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なりたいものになるための道  作者: あきらふぁ
1章
16/21

強い護衛

最初はセイス視点です。

ガイム伯爵領のいつもガイムが直接統治している街ラグバーンに来た。

アインの街の2倍以上の広さをしてるな。

とりあえず宿を取ろう。

出る前になんかアインから金もらったし。

ベッドのマークの看板があるしあれが宿かな。

あれが宿だと信じて行こう。

入ってみれば禿げててひげを生やしたおっさんがいる。



「おう、らっしゃい!坊主、一人でどうしたんだ?親に泊るところ探して来いって言われたのか?それなら安心しろ!ここは宿屋だ!」

「俺一人です」



ふぅ。ここはちゃんと宿屋だった。勢いすごいなおっさん。

泊れそうだ。



「坊主一人なのか?金はあるのか?」

「なけりゃ来ません」

「金があるならいいんだ。ほれこれが部屋の鍵だ」



受け取った鍵には2階の1号室とかかれてる。

早速荷物(昔から持ってる袋1つ)を置きに行こう。



「おぉ……屋敷の部屋と同じくらいの広さだ……」



元の部屋と同じような感じなのはいいところ。

とりあえず荷物をおいて街の散策だ。

金は持っておこう。


街は表面上、魔物の肉を焼いた物や果物、古着、武器なんかを売ってて活気があふれている。


魔物の肉を焼いたものか……生がよかったなぁ


そういやアストリアが言ってたな。魔物の肉を生で食えば体が異質な魔力に浸食されて崩壊するって。

俺の場合再生で何とかしてるのかな。

やばい、他の人にできないことができるってなったら今すぐにでも生の魔物の肉を食べたくなってきた。

今ここら辺に魔物はいないから焼いたもので我慢するしかない。



「おっさん。その肉くれ」

「誰がおっさんだ!おれはまだ27だ!銅貨1枚だ」

「これで」

「ほらよ」

「ありがとう、おっさん」

「だから誰がおっさんだ!」



俺はおっさんから肉串を受け取って一口。

これがなんの魔物か知らないが、生の地竜の肉の方が美味い。

買って後悔ということはないが、あまり食う気にはなれない。

果物買おう。



「すいません、この赤い果実をください」

「赤い果実?あぁ、ゲラの実だね。いくつだい?」

「5個ほど」

「あいよ。銅貨3枚ね」

「どうぞ」

「坊やは1人なのかい?親と一緒に来てないのかい?」

「親は村で寝てますよ」

「おつかいできるなんて利口な子だね。うちの子にも見習わせたいよ」

「……そろそろ僕は行きますね」

「そういや聞いたかい?第三王子の話」



後ろに向かって歩き出した足がピタッと止まってしまった。

だって仕方がないじゃないか。アストリアが前に第三王子の誕生日の話をしたのだから。



「風の噂なんだけどね、第三王子の婚約者を発表するらしいんだよ」

「相手は?」

「食いつきがいいね。相手は隣の伯爵領の一人娘かもしれないって噂だね」

「……」

「おや、その顔。もしかしてその伯爵領の娘に惚れてたのかい?」

「もしそうだったら?」

「あたしとしては恋愛小説のようになってほしいね。あたしが憧れる略奪哀のようにね」

「略奪愛……いいですね……」

「……まさか本気にしてるわけじゃないだろうね?あ、ちょっと!」



略奪愛……いいな。ありだ。アストリアには、もしかしたら相手を殺すとか言ってるんだ。

そうか……とられたなら奪えばいいんだ。

おっと、興奮してどこか知らない所に来てしまった。



「ここどこだ」



まだ昼なのに薄暗い。

スラム街かってぐらい汚いな。ここは路地裏だろうか。


あ、人がいる。なんか服が赤いな。

ん?これ血じゃん。血……血?

やばいじゃん



「回復」



おおぅ。魔法をかけても反応がないな。気絶してんのか。

しょうがない。目を覚ますまで待っとくか。

幸いにして回復魔法で治る範囲だったからな。

まだ生きてる。




+*+*+




「ん……ここは……」

「あ、起きた」

「!?誰だ!」

「ひどいなぁ。命の恩人に対して」

「そ、そうなのか?それは悪いことをしたね……」



見た目は赤い髪の毛と黄金の瞳を持った好青年だ。

くそ。爽やかで女を侍らせてそうだ!滅べ!

まぁいい。だれなのか聞くか。



「命をすくってあげたんだ。質問に答えろ」

「それくらいならいいよ」

「まず名前から」

「アラン・ザレイン・エスフェル。18歳」



やばい。王家の人間だった。

こんな態度だったら処刑されかねんぞ。



「どうしたんだい?他に聞かないのかい?」

「スゥー。次だ。お前はここで何をしていたんだ?」

「僕は……旅行……かな」

「……まぁ信じよう。次になんでこんなことになってたんだ?」

「多分弟が僕を殺そうとしたんじゃないかな……」

「なんで?」

「王位継承権って聞いたことがあるかい?僕は……嫡男なんだけどね、その……3男が昔っから王になるんだ!っていってて僕のことが嫌いなんじゃないかな」

「ほーん」

「聞いたくせに興味なさそうだね」

「そういうなんかめんどくさそうな話嫌いなんだよね。さて最後の質問だ」

「なにかな」

「第三王子の婚約者って何て名前?」



聞かずにはいられない。

だって一番知ってそうな人間が目の前に現れたんだもの。



「名前?確か……アストリアだったかな。ケルト伯爵家の」

「……」



開いた口がふさがらないぜ。

相手が王子ならアストリアを誘拐できるかな。

それ以前に殺せるかな。



「その顔。アストリアさんが好きだったのかい?」

「……ちょっと、ね」

「へー」



なんかこいつニマニマしながら見てきやがる。

王子だとしてもぶん殴りたい。



「実はね、僕は弟のアレクが嫌いなんだ。理由は分かるかい?あいつ自分が王になることを信じて疑わなくてさ、いつも傲慢な態度をとってるんだよね。それで次男や僕に向かっても命令してくることがあってさ、最初はか「わいい弟の頼みだから」って思って聞いてたら余計に傲慢になってたんだよ。最近は命令を聞かなかったメイドや僕たちを鞭で叩こうとしてくるんだよね。あいつが王になれるとおもわないよね」

「あ、うん」



こいつやばい。一度聞いたら延々と愚痴が出てくる。

しかも話をしてたらもう夕方なんだけど。


グゥ~~


嘘だろ?この状況で?

いやむしろ逃げる口実になる。



「……お腹がすいたから帰るね」

「え?どこに行くんだい?僕が質問に答えたんだから君の番だろ?」

「えっと……もう暗くなってきたし」

「ひどいじゃないか。僕は真摯に質問に答えたのに!」

「ちっ……しょうがない。じゃあ俺の宿に行くか」

「そんなっ!宿に連れ込んでナニをする気!?」

「……」

「えっ、無視はひどくないかい?」



もちろん無視したまんま、宿に行った。

アランにはポンチョを貸してかぶっててもらった。

受付のところでおっさんに、



「坊主……一人だった理由って……」



とか言われてなんか……傷ついた。

まずもって男好きだと思われたところが……心に来る。



「さて、僕の質問に答えてもらおう」

「いーやーだー」

「等価交換って知ってるかい?」

「それなら命を救ったってことで」

「いや僕は質問に答えるときに命を救って貰ったお礼に答えるなんて言ってないよ」

「くそっ!嵌められた!」



さすがに王子。ここらへんは得意分野のようだ。

だが今それは俺にとって邪魔でしかない。



「さぁ、君がここに来た目的を話してもらおうか」

「嫌だと言ったら?」

「僕を助けたからなにかあげる予定だったけどそれがなくなるだけかな」

「……それは困る」



ここはもう腹をくくるしかないのか?だってご褒美だよ?しかも王家の人間からの。何がもらえるのかもわからない。

もしかしたらなんか強い武器(小並感)もらえるかも。

しょうがないここは話すとしよう。



「俺はここにまぁ、うん人を殺しに……来た」

「人を殺しに!いやぁ僕は未来の犯罪者に助けられたのか!」

「声を小さくしろ!」

「僕は止めるつもりは無いけどね。まぁここの領主、ガイム・ラドンって言ったっけ?人体実験をしてるかもしれないんだよね」

「ジンタイジッケン?なにそれ」

「あ、しらない?簡単に言えば人間に魔物を混ぜたりすることかな」

「わぁお。すっごい気持ち悪い見た目になりそう」

「そうかもね。ま、僕は君がガイムを殺すって言うのを止めないってことさ」

「失敗したら俺材料にされるかも……」

「ははっ」

「よーしさっさと出てけ」

「ひどいなぁ。僕ここにきてまだ1日もたたずに殺されかけたから宿なんて無いのに」

「よしじゃあ床でねとけ」

「じゃ、そうするよ」



まじで床で寝やがったよこの王子。あとで不敬罪って言われない?大丈夫?

こわいなぁ。

ま、寝よ。




+*+*+




あれから一週間。未だに王子は俺の部屋にいます。(*'▽')

さっさと帰ってくれ……。

さて今日から工作の時間だ。

手始めにガイム屋敷の周りに踏んだら岩針をだす魔法陣を仕掛けにいこう。



「おら、さっさとおきろ王子」

「んぅ~お前はここに……」

「何言ってんだこいつ。ほっとこ」


部屋を出て階段を降りる。降りたらそこには最近見慣れたおっさんが。



「よう坊主。今日はよく眠れたかい?」

「まー、ぼちぼち」

「そうかい。ここに安眠できるお香があるんだが買わないか?」

「買わん。今日は大事なことをし始める日なんだ」

「おいおい。大事なことをするなら買っといたほうがいいんじゃないか?」

「いらないったらいらない!じゃあな」



そそくさと宿を出る。

とりあえずガイム屋敷の塀の傍に行き、ぴょんっと飛び越える。

建物の傍まで匍匐前進。着いたら慎重に体を起こし、魔法陣を描いていく。


緊急事態!!見回りの兵士がすぐそばまで!

緊急回避!


あぶないところだった。屋根の上に回避してなければ見つかるとことろだった。

まずもって真っ昼間から黒いポンチョを着てるのがおかしいんだ。

でも脱いだとしてもしまえないから着とくしかない。


よし警備どっかいったからまた仕掛けよう。

そうだ!岩針にバリエーションを求めよう。

そうと決まればいろんな魔法と組み合わせて……。




結果を言おう。

失敗した。いや設置は成功した。失敗したのは岩針をいろんな魔法と組み合わせることだ。

それはなぜか?

火と組み合わせたらドロッとした物体になったし、風と組み合わせてみたら何も変わらず、水は水だばぁしただけだったからだ。

結局すべて岩針となったのだ。


ちなみに設置に2週間かかってしまった。

へんなことを試していたせいだ。

あと、第三王子の誕生日と俺の誕生日は同じ日らしい。

なんか…嫌だな。


宿に戻れば未だ王子がいやがる。



「アストリアが恋しいなぁ………」

「え?」

「あ」

「へぇー。恋しいんだぁ?」

「その気持ち悪い顔をやめろ」

「ひどいなぁ。王子に向かって」



この体たらく王子はほっといて今後の計画を考えよう。

今ガイム伯爵は第三王子の誕生日パーティーに行っている。帰ってくるのは1週間後。

準備は大体整ったから後はガイム伯爵を待つのみ。

そして殺した後、アストリアにバレないように戻るだけだ。



「アストリアァ」

「うわっ、きも」

「黙れ。体たらく」




+*+*+




そんなこんなでガイム伯爵が屋敷に戻ってきた。

戻って来るまでの間アランがうるさかった。

これが終わったら平穏が……戻ってくる?



「目標確認。護衛2人」



ガイム伯爵を確認したのは良いが、護衛が2人いる。

念には念を入れて夜に実行しようか。

やっと…やっと目的を達成出来る…!

見とけよ、村の奴ら!


さぁ夜だ。クソ王子は寝てる。

屋敷に来た。一人はガイムの寝室を守っている。

もう一人は門の前で見回りをしている。

まずは護衛の一人、門の前の奴を。

首を撥ねるか。



「お前が最近ラドン様を狙っている奴か?」



気付かれちゃった☆

なんなら剣がはじかれた。

しかし聞いたことあるような声だな。



「ふっ。答えるわけないか」

「……」



痛い奴だ。

こんな状況で鼻で笑う奴は痛い奴に違いない。



「いまはまだ少し空が赤いな」

「それがどうした」

「話してくれるのか?まあいいっ。今日のような空はッ3年前と半年前を思い出すッ。あの燃え盛ったッ炎が空を照らした夜をッ……」



うっわ、なんか語りだしたよ。

まて3年前と半年前?ガイムの手下が村を燃やしたときと同じだなぁ。

あー、思い出すと心の底から掲揚できないような感情が……。

てかこいつ話しながら剣で切りかかってくるんだけど。



「俺は今ッ殺したいやつがッいるんだッ」

「奇遇だなっとと。俺もなんだッ」



とりあえず距離をとらなきゃいつか切られる。


ヒュォン


アッぶねぇ!首が……首が!切られるかと思った!

さすがの再生様でも首を切られたら死ぬかもしれない!



「お前の声は俺の殺したいやつの声に似ている。そして心の奥底から殺意が湧いてくるよ」

「俺もお前の声は知り合いと似ているんだ。ただお前とは違って会いたいという感情だけど」

「はっはっは。似ている声の奴を知っているか!珍しいこともあるものだ」

「そうかい」

「主様……ラドン様を殺しに来た相手が俺が殺したい相手と似ている……これは殺せということか!?」

「何を言ってるんだ……」



奴が切りかかってくる。

面をしているが面の下の顔はきっと恍惚とした表情になっているだろう。

きもすぎ。



「何考え事をッしているんだッ」

「……」



剣で剣をはじく。

決定打を与えたい。足を切ろう。

剣を下段に構える。

すぐさますねに切りかかる。キンッと剣と足が接触したところからなる。



(はぁ?)

「やっと隙を見せたな?」

「あ」



腕を切り落とされてしまった。しかも右腕。

切り口が焼けるように痛い。

再生が遅い。



「痛みに戸惑っているようだな。教えてやろう。これはな、主様より下賜された魔法具なのだよ」

「すまんが下賜ってなんだ?」

「……」



ほんとに分からないんだ。

もらったってことでいいのかな。

あと痛すぎ。

にしてもこいつかっこつけすぎじゃない?



「そんなことも分からないとは……まるで剣に頭を支配された剣バカだな」

「剣バカ……」

「そうだ……?待て。何故腕が生えてきている」

「すきる」

「お前を殺すのはやめだ。お前を主様に献上したらさぞ喜ぶだろう」

「献上……?」

「お前……馬鹿すぎないか?」



腕が治った。反撃開始だ。

俺は地面を蹴る。

目の前には()()()()()()の持ち主。

そいつが……目の前から消えた。



「え?ごふっ……」

「は、ははは。思い知ったかこれが主様より下賜された二つ目の力よ。ウワジドッグという魔物の力だったかな?」



いつのまにか右胸から剣先が生えてきている。

息が苦しい。何故?何故何故何故

面が邪魔なのか?

じゃあとってしまおう。



「貴様……その顔……」

「はぁ……はぁ」

「セイス……か?」



何故こいつが俺の名前を知っている。

おかしい



「ははははは、はぁ……献上するのは無しだ。ここで殺す」

「やって……みやがれ」



剣先を掌で押し戻し、距離をとる。

魔法を使わなければ殺される。

魔法をどれだけ放てるのかわからなかったから残しておいたけど、ここで使わされることになるとは。

とりあえず浮こう。



「風」

「セイス……お前魔法が使えたのか。そうか……魔法で……」

「うるさいな」



剣に風を纏わせ速さをあげる。

剣と剣がぶつかり合う。火花が散ったかと思えば相手の剣が真っ二つに。



「馬鹿なッ」

「お前は誰なんだ」

「まさかお前俺のことを覚えてないのか?」

「俺の声を知ってるってことは俺の親友かもしれない」

「親友……親友か……まだそう思っているのか?」

「あいつは死んだと、俺は思っているからもう親友じゃないかも」

「親友じゃないさ。お前の親友だった男、レイクはお前に村を燃やされッ生き残った俺は、今日この日まで復讐の念を燃やしながら生きてきたんだッ!」

「……ない」

「は?」

「村を燃やしたのは俺じゃない」

「はぁ……今更いいわけか?見苦しいぞッ」

「ガはッ……」

「何故……何故避けない……」

「俺は燃やしてないからだ」

「そうか……じゃあ死ね」



スパっと音がしたと思ったら自分の、首がない体が見える。

とさっと音がすれば地面との距離がない。

なんの感情も湧かない。

これが死ぬということか?



「ふんっ。これが報いだ」



あぁ。レイクが……俺を殺した奴が踵を返し、報告をしに屋敷に戻っていく……

失敗したのか……なんの爪痕も残せずに……

アストリアになにも言わずに死ぬのか……最後にごめんって言っとけばよかったかな


……


+*+*+


レイクは屋敷に戻る道を歩いて、考え事をしながら歩いていた。

手をぐっと握って開いてを繰り返し、ぽつりとつぶやく。



「これで……終わったのか……」



セイスが最後に放った言葉が頭に残る。

セイスの目は嘘をついているようにはレイクには見えなかった。

それに魔法を使っていた。

魔法とは誰かに教えを請うことでしか使えるようにはならない。よほどの天才でなければ。

セイスは天才ではない、とレイクは思っている。

足を止めた。セイスは騎士になるために努力をしてきた。それが実ったということだろう、と結論付けて後ろを振り返る。

もう一度セイスを見ようと。

しかしそこに死体はなかった。あるのは血だまりだけ。

異常だと思い前を向けば目の前に星の明かりを反射し、鈍色にひかる刃が。



「え?」



舞ったのはレイクの腕。

ラドンからもらった反射神経で首が舞うことを避けたレイクは、首を失う代わりに右腕を失った。

べちゃっと嫌な音が耳に届く。



「セイスッ……何故生きて……!」

「わからない。何故生きているんだろう」



痛みに悶えるレイクを横目にセイスはレイクの右腕に近づく。

ゴキッバキッゴリゴリグチュ

嫌な音が周囲に響き渡る。



「魔物の味がする」

「セイスッ……お前、アンデットにでもなったのかっ!」



人間の肉を食らうのは大体が魔物。

しかし人間が人間の肉を食らうことなどない。

それならば死に立てほやほやの死体がアンデットになって食らっていると考えるのが妥当だ。アンデットには意識が存在しない。

じゃあなぜセイスは答えているのか。



「アンデット……なったのかな」

「まずいっ……意識がっ」

「殺してあげるよ。お前が俺を一度殺したように」

「やめろ……やめろぉ」



次に切るのは左腕。またも嫌な音が響く。

レイクは痛みで気絶している。その間にもまた一つ、またひとつとレイクの体を切り取り食らっていく。



「地竜の肉を100点として37点」

「……」



もうレイクからの答えはない。

レイクは親友を殺し、殺したはずの親友に殺されたのだ。

レイクの体で残っているのは、頭と性器とその周辺と腸だけだ。



「残る護衛は一人」



足を動かし、ガイムの寝室に向かう。

道中には執事らしき人や給仕たちがいたがセイスにより全員殺された。

レイクとは違い左腕だけがなくなっていた。



「止まれ」

「……」



若そうな女の声。ガイムの寝室の前にいたはずの一人はいつの間にかセイスの後ろにいる。

セイスは足を止めた━━━瞬間に振り返り剣を抜き、相手の首筋に刃をあてる。

しかし女はためらいなくセイスの剣を、剣を持っている方の腕を切り落とす。

切り落とされると同時にセイスは理解する。


この女はレイクよりも強いと。


セイスは不意打ちでしか殺せなかったレイクよりも強い相手に絶望しながら剣をふるった。

あと2話……?

タイピングが早くなった気がする。

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