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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
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理想の男性?

 エリック邸から屋敷に到着、リビングからクランハウスのあるリトルティンダーに飛ぶ。


「おかえりなさいませ、ヨーコ様」


「あ、うんただいま、まだみんな帰って来ないでしょ?私工房に入るから帰ってきたらコール貰える?」


「はい、かしこまりました」


 ネロにコールをお願いして、工房へと飛び込む、とりあえずさっさとドレスを仕上げて今日の事を報告しないと。


 どれくらい時間経過しただろう、エステアのドレスと靴は仕上がったので、マリアンヌのドレスをチクチクしているとタブレットにコールが入った。


 深呼吸してから外に出ると、マーチがすごく渋い顔をしてオクトと話をしていた。


「どうしたの?」


「あぁ、ヨーコお疲れ、いやな100階層に到着してゲートキーパーを倒したんだけどよ、階段が出てこねぇんだ、色々探したが、マーチの話だと倒し方の条件があるんじゃねーかって、今日はもうゲートキーパーが出てこねぇから引き上げた、ヨーコもなんか意見があるか?」


「ん~縛りプレイの可能性か、縛りプレイだと例えば魔法を使わないとか、物理以外とか、何分以内とか?ある条件下で倒さなきゃいけないなら、回数こなすしかないでしょ、あとはアイテムの回収漏れとか?その前になんかそんなのを示唆する構造物とか無かった?重要なアイテム未回収とかで前に進めないとかは良くあるよね、ところでやっぱり強いの?そのゲートキーパー」


「ゲートキーパー自体は大した事ねぇけど、そうだよな、なんか条件があるって考えてった方が良いな、回収漏れや情報の見落としが無いか90階層くらいからもう一度回ってみっか」


 ダンジョン組は軽く明日の打ち合わせをして装備を外す、彼等の話は終わったみたいだから、今度は私の話。


「あのね、話は変わるんだけど、エリックに私の種族?がバレちゃった、大事にはならなそうだけど、大丈夫かな?」


「種族だけなら大丈夫じゃないかな、ハーフエルフはちょこちょこ田舎にはいるから、ヨーコみたいなハイエルフになると中々いないけど、人族にはその違いなんて分からないと思うし、でもハイエルフってわかったら目の色変える連中もいるよ、例えばドワーフ国とかその西側にあるエルフとかはね、ドワーフは氏族や派閥によっては敵対する可能性もあるし、逆にエルフには神同様の扱いを受けるかもね」


 ドワーフと敵対とか嫌だな。


「なんでドワーフと敵対関係になるの?」


「エルフは大昔にドワーフの大切な宝を盗んだって一部の氏族に言われてるんだ、だから一部のドワーフとは犬猿の仲、実際に盗んだのは人族なんだけどね、それをエルフに譲ってエリクサーを手に入れた連中がいるんだよ、すごく昔の事だけどね」


 またろくでもないことを……ドワーフとは今まで通りいい関係で居たいんだけど。


「ところでマーチ、そのドワーフにとって大切な宝物ってなに?」


「物って言うか者かな、ドワーフ国の王と里を追放されたハイエルフの子供だよ、ドワーフ国の王位継承権は無い子供だったけど、才能に溢れていてね、母親であるハイエルフの知識と、ドワーフ国王の技術を持った神童だった、最初のうちは才能のある子供って事もあって大歓迎されたみたいだよ、でも段々と雲行きが怪しくなってきてね」


 出る杭は打たれる的なやつか?多分その子は良かれと思ってやってるはず、親に褒めてもらいたいとかそんな子供心で。


「当時のドワーフ国では王位継承権の争いがあったんだ、その子供は継承権は無かったんだけど、次の王を決める課題をその子が軽くクリアしちゃってね、ドワーフ国の重鎮達は焦った訳さ、継承権の無い子供でしかもハイエルフとのハーフ、血統を重んじる氏族や古い重鎮は自分達の推しが負けるとでも思ったんじゃないかな?それに中立派の氏族が密かにその子を新たな王に出来ないか模索していたみたいだし、邪魔だったんだろうね」


 凄い天才だったんだね、確かに身内に天才がいると凡才は焦るな、だからといって……身内で殺し合いとか、なんか前にもそんな事あったな。


「なんか胸くそ鬱展開になりそうね」


「まぁ良くあることさ、重鎮達はまず、その子の母親であるハイエルフに無実の罪を着せて追放したんだ、しかもドワーフ王がいない隙にね、王に確認して欲しいと抵抗するハイエルフを強引に追放し、子供はタイミングを見て殺すつもりだったらしい、いざ処刑するって時に、冒険者の人族が現れてドワーフと争って子供を拐ったんだ、人族はその子供をすぐにエルフの里に連れて行ったって話だよ」


 なんだよ、それじゃぁ盗んだんじゃなくて助けたんじゃね?って言うか詳しくね?


「へぇ、でもその子はエルフに歓迎されたの?ハーフエルフだからって迫害されたりとか、物語じゃ血を重んじる長老とかがハーフエルフは追放とか酷い扱いをするとか良くあるパターンじゃん」


「それっていつの時代の物語?逆だよ!エルフは元々子を成しにくい、だから子供に対しての愛情が深くてね、森に迷った子供とか捨てられた子供とかを保護して育てる傾向があるんだ、だから世界にはエルフに育ててもらった子供が結構いるよ、話を戻すけど人族が子を里に届けたら、その子にはハイエルフの王族の血が入ってたみたいで大騒ぎになったんだ、追放されたハイエルフは王族の血統だったみたいだね、でも一部のエルフだけでその事は隠される事になって、人族は口止めにエリクサーを受け取ったってわけ」


 エルフ達って良い奴じゃん!


「今、ヨーコみたいなハイエルフってこの世界には50人も居ないんじゃないかな?当時ハイエルフの呪いと言われてた、生まれた子供の体調が弱く成人前に亡くなったり、子供が生まれ難いのは、血が濃いからだってそのドワーフ王との子供が謎を解明して、他氏族や種族との間に子供が沢山出来たから、ハイエルフとしての能力が落ちたエルフやハーフエルフが増えて、純粋なハイエルフはかなり数を減らしたんだ、だからエリックって人にヨーコの種族がバレてもハイエルフと分からなければ大した問題にはならないよ」


 ほぁ~なるほどね、確かに血が濃いと奇形児や病弱な子供が生まれるってのは聞いた事がある。


「具体的で良く分かったよ、ありがとう、本当にマーチは物知りだね!」


「うん、だって経験談だから」


 はい?経験談?


「その人族ってボク達だからさ、追放されたハイエルフが山で死にそうになってたのを助けて、自分の子供をエルフの里に連れて行ってくれって頼まれたから、彼女がまだ生きているかは不明だけどね」


「ほぁぁ!なんかマーチって結構重要な所に顔出してるよね、ある意味トラブルメーカー?でもちゃんと解決してるから問題にはならないのか、それってカタストロフに行く前の話って事?」


「トラブルメーカーって……好きでトラブルに飛び込んでる訳じゃないけどさ、そうだね、魔王討伐の為に仲間を集めて世界中を駆け回ってる時の話だね」


 超聞きてぇ!そういう話大好きなんだけど私!


「ねぇマーチ、今度時間があったらその時の話を聞きたいな~」


「うん、構わないよ、そんなに面白い内容じゃないけどね、覚えてる範囲で教えるよ」


 やったぁ!よし、特に問題無いならマリアンヌ達の依頼を片付けちゃうか。


「それと、万が一100階層の攻略が行き詰まったら最終手段としてヨーコに同行してもらいたい、神眼でカラクリが分からないかと思ってね」


「なら映像送ってよ、それでも分かるのは50階層で経験済みでしょ?」


「あ!そっか!んじゃ明日ゲートキーパーの所に着いたらコールするよ、そうだったね、ヨーコの神眼は少し特殊だったね」


 特殊じゃない神眼があるのかは知らないけど、映像からも情報は取れるからさ、ダンジョンに潜るのは嫌じゃ無いけど、時間が掛かるからね。


 明日やる事が決まったから、とりあえず今夜中にマリアンヌの依頼をやっちまおう、遊びに行く準備もあるし、そろそろ闘技場の完成が近い、舗装もハイペースでやっている、終わったらドワーフ国にも行く約束があるし、海産物は早く欲しい、少ししたらデビュタントもあるから、料理の素材として海産物があればレパートリーがグンと広がる。


 海が近いから釣り道具も作るか!親方によく連れて行ってもらったんだ、最初は釣具屋で安いセットの道具を買って、好奇心のあまり、リールを分解して戻せなくなって、結局もう一個同じのを買うという私らしいヘマをしたっけなぁ、でも釣具屋さんに釣る魚の話をしたら高い電動リールを買わされた、結果それが正解だったんだけどね。


 1番最初は船で沖に出て太刀魚って銀色のウツボみたいな魚、正確にはウツボをプレスして平べったくした美味しい魚、絶対釣るって意気込んで船に乗ったけどポイントに着くまでに何回ゲロを撒き散らしたか、船乗る前に親方が「酔い止め飲んどけ」って薬くれたんだけど、薬用の飲み物探してオッサン連中のクーラーボックス開けたら中にビールしか入ってなくて、ビール飲んで酔い止めって相殺じゃん!とか思って飲まなかったんだよ、そしたら案の定、エンドレスな魚の撒き餌係。


 でも釣れたには釣れたんだ、みんな20匹以上釣っていたけど私は5匹、全部デカくて中にはドラゴンとか呼ばれるサイズまであった、それが釣れた時に嬉しくて魚にキスでもサービスしようとしたら親方に「まだ食うな!捌いてからにしろ」って言われて「食わねぇわっ!どんだけ野蛮人だと思ってんだ」って言い返したけど、私のキス顔って捕食者みたいな顔してるんか?生で喰らいつく様な顔してるんか?って真剣に悩んで家に帰ってから鏡の前でキス顔の練習したよ。


 懐かしいなぁ、磯釣りもしたしルアーフィッシングもした、仕掛けも沢山覚えたし、新しい彼氏が出来たのも釣りに一緒に行ったのが始まり、サッカー好きになったのも彼氏がきっかけ、料理の勉強したのもその時、彼が嫌いな女友達とも疎遠になったし、貴方だけ見つめてるって感じだった、彼氏の言いなり、不幸可愛い従順な私を演じてたっけ。


 しかしこの世界で美人に生まれ変わって、まぁ認識阻害で見た目もちょい変わってるけど、もう少しアピールしてくる男がいてもおかしく無いと思うんだよ、でも未だにあの歩くチン……じゃなくて女好きホークにしか言い寄られてない、代わりに女の人にはモテてるけど、なんか私に足りないんだろうか?やっぱり乳か?


「ねぇ、なんで私モテないんだろ」


「「「「え?モテたいの?」」」」


 え?何その言い方、モテたいよ?ちやほや大歓迎だよ?逆ハー?最の高じゃねーかよ!


「ヨーコは男性に近寄らせないオーラが出てるのよ、ワザとかと思ってたわ、でも見た目は綺麗だから人目はひいてると思うわよ?」


「お姉ちゃんの番は私が決めるからねっ!お姉ちゃんを守れる強い人探すよ!私より強い人じゃなきゃダメだね!」


 番って……メイちゃんより強いって化け物クラスだよ?ゴリマッチョとかはやめてね?なんか油断してたら人外とか連れて来そうだからさ、せめて人型で抱きしめた時に後ろで手がくっつくくらいにして?毛むくじゃらも嫌、抱き着いたらくしゃみ出そうになるじゃん、それなら禿げの方がいいな。


「見た目は多分人族の中でも良いんじゃないかな、今まで会った女性の中でしか判断出来ないけど、ボクの時代とは違うから参考にはならないかな?」


「ガトーなんかどうだ?良い奴だぞ!ヨーコも仲良いじゃねーか!」


 ガトーは妻子持ちだからダメだろ、オクトのガトー推しは知ってるけどさ、精霊ズに聞いた私が間違いだった、恋愛とかより番って思う子たちだもんね。


「クククッ、遂にヨーコが盛って色気付きよったか?妾のお古でもくれてやろうか?」


「何よっ!そんなんじゃないから!ジュライのお古なんかいらないもん!ただ全然アプローチが無いからさ、私ってブスなんかな?って思っただけよ」


「ブスでは無いぞ?妾の次に美人じゃと思う、じゃがヨーコには絶望的に足りない物がある」


 ジュライの次かよ、足りない物?分かってるよそんなん、胸だろ?おパイだろ?自分のさみちぃお胸をモミモミ、これもうちょいデカくなんねぇかな?


「阿呆、胸ではないわ、妾が教えてやるヨーコには色気が皆無じゃ、お主は頼りになる良き友、良き母にはなるじゃろう、それ故に男どもはお主を女と見れんのじゃ、自分よりも優れた女を可愛いとは思わんじゃろ?」


「えぇ~?色気ない?自分より優れた?女上司に憧れる男の人だっているじゃん!母親っぽいならマザコンだって……待ってごめん、やっぱそれは嫌だ、色気かぁ~身綺麗にしてるんだけどなぁ」


「あ!そういうなら、泣き虫以外の欠点があまり無いかも、隙が無いんだよ、男性が付け入る隙が!」


 私って泣き虫?そうかな?ってかマーチそんな風に見えてたのか?よしお前も泣かしてやろうか?


「確かに泣き虫ね、でも私はそういうヨーコ嫌いじゃないわよ?人間っぽくて良いじゃない、確かにマーチの言うように隙はあまり見せないわね、ジュライはある意味隙だらけだから男性が近寄り易いのよ」


ジュライの場合は隙だらけって言うよりは、性にオープンだから逆にワザと誘ってるまである。


「まぁ隙って部分なら確かにそうだな、お嬢なんか隙だらけだから最近男冒険者にちやほやされてるぜ?」


 なっ!マジか!メルティに負けてんの?ショックなんだけど、私と同じ貧乳ーズだよ?確かにあの子可愛いけどちょっとおバ……はっ!確かに前世でもおバカキャラは意外と人気だった気がする。


「オクトの言い方はちょっとアレだけど、彼女は守ってあげたくなるんじゃないかな?教えてあげたくなると言うか、でもそれは色気よりも可愛げってのになるんじゃないかな?その点ヨーコは自分で何とか出来るって思えるから、可愛げって部分ならメルティさんには劣るかもね?」


「色気が無くて可愛げが無い……女として致命的じゃねーか!そりゃ美人でも寄って来ねぇや!ハハッ」


「立場のある男性からしたら頼もしいじゃないの、気にする必要なんて無いわよ、ヨーコの魅力は私達が知ってるんだから、貴女は美人で可愛くて才能があるの、自信を持って大丈夫よ!」


 ジューンお姉ちゃ~ん!大好き~私をもらってぇ!


「ふむ、そうじゃのう、それはヨーコの魅力でもあるからのぅ、性格を変えてまで男に媚びる必要も無かろう、そのうち良き伴侶に巡り会えるじゃろうし、長い時間があるんじゃ、焦る必要もないじゃろ」


 長い時間ってあと100年で良い男見つけれっかなぁ、ってかそんなんじゃ一生処女って可能性もありえるの?やばい!ライカみたいになんじゃんよ~男の童貞は何十年かすると妖精になるんでしょ?処女はどうなんの?ライカになるとか嫌だぁぁ!


「とりあえずこんな話してても落ち込むだけだから、ご飯にしよ?食べて飲んで作って忘れよう」


 まぁ確かに隙が無いって言われたらそうかもね、ろくな男にまだ会ってないから、私、頼りない男はムカついて来ちゃうからさ、可愛げが無いのもそういう所だろう、頼り甲斐があって私の超広いストライクゾーンに入り込む様な男に出会いたい……いや、ちょっと!なんで真っ先に親方の顔が浮かんだ?あれは違うだろ……あれ?違わないか?頼り甲斐があって、私を甘やかしてくれて素を出せる……マジか親方ラブかよ私、いやいやちょっと冷静になろう。


 小さい頃パパと結婚する的な感覚だよね?けど、親方みたいな人かぁ~確かに良いかも、ヤバっ!想像したら顔が赤くなる、うへぇ~恋愛感情なんて1ミクロンも感じなかったし、イケメンでもないオッサンだったから意識してなかったけど、あの人私の理想だわ、良かった~死んでからそれに気付いて、向こうで気付いたらどんな顔して仕事すれば良いかわかんないや、私って枯れ専とかじゃないよね?ピッチピチが良いんだけどその希望って通らない感じ?


「どうした?ヨーコ、顔赤いぞ?」


「えっ?な、なんでもないよ、心配しないで大丈夫だよオクト」


 うぉぉぉ忘れろぉ、いや忘れちゃダメだろ大切な思い出、とりあえず別の事考えよう。


 まぁその後も挙動不審だし、心ここに在らずだし、前世の出来事を色々思い出すうちに「親方も私が好きだったんじゃね?」と狂気の沙汰とも呼べる妄想すら浮かび上がった、まぁ私の理想がわかっただけでも良しとするか。


「一応私の今後の予定を話しておくね、まず近々だと、ドレスを完成させたらミルザに旅行、その後リトルティンダーの開発が終わったら、オープン式典に参加してからドワーフ国に行く予定、みんなの予定が無ければ全員で行きたいと思ってる、その時までにアース様とヴィラー様の像を完成させて納める、帰って来たら今度はエステア嬢のデビュタント、その時はネロとマイン、レーラ達に手伝ってもらいたい、ザックリとだけど予定が入っているのはこんな感じかな」


 オクトが私に続いて口を開く


「冒険者としての活動は予定通り100階層クリアしたらしばらく休む、リトルティンダーを拠点にする事は変わらないが、ギルドからの依頼で闘技場完成後は魔物大全を使ってデモンストレーションだ、一応全ての魔物を召喚するからそれなりに時間はかかると思うけどな、ジューンとメイはヨーコにくっついて動いても大丈夫だぜ、闘技場は俺とマーチ、あとは灰色の剣のメンツで間に合うからな」


 ジューンとメイちゃんは本格的に休憩って事ね。


「私共はマインとレーラがダンジョン攻略を終えたら、ミルザに同行、戻りましたらティンダーの御屋敷のメンテナンス、タナカサンが身篭りましたのでクランハウスの空き地に馬房を別に作ります、こちらはジュライ様に教えてもらい進化した模倣スキルで作ります、ヨーコ様のお手は煩わせません」


「え!タナカサンのお腹に赤ちゃんいるの?ってか大丈夫?ネロが出来なかったら教えて?手を貸すから」


「はい、ありがとうございます、ティンダーで馬房の作り方は見ておりますので大丈夫かと、それにマインとレーラもおりますので」


 そっかァヨシダクンがパパか、やるなぁ!


「妾は次の生徒が来るまでは教会でレッスンを続ける予定じゃ、先日エルメスと言う女性が教会に来てな、何やら孫娘にピアノを習わせたいと言っておった、ヨーコにもピアノの作製依頼が入るかもしれんからその時は報告する、戦闘以外ならヨーコに同行も可能じゃ、チャミーは基本教会に居るじゃろうが、長距離を移動するなら同行すると言っておった、妾達の留守中はノアールが2人を守るじゃろう」


 ノアールに調子に乗って魔力をガンガンやってたら、2年分くらい無補給で活動出来るってマーチが言っていた、やりすぎだと注意も受けたけど、留守になる事が多くなるから損は無いはずだ。


「了解、オクトとマーチ以外はある程度自由って事ね、でも2人もドワーフ国に行く時は一緒に来て欲しいわ、予定が決まり次第教えるから」


「おぉ、了解した、まぁ1週間くらいなら何とかなるだろ、グランドマスターにもその辺は言っておく」


 冒険者は元々自由なんだからその辺は調整してくれるでしょ、さぁて大体把握出来たからドレス作っとくか。


「じゃぁ私は工房に少し籠るね、お風呂とかは向こうで入るから、明日の朝までには出てくるよ」


 工房に飛び込んで早速先程の続きをする、しばらくしてドレスも靴も仕上がった、私はついで作業になるがユグドラシルの枝を持って来てアース様とヴィラー様の像を彫り始めた。


 像もしばらくして二体完成した、やはり一度作った物は仕上がりが早い、とは言っても工房内では1ヶ月程経過している、外の時間にして7時間程だが、本当にこの能力はチートだとつくづく思ってしまった。


 今外に出てもネロが起きるまで3時間はあるから、残った時間で出来る物を作ろうか、革の小物関係を作っておこう、内職にはピッタリだからね、お財布とかみんなの作ってあげようかな、と言っても紙幣が無いから小銭入れみたいな感じになるけど、大体大銀貨が20枚くらい入るやつ、大銀貨って言っても大きさは500円硬貨くらいだからね、魔物の牙とかを留め具にして革紐を巻き付ける感じでこれはメンズ用、女性用はがま口とかにしようかな、あのパチンって音が好きなんだ~


 全員分の財布を作り終わるといい時間になった、外に出ると冒険者組が出発する所だったのでお財布を手渡す、マインとレーラが1番喜んでいた、嬉しいよね自分のお財布って、中にお金を入れたくなるよね、それを感じたのかネロが2人にお小遣いをあげていた、銀貨数枚程度だがネロから受け取った2人が嬉しそうにお財布に入れてるのを見たら自然と微笑んでしまう。


 ああいう姿を見ると色々作りたくなる、それこそ必要無いだろ?って思う物までね。


 本来であれば、マインとレーラは私が甘やかしたい対象、でもネロのガードが固い、何かする度に頭を撫でくりまわしたいが、ネロの手前我慢している。


「じゃぁみんな気をつけて、到着したらコールしてね、90階層から行くんだよね、2時間くらいかな?」


「そうだな、それだけありゃ大丈夫だ」


 冒険者組を見送り、2時間の間に闘技場と教会に顔出しして来よう。


 教会の朝の演奏が終わるまでネロとお茶を雑談、ピアノの演奏を聴きながらお茶を飲むなんて凄く贅沢な気分になる。


 演奏も終わりゾロゾロと観客が出ていく、私もそれを見て外に出た。


「おはよう~ミライさん、サライちゃん」


「おはようございますヨーコさん、今日はどうされましたか?」


「今日は2人の顔を見に来たのよ?今度海産物を手に入れに出掛けるから、お土産期待しててね!」


 ピアノを掃除していたサライちゃんがすっ飛んできて


「エビが大好物です!食べたいです!あとお姉ちゃんは貝が好きなんですよ、牡蠣とかあればずっと食べてます!」


「わかったよ!大っきいの見つけて来るよ、ガブッて齧りつけるやつね!ミライさん牡蠣好きなんだ、私と一緒じゃん、生牡蠣は無理かもしれないけど美味しそうな貝があったら手に入れるからね」


 2人の好物が聞けたので持ち帰りを約束をして闘技場へ向かう。


「うわぁ……すごい迫力だな~」


 目の前には圧巻としか言えないような巨大な建物、クランハウスから見えるので大きさの目処はある程度ついていたけど、実際目の前で見るとその迫力は想像を遥かに超えていた、近くで作業しているドワーフに監督の居場所を聞いたら、中にいるとの事で探し始める。


 しばらく中をウロウロしたが監督はどこにも見当たらない、とりあえず工事の進捗も目で確認できたから良しとしよう、ぼちぼち戻って冒険者組からの連絡を待たないと、少し小走りでクランハウスに戻った。


 ネロがちょうどティンダーに買い出しに行くところだった、慌てて戻るネロに気にするなと言って買い物に行かせた。


 1人になってすぐにコールが入る、通話をスライドさせて話し始めると、少し様子がおかしい、どうやらゲートキーパーが先日と違う様子、先日はサイクロプスの上位個体ヘカトンケイルと聞いていたが、今日は三ツ首のドラゴン、ヒュドラだ。


「ヨーコまだ全員階段から出ていないからバトルにはならないけど、昨日よりはやりにくそうな相手だ、今わかる範囲で教えて欲しい」


「うん、でもかなり厄介そうだよ、そのまま待機していて、ちゃんと全部見るから」


 ~ヒュドラ~


 3つの首それぞれに物理、魔法、ブレスの属性を持つ、全ての首がある時はどの攻撃でも通るが、1つでも落とされると首の属性で、次回有効な攻撃が制限される、物理属性の首を落としたら次からは物理無効になった上に首が即再生する、通常では首の再生に10分掛かる、1つ目の首を落としてから10分以内に全ての首を落とすのが討伐条件、気をつけなければならないのは、首を落とされる毎に攻撃力が上がるので注意が必要。


 尾に強力な武器を内包していて、首を3つ切り落とす前に尾の武器を取り出し、その武器でとどめを刺す事でしか下層階のゲートが開かない。


 物理と魔法に関してはレッドドラゴンと同程度だが、首を1本落とされると狂戦士化のスキルが発動し、全攻撃の効果が1、5倍になる、多彩な攻撃を仕掛けて来るが1番危険な攻撃はブレス、回避不能の毒ブレスに石化ブレス、中でもランダムで発動する即死ブレスが1番恐ろしい、魂までも消滅させる即死ブレスの1、5倍は脅威だ。


「一応こんな感じだけど理解できた?大丈夫?」


「ちゃんと段取りしないとエンドレスって事か、最後を物理にしないといけないから、その辺は考えないとだね、ヒュドラにブレスを吐かせないのが攻略法って感じかな、それなら先にブレスを潰さないといけないね」


 マーチとオクトが階段の所で打ち合わせをしてる、大丈夫かなぁ


「こっちはブレスの代わりにボクの一閃から出す風の刃とマインのソニックブームくらいかな、他は直接魔力が入っちゃうから魔法と認識されてダメだね、魔法はジューンに頼む、物理はオクトとガトーが首をメイ、レーラに尻尾を任せる、中にある武器でトドメを刺さないといけないから、それを見つけたらオクトに渡して、ほぼ同時に攻撃を加えればヒュドラから攻撃も出来ないだろうから呼吸を合わせて行こう!」


 ジューンだけ単独か、ちょっと心配だけど能力はあるからその辺は問題ないか、魔法の弱点属性や無効属性がある訳じゃないから大丈夫ね。


「さぁ、行こうか」


 マーチの合図で全員が100階層へ入った、戦闘開始だ。


 タブレットは壁に立て掛ける感じで置かれた、流石に録画しながらは厳しいみたいだ、とりあえず見えてるから大丈夫かな、みんな頑張って!


 最初は中々上手く行ってたけど、尻尾攻撃の時にメイちゃんが間違ってシビビ短剣を使ってしまい、物理攻撃以外と判断されて首が再生してしまった、その後チームを変えてガトーとメイちゃんが入れ替わりガトーが見事に尻尾の切断に成功、すぐにガトーが尻尾を開いて中の武器をメイちゃんに渡すと、先程のミスを帳消しにするような鮮やかな一撃でトドメを刺した。


 首が再生した時は一瞬焦ったけど、終わってみたらタイミングさえ合わせてしまえばヒュドラは攻撃して来ないから、比較的安全に倒せた、まぁほかのパーティーじゃ無理だろうな。


 100階層への階段が出現し、転移陣も出て来た、96階層でマッピーSPという100階層から150階層までのマッピーが手に入ったので、次回以降の探索も楽になるだろうと言っていた。


 冒険者組のダンジョン攻略活動はこれでしばらくお休み、ギルドからの依頼や魔石集めなんかをする事になるだろう、私も暇だったら100階層までのリングを取りに潜ってみるか。


 今日は100階層クリア記念の打ち上げだね、帰りに肉屋さんに寄って来てって頼んだし、ネロもそれを見越して買い出しに行ってるはずだから食材は大丈夫、酒も沢山あるし教会の2人も誘ってあげよう、私は焼肉のタレなんかを仕込んでおくかなぁ~



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