表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なりたいものになるための道  作者: あきらふぁ
1章
9/22

誕生日

7000字が目標と思って書いていたら、8000字になりました。

セイスが風魔法を完璧に使えるようになったのは、春が来る間近だった。

そのころには何度もアストリアに街に連れ出され、住民に顔を覚えられていた。

春といえばアストリアの誕生日。

そのことで街もにぎわっていた。

セイスはケルト家に仕えるものとして、アストリアに贈り物を用意しなければならなかった。

アストリアの誕生日まで1週間もない。

周りの大人に頼ろうと思うも、訓練なんかで時間がない。

仕方がないと思い、エセルの授業の終わりに、物に永続的な効果の付与の仕方を聞いた。


「私の専門外ですが、知ってる範囲でお教えしましょうか」


「お願いします」


エセルにやり方を聞いてから、物に魔法の効果を付与して安定させるのに2日掛かった。

騎士なので時間があまりない。

セイスは仕方がなく、袋の中からキレイな大人の拳ほどもあろうかという青い宝石を取り出した。

これは森で転がってたものだ。

落ちていたものであったので、それが何かはわからない。

宝石みたいな見た目だから卵とかではないだろう、と考えつつ少し削り取ろうとした。


だがそれはできなかった。

神に考えでも読まれているのか?とも思った。

卵だった。

セイスは絶望した。

これでは贈り物の用意ができない。

いっそのこと卵から出てきたこいつを贈ろうか考えた。


見た目は赤い鳥だった。

青い卵から出てきたとは思えなかったが、出てきたところを目の前で見たのでそれが事実だとわかる。

少し火を纏っているような気もするが、気のせいだろう。


出てきた鳥を殺すのは心が少し傷んだので、毛布にくるめた。

鳥が起きてくるまで、卵を観察した。

どうやら金属のようだ。

青い金属なんて聞いたことがないぞ、と思ったが、金属ならいくらでも形が変えられる。

そうと決まれば行動を起こそう。

街に行くために、アインのいる執務室に向かった。

服の内側には赤い鳥を入れた。

執務室の扉をノックした。


「入れ」


「伯爵様、失礼します」


「セイスか。どうした」


「お嬢様への贈り物を作るために明日、街に行ってもよいでしょうか」


「アストリアの贈り物ということなら許可してやろう」


「ありがとうございます。それではこれで失礼します」


「1つ聞きたいんだが、その胸に入ってるそれはなんだ?」


「気付かれてしまいましたか。これは鳥です」


懐から鳥を取り出し、アインに見せた。

セイスは目が合った。

誰と?もちろん鳥とだ。


「キュッ」


「……いつの間に…」


「起きていたことに気が付かなかったのか?にしても赤い鳥なんて珍しいな」


「そうなんでしょうか……ついでにこいつの餌も買ってきます」


そうしてセイスは執務室をでてその日は寝た。

そうして朝早くに起きたセイスは身支度をして屋敷を出た。

屋敷の門をでて一直線に鍛冶屋に向かった。


「よお、坊主。今日は一人か。何の用だ?」


「すいません。ダレンさん金属の加工をお願いしたいんですけど」


「加工か…すまねぇがあまり得意じゃないんだ。ほかに頼れる奴はいないか?いなけりゃ俺がやるが」


「ダレンさん、得意じゃないんですね。そうですね…周りに金属加工が得意な人はいませんね」


「そうか…やるしかねぇか。どんなふうに加工するんだ?あとどんな素材だ?」


「素材はこちらです。形は…球体でお願いします」


「なんだこりゃ。見たことねぇ素材だ。これ、ほんとに金属か?」


「金属です。俺も最初は疑いましたが金属ですよ」


「そうか…いろいろ試してみるとするか。3日後にまた来てくれ」


「わかりました。それでは」


そうしてセイスは鍛冶屋を出て、別の店に向かっていた。

肉屋だ。

鮮度のいい肉がたくさんあり、初めて来たときは感動したのはいい思い出だ。


「お!セイスじゃないか!今日は何の用だ?」


「こいつの餌を探しに来ました」


そう言って懐から赤い鳥を出して見せた。

赤い鳥はよだれを垂らしながら、肉を見ている。

とくにワイドホークの肉を見ているようだ。

同じ鳥としていいのだろうか。


「ワイドホークの肉をください」


「あいよ!」


「代金です」


「これおつりと肉な。気を付けて帰れよ!」


「ありがとうございました」


これで用事が終わった。

アイン伯爵に戻るといった時間までかなりある。

風魔法の実戦使用がてら、森に行くことにした。

この街は8メートルはあろうかという防壁に囲まれている。

門の前には門番がいるが、今のセイスには無意味だ。

それは、風魔法を完璧に扱えるようになったから、空を飛べるようになったのだ。

セイスは人目がないところに移動し、飛び上がった。

無事に門番に見つかることなく、壁を乗り越えた。

空を飛んだまま、森に行った。

久しぶりの森はなんだか懐かしかった。

10分歩けば、魔物が現れた。

懐かしのガレフだ。

セイスはとりあえず、魔法をぶっ放した。

その魔法はエセルが見せてくれて、自分の部屋でうち気絶したもの━━━そう、ウィンドバーストだ。

命を奪うまではいかなくても、気絶ぐらいはさせられるだろう。

そう思ったのは束の間。

ウィンドバーストはガレフをはるか上空までとばした。

それはもう、ガレフが点になるほど。

30秒ほどだろうか。

そのくらい落ちてくるのを待っていると、ぐしゃっと音がした。

見るも無残な姿をしたガレフだった。


「誰がこんなことを!……自分か」


一人で芝居をしてみたが案外悪くない。

なんなら意外と楽しい。

そう思いつつ、魔法の怖さを実感した。

だが楽しい。

これはほかの魔法を教えてもらうのが楽しみだ。

なんて危険思考をいだきつつ、森の奥まで進んだ。

道中キノコをみつけた。

毒々しい色をしたキノコだ。

昔本でスー〇ーキノコなるものがあると、本で読んだことを思い出した。

食べたものの体を急激に成長させる━━━幻覚を見せるキノコだと書いてあった。

薬にしてみようと思い、懐にいれる。

赤い鳥が嫌そうな態度をしている。

こんな面白そうなキノコの何が嫌なんだろうとおもいつつ、セイスは帰路についた。

帰りも、門からは出ず、風魔法で壁を乗り越えて入った。

屋敷の門が見えてきたところで、門の前に人がたっていることに気が付いた。

遠くから見てわかるのは、髪の大部分が銀色ということだろう。

髪色が銀色ということでわかる。

なぜならこの街に銀色の髪を持つものは2人しかいないからだ。

1人は伯爵の妻のリアだ。

もう1人はリアの娘である、アストリアだ。

門の前に立っているのは背丈的にアストリアだ。

アストリアはセイスを見るなり、セイスに向かって走り出した。

そんなアストリアを見てセイスは……くるっと180度ターンして走り出した。

アストリアは速度を上げた。

だがセイスも速度を上げる。

街の人々はそんな様子を生暖かい目で見守っている。


「待ちなさぁぁぁい!何もしないからぁぁ!」


「怖っ!何かされる奴じゃん!」


アストリアの顔が少し怖い。

セイスの顔は少し引き攣っている。

先に止まったのはアストリだった。

肩で息をしているアストリアにセイスは近寄った。

近寄ったとたん、腕をつかまれた。

そしてそのまま屋敷の方に引っ張られてった。


「な…に…」


「ふふん!やっと捕まえたわよ!さぁ、今の今までどこに行ってたのか、吐いてもらおうかしら?」


「……森に行ってました…」


「あら、どうやって?門番に聞いたけど、セイスが門を出たところを見てないって言って湧よ?」


セイスは一度あたりを見回し、こういった。


「アストリア、俺実は空飛べるんだ」


「そ、空?エセル先生でも飛べないんじゃなかったかしら……?」


「そこは……頑張ったんだ」


「どうやって飛ぶのか私にも教えて?」


「え、やだけど」


「なんでよ!ケチ!」


「危ないでしょうが!」


頭をチョップした。

アストリアは痛がるふりをしながらセイスと楽しそうに歩いた。

森での話もした。

もちろん、あのスーパーなキノコの話も。

食べる?と聞いたら全力で首を横に振られた。

「そのキノコ渡して」といわれ素直に渡したら、厨房に向かって走り出した。

なんだやっぱり食べたかったんじゃないかと思ったのもつかの間。

かまどの中に突っ込まれた。


「イヤァァァァ!」


「なに叫んでるのよ。あのままセイスが持ってたら食べそうだったからよ。何か文句でも?」


「なんてことをぉぉぉ!薬にしようと思ってたのに!」


「薬にねぇ?その薬、自分で飲む気じゃなかった?」


セイスが目を泳がせる。

そんなセイスの態度に、アストリアは


「な・に・か・文句でも?」


「イエ、アリマセン」


セイスはアストリアに負けた。

今までにない屈辱を感じ、にらみつけようとするも、アストリアの無言の圧により、睨むことができない。

仕方がないのでその日は諦めて、部屋に戻った。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


スーパーなキノコ燃やされ事件から三日たった。

セイスは鍛冶屋に来ていた。

そこには注文した通り、完璧な球体があった。


「これでよかったか?」


「ありがとうダレンさん。言葉が出ないほどすごいよ」


「そらよかった。それ、アストリア様への贈り物だろう?あと1日しかないぞ。それにさらに何かするんだろう?早く完成させな」


「お言葉に甘えて、それじゃ!」


そういい、セイスは急いで鍛冶屋を出て自分の部屋へと戻った。

早速作業へ取り掛かった。

作業といっても魔法の付与だけなのだが、付与するにはすさまじい集中力を要する。

まずはセイスが空を飛ぶために使っている魔法を付与した。

これにより、魔力を流すだけで空を飛べるだろう。

それにプラスして、頭からつま先まで常に風を送り続ける魔法も付けた。

これがなければスカートで空を飛んだ時に中が見えてしまう。

2つ目の魔法を付与する前に、魔法で機能を作った。

それは魔力を流す速度によって異なる魔法を発動させるものだ。

これをつくるのに3時間も使ってしまった。

次は、全方位に風の障壁を作り出す魔法をかけた。

その次は周りを押さえつける魔法を、という感じで、10個ぐらいの魔法をつけた。

完成してからその魔道具となった、青い球体を見た。

セイスは青いのに使えるのは水ではなく風なのはどうなのかという感想を抱く。

まぁいいと思い、青い球体に細い鎖を通す。

これでネックレスとなった。

それをじっくりと見つめた。


気が付くと朝を迎えていた。

そうやらいつの間にか眠ってしまっていたようだ。

今日はアストリアの誕生日前日。

屋敷の使用人たちがバタバタしている。

どうやら騎士の仕事も今日明日は休みらしい。


「あなたの仕事はあるわよ?」


「何をするってんだ」


「私の護衛」


「そらそうか」


「ところで明日は私の誕生日ね。贈り物は決まったかしら?」


「それもらう側が聞いていいものなの?」


「セイスだから聞くのよ!」


「あっそ」


「誕生日パーティには私が買った服を着てきてね。」


「あの高そうな服を……?」


「そうよ。言わないと気なさそうだし言っとくわ」


明らかに高級品だ。

しかも礼服には軍服のような服がある。

どちらを着ていいかわからず、ジャミルに聞いてみることにした。


「お嬢様の誕生日にはなにを着ていったらよいのでしょうか?」


「うん?知らないのか?基本的には自由だぞ」


「んなばかな」


「本当だ。だが私服で来るような奴は見たことがないな」


「さっき基本的にはって言ってましたけど、例外的なことはあるんですか?」


「もちろん。たとえばお嬢様がこれを着て来いっていったときとかだな」


「おぅ……まじか」


セイスが買って貰った服を着るのは確定のようだ。

逃げ道がいつの間にかふさがれていた。

アストリア、恐るべし!

そんなこんなで一度部屋に戻り、買って貰った服を着て見ていた。

貴族が着るスーツみたいな服だ。

どこにも赤い鳥を入れる隙間がない。

いや、一つだけある。

胸ポケットだ。

ここに入れてけばパーティにも多分連れていけるだろう。

ふと、こいつが身代わりになるんじゃないかと思った。

赤い鳥を見ると、心でも読んだのか全身で抗議しているように見える。


「いつまでも、赤い鳥って呼ぶのは面倒だな。このさい名前つけるか」


「キュッ」


「ここは単純にきゅうたろう……だめだ著作権的にダメな気がする。じゃあ永遠不滅の灼熱鳥は……嫌そうだな。贅沢な奴め。ならここは最終手段にしよう。アストリアに決めてもらおう。よしそうしよう」


そうして、寝る前に赤い鳥に餌を与え眠りについた。


また夢をみた。

なんか知らん奴が話しかけてくる。

雰囲気的には少しエセルに似ているだろうか。

光ってる玉を体に突っ込まれた。


なんだこれ。


少し出してみようとするが出てこない。

なにもわからない。

ここが夢の世界だからだろうか。

ふいに世界が崩れだした。

目の前のやつを見ると微笑んでいる。

奴を見ているととうとうたっていた足場が崩れ落っこちた。

落ちるセイスを見て、口を開いた。

距離ができており何も聞こえなかった。


『人とは楽しいものでしょう?』


んなことを言ってる気がしたが目が覚めた。

今日はアストリアのパーティだ。

夕方からパーティがあるのでそれまで暇だ。

そういえばと思い、真実の瞳を取り出し使った。


=========================


セイス・ヴァセル 7歳


称号 剣バカ


魔力 15400


スキル

   ・剣術 ・魔法 ・再生Lv.1 ・◆◆◆


=========================


相も変わらずシンプルだ。

情報量が少なすぎる。

変わったところといえば称号の欄が追加されてることと、魔力が15倍になってるところとスキルが増えてるというところだ。

なんなんだこの四角いのは。

真実を見せるんなら全部見せろよ、と悪態をつきつつ、再生について試した。

とりあえず、指に切り傷をつけてみた。

10秒足らずでふさがった。


「傷を直してくれるのか。便利だな」


そう思い、新たな傷をつけた。

今度は服を脱いでうすく袈裟切りに。

またもやすぐ直る。

ものは試しだといい今度は━━━━指を切り落とした。

再生はしなかった。

だが落ちた指をくっつけると、きられた部分がくっついた。

これも使えるなと思っていたが、急に眠くなる。

魔力消費が激しいようだ。


(パーティは夕方からだし、少しだけ、寝よう)


そうして意識を手放した。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


目を覚ますと、目の前で赤い鳥が空中でくるくるしてる。

こいつ飛べたのか……

窓の外に目をやると、そらが赤くなってきていた。

どうやらそろそろ始まる時間のようだ。

寝がえりで乱れた服を整えつつ部屋を出た。

パーティ会場にはすでに全員集合している。

どうやらセイスが最後のようだ。

いや、一人だけ来ていない。

主役は遅れて登場するようだ。

セイスが入ってきたのを見てジャミルがこちらに来た。


「セイス、その服似合っているぞ。この前聞いてきたのはその服のためか。あとその鳥はなんだ?」


「そうです。まぁ強制的にですけど」


「はっはっはっ、お嬢様に着て来いと言われたか!」


「まぁ今日は我慢します」


「そうかそうか。ところで贈り物はちゃんと持ってきたか?もしかしてその鳥か?」


「こいつじゃありませんよ。ちゃんと物です」


「すごいこちらを凝視してくるんだが……」


「気になるんでしょう。それはそうとしてお嬢様がくるみたいですよ」


会場にある一番大きな扉が開いた。

入ってきたのはアストリアと給仕達。

給仕達はいつもの姿だが、アストリアは違う。

紅色を中心としてスカートにはフリルがあしらわれている。

その姿は見るもの全てを虜にしそうだった。

かくいうセイスもアストリアに見惚れていた。

時が止まったように静かになる。

その静寂を打ち破ったのはアインの拍手だった。

アインの拍手に続いて皆が拍手をする。

そして一人づつ近くに行きおめでとうございます、と口にする。

セイスもアストリアに近づきおめでとうございますと言う。

セイスがそういった瞬間アストリアの顔はドレスのように赤くなっていく。

アインがセイスを人殺しの眼差しで見てくる。

やめてほしいと思う。

寿命が縮まりそうだ。

そんな状況に追い打ちをかけるようにアストリアが、


「セ、セイスも、似合ってる、わよ」


恥じらいながらそう言った。

そう言われたせいでセイスも頬が赤くなる。

なんとも言えない空気になる。

その空気を打ち破るかのようにアインが咳払いをした。

皆がハッとする。

リアが、


「それじゃあ、贈り物を渡していきましょうか」


そうして一人ずつ渡して行く。

まるで順番を決めていたかのようにスムーズに。

セイスは順番なんて言われてない。

全員が渡し終わった雰囲気になってしまった。

珍しくセイスがおろおろしている。

頼みのジャミルに話しかけた。


「い、いつ渡せば…」


そう問えばニヤニヤした表情で返される。


「今渡しに行けばよかろう?」


アイン以外は楽しそうにセイスを見ている。

アインは「ちゃんと準備してきたのだろうな?」という目で見てくる。

アストリアも楽しみに待っている。

その空気を壊すように赤い鳥が鳴いた。


「キュッ!」


見ればセイスが用意していた透き通った青い玉についた細い鎖をくちばしで器用にもったまま滞空している赤い鳥がいる。


「ちょっ…なんで!」


セイスが取り戻そうと手を伸ばすが、赤い鳥は余裕そうに避ける。

もっと手を速くするが、それでも避けられる。

それを何回も繰り返したセイスはイラついた。

イラついたセイスは魔法を使う。

風の檻を作り出した。


「キュッ!?」


風の檻の外に出られなくなり、戸惑う赤い鳥。

完璧に魔法を使いこなすセイスを見て驚く皆。

エセルもいるのだが、そのエセルでさえさも驚いている。

そうこうしてるうちに、セイスが贈り物を取り戻した。

セイスの表情はどこか誇らしげだ。

取り戻したセイスはアストリアに近づく。


「アストリア様、お誕生日おめでとうございます」


アストリアは綺麗な宝石のようなものを見て目を輝かせた。

それとセイスの顔を交互に見る。


「セイス、あなたセンスあったのね」


「失礼な」


「ふふっ…冗談よ」


そんな楽しそうな娘の様子を見て頬を緩めていたアインが口を開く。


「これは何で出来てるんだ?」


「ここに赤い鳥がいるでしょう?」


「あぁ…まさかそいつが持ってきたのか?」


「いえ、こいつの卵の殻です」


再び静寂が訪れる。

最も理由は真逆だが。


「卵の…殻!?」


「こんなきれいな球体だぞ!?」


「殻が金属だったので鍛冶屋に持っていきその形にしてもらいました」


「それは分かったが…本当にその鳥は何なのだ?金属の卵から生まれてきたのだろう?」


「それは僕が知りたいです」


「そんなことはさておいて…」


「そんなことなのか…」


「その子の名前は何ていうの?」


「アストリア様に決めてもらおうかと思いまして」


「いいの?じゃあ赤くて〜金色の目をしてるから〜…レキちゃん!」


「…いい名前だと思います」


赤い鳥が喜んでるので良いのだろう。

話題がなくなりそうだったので、セイスの贈り物について説明をした。


「まずですね、これにゆっくり魔力をいれるとですね…」


「どうなるの?」


「空を飛べます」


「ソラヲトベル」


「はい。面白そうでしょう?」


「…本当に飛べるの?」


「ここで嘘をついてどうするんですか。信じてないなら見せましょうか?」


「頼むわ」


セイスは碧玉に魔力を流すと宙に浮かび上がった。

これにはエセルも驚く。

空を飛ぶためには凄まじい集中力と精密さがいる。

何せ魔力を流す速度が難しいものの、他の魔力の制御は碧玉がしているのだから。


「す、すごいわ。私も飛んでみたい!」


「まだ説明は終わってませんが?」


「空を飛ぶだけじゃないの?」


「他にもいろいろつけましたよ。つけるの楽しかったですから10個ぐらいつけてしまいましたよ」


「…10個?」


「そうですけど何か?」


「一度セイスは常識を学んだほうがいいと思うわ」


「本職の人間はこんなものじゃないんですか?」


「一流で2、3個よ?」


「…じゃあ機能はそれだけってことに 」


「させないわよ!全部説明しなさい」


アストリアは顔を逸らすセイスの顔を両手で挟み、セイスと無理やり目を合わせた。


「………またの機会で良いです?」


「駄目よ」


セイスは悟る。

余計なことをしたと。

だが、今日はアストリアの誕生日。

甘んじて受け入れよう。

そうしてアストリアの誕生日は楽しい一日となった。

なんでもいいからコメントかなんかしてくれるとありがたいです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ