平和1日目の朝
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小鳥たちが空へとさえずりあっている。このような声を聴くのも何年ぶりだろうか。鳥なんていなかったのではないかと錯覚まで覚える。
この世に平和が戻ってきたことを心から喜ばしく思う。まぁ、それを作り出したのは俺なのだが。
何を隠そう、俺は勇者である。いや、正確には“元”勇者か。まあよい。そう、俺は昨日長い旅路の末に魔王を打ち破ったのだ。
思い返すとそれはそれは長い旅だった。仲間との別れや、また出会いもたくさんあった。我ながらいい旅だったと思う。
一体何年あのあてのない旅を続けていたのだろう。確か生まれた時から「選ばれしもの」とか囃し立てられていて、それで家を出たのは13歳の誕生日の朝だったからざっと5年くらいか。日数に換算すると1800日ちょっと?そう考えるととても短く感じる。そんな短かったっけ?まあいいや、そんなこともどうでもいい、過ぎた話だ。人々は今のことを考えなければいけない。
魔王を倒して、金も名誉も手に入れた俺の今の戦う相手、それは「退屈」である。
先ほども述べたように13歳のころからずっと俺は魔物退治に明け暮れてきた。
それが自分の使命だと思い込んで。
それしか自分の生きる道はないと信じて。
だから俺は「趣味」と言えるものも「暇つぶし」と言うものも何一つ知らない。旅をしてる時はそんな暇はなかった。あの頃はいつどこから敵が出てくるかわからなくてそんなの考える暇はなかったのだ。今考えるとあの頃が懐かしい。
そんなわけで俺はとにかく暇を持て余している。どうしたものか。
ぼんやりと窓の外を見る。
先ほどの小鳥はいなくなってしまったが代わりに白黒2匹の猫が塀の上で見つめ合っている。夫婦であろうか。
…恋か…
それもいいかもしれない。あまり人の顔をちゃんと見たことはないけれど、俺はきっと顔も悪い方ではないはずだ。しかも「元勇者」という肩書き付きである。女だってやってくるだろう。
そんなことを考えながらまだベッドの上だったことを思い出して起き上がり、王様から頂いたきっと高級なものなのであろう服に着替えた。
俺は武具には詳しい自負があるが、服にはそう明るくない。しかし、きっと高級なものなのだろうと感じさせるオーラがその服にはあった。
「これから何をしようか」
そんな言葉が口からこぼれ落ちる。
外に置いてある俺の兜はそよ風にゆられて暇そうな俺を見つめていた。
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