手紙
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朝起きると俺のベッドの前に大きなダンボールが置いてあった。昨日の夜届いたのを母が置いておいてくれたのだろうか。中を開けてみる。
するとそこには大量の手紙があった。ここから1000キロ以上も離れている村から来ているものも珍しくないのでつくづく郵便屋泣かせである。
「シンド…?」
手紙をパラパラとみているうちにどこかで聞いたことのあるような名前を見つけた。たしか旅の途中でで病気のおばあさんの薬の材料を探して崖から落ちそうになっていたシンドを俺が助けてやったんだったか。
諸事情あって挨拶もせずに金だけ置いて彼の宿屋を出て行ってしまったためずっと気に掛かっていた彼から手紙が来るなんて…神も粋な計らいをするもんだ。
夢中で手紙を開く。
拝啓勇者様
お久しぶりです。僕を覚えていらっしゃいますか?僕です。崖から助けていただいたシンドです。いかがお過ごしでしょうか、僕は元気です。
あの時とって来ていただいた満月草のおかげで薬を作ることができ、祖母は助かりました。今はピンピンして僕をこき使っています。祖母曰く、「150歳まで死ぬ気がしない」だそうです。一度死の淵にいたのによく言いますよね。こんなおばあちゃんですが僕の唯一の、大事な大事な家族なんです。助けてくださり、本当にありがとうございました。
勇者様の家に伺いたかった気持ちは山々なのですが祖母の世話をしなければならないのでこのような形になってしまいました。すいません。
忙しいのは重々承知ですがお暇があればラタナヤの街にまた来てください。その時はお友達も連れて。
おっと祖母が起きました。朝ごはんの支度をして来ます。また書きますのでよろしくお願いします。
愛を込めて シンド
ずいぶん大人な物言いをするようになったものだ。俺の記憶の中のシンドはまだ8歳の少年だった頃のままなのに。人の成長速度にはいつも驚かされる。
またラタナヤに行くのも悪くないかもしれないな。そんなことも考える。あの街はみんな心が暖かったし歓迎してくれるだろう。シンドにも会いたいし、そして何より暇だから。
友達も連れて…か…
そうだ、今日は友達をつくりにいく予定だった。シンドのおかげで思い出せた。こうしちゃいられない。
俺は寝間着から着替えて街へと繰り出した。
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