遊びをしてたけど、対人は初めてだ!
何か不思議だし、当ててやろう!恐ろしい?そんな考えあるはずがない!こんなに楽しいことは久しぶりだ!よほど、意外な人物なのだろう。ワクワクするなぁ。見つけたらどうしよう。悩むなぁ!
誕生日を控えた子供みたいだ!
それにこの死体は...うーん...あぁ!初めて殺したカノジョだ!でもあれは埋めたはず...。
まぁいいや。これも含めてとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもたのしそう。
【お手紙読みました!ピッタリ当たってる!すごい!それにこのゲーム大賛成です!
それにこの死体、カノジョですね!懐かしい!半年ほど前かな。
ここで提案です、次の手紙からヒントを下さい!難しすぎる!今僕はとてもワクワクしているので
飽きさせないようにしてください。】
うわぁ。きっとものすごく頭がいいのだろう。そもそも、僕が誰か知っていて、それに行動まで知っていて
、昔のことまで!ワクワクが止まらないよぉ。これは飽きそうにない!早く家に帰って考えよう!
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うーん、昨日は楽しみ過ぎて寝れなかったや。それに一応家から帰るときに後ろを確認しながら帰ったけど人影はなかったなぁ。どうやっているのだろう!今日は晴れ!絶好のお手紙日和?だ。
朝ごはんはシリアルでいいか。あぁもう。早く行きたい。楽しみだなぁ、本当に本当に。
今日は大学で講義があるや...そんなの知ーらない。よぅし支度は万端さぁ行くぞ!
って、こんな朝早くから「私」さんいるのかな?いなかったらこっそり見てやろう!
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どうかなー、ってあ!ちゃんと入ってる。
『お手紙拝読させていただきました。このゲームを楽しんでもらえそうで何よりです。
早速本題ですが、ヒントです。私はあなたをよーく見ていますし、よーく知っています。
それも幼い頃から。
そうですね今日は身長と体重、それに行っている大学まで当ててご覧に入れましょう。
身長は188cm、体重は70kg痩せ型ですね。大学は□□大学の文学部。かなりの頭脳をお持ちのようで。
ついでにご趣味も、最近はここへ死体を埋められていますね。
しかしそれも飽きてこられたようだ。だからこそ、このゲームをしてくださった。
どうでしょうか。それに、例の死体大正解です。さすがの記憶力。
ここで誤解をされないように忠告を。私はあなたを尾行したり、盗撮をしたりなど
プライベートに立ち入ってはおりません。』
ふむふむ。これも全て大正解。それに尾行をしていないのかぁ。ならどうやって...。
相当頭がいいようだなぁ。感心させられちゃう。
【お手紙読みました。またまた、大正解!本当にすごいです。ではまず、私の第一回答を。
貴方は私の、大学の教授ですか?
どうでしょうか、お返事はまた明日...。】
わくわくするなぁ。頭を使うのはなかなかに疲れるね。それに、「私」さんも朝早いなぁ。
こんな時間にもうお手紙入れてるや。それにしても久しぶりだねぇ。
名前、なんだっけ。まぁカノジョでいいや。随分と、腐ってるね。
思い出すと、なかなかいい人だったなぁ。
まぁ僕は、元来、お金とか女とかに興味がなくて...。だから暇なんだけどね。
カノジョはどうだったんだろう...。今更、か。
でも、最近ニュースになってるけど、世の中には好き好んで人を殺す輩がいるんだよねぇ。
本当に気が知れないよ、暇にならないのかな。
死体って、殺す瞬間は気持ちがいいし、楽しいんだけど、その後が面倒なんだよなぁ。
腐ったら臭がするし、血だって出して汚すし。ほんといい迷惑だよ。
折角久しぶりにカノジョを見れるし、ゆっくりしてから帰ろうっと。
うんうん。他のと比べると、腐り度が段違いだねぇ。
クッキング番組とかで、あらかじめ用意しておいたのがー、みたいな感じだ。
この子達も、こうなるのかなぁ。まぁきっとその頃には飽きて、興味がないだろうけど。
カノジョの腕、とかも細くていいなぁ。足も細い。ほんとモデルさんみたいだぁ。
うっとりしちゃう。生きてたら、どうなってただろうなぁ。
僕とあったのが運の尽きだったけどなぁ。
可哀想だけど、すごく可愛い。まぁ、死人に口なしってやつで、何も言わないけど。あはは。
おぉ!じっくり見てたら一時間たってるや。帰ろっと。
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んー。いい夢見れた。おや?隣の部屋で物音がする。僕一人だけどなぁ。
隣は...物置だ。誰だろう。一応キッチンに寄ってから行こう。
コンコン
あら、物音が止まった。開けてみよう。
ガチャ
誰だろう、この人。見たことないや。それに変な格好だ。水道の作業員みたいな服。
でも、ここはマンションだ。物置に、排水管なんてない。泥棒さんだ。
襲いかかってきた。サッと交わしてお腹を一突き。ぅ゙あ゙っとうめき声を上げた。
あら、まだ襲ってくる。えいっ。次はちゃんと喉をサラリとナイフで撫でる。
小さなキズだけど、致命的だろう。あら、白目向いてるや。あはは。変な顔。
体がガクガクしてる。あ゙ぐっとか、ぅ゙とかうめき声が聞こえる。
バタンと崩れ落ちる。はぁ、なんで泥棒したやつの死体を僕が処理しなきゃいけないんだろう。
理不尽だよねぇ。また包丁を買い替えなきゃな。もうこの遊びもやめよ。
死体をちゃんとビニールで包んで、キャリーケースに入れて...おっと入りきらないや。
バラバラにしなきゃ。えっと、ノコギリ、ノコギリーっとあったあった。
そしたら、死体を台の上に置いて、ひとまず腕と足でいいかな。まずは右腕ー。
ノコギリの刃を当てて、力いっぱい引く!やっぱり肉が切れにくいや。血もいっぱい出るし。
やっと骨まできた。鈍い音がする。もー、血だらけだよ。ふぅ、あと少し...っとやっと切れた。
重労働だなぁ、次は左腕。その後は...。
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やっと全部切れた、今度こそ...入った。キャリケースを持って...。
準備完了、あとはいつも通りタクシーで山へ行くだけだ。
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ふぅ、着いた着いた。そういや、この遊びにも飽きたし、この山どうしよう。
別に僕が所有しているって訳じゃないから放っておいても大丈夫か。
ドサッ
今日の死体を放り投げて...。あぁ!カノジョに当たった!くそっ、こそ泥ごときの分際で、カノジョを汚すな。忌々しい、全く。
ドガッ、ドスッ
思いっきり蹴りつけてやる。はっ、泥臭く生きておけばいいものを、惨めだなぁ。
あぁ、手紙があるんだった。忘れてたよ。
ちゃんと入ってるや、なになに...
『お手紙拝読させていただきました。褒めていただき嬉しい限りです。ですが大学の教授...ではありません。もう少しヒントを、大学内の人間ではありません。それにもっともっと身近で、あなたのことをよーく知っています。そうですね、貴方は昨夜、十二時頃まで起きておられましたね。質の悪い睡眠は健康によくありませんよ。それと、カノジョですがお気に召しましたか?お返事お待ちしております。』
なるほど。大学の人ではない。となると誰だ?家族は、いない。生まれたときからいない。
じゃあ、誰だろう?わからない。僕の寝る時間までわかっている。
身近な人間?うーん、うーん。難しい。他に身近な人?別に大学の人も身近ではないしね。
よし!まだ早いかもだけど賭けだ!
【お手紙読みました。ハズレてしまって悲しい...。僕の体を気遣っていただきありがとうございます!
カノジョの件ですが、本当に嬉しいです!懐かしい思いが蘇ってきます。
あの、少し濡れた草の匂いとか、湿った山小屋の密閉感とか、カノジョの途切れ途切れの呼吸とか
すべてが鮮明に思い出せます!とっても良いプレゼント改めてありがとうございます!
さて、本題ですがあなたは、僕のハハオヤかチチオヤですか?】
よし、こんな感じでいいだろう。でも不安なのはハハオヤもチチオヤも意味がわからないことだ。
シセツの偉い人が僕に教えてくれたけど、理解できなかった。
シセツはあまりいいところではなかったな。けど、あの頭の良さそうなお姉さんは良かった。
僕はその時まだ小さくて10才かな?年齢すら分からなかった。
そのシセツはコジイン?って言うらしくてたくさんおんなじような友達がいた。
その中でも15才位のお姉さんが、みんなを仕切ってくれてた。
お姉さんは、リョウシンが嫌いで13才の頃に逃げ出して来たらしい。
でもその5年後くらいに全然見なく無ちゃって。シセツの偉い人に聞いたら、成人したからだって。
今は何をしてるのかなー。久しぶりに思い出しちゃった。
名前は...雪さん、だったかな。シセツにいた頃、推理小説好きだったし探偵なんかやってるかも。
それはさておき、きっとこの「私」さんが誰かわかったら悲しいだろうな。
そうだなー、中身の分かっているプレゼント箱のリボンを取る感覚?みたいな。
もしかたら、同じシセツの人かもな。まぁ正解かどうかは明日分かるし。
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んー。大学生の朝は早...遅い!もう九時だ、あぁ、講義間に合わない。単位がぁ。
こんな日は山へ行こう。もう3日か4日くらい連続で山へ行ってるや。
お手紙の確認も大事だしね。朝ごはんを食べていこう。
このシリアルお気に入りなんだよね。美味しいから。
でも結構内容量が少ない。一回に食べる量はそこまでなんだけど、すぐに無くなっちゃう。
天使の取り分かな。
それにしても「私」さんは、早起きだねぇ。僕にはできないや。
体調だって崩しやすいし。大学も楽しくはない。
なにか暇つぶしになるものはないかなと思って行ってみたけれど。
阿呆な輩が、騒いで。馬鹿な女に、言い寄られて。屑な大人の、自慢を聞いて。
なにが楽しいのやら。でも、勉強自体は嫌いではないから、課題なんかはちゃんと出すけどね。
インターホンをチェック。うん。警察は来ていない。勧誘くらいかな。
昨日は久しぶりにシセツにいた頃の夢を見たな。よし、支度はできたし行くか。
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到着!そういえば「私」さんも同じ靴なんだ。靴跡が全くおんなじ。大きさまで。
ということは、「私」さんは男性なのかな?僕結構足大きい方だと思うから。
でも、歩幅は違う。僕のほうが小さい。「私」さんは大きい。足跡からでさえどこか自慢げだ。
えっと、手紙はー。あった。
『お手紙拝読しました。お気に召されたようで何よりです。
本題ですが、私は貴方の父新や母新ではありません。
ここでヒントです。私は、孤字院にいたことがあります。きっと貴方と同じところです。
雪さん、という人物が居たことも知っております。ただし、し設長ではないです。
※「おや」という漢字や、「こじいん」という漢字などがあやふやなので間違っているかもしれません』
ハハオヤじゃなかったか。まぁ良かったのかも。
どうせハハオヤなんて、顔も声も見た目も何一つ知らない。赤の他人だ。
今更、愛情や僕を捨てた罪の意識なんていらない。鬱陶しいだけだ。シセツチョウさんは見たことがあるらしい。
それを聞いたときだって、そうなんだ、位にしか思わなかったし。
それより、てっきり「私」さんはちゃんと教養を受けた一般人かと思っていたや。
僕と同じで、「おや」とか「しせつ」とか書けないんだ。なんだか親近感わくなぁ。
よしっ【お手紙読みました。同じシセツの人だったのですね!でもなんで僕がシセツの人だとわかったのか不思議で仕方ありません!そうですね。もう思いつかないのでこの回答が最後です。
貴方は僕の家族ですか?】
こんなものだろう。かなり攻めた。ハハオヤ、チチオヤ以外に家族がいたらしい。
誰かはわからないけれど。
きっとその人物なのだろう。これは大きな賭けだ。さぁどうなるかな。明日が楽しみだ。
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良し!今日は目覚めがいいい!昨日は早く寝たからね。朝ごはんを食べよう。
シリアル、はなくなってる。まぁいいや何も食べなくても。
着替えて、歯磨きをして、顔を洗って、出発だ。早く山に行きたいなぁ。
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山についた!なにかおかしな音がするけどまぁいいや。
手紙、手紙はー。あった!これに答えが書いてあるんだぁ。楽しみ!
ふーはー、深呼吸をして。心を落ち着かせて。
えーっと『お手紙拝読しました。早速ですが、私は貴方の家族ではありません。
これが最大のヒントです。私の名前は「神山 烏」です。
ここで最後のシンキングタイムです。答えが分かったら、左のポケットに解答がありますよ』
最大のヒント、それは「私」さんの名前だった。だが考える事ができない。
「神山 烏」それは。その名前は僕の名前なのだ。
僕の名前も「神山 烏」。これはシセツチョウさんがつけてくれた。
神山はまだしも、烏なんていう人はそういないだろう。つまり、つまりどういうことだ?
思考が回らない。これは偶然?いや、でも。解答を見よう。
『きっと貴方は大した答えもないまま、この手紙をみましたね。いいでしょう。解答をお教えします。
私は、「貴方」です。冗談でもなんでもありません。一から説明をしましょう。
私は子供、赤ちゃんといった方が良いでしょうか。赤子の頃に親に捨てられました。
親にも情はあったのでしょう。コジインの前に捨ててくれたのです。
私は十数年間そこで過ごしました。「私」だけは。
コジインへ入り、6年ほどでしょうか、年月が経ったとき、寒江さんという方がコジインへ来られたのです。可憐で、美しい方です。それに優しいものですから、コジインの子とすぐに打ち解けました。
「私」も例外ではありません。寒江さんと仲良くなり、身の上話をしていたときでした。
そこには確か、寒江さんのお友達もおられましたね。私がコジインへ来た理由を話した後、
寒江さんの話を聞きました。大体、母新の再婚相手が嫌だった、という話だったと思います。
本題は、その寒江さんのお母様の再婚相手が私の父新であったのです。
私が捨てられたのは2,3才頃でした。母新はずっと父と喧嘩をしていました。
なので、覚えているのは怒鳴り声だけです。父の顔は朧気ながら覚えていました。名前も。
寒江さんが、口にされた名前、それは私の父の名前でした。
寒江さんは、私の父のことをひどく貶していました。私もずっと頷いていました。
私は、寒江さんにこのことを黙っていました。私の父は、寒江さんにも酷いことをしていました。
私はとても気の毒でした。
ですがそれと同時に、私がその屑な父親の子であるという罪悪感。劣等感。羞恥心。
それにいつの日か私も屑になってしまうのではないか、という恐怖。すべてが襲ってきました。
私はいつもそれを、大丈夫だ、と言い聞かせ。幾度となく寒江さんに言おうかと悩み。
苦しめられてきました。そんな想像もできないであろう、地獄の生活を続けていくうちに、
異変が起こります。私がやった記憶のない行動や、言動を指摘され始めたのです。
私は不可解に思い、色々と試しました。そこで私は気づいたのです。「私」はカレンダー上の偶数日のみ生活していると。
要するに2日に一回しか、起きていないのです。ですがコジインの誰も私の事を奇怪な目で見ないのです。普通は、2日に一回しか生活していない、出会わない、そんな人間を子供ですからなにか
おぞましいもの見るような目つきでみるはずです。しかし誰も至って普通に私と接してる。
さらに不信感を覚えた私は、昨日(奇数日)の行動を友人に聞きました。
その日、「私」は「僕」と名乗り、普段よりも物静かな、だがどこか異常な様子でいたということです。
つまり、奇数日の私は、私であって「私」でない。もう一人の私、「僕」であるということです。
私は気づかぬうちに二重人格者になっていたようです。何がそうさせたかはわかりません。
ですが、「私」は今までの私。「僕」は悩み、罪悪感、劣等感を固めたような悪の私なのです。
「私」は「僕」のことを忌み嫌いました。なぜなら私の弱い部分の集合体だからです。
それからコジインを出て、独り立ちする頃に徹底して「私」と「僕」を分けました。
カレンダーを取り除き、スマホを使い分けました。どちらも一日飛ばしに設定して。
「私」は嫌だった眼鏡をかけ、毎日大学へ行きました。
「僕」は眼鏡なんかかけず、大学をサボり続けていたようです。好都合でした。
ですが、ずっと「私」の心の奥底では、「僕」を嫌い、苦しめようとしていました。
自分の身体を殴れば、「僕」は傷つきますが、実際どういうふうに苦しんだのか分かりません。
それに、「私」にもダメージはきます。そこで「私」は精神的に「僕」を苦しめようと考えます。
そこで思いついたのが、この手紙です』
ここで一枚目は終わっている。もう一枚あるが。なんだ、これは。
悪い冗談?幻覚?夢?だが、すべてこの手紙に書いてることすべてが僕の人生だ。
いや、僕の知っている人生だ。思考が停止する。なのになにかを必死に考えようとしてくる。
ぐわんぐわんと脳が叫ぶ。吐きそうになる。だが朝から何も食べていないので嗚咽のみが絞り出される。
何も出ない、それがかえって気持ち悪さを倍増している。
雫が頬をなでる。汗とも涙とも言えない、気持ちの悪い雫が。
森のざわめきが、眼の前の死体が、今までの人生がすべてが襲ってくる。
ヒタヒタと、にじり寄ってくる。帰りたい。しかし足が動かない。倒れ込むことさえもできない。
焦点があわない。自らが恐ろしい。おぞましい。気色悪い。震える手で二枚目の手紙を読む。
『幸い、「僕」はなにか道楽に貪欲になっているようだった。
死体埋めなどという道楽に。その事実さえ認めたくなかった。ずっと「私」だけが苦しめられた。
そこで、偶数日に「私」は調べ上げた山に入り、手紙を書き残した。
「僕」は予想通りに飛びつき、予想通りな行動をした。嬉しかった。
そして、一昨日「僕」が音を上げた。その時をじっと待っていたよ。
昨日、その手紙を読んでこの死体の周りにカメラを仕掛けた。
きっとこの手紙を読んだ「僕」は苦しむと思ってね。どうだい?苦しいかい?
「私」は明日その映像を見て楽しむとするよ。ありがとう。親愛なる「私」へ』
周りを見渡す。カメラなんて見当たらない。しかし今日この山へ入ったときからなっている、
ジーっという電子音が耳を襲う。再度周りを見る。赤いランプが見つかった。
僕はすべて、手のひらの上で踊らされていた?
その瞬間、「私」が素肌の道化のような恐ろしさに包まれる。
自分自身を疑う。この手が、顔が、耳が、目が、頭が、脳みそが、心臓が、すべてを疑う。
確かに苦しい。ありえないほどに。嗚咽が漏れる。何度も何度も。
憤りが生まれる。何度も何度も。だがそのすべてが矛先を見失っている。
狂っている。おかしい。気色悪い。異様だ。誰が?自分自身が。
汗が、涙が、嗚咽が、思考が、すべてが止まらない。ただその全てが、気色悪い。
自分のものであって自分のものではない。すべてを拒否する。だが止まらない。
自分の意思がないように。そもそも、僕は誰だ?僕って何だ?この体は、この思考は誰のものだ?
単純明快だが、複雑怪奇な問のみ浮かぶ。今までの自分が恐ろしい。
気絶しそうになる。だが気絶すると「私」が来てしまいそうで恐ろしい。
この封筒は明らかな罪だ。法律では裁けない。呼吸が荒くなる。だが細い。発作のように。
これで、幼少期の記憶が思い出せたのなら、少しは楽だったのかもしれない。
しかし、何も思い出せない。今まで思い出せていた何もかも。
まるで他人の人生を見るような感覚しか残らない。
手紙だって、すべてが単語としてしか、捉えられない。
掴みどころのない、おどろおどろしい「感情」が浮かぶ。
そこで、この二枚目の手紙に裏があることに気づく。
『今までありがとうございます。
この手紙は「暇な私の説明書」だと思って保管してください。
これからも共存していきましょう』
貴方は、自立できていますか?それは「あなた」だけの力でですか?
始めて来たはずなのに、どこか既視感があったり。
言った覚えのない発言を、言動を他人に指摘されたり。
そんなことありませんか?




