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「出会いと始まり」

現在、技術コンサルとして第一線で働く、山口総一は10年前を振り返ってこう思う。


「今の私があるのは大野さんのおかげです。」


「大野さんは私の理論の骨組みに現場視点で肉付けをしてくれた人物です。私が技術コンサルとして説得力のある仕事ができているのも、大野さんの現場視点で考えていく姿勢が大きく影響しています。」


工場に転職したばかりの頃、右も左もわからない時の大野さんの第一印象は「なんだかよくわからないおじさん」でしたがね。周りから警戒されているけど普通に世間話していますし、業者さんにも信頼されているみたいでしたね。


自己啓発で会社の食堂で一緒に資格の勉強をしていた同僚が、職場のパソコンで私の合格を知ると「山口さん、あの資格取った。すげー」って私よりはしゃいじゃって。それで彼は大野さんと仲良くて、私が合格と知ってから大野さんと話すことが増えた、という感じです。


大野さんと本格的に仕事の話をよくするようになったきっかけが、排水処理の負荷をどうすれば軽減できるか、という問題を投げかけられた際、私が装置の増設ではなく現在ある設備の能力を把握し、工程改善することで理論上は排水処理が可能になり、その工事費のみで対応できる可能性を示したことにあるそうです。当時、大野さんが私をどう思っていたのかよくわからなかったですが、若干食い気味で聞いてきたので、少し引いてしまい、後半は挙動不審気味に答えてました。私は普通だと考えていたのですが、その頃から彼は私が現在のコンサルのような仕事をする未来が見えていたのかもしれませんね。




最近工場を退職した大野宗治は10年前を振り返り、山口総一をこう評する。「ああ、彼ね。俺が見てきた中で1番の天才だった。ただそれゆえに危うさを感じたな。今、上手くやれているといいけどな。」


最近工場に配属された若手に中途社員、とりあえず軽く話でもしとくかな、という感じだったな。会って話した第一印象は、「よくわからないけど、何か関わると面倒なことになりそうな危うさを感じるやつ」、まあ「おはよう」って言うと「お、、、おはようございます。」だもんな。挙げ句の果てには会釈してさっと逃げるようなやつだったよ。今振り返れば天才の特徴にもよく当てはまるし、こいつと関われて結果オーライだったと思うよ。まあやっぱり面倒臭いやつだったがね。


山口と関わろうと思ったきっかけが、俺が何度も挑戦しても取れなかった水処理の資格一発で取ったことだな。こいつには何かあるかも、と思って試してみたくなったんだよな。


あいつが本物だ、と感じたのは、俺が普段から考えていた排水処理の能力の問題を俺が全く思いつかないアプローチであっさり解いてしまったことだよ。まず現場に足を運んで、その後設計図面とにらめっこし始めて、なんかノートに延々と方程式を書き出してるんだわ。で、理論的にはですが、と前置きした上で、これまでワンパスで通していた9つある排水処理設備の回転円盤を「流量、処理能力から3つ1組に分けて3段階で通してそれを適宜入れ替えることで工事費だけで処理は可能です。」としれっと言いやがる。しかもあいつはそれを何も鼻にかけず、「なんか変なところありましたか?」って心配そうに聞いてくるんだから余計タチ悪いよな。本当に才能あるやつって、それをあまりにも当たり前に使用するんだな、と驚いたよ。少なくとも俺の周りの仕事できるやつにいるタイプではそんなやついなかったからな。ついつい嬉しくなって、試しに教えてみることにしたんだよ。

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