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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
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土木工事はメイにお任せ!

 翌朝いつもより早く目覚めた私、ポーっとする意識の中でどんな夢だったか思い出す、両親が出て来たのは間違いないんだけど、内容が思い出せない、今さっきまで見ていた夢なのに、凄くいい夢だった気がする、とても幸せな夢、幸せを分けたい気持ちで脇にいるチャミーを撫で、フワフワの羽毛にもう一度顔を突っ込み二度寝したいのをグッと我慢する。


「今日は早いなりね?」


「うん、いい夢が見れたから」


「そうなりか、撫でてくれた手から伝わって来たなりよ、チャミーも幸せなり」


 可愛い事を言ってきたチャミーをギュッと抱きしめて、ベッドから起き上がり部屋の洗面所で顔を洗う、洗顔用に作ったシュシュはいい役割をしてくれる、鏡に映るおでこ全開の自分を眺めながら歯を磨く。


 ノアールは昨日は教会に外泊、無断外泊って訳じゃないけど少し寂しいわね、まぁ猫だから気まぐれだしそんなもんか、2人にも懐いてるみたいだし、私は乾電池のようにノアールが活動出来る量の魔力を供給してあげるだけの都合の良い女……いやせっかくいい夢見たんだからネガティブな表現はやめよう。


 寝巻きから着替えて食堂に降りるとちょうどジュライが教会に行く所だった。


「おはようジュライ、教会に行くの?」


「早いなヨーコ、うむ、自分のピアノの調律をしていたら分からぬ事があったのでな、姉師匠に学びに行くのじゃ、レッスンは今日は休みじゃから、掃除を手伝いあとは自分のピアノを調律する予定じゃ、終わったら自主練じゃな」


 イキイキとした表情のジュライ、楽しんでいるようで何よりだ。


「おはようございますヨーコ様、朝食はお出ししても?」


「おはようネロ、うんありがとう、お願いするわ」


 ネロがテキパキと動き朝食を出してくれた、キッチンの勝手口からマインがひょこっと顔を出す、手を振ると両手を振り返しニコニコしながら裏庭に向かって行く、どうやら双子は裏庭の手入れをしているようだ、本当にブラウニー達は働き者で助かっている。


 ジューンとメイちゃんも降りてきて朝食をとる、今日は2人とお仕事、メイちゃんに頼りっきりになっちゃうんだけど、舗装路の利便性をドワーフ達に教えておけば自然と広がって行くし、後世の発展に繋がる事だからさ、流通が発展して物や人の行き来が活発になれば新しい発想や物が生まれるからかね。


 ランチの習慣は無いからネロにオヤツを沢山作ってもらった、大好きなマドレーヌを入れてもらってご機嫌で出発する。


 ドワーフキャンプに寄ると大勢のドワーフ達は準備万端、やたらと重装備だったので工程を伝えてスリム化させた。


「監督の弟さんかしら?」


「酒女神様!よろしくだぞおいっ!」


 双子かよって言うくらいそっくりの弟ドワーフ、軽く挨拶をしてから、荷馬車30台分の素材と共に出発をする。


 門をくぐった場所から既に現場のため、メイちゃんに指示を出し作業開始、まず深さ20センチ、幅13メートルで50メートル程前進する、ドワーフが両サイドにロープを張り、幅を確認しながら進んだら、ティンダーの門に向かって方向変換する、ここだけはカーブになるから広めにスペースを取っておく。


 凹んだ場所にコンクリートを流して行くのだが、地面よりも僅かに高くする為、コンクリートが流れないように土手を作る、土手はドワーフの魔法使いが担当するので、メイちゃんにはひたすらティンダーに向かって進んでもらう、方向に関してはジューンが微精霊を使って確認しながらなので間違いない。


 私はコンクリート作り、工房からリュックに入れて持ち出した巨大な錬金釜で作っては流し、作っては流しを繰り返す、別に錬金術を使わなくてもコンクリートは出来るが大幅な時短になるので術を使っている、流し込んだコンクリートは中央部分を気持ち高くして雨などが道路脇に流れるようにし、脇には側溝を掘り上から目隠し用の石の蓋をする。


 ティンダーまでの直線距離は凡そ8キロ、森を迂回するとプラス4~5キロを考えたら素材的にも労力的にも森を突っ切って行く方が良い。


 リトルティンダーから森までは約2キロと少し、メイちゃんには森の手前まで今の作業をしてもらう。


 ドワーフの左官屋さんがトンボの様な道具でコンクリートを慣らして、その後を風魔法使いが乾燥させて行く、今回は20センチの厚さでやってみるが多分経年劣化で割れや轍等も出てくるので魔法陣を使って極力長持ちさせる、この魔法陣の動力源の魔石は道路脇のボックスに収納、勿論イタズラや盗難にあわないように工夫もしてある。


 早くも森の手前まで終わったメイちゃんがこっちに戻って来た。


「メイちゃん、森の木を伐採したらアース様ガッカリしちゃうかしら」


「ん~大丈夫だけど木が邪魔なら避けてもらうよ?」


「え?避けるってどういう事?」


「木にお願いすれば避けてくれるし、壁みたいに並んでくれるから魔物も一気に来たり出来なくなるよ~」


 何それ、ジューンの十戒の森バージョンって事?めっちゃ見てみたい!


「メイちゃんそれ私見たい!見せてもらっても良い?」


「うん、い~よ~」


 私は弟ドワーフと数人のドワーフを連れてメイちゃんと一緒に森の入り口に到着、森を抜ける為には約500メートルの長さで木の伐採を検討していたけど、それが無くなるなら大分スピードがあがる。


「良い?今からウチの大魔法使いが森の木を退けるけど、今回は特別だからあちこちに言いふらしたりしないでね?」


「木を退ける?分からねぇけど分かったぞおいっ!」


 一応口止めしておかないとね、いずれバレるにしても今は面倒臭いからさ。


 そして始まったメイちゃんの奇跡、森の木々がメイちゃんの祈りに応えて動き出す、それはまさに木のトンネルの様に綺麗な一直線、既に森の反対側まで抜けている、木々が無くなったのを確認して同じ作業を開始したメイちゃん、両脇に退いた木々のスペースは、小動物すら通るのが困難な程にギッチリとしており、木の防御壁みたいになっている。


「まるで森神様じゃねーかおいっ!」

「おいっ!森神さまの奇跡じゃ!」


 ドワーフ達も驚いてカッと目を見開いている、森神って?人頭獣身?獣頭人身?もしくはシカとかイノシシ?どれよ?


 森神と聞いて有名なアニメの神様を思い出してしまった。


「あの子は大地母神様の敬虔な信徒だから、貴方達もヴィラー様と同じ様にアース様を崇めれば使えるかもよ?」


「おいっ!儂らはヴィラー様の子供じゃが、アース様にも最近は祈っとるぞおいっ!じゃが芋はアース様が下さるぞおいっ!」


「じゃが芋って……アンタらアース様に怒られるよ?でも大地の恵はアース様の管轄だから、豊作を願うなら神殿を建てて祀れば良いわ、像は私が彫ってあげるわよ?」


「ドワーフの国は農業もやるぞおいっ!わかったぞ酒女神様がアース様像を彫るなら儂らは祈る、腹が減ったら鍛治もできん、アース様を祀る神殿建てるぞおいっ!」


 当初ドワーフ国の辺りにアース様の神殿欲しいねって話は私達の中で出てたし、そうなるとエマールの国にも力が行き渡るからあの辺の不作も回避出来るかも、食べる事が出来ないとろくな事考えなくなるからね。


「私も監督にこの現場終わったらドワーフ国に来いって言われてるから、その時までに立派な像を彫っておくわ、任せなさい!」


「ヴィラー様の像も欲しいぞおいっ!儂らには出来んから、お願いしたいぞおいっ!」


「勿論オッケーよ、ヴィラー様は私の尊敬する神様だから、喜んで彫るわ」


 こら、感激したからって抱きつくな!それは許してないぞ!まぁ下心の一切ないハグだから良いけどさ。


 コンクリートも森の手前まで流し終わり、素材の到着を待つ、メイちゃんのスピードはやはり驚異的で既に休憩所に予定していた場所まで終わっていた、工程を大幅に修正する事も考えたけど、全部私達がやるのはまた違うので、当初の予定通りで作業をする、森を抜けるとティンダーの城壁が遠くに見える為、私達が作業を離れても方向を間違えたりはしないだろう。


 唯一誤算があったと言えば、森で伐採した木を休憩所や詰所の建設に使う予定だった事くらい、まぁ木材は仕入れが可能だから大丈夫だろう。


 詰所は高さ20メートルの見張り塔を土で作る、魔法陣で固定と硬化も付与するが、そこに煉瓦を魔物素材のモルタルで接着して更に強化していく、万が一大量の魔物が現れたら応援が来るまで籠城できるようにする為だ。


 見張り塔の中は1階を警備兵の待機部屋とキッチン食堂、トイレとシャワー室、2階に仮眠室を作っておく、6名の警備兵を常駐させるとエリックが言っていたから、最低限の居住スペースは必要だろう。


 馬車の休憩スペースには馬用の水場、トイレ、野営も出来る炊事スペースを作る、コレは不要かな?って思ったけど使わないなら屋台スペースにすればいい、サービスエリアの発想だ。


 コンクリートを作りながら先へ先へと進む、錬金術に使う魔力はそこまで大量じゃないからガンガン作って流し込む、ドワーフの錬金術師はちょっと休憩中、しっかり休憩しといてよ、私が頑張るから!


 森の半分くらい過ぎた辺りで素材が切れた、ピストンで取りに行ってるけど間に合わない、素材が来る間暇になったのでメイちゃんの様子を見に行くと、既に塔が建っていたので魔法陣を付与しておく、2階のフロアも見張り台も完成しているのであとは補強のみ、上から覗くとジューンが水場に水を引き込んでいた、馬の水場にはガチャポンプを設置予定、ドワーフ達には前に仕組みを教えているので最近では色んな所で見掛ける様になった、出来はイマイチだけど試行錯誤してる感が見受けられる。


 下に降りて水場に向かう、先行していたドワーフが神を見る様な眼差しでメイちゃんを見ている、そりゃそうだ神レベルの土木工事だからね、この後はドワーフ達がやるんだから感心ばかりされても困るよ?


「お姉ちゃん、言われた通りやったよ~どっか直す?」


「大丈夫よパーフェクト!ありがとうね」


 褒められてご機嫌のメイちゃんはジューンの所へ小走りで向かって行った。


 水場の魔法陣も付与が終わり森に戻ると素材が届いていた、そこからはひたすらコンクリートを作っては流しを繰り返す、森を抜けた辺りで休憩を入れる、現在時刻は13時、馬車の休憩所は2時間もあれば終わりそうだ、前世では考えられないスピード、休憩所にコンクリートを敷き詰めたらあとのパイプ関係はドワーフ達の仕事だ、地中埋設も考えたけどドワーフ達がメンテナンスする事を考えて露出配管にする。


 森の道を見ると正直暗いのでドワーフに相談すると、太陽光を蓄光して発光する苔を道路脇の木の根元に植えるだけで大分違うと言っていたが、心許ないので中央分離帯にクズ魔石で点灯するライトを設置する事にする、明るい所から暗い所に飛び込むと急に見えなくなるからね。


「苔の外は壁って説明しておかないと事故になるかもね、あと進行方向も決めないとね、道路にマーキングしておけば間違えないでしょ」


 休憩中の話し合いの結果進行方向の右側を通ることに決まった、馬車のドアが右側がスタンダードだからだ。


 休憩も終わりもうひと仕事、コンクリートを敷き詰めて、ダストスライム用の側溝も作った、野外でダストスライムが襲われないか心配したが、逆に逃げるらしい、人間には分からないが魔物の嫌う匂いが出ているんだとか、しかも食べても美味くないのは魔物も知っているようで、滅多に襲われたりしない。


 ダストスライムに人間が間違って手を突っ込んだら大変だと初めて見た時にダンゴに聞いたら、品種改良されて人間が手を突っ込んでも敵や餌と見ないので酸を出さないそうだ、なんて都合のいい生き物なんだろうと驚いたのを思い出す。


「次の便が来たら今日は終わりにしましょう」


「おいっ!わかったぞ!」


 休憩所の建物は設計から全てドワーフ達に任せた、雨が降っても馬を休ませれるように、簡易的だが馬専用の屋根付きの待機所も作らせる、そこまで長時間利用する事は無いだろうし、あくまでも目的は馬の水場とトイレ休憩がメイン、乗合馬車の休憩は大体20分くらいと聞いているので、利用時間の目安としては最長でも1時間くらいと考えている。


 ラストの便が到着、せっせと私がコンクリートを作ってドワーフ達が慣らす、工程ではティンダーまでの道は5日程で完成する予定、後半はティンダーからのピストンになるから素材切れ等の心配は無いだろう。


「ふいぃ~お疲れ様、明日からドワーフだけでいけそう?」


「おいっ!大丈夫だぞ、あとはやる、任せろおいっ!」


「了解、任せたよ!」


 1番面倒だった森の伐採が無くなったから、後は見張り塔の補強と建物を作るくらいかな?舗装路はマンパワーだし問題ないと思う、ドワーフの魔法使いでも1日に1キロくらいは進めると本人達が言っていたし、メイちゃんの魔法を見て大分刺激を受けたようだ。


 帰り道はまだ乾燥しきってないので森を迂回する、こんな事なら片面ずつやれば良かった、工程ミスだ、一応弟ドワーフに今回の私のミスとして報告しておいた、彼もなるほど!と手をポンと叩いて「次からはそうする」と言っていた、次の事を考えてくれていて良かった。


 今ティンダーでドワーフ達が作っている馬車の車輪にはタイヤを履いている、コンクリート道路の本領はタイヤをつけた馬車になって発揮されるだろう。


 今はタイヤの素材の研究中、私が最初に作ったタイヤだと減りが早い、ホイール状にした金属製の車輪に、靴のソールに使っていた素材の配合を変えて硬くしたものを貼り付けているだけだ、多分1年もすれば殆ど削れて無くなるだろう、ゴムの木の話もしたがドワーフ達もそんな木は見た事がないそうだ、まぁ工房にない時点で実在しないんだろうけど。


 タヤの木もこの近くでは生えていないので、彼等はドワーフ国周辺で樹脂を採取して持って来ていると言っていた、ゴムの木があってもなんか配合しないと前世の様なタイヤゴムにはならなかったはずだし、古くなったタイヤにはワイヤーみたいなのも見えたから、私の知らない加工がされていたんだろう。


 タイヤ1つにしても私一人じゃ大した事が出来ないんだよね、無力さを感じてしまうよ本当に。


 この世界には魔法という謎の力があるから別の進化はありそうだけど、その魔法もジュライの話だと劣化しているみたいだし。


 それほど発展していないから、私の中途半端な知識と異世界独自の魔法のおかげで新しい物を作れているけど、正直この世界に来て自分で開発した物ってスライム薬だけなんだよね、あとは前世のパクリだから凄く中途半端な物しか作れていない。


 ピアノを作りきった時にふと考えちゃったんだよ、私ってきっかけを作るって言い訳をして、他人任せになってるんじゃないかって、これに気付いた時はショックだった、私の1番嫌いなやらせっぱなしを自分自身がしていたんだから。


 この前お風呂でそんな事を口にしたらさ「ヨーコは自意識過剰じゃな」って言われたよ、別に私の作った物がなくてもこの世界の人々は生活出来る、でも私が作った物で幸せになれる人も沢山いて、それを見て新たな事に挑戦する者もいる、全て本人の意思であって、私がやらしている訳では無いってジュライに言われたよ。


 私は「やりたい事をやれ」って言われた、高々100年くらいじゃやれる事は限られてる、でも100年後の未来を考えたらやれる事は沢山あるだろって、言われた時は意味がよく分からなかったけど今はちょっと分かる、やっぱりジュライは私のお姉ちゃんだって思うよ。


 100年後には立派なタイヤが完成してるだろうし、その頃にはもう馬車は走ってないかも、別の乗り物が走っていて、コンクリート道路じゃない別の何かの上を走ってたり。


 ジュライのおかげで改めて分かったんだ、私がやりたい事をやればそれがきっかけになる、100年後自分がやった事を振り返った時に、あれがこんなになったって思った方が面白いだろ?ってね。


 スケールのデカい姉さんが出来て幸せだよ、あ!今思い出した、今朝の夢の内容、あれ私が大工になりたいって両親に言った時のだ、母さんと喧嘩になりそうになった時父さんが「やってみなさい」って言ってくれて、その時に約束したんだっけ一人前になったら実家を新しくするって、母さんも建て替えるならランドリールームが欲しいって言って笑ってたんだよなぁ。


 あの時の2人から言われた「頑張れ!」って短いけど力強い言葉が忘れられない。


 あ~スッキリしたぁ、ハハッ、私何悩んでたんだろ、あの時も一人前になる未来を考えてやり始めたんだった、さほど変わりないじゃんね、今は100年後の未来のために、やりたい事やり尽くしますか~


 リトルティンダーに到着して、ドワーフと別れ私はダンジョンに向かう。


「んでメイちゃんとジューンもなんでついてきたの?」


「なんで?そこにお姉ちゃんがいるからだよ?」


「同じくよ?」


 なんだよその「そこに山があるから登る」みたいな言い方、まぁ別に良いけどさ。


「あの部屋に行くの?」


「うん、でも平気だよ、前みたいにはならないから安心して?」


 今日は前みたいにならない、絶対に!そう意気込んでダンジョンへ向かう。


「ヨーコじゃねーか、どうした今日はダンジョンに入るのか?」


「グランドマスターこんにちは、うん、ちょっと散歩がてらね」


「一応決まりだからよ、冒険者カードの提示してくれ」


 言われた通り冒険者カードを提示してダンジョンへ潜る、行先は25階層。


 階段を降りてバッカスの畑へ、炭酸石や酒の素、醤油、味噌の素を回収してバッカスの隠し部屋に行く。


 独特の空気に嫌な思いが蘇る、でも今日は目的が決まっているから余計な物は見ない、私は2冊の本を手に取り立ち去ろうとすると


「これ、ガトー達が見つけたら危ないわね、ほら特にメルティちゃんとか、色々触って発動しようもんなら……」


「ジューン、それフラグ、まじでやりそう……ってか絶対やるよね、その未来しか見えないもん、ねぇメイちゃん、ここって魔法で塞げれる?」


「大丈夫だよ?……でもメイが居ないと開けれなくなるけど平気?」


 メイちゃん……の間に良い事思いついたみたいな顔してる、本来なら隠すだけなら余裕なんだろうけど、自分が居ないと開けれないって言って必ず同行するつもりだな?まぁ私を心配してなんだろうけど


「うん、お願い出来る?」


「わかった~」


 ゴゴゴッと地面が盛り上がり入り口を封鎖した、見た目ダンジョンの壁にしか見えない、これでメルティのおイタを防止出来た。


 さて、今日は3人いるし肉屋さんに寄って帰るか。


 肉屋さんで蹂躙して大量の肉を回収、残念ながらシャトーブリアン様はドロップしなかったけど、ジューンもいるのでついでに魚と水の魔石も回収して地上に戻った。


 クランハウスには私達以外の全員が揃っていたので、このアイテムに関しての説明をする、そして私の使い道も。


「ふむ、なんとも不思議なアイテムじゃのぅ、ヨーコはそれを師匠達に渡したいと言うのじゃな?」


「うん、彼女達は元の世界に帰りたいって言っていたから、確かにアース様には迷惑がかかるかもしれないけど、教会を管理するシスターや神官は2人じゃなくても良い訳だし」


 あの2人じゃなきゃダメだって制約は無かったはず。


「ふむ、ならば妾も2人に説明する時は同行しよう、何も口出しするつもりは無いから安心すると良い、それではもう一つの話をしようではないか」


「こっちのどんな魔法でも習得出来るってやつ?」


「かなり厄介な代物だぜそれ」


 いつもこういう時には口出ししないオクトが口を開いた。


「さっきの説明を聞く限り、制限が甘すぎる、下手すりゃとてつもなく恐ろしい魔法を創り出す事も可能って事だ、ヨーコはどんな魔法を考えてた?」


「そうねぇ、具体的には分からないわ、だって私魔法が使えないもの」


「それは不老不死や死者蘇生魔法なんかも可能にする物だよ、ボクはヨーコと離れたくないからヨーコが死なない魔法とか創るけど」


 やん!マーチったら甘えん坊さんなんだから、でもさ不老不死なんて良いイメージ無いんだよ、命は無くならないけど心がボロボロになりそう、ただでさえガラスのハートに豆腐のメンタルなんだから。


「どんな魔法にしてもヨーコがしたい事に役立つ物が良いわね、マーチの発言は無視して良いわよ、だってそれは私達の望みであってヨーコの望みでは無いわ」


 優しいジューンお姉ちゃん!大好きよ!


「そっか……そうだよね……」


「大丈夫だよマーチ、お姉ちゃんが死んじゃったらマーチみたいに精れむぐっ……」


 メイちゃんがなんか言いかけたのをジューンとジュライが押さえ付け、裏にそのまま連れて行かれた、なんだ?メイちゃん〆られるのか?それになんて言おうとしていたのかハッキリ聞こえなかったのが残念。


「喧嘩しちゃダメよ?」


「あぁ、多分大丈夫だろ、あれはメイが悪いからちょっと絞られるだけだ」


 ヤキぶっ込まれんのか?それはダメだって思ってたらメイちゃんが苦笑いしながら戻って来た。


「メイちゃん大丈夫?」


「ウン、ダイジョウブダヨオネエチャン、ゼンゼンゼンヘーキ」


 大丈夫じゃなくね?挙動不審だし目は泳いでるし、でも叩かれたりした跡はないから大丈夫なんかな?


「話を戻すけどさ、魔法に関してはじっくり考えた方が良いよ、もう一つの方もあの2人に渡して自分達で判断させると良いんじゃない?寧ろあげちゃいなよソレ」


「元々あげるつもりだったから、んじゃ早速教会に行ってみようか」


「明日にしろよ、もうメシ食ったりしてる頃だろうし、爆弾発言されたら夜も眠れなくなるだろ?ヨーコはせっかちなんだよなぁ」


 オクトに言われたくありません~だ!


「んじゃ明日にする、みんなは今日なんか変わった事無かった?」


「いつも通りだな、途中オレとマーチがグランドマスターに呼ばれて魔物大全の使い方と、実際に召喚する所を見せたくらいだ」


 その会話を聞いてネロがキッチンから私の隣にスッと寄って来た。


「本日、ガトー様達のクランハウスに来られたメイド2人がご挨拶に来られました、交流が多いので近いうちに顔を覚えておくのがよろしいかと」


「わかったわ、教えてくれてありがとうネロ」


 ネロは私の返事を聞いてからスススッとキッチンに戻った。


 その後夕食が運び込まれてきた、今日はコカトリスの肉をホワイトソースで煮込み、パン粉とチーズをかけてオーブンで焼いたグラタンと具だくさんのスパニッシュオムレツ、温野菜のサラダにガーリックバターを塗ったトースト、話し合いの途中からチーズの焼けるいい匂いがした、スパニッシュオムレツも中のじゃが芋がホクホクしっとりで美味しい、角切りベーコンも入っていて塩加減もちょうどいい。


「今日も美味しかった~ネロいつもありがとう」


「そう言って頂けると嬉しいです」


 食後はお風呂に入ってから晩酌タイム、今日のツマミはコーンバターと市場で食べた思い出のいもちーには胡椒をたっぷりかけてスパイシーに、あと軽く炒ったナッツ類、自家製鶏ハム、コーンバターはメイちゃんの大好物、私はスプーンにすくって口いっぱいに頬張る、口の中でプチプラと弾けて塩味とバターのまろやかさに加えコーンの甘さが広がる。


「お姉ちゃんメイも食べる、あ~ん!」


 大きく口を開けて待つメイちゃんに、コーンバターをスプーンですくって食べさせる、スプーンがガチッと音がするくらい咥えるメイちゃん、頬張りながら両手でほっぺが落ちるのを支える仕草、可愛くていつまででも見てられるわ、ジューンもハイボール片手に鶏ハムをパクリ、ジュライとオクトもシャワーから出て来て合流、マーチはワインを飲みながら珍しくネロとリバーシの対局中、どうやらネロは中々強いらしい。


 ネロの後ろにはマインとレーラがピッタリくっついて2人の対戦を見ている、ネロを信頼している2人の姿がなんとも愛らしい。


「ん?ジュライどうしたの?」


「なんじゃ、妾が隣に来たら不服かぇ?」


「ううん、そんな事ないよ、今日もジュライの言葉に助けられたし、抱きつきたいくらい感謝してる」


 ジュライが両手を広げて飛び込んでこいのポーズ、私も当然の様に飛び込む、ムムムッ!これは中々……弾力が心地良いぞ?


「あらあら、珍しくヨーコが甘えん坊さんね」


 クスクス笑うジューン、たまには良いだろ許してくれよ~


 チャミーも来てナッツをツマミながら


「ヨーコの浮気者なりよ~チュンチュン」


 とか冷やかして来た、大丈夫ベッドではチャミーを離さないから!


 ノアールまで足元に来てスリスリしてたので、彼女を抱き上げ膝の上でお腹をさする、余は満足じゃ!



誤字報告ありがとうございます!お手数お掛けしました、感謝しております!



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