ショートショート 昭和のお浣腸物語4-2
昭和の中頃、子どもの頃の家庭医療、お浣腸の思い出について
もとみちゃんが保健室でお浣腸をされた同じ日の同じ午前中の事です。今度はもとみちゃんの家の隣に住む、幼馴染のひろくんが体育の授業でころんで膝怪我をしたようで、1人で保健室にやって来ました。
「先生、中山くんがころんで、膝から血が出ています!」
同じクラスのお節介な女児に、そう担任の先生に指摘されてしまいました。ドッジボールで不意に狙われてよけようとして転んでしまったのです。好きな体育の授業が始まってすぐに、こんなことになるなんてついていません。
(ピーッ)
「先生は一寸コートの外に出るから、みんな続けていて、みなこちゃん、ひろくんを運び出してくれる」
そう言うなり、胸の膨らみが分かるくらい発育の良い大柄な女児に抱えられて、体の小さいひろくんは軽々とコートの外に連れ出されました。体育座りで地べたに腰かけて、怪我したところを見て見ます。そんなに思ったほど血は出ていませんが、校庭の砂利と言うか砂の様な細かいものが、傷口に入り込んでしまっています。それに今となっては傷がズキズキします。
「あれ、やっちゃったね。血は止まったみたいで大丈夫かな。でもばい菌で傷口が膿むといけないから、保健室で手当てしてもらってきてください。ひとりで行ける?」
またみなこちゃんや他の人に頼ったら後々何か言われるので、
「いえ、大丈夫です。一人で行ってきます」
「今3時限目だけど4時限目にかかってもいいから、あまりひどいようなら養護の先生から連絡貰えるように言ってね。では行ってきなさい」
足を引きずりながら、なんとか保健室に向かいます。
(トントン)
戸を叩きますが、中から返事はありません。
(トントン)
今度もやはり同じ反応です。戸に手を遣ると、引き戸が開きます。
「誰かいませんか?」
そう言いながら中に入ります。やはり、中には誰もいませんでした。脚がズキズキしてきました。近くにある椅子に、よろけながらもなんとか座ります。
(?)
座ってすぐの処にカーテン状の布で出来た衝立がありますが、シーンとした室内で微かに寝息が聞こえます。
(誰だろう?)
思わず立って中を覗こうとした時、籠に入れられたブルマと制服を見つけます。きちんと畳まれたブルマが一番上に置かれ、名前が一目瞭然です。
(もとみちゃん?!)
この頃は名前と学年クラスが分かる様に、制服に名札を付けていましたし、体操服も同じでした。女児のブルマなら左前の腰にあたる部分に、男児なら短パンの右後ろのポケット部分に、黒文字で名前を書いた大きめの白地の布を貼る習慣がありましたので、ブルマを表向きに畳むと丁度、白地の名札が紺地に浮き出て誰の持ち物かよくわかります。
(5年1組…もとみ…もとみちゃん)
ベッドで寝ているのは、お隣の家のもとみちゃんの様です。それにどきっとするものが小机に載っています。それは軽便浣腸の箱で、使い終わった中身の入っていない容器が一緒に置いてあります。
(ベッドに寝ているのはもとみちゃん?お浣腸?)
色々な想像が頭を巡ります。さえない頭で考えていると、入口の戸が開く音がします。
「誰?誰かいるの?」
先生の声です。洗い立てのオマルを持った先生が立っていました。
「はい、5年2組の中山 ひろしです」
そう言いながら衝立の陰から出て行きました。
「あら、ひろしくん。どうしたの?珍しいわね」
5年生だけ2組ですが、後は各学年1クラスで20-25名前後、全校で150名くらいですので、ほぼ児童全員名前を知っています。名前は分からなくても日々顔を見ていますので、名前を聞けばピンときます。
「足を怪我して…」
遠目にもけがをしていることが分かります。
「本当だ。ちょっと見るからこっちにいらっしゃい。女の子、寝ているでしょ。ダメよ、そこに居ては、起こさないようにこっちにいらっしゃい」
診察台に腰かけるように手招きされます。先生の視線が、衝立の奥から膝に移ります。
「あらら、大分派手にやったわね。出血は少ないけど、傷残るわよ。まぁ、男の子だからいいか…この傷、どうしたの」
「体育の授業でボールを避けようとして、慌てていて、それで転んじゃって」
「あらあら、まずは泥を落としましょう。こっちにきてちょうだい」
室内の流し台の横にある四角い陶器の前まで連れてこられました。蓋の無い大きな洋式便所の様な形をしており、後で知りましたが、ビデと言うものらしいです。
「靴下も脱いじゃおうか。そうそう。脱いだらこっちに来て足を出して。いい、滲みるわよ」
水が当たった瞬間、めちゃくちゃ傷に滲みます。激痛です。
(あああ゛ー)
「なんていう声出すの。男の子でしょ。これくらいで。砂とかばい菌を取っているんだから。我慢するのよ。それに寝ている子もいるんだから、だめよ。そんな声を出したら」
男の子なんだからこれくらいとは、この時代の常套句。男だろうと女だろうと、痛いものは痛いのでして…そうそう、そうでした。傍で、もとみちゃんが寝ています。その間に先生が傷口を洗ったくれて、あらかた目に見える異物や汚れが落ちました。傷口以外を一旦タオルで拭いてもらい、先ほどのベッドに戻ります。
「じゃあ消毒して手当てしましょう。これだとやりにくいから、そこに横になってちょうだい」
オキシドールの様なものを脱脂綿にしみ込ませ、傷口を消毒してもらいます。続けて、ヨードチンキか赤チンか分からない液体を塗ってもらって、少し乾かせてから、ガーゼと包帯を巻いてもらいました。
「さぁ、できた」
と同時に起きなさいと言う合図のつもりで、ひろくんの先生がポンポンとお腹を軽く押しました。すると、意に反して、
(プーッ)
と、病人が眠る静かな部屋に豪快に放屁をしてしまいました。普通ならこれを聞いた周りの人はにやけるか、笑うかするのでしょうが、先生は保健の専門家です。
「そんなに強く押してないわよ?ひょっとしてガス溜まっているの?ちょっと見せて」
そう言うや否やすぐに、触診が始まりました。
「あれ、お腹溜まっているね。ほらここ、張っているわね」
ひろくんの手を取って、自らのお腹を触らせます。
「ガスかうんち、溜まっているね。今朝出した?」
「出てない」
「昨日は?」
「うんうん」
首を横に振りながら、出てないと言っています。
「じゃあ、うんち、いつからしてないの?」
「金曜…水曜か火曜」
「それなら、1週間じゃない。それじゃ誰かさんと…」
思わず誰かと一緒ねと言掛けましたが、直ぐに飲み込みました。
「丁度いいから、先生、治してあげる」
そう言うや、もとみちゃんに使った膿盆一式を小机毎、持って来ました。そこには、使用したばかりの軽便浣腸が1つ載っています。
「動くと、今治療したばかりの、足の傷が悪化しちゃうから、言うことを聞く!いいわね!」
先ほどと同じように、素早く【不在】の札を出して、入口のカーテンと鍵を閉めます。窓も閉じました。時計を見ました。あと30分ほどでお昼です。浣腸に5分、排便に10分、清拭に5分。静観に10分。場合によってはちょっとオーバーするかもしれないけど今やっちゃいましょう。
「今すれば、お昼までには教室に戻れるから、ね」
なんか傷の手当てに来ただけなのに、変なことになっちゃっていますが、先生の勢いに気圧されて逆らえません。でも何をするかは尋ねずにはいられません。
「先生、何するんですか?」
「これよ。これをしますからね」
丁度、頭の横にある膿盆から軽便浣腸の小箱を取って中身を取り出しながらそう言うと、足のケガでいつもより自由が効かないことを言い事に、直ぐに白い体操着の短パンとブリーフを一緒に手をかけて足首まで脱がします。男子児童の下半身が露になりました。ここからは流れるような作業で、肛門に潤滑剤を塗り込む時間が欲しいのか、代わりに嘴管にたっぷり軟膏を付け、間髪入れずに直腸に軽便の嘴管をあてがわれました。すう―っと差し込み一気に薬液を送り込みます。入れた時と同じように何の抵抗もなく嘴管を抜きます。肛門は無抵抗でも体としてはもっと抵抗されることを予想しましたが、案外素直に受け入れたみたいです。が、実のところ先生の施浣迄の流れる動作が素早い為、あっと言うまでしたので抵抗したくても何もできなかったというのが実際のところで、それだけにこれまでも多くの児童に同じように施薬してきた経験から先生の動きが手際良かったのです。浣腸された側のひろくんは浣腸された事実を受け入れて、この後に起こることを理解するしかありませんでした。だから直ぐに御不浄に行くため急いで短パンを履こうとしましたが、そうはさせず、診察台に寝かせたまま抑止で押さえています。
「いい?ギリギリまで我慢するの、そうすると出るから」
「だって、お便所迄持たない…」
ひろくんはこれまでお家でされている経験から、体質的に薬を入れてから効き始めるまで直ぐだということが、体験的に分かっています。それなので、何とか起きてそれまでに廊下の先にあるお便所に行こうとしますが、
「いいのよ、お便所じゃなくても。ほらそこですれば」
すっかり綺麗になったオマルですが、先ほど少し前にもとみちゃんが大量の排泄をしたオマルがあります。それにさせようということみたいです。
「先生!本当に我慢できないです。お、お、オマルも…」
だからと言って、オマルでするのも嫌なのです。
「しーー」
指を唇に当てて、静かにするように言わました。
「だから起きちゃうでしょ。もっと静かにして。それとも、起きた中で、見られながら、するの?」
オマルでするのは嫌ですが、幼馴染に見られるのはもっと嫌です。そう言われて、ここでするならもとみちゃんには寝ていて貰いたいと思いましたので、今度は黙って仕方なくオマルに跨ります。この1分位の間で、便意もかなり強まってきました。
「さあ、出していいわよ」
そう言われて、先走りの水様便が出ます。こうなるともう止められません。
(ブッブー)
と放屁をしながら、がまんの限界だったお便も出てしまいました。一つの波が来たら、次の波、また次の波と3回くらいに分けて、便意が来ます。そのたびに便壺に吐き出されます。
「たくさん出たね。もう出ないね」
診察台のベッドに上げられて、もとみちゃんの時と同じようにちり紙で大まかに拭かれた後、蒸しタオルでその上から、綺麗にしてもらいました。
「先生はお便所に捨てに行ってくるから、ひろしくんは、お腹の渋みが取れるまで少し休んで行っていいから、収まったら教室に戻るのよ」
そう言うと、もとみちゃんの時とまた同じようにオマル持って外に出て行きました。
便は処理のために持ち出されましたが、匂いは残ります。急ぎパンツと短パンを履いてから、部屋の窓を全開にして、新鮮な空気を引き入れます。窓から外を見ると自分のクラスがまだドッジボールの競技中。誰かと目が合ってバツの悪い思いをしないうちに、窓際から部屋の内部に戻ります。小机の上にある膿盆には2つ、軽便浣腸の空き容器が乗っています。一つは自分、もう一つはきっともとみちゃん。さっき先生が、誰かと一緒ねと言いかけたような気がしましたが、そうだとすると、もとみちゃんも1週間の便秘だったのかななどと思っていると、衝立の向こうで吐息が聞こえました。もとみちゃんが、起きたのかもしれません。すると続けて、がさこそする衣擦れの音が聞こえます。もとみちゃんが起きたようです。
「あっ、もとみちゃん、こんにちは」
「あっ、ひろくん?こんにちは」
衝立の横からジャンパースカートを着た、もとみちゃんが顔を出します。
「どうしたの?ここで?」
「ひろくんこそ、どうしたの?」
「僕?あーあ、その、これ」
と言って、足の包帯を見せます。
「体育で転んじゃって、先生に治療してもらって、そのあと休んでいたの。もとみちゃんは?」
「私?」
「そう、もとみちゃん。ひょっとして…」
そう言うと、目線が膿盆に向かいます。もとみちゃんも、その目線を追うようにして膿盆を見つめます。そこには、封の開いた小箱と空き容器が載っています。
「お願い、みんなに黙っていて」
「大丈夫、黙っているよ」
男の子はこんな時に悪智恵が働くもので、
「その代わり、もとみちゃんの何か秘密、教えてもらおうかな~」
自分のことを棚に上げて、ちょっとからかって見ます。
「わ、わたしの!?そんなの無いわよ!」
「えー、じゃー、みんなに言っちゃおうかな…」
「ひどい!じゃあ、一つだけ。本当はお母さんに絶対に言うなって言われていたんだけど…」
「何?」
言うなと言われた話程、聞きたくなります。
「その話教えてよ!じゃないと…」
じゃないと、この保健室での出来事が、組、いや狭い学校です。保健室でお浣腸されたお姉さんって、学年はおろか学校中に広まってしまいます。
「分かったわよ。絶対に他に言わないでね。でないと、お母さんにうんと怒られちゃうから」
「約束するから」
「本当に約束よ。あのね、ひろくんのお姉さんが、前にお浣腸されいてるところ見ちゃったの」
「家のお姉ちゃんが?お浣腸?どこでさ」
ちょっとからかい半分で聞いたのが、まさかの思わぬ収穫です。普段、浣腸なんて知りませんという顔をしているお姉ちゃんです。姉弟、同じ便秘症のはずなのに家では母親が配慮しているのか、姉の施浣は最近全くと言っていいほど感じられませんでした。それでいて、弟の浣腸にはお手伝いがてら覗きに来ます。だから、姉の鼻を明かしたいと思います。
「町立病院で」
「小児科のいつもの病院じゃなくて?」
「そうよ。朝早く病院に行って私が中待ちに呼ばれたら、そうしたらもう先にお姉さんが診察中で、出てきたときには上は中学の制服だけど下はお提灯だけだったの」
「それじゃ、お浣腸されたことにはならないじゃん」
もとみちゃんはこの先を話すと自分のことも話さないといけないので、恥の上塗りになるこの先のことを言うかどうか迷いました。が、背に腹は代えられないし、自分の施浣は前回の自宅でのことや今回を含めてっもう2回程知られているので構わないし、それよりも保健室でのことを同級生の誰かに話されたらたまったものではないと思い、続けて話す事としました。
「違うの。そのあとね、病院にあるじゃない、その…浣腸室。浣腸室に連れて行かれて…」
「町立病院は行ったことが無いから分からないけど、それって、もとみちゃんも浣腸室に居たって言うこと?」
そう言うと、うんと、頷きます。
「また、浣腸されたの?」
「されたわよ。いけない?わたしのことはどうでもいいでしょう!どうするの、先を聞きたい?」
「聞きたい!」
「じゃあ、余計なことは言わないで!話すわね。でもお姉さんには内緒よ。じゃないと、うちのお母さんから本当に折檻されちゃうから」
もうここまで来たら語る方も話す気満々ですが、他に話すなと言う釘だけは何度も打ちます。
「わかったよ」
「それでね。中に入ると、なんか揉めていて、とっくに私よりは部屋に早く入っていたのに、まだお浣腸されていなくて。それで私の順番が先になっちゃって、お浣腸されることになったの。それで、まさにお浣腸される瞬間のその時、カーテンが開けられて、目の前の診察台にも同じように寝かされた患者さんがいたの。よく見ると、お隣のお姉さんって気が付いたんだけど声に出せないまま、直ぐに私のお浣腸が始まってしまって、それをお姉さんにも見られちゃったの」
「なんだ、もとみちゃんが結局お浣腸をされたんじゃん」
「だから話の途中で余計なこと言わないでよ!違うの、まだ先があるのよ。そうしたらすごく怖い看護婦さんがお姉さんに、『あんな小さな子もされているのよ』って言って、それを合図に何人かの看護婦さんたちに取り囲まれて身動き取れないようにされて、可哀そうに泣きながら結局、こんなに大きな浣腸されちゃった」
「それって、もとみちゃんも見ていたの?」
「うん、見ていた。だって、私も台に寝かされて動けなかったし、向かい合わせだったから、見たくなくても見ちゃったの」
「うんちも?」
「したわよ。だって、私も大きなガラスで浣腸されたのよ!」
散々話の腰を折られて怒っていてなのか、恥ずかしさからなのか分かりませんが、もとみちゃんは、真っ赤な顔になってそう言います。
「分かったって…」
「じゃあ、秘密守ってくれる?」
「守る!」
「その内、ひろくんの秘密も教えてね」
「なんでだよ」
「だって、私の秘密だけってずるいじゃない!しかも3回も!本当は、ひろくんも、お浣腸、されてるんじゃない?」
本当は、僕もさっきお浣腸いただいたんですよ。膿盆の空き容器2つあったでしょ、その1つは僕に使ったんですよ、とは絶対に言えません。
そんな話をしていると、養護の先生が、もとみちゃんのお母さんを連れて戻ってきました。部屋に入るなり娘のもとみちゃんといるひろくんを見つけて、
「あら、どうしたの?ひろくん、もとみの介添え?」
「違うわよ、お母さん」
「ちょっと、足を怪我しまして」
「あら、本当だ。なんだ、優しいひろくんだから、娘を心配してくれたんだと思ったわよ」
と一人、笑います。
「そんなわけないわよ…」
「さあさあ、おしゃべりはもういいでしょ。もとみさん、お母さんにはあらかた話しておきましたから、今日はもう帰って安静にしてくださいね」
「先生、ありがとうございました。もとみ、今日は早退よ、鞄持ってきて帰りましょう」
母がそう言うと、娘も、
「ありがとうございました」
「僕もそろそろ教室に戻ります」
「中山くんも、あまり無理しないでね」
帰りがけに、もとみちゃんがうつむいたままのことを心配して、お母さんが声を掛けました。
「もとみ、まだ具合悪いの?お浣腸されたんでしょ。大変だったね。まだお腹、渋る?」
「うん、たくさん出たから大丈夫よ」
「でも、元気ないわよ?何か心配事あるの?」
「元気ないのはないけど、でもお浣腸のことではないの。どうせ、ここでされなかったら、おうちでお母さんかお医者様にされたでしょ。だからあきらめはつくのよ」
「じゃあ何よ」
「今日、お部屋にひろ君がいたでしょ」
「いたね」
「お隣のひろくんに、お浣腸されたこと知られちゃった」
「なんだそんなこと。それくらい、いいじゃない」
「何だとは何よ。乙女にとっては重大なことよ」
「確かにね。もとみは恥じらう乙女だものね。でも、それくらいならいいじゃない」
「良くないわよ、これで2度目よ。なんで私ばかり…恥ずかしい思いするの」
お母さんと約束した町立病院でのことを話してしまったことは言えないので、その分回数からは差し引いていますが、不公平感は伝わったようです。
「じゃあいいこと教えてあげる。客間で貴女にお浣腸したら玄関で鉢合わせいた時あったじゃない?」
「覚えている。浣腸された後に鉢合わせした1度目の時ね」
「そうね、その時、お隣の奥さんが謝りに来た時、ひろくんも便秘症って、教えてくれたの」
「ひろくんも、便秘しているの?」
やっぱりなと思う反面、それは初耳です。
「そう。そのことをよく聞くと、お姉さんも一緒で、姉弟揃って便秘症で最近もしてないらしいのって、その時、お隣の奥さんが言うのよ」
「それで、どうしたの?」
ひろくんが、自分と同じ便秘症と聞いて俄然話の先を聞きたくなりました。
「子供の便秘解消には浣腸が一番よと教えたら。そのことは分かっているけど、嫌がって、それでしばらく最近は浣腸するのやめていたらしいのよ。ガラスもあるらしいわよ。だけどガラス浣腸は使わないって言うから、貴方に使おうと思って持っていた軽便を2つ分けてあげたのよ」
「まぁ、あと2つもするつもりだったの?」
「出るとは思ったけど、もしも出なかった場合にはよ。それで、もう先に軟膏つけてあったし、捨てるのももったいないでしょ。だから、誰かが使ってくれるならって」
「そうしたら…何?」
「そうしたらね、丁度ひろくんも便秘で、その日のうちにお浣腸されたみたいよ」
「へー」
「それでね。快便になるし良かったって、次の日にお隣の奥さんが教えてくれたのよ。それに余程嫌だったのね、施浣後よく言うことを聞くようになったって、それからお隣さん家ではなんだかんだで浣腸するようになったんだって。今では、ガラスでもしているんだって」
「じゃあ、うちと同じなの?」
「最近、そうみたいよ」
なんか悪い秘密を知ったみたいで、後味が悪いみたいですが、同じ被浣者だとわかって、気が楽になりました。今度ひろくんに会ったら、この事を本人に話そうかな、びっくりするかな?
<養護室 看護日誌>
記
某月某日
施浣者2名
5年1組 女児 岩崎もとみ
5年2組 男児 中山ひろし
症状:両名ともに便秘1週間以上経過
男児は膝の擦傷治療も加える
処置:いずれも軽便浣腸大人用 各人1つを施浣投与
両名とも慢性便秘症で、前回の排便より1週間強期間が開く便秘と診断
容体:経過良好
但し、両名とも要観察対象者として注意することとする
これから林間学校、修学旅行を控え旅行前後乃至旅行中も個別注意する事とする
初日に聞き取りを行い便秘の場合は、即日休憩時、施浣をすることとする
※要施浣対象者は本日の両名含め現在3名(内訳:男児1名、女児2名)
以上
浣