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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
38/49

マシンガンマリアンヌ

 エマールまでのお使いも終わり、今日は闘技場の視察と社宅の進捗を見に行く事にしよう、チラッと見た感じだと1棟は外側が完成しているように見えたし、一般開放まではまだ1ヶ月以上ある、作業スピード自体は順調だ、闘技場も足場が立てられ作業が始まっている様子で、資材が切れたりしなければ工期内には終わるだろう。


「おはようネロ」


「おはようございますヨーコ様、今朝食をご用意いたします、その前にお茶でも?」


「ありがとう貰うわ」


 本当ならミルクティーな気分だけど、魔牛のミルクは温めないと害があるって神眼先生に書いてたから料理以外に使っていない、んじゃロイヤルミルクティーにしろって?確かにそうかも知れないけど、この世界の紅茶の茶葉の匂いが薄のよ、魔牛のミルクは香りが強いし、だから一緒に煮出すと負けちゃうのよね、メイちゃんはそれが大好きみたいだけど、ミルクが主張し過ぎて私はイマイチ。


 今日の朝食は粉まみれになりながら作ってくれたレーラのパンに、腕が痙攣するまでシェイクして出来たマインのバター、具沢山キッシュにサラダとスープ、2人の努力に感謝していただいた。


 基本双子の教育はネロに任せている、2人はダンジョン攻略にも行っているので忙しいのだが、ちょっと仕事が多くて大変じゃないかとネロに言ったら「大丈夫です」と言ってピシャリ、でも私は知っている、ネロが隠れて2人にオヤツをあげたり、ダンジョンに行ってる間は2人が心配でポンコツだったり、バレてないと思ってキリッとしてるネロも可愛らしいのだよ。


 朝食を終えて支度をする、窓の外からサライちゃんのピアノ演奏が聞こえる、今日もドワーフ達が席に座って演奏に耳を傾けている。


 チャミーはいつもの窓の上で小さな身体を揺らして楽しんでいた、朝微かに聞こえる音楽って良いよね、リズムが整う?って感じがして、鼻歌なんか自然に出てきてさ、よしっ!気分が良くなった所で出発だ。


 クランハウスを出た私は大地の教会に朝の挨拶、ちょうどドワーフ達がゾロゾロと出てくる、朝のピアノ演奏が終わったようだ。


「ミライさん、サライちゃんこんにちは~」


「ヨーコさん、いらっしゃいませ」

「ヨーコお姉さん、こんにちは~」


 2人が揃ってこっちに来た、チャミーも私の声に気付いて肩にとまる。


「あら可愛らしいですね、小鳥ちゃん、いつも聞きに来てくれてありがとうございます。」


「この子はチャミーよ、サライちゃんの演奏が気に入ったみたいね」


「ありがとうございます、いつも窓の所にいて可愛いなぁって思ってたんです、ヨーコお姉さんの鳥ちゃんだったんですね?」


「チャミーなりよ、2人もチャミーって呼ぶの許すなりよ、あの音は良いなりねぇ~とても心地よいなりよ~」


 チャミーの発言に2人がびっくりした様子、でも


「チャミーちゃん、私はミライ、演奏しているのは妹のサライ、よろしくね。」


「ありがとう、チャミーいきなり喋ったらびっくりするでしょ?チャミーはガルーダっていう綺麗な鳥なの、街中だから小鳥に変化してるけど、本来は私達が乗れるくらい大きいのよ」


「そうなんですか、そのうちチャミーちゃんの大きくなった姿も見てみたいですね」


 チャミーが大っきくなろうとしたからすぐに止めた。


「ダメよチャミー、今はドワーフ達も居るからびっくりさせちゃうでしょ?そうね~今度2人を空の散歩に誘いましょうか、チャミーの背中気持ちいいわよ?」


「「はい!是非!」」


 大地の教会を後にして社宅の方へ向かう、監督ドワーフを見つけたので進捗を聞く。


「監督、お疲れ様~どんな感じ?」


「おいっ!酒女神様、順調だ、木材もストック出来てるぞおいっ!酒も感謝するぞおいっ!」


 あぁ~そういやジューンを迎えに行く時大量に置いてったんだっけ、木材もストック出来るくらい来たなら平気そうね。


「おいっ!それから、儂らのキャンプしてる所にも本格的なドワーフの作業場を作る許可が降りたぞおいっ!」


「て事は常駐してくれんの?」


「おいっ!この街は最先端だぞおいっ!まだまだ良くなる、それに鍛冶屋、道具屋は儂らがやるからなおいっ!」


 なるほどね、ドワーフの本職は鍛冶屋だもんね、平和になったから鍛冶屋以外の仕事もしてるけど、基本鍛冶が得意な連中だし、ずっといるなら一緒アレの研究しようかな。


「そう、なら何人か私と一緒に研究しない?前に貴方達の国で燃える石が取れるって言ってたでしょ?今後貴方達の鍛冶仕事には切っても切れない物になるはずよ。」


 監督ドワーフは少し考えてから


「おいっ!酒女神様、1度ドワーフの国に来て欲しいぞおいっ!儂がこの現場を終えたら1度戻るぞおいっ!、その時にここで学んだ事を報告する、儂に足りない説明をして欲しいぞおいっ!」


 ドワーフ国か、興味はあるけどウザいんだろうな~間違いなくウザいと思う、でも監督にはネロの件もあるし、仕方ないかなぁ


「わかったわ、でも長い滞在は無理よ?私の拠点はティンダーとここになるんだから、万が一ずっと引き留めようとかしたら……」


「だだだっ大丈夫だぞおいっ!その辺はしっかり言っておくぞおいっ!」


「うん、お願いね!」


 ドワーフ国に行く予定も出来たので、今後の工事予定を確認する、社宅の1棟は既に内装に取り掛かっており、現在は2棟目の基礎工事中、建ち始めたら約5日~7日で外回りを仕上げるって言っていた、まぁドワーフのスピードなら可能だろう、ファミリー層向けの戸建社宅は全て完成、闘技場には私の魔法陣を引き継ごうと、日々猛勉強中のドワーフ達が初仕事で勉強の成果を披露してくれるそうだ、大丈夫かな?ダメなら私が手を出そう。


 今夜試しに工房でアレを作ってみるかな、浅知恵で出来るかはわからないけど、完成品ではなくてもきっかけにはなるはず。


 監督ドワーフと別れて次はグランドマスターの所に顔出すか、お茶菓子くらいはヒップバックに沢山入ってるし。


 ギルドの仮本部として地下街と地上の宿屋1軒が使われている、多分グランドマスターは地上に居るだろう。


「こんにちは~グランドマスター居ますか?」


「おう、居るぞ!どうした今日は」


「差し入れで甘い物でもと思ってね、頭使うから回復にって持って来たの。」


 グランドマスターは宿屋の食堂で書類のチェック等をしている、身体よりも頭が疲れるだろう。


「悪いじゃねーか、助かるぜ、んで見てきたか?ドワーフ達の仕事」


「うん、しっかりやってくれてる、今回は人数も多いから作業スピードが早くてびっくりした、プレオープンが10日早く出来たのは彼等のおかげね、闘技場はギリギリになりそうだけど、間違いなく仕上がると思うわ、明後日から冒険者達の先行隊がダンジョンに入るのよね?事故が無いことを祈ってるね。」


 先行隊とは攻略パーティー達の事で、多分15階層までは難なく行けると思う、16階層以降のエリアは死霊エリアだから特殊装備がないとキツイだろう、壁からいきなり出て来たりするから、マインがドッペルゲンガーに取り憑かれたのもそのエリアとジューン達が言っていた、そこを抜けても25階層のゲートキーパーは大体強者が出て来ている、初回はレッドドラゴン、その他はオークキングとジェネラルにアーチャーとマジシャンのお得セットやオーガジェネラル辺りも出てくるだろうと予想している。


「当初はダンジョンに慣れて貰うのが先ね、オクトが言ってたけど、王都からダンジョン内の魔物の詳細を記した図鑑みたいなのが来たって、凄く詳しい内容でためになるって言ってたわ、そんな詳しい人が居るなら連れて来ら良いのに。」


「それな~ホーク殿下の研究チームが纏めたやつだ、あの時ヨーコ達から貰った書を元にわかりやすくしてくれたみたいだ、殿下にとったらあの時の経験はデカかったんだろうな、今じゃ殿下直属のダンジョン研究チームなんてのもあって、クランハウス1軒買ってたぞ、リーダーはあのアリエルだ。」


 アリエルとまた会えるのね、楽しみだなぁ。


「近衛騎士の中でも特に殿下の信頼を得ているらしくてな、近い将来お妃様になんて噂も出てるくらいだ、アリエルなら貴族としての家の位もクリアしている、もしそうなったらヨーコは確実に王都に呼ばれるだろうな、ドレスくらい用意しとけよ?」


「そっかぁ、殿下も頑張ってらっしゃるのね、アリエルがお妃様か私がドレス作ってあげたいわ~」


 お茶菓子をひょいひょいと口に放り込むグランドマスター、多分この人も王都に戻るんだろうね。


「グランドマスターともあと少しの付き合いになりそうね」


「なーに言ってんだ?俺がここのギルドのトップになる予定だぞ?現役最後が王国初のダンジョン街のギルドマスターだ、光栄じゃねーか、嫁さんも来るから来たら紹介してやるよ。」


「え?マジで?んじゃ立派な自宅にしなきゃ!だってグランドマスターのお屋敷なんだから、今から間に合うかしら」


 グランドマスターって確か貴族の爵位を持ってるのよね?お屋敷か、どんなのが良いかな~


「クランハウスの1軒を買ったぞ、ドワーフに言って内装も屋敷風に変えてる、良いか?教えといてやる、ここの設備は王都以上だ、便所は清潔で匂わねぇ、風呂はお湯が簡単に出て何時でも気軽に入れるし、メシにしたってダンジョン産の上質な食材が手に入る、王都に帰る頭はすぐに消えたんだぜ?」


「あははっ!本当に?でもいずれは王都にもこの技術は流れるはずよ?良いの?」


「あのなぁ、お前らみたいなバケモンが工事しない限り、俺が生きてる間に王都の設備がここを追い越す事はねぇ、それは断言できる、それに王都に居たら夜は貴族の集まりに行けだの、昼は嫁さんがお茶会に行かなきゃならないだの、面倒っ臭ぇんだ、ここに居りゃ快適でしがらみのない生活が出来る、最高じゃねーか、それによ、最近あの教会にある黒い箱から出る音をたまに聴きに行くんだ、心が安らぐっつーか、アレはヨーコが作ったんだろ?シスターに聞いたら、レッスンもそのうちやるっつーからよ、1番下の孫娘に習わせてやりたくてな、あれはそのうち貴族の嗜みになるだろうよ、俺でさえ心惹かれるんだ、間違いねぇ」


 ほぁ~なんだかグランドマスターも色々考えてんのね、確かに王都の全てをこの設備にするには何年、何十年掛かるかわからないもんね、ご近所さんか~仲良くしといて損はないだろうね。


「それと領主様がヨーコのタブレットのスイッチが入ってないと言っていたぞ、何やら頼みたい事があるらしいから早めに連絡してやってくれ。」


「あ~そうだスイッチ入ってないや、ありがとうございます、今日中に連絡してみます!」


 ジューンの一件があって連絡してからスイッチ入れてないや、帰って来た報告もしてないから、やっべー連絡しなきゃ。


「じゃ、グランドマスターご近所に越してきたら教えてください、壁掛け時計でも持って行きますよ!」


「おう!悪ぃな助かるぜ!ヨーコもあんまり無理すんなよ?」


 グランドマスターに手をフリフリして宿屋を出た、早くエリックに連絡しないと怒られる~



 クランハウスに到着して、すぐにタブレットのスイッチを入れエリックに連絡する。


「エリックだ、ヨーコか?」


「はい!すみません連絡遅くなりました!」


「うむ、仲間は無事だったかね?」


「はい、無事でした、ご心配おかけしました。」


「よいよい、どうやって海からこんなに早く戻って来れた?とか色々質問したいが、まずは仲間の無事に安心した、それとは別にヨーコに頼みがあるのだが?」


 そうだよ、確かに海に行くって言って船どうこうの話をしてからそんなに日が経って無いのに、既にリトルティンダーに居るんだから常識的におかしいよね?


「はい、なんでしょうか?」


「私事なのだが、王都に居る私の娘が今度13になる、所謂成人になるのだが、最近市井でヨーコの発案した物が女性にとって素晴らしいと妻が興奮していてだな、私はよく分からんのだが、来週娘が帰省する時に妻がそれをプレゼントしたいそうだ、どうだろう手を貸してくれるかね?」


「はい、それは構いません、奥様が何をお求めかは存じ上げませんが、今私が携わっている物を全部持って行きます、来週ですね、予定を空けておきますね。」


「すまんな、しっかりと礼はさせてもらう、ん?あっ?あぁ、すまんヨーコ妻が話したいと言っている大丈夫か?」


 奥様!浮気対象じゃないですから!私エリックをなんとも思ってませんから!


「ヨーコさんでよろしくて?私エリックの妻のマリアンヌです、マリアと呼んでね、それから素敵な馬車をありがとう、あのおかげで王都に行くのが苦じゃなくなりました、感謝しています、あの馬車を頂いてから色々と市井にも手を伸ばしましてね、そうしたらヨーコさん発案の物が沢山ある事に気付いたの、その中でもあの下着と美肌化粧水はまさに革命でしたわ、私達女性の……etc」


 なっげーよ話がめちゃくちゃなげーのよ、多分この人友達とかと2時間でも3時間でも長電話するタイプだわ、要するに離れて暮らす娘の成人式にその辺をプレゼントしたいと、あわよくば自分もそれを手にしたいと、エリックには世話になってるから大丈夫だよ?そんなに必死にならなくても、なんなら成人式のドレスも作るよ?周りが羨むような素晴らしい物を、奥様にも作れってんなら作りますよ?だから早く話を終わらせてくれ。


「……~なのよ、お願い出来るかしら、勿論エリックに出来ることならなんでもさせるわ!私が保証します!」


「はい、お嬢様と奥様がご満足いくよう最大限に努力させていただきます、お嬢様の帰省の日を教えてくだされば、合わせてティンダーに戻りますので、下着に関してはお身体に触れる事になりますがご了承くださいませ。」


 タブレットの先でエリックがひたすら咳払いしていたけど、お構い無しのマシンガントーク、でも娘もう一人居たような気がする、いや、今はそんな事考えちゃダメだ、まだ10歳行かないくらいだったし……待てよこの世界にデビュタントとかあんのか?あったら絶対やれって言われそう、その時に慌てないように今から聞いとくか。


「あの、少し気になったのですが王国にはデビュタント等の催しはあるのでしょうか?」


「まぁっ!まぁまぁ~!よくご存知ですわね!成人式と一緒に行う貴族も多数ありますが、我が家は成人式を終えてから2週間後に行うのが通例ですわ、まさかデビュタントまでプロデュースして下さるのかしら、まぁ~素敵!一歩先を行くヨーコさんのプロデュースしたデビュタント、見てみたいですわね~アナタ、女性にとって社交の場に出る前の重要な儀式、男性達はどうしても軽視する所がございますので困っていたところですわ~私の時のデビュタントは……etc」


 やぶ蛇だったよ、久しぶりに内容の無い長話を聞かされてるよ、1度火のついたおばちゃんのマシンガントークを止めるには、犬の交尾を止めるのと同じように水でもブッカケないと止まらないのよね、エリックから奥様に変わって既に45分が経過しました、喉が枯れないのか?そんなに話して、おーいエリック、そろそろ何とかしてくれよ~


「……~なの、せっかくですからエリックとの馴れ初めも教えちゃおうかしら、あれは私がまだ王都の学園に通っていた頃の話なんですけどね、私には当時家の決めた婚約者がおりましたの、家柄だけで中身の無いイケ好かない男で毎日涙を流しておりましたの、そんな時声を掛けて来たのがエリックでしたのよ」


 それはちょっと面白そうな話だ、ちゃんと聞いとこうと思ったら


「マリア、そろそろ辞めないかね、続きは今度来た時にでも、それに声がかすれているではないか、喉を潤して来なさい、ヨーコよ、妻も久しぶりに気兼ねなく話せたようだ、長時間悪かったな、それではまた連絡する、タブレットのスイッチは入れておいてくれ。」


 ちょっと!エリック!今からじゃんよ、やっとつまらない話からすべらなそうな話になったのに、そこでカットインは無いよ!カットインするならもっと早くしてくれよ~!!


「あ、はいわかりました、それでは失礼します。」


 私不完全燃焼なんですが!くっそ~


 デビュタントか、初めての経験だな~どんなパーティーなんだろう、ドレスだけじゃなくて料理やデザート、お酒に至るまでプロデュースしてあげたいけど、その前に下着と化粧水が先ね、この際だからバッチリメイクとか決めて、周りとの違いを見せつけちゃおうかな、本人やメイドさんにメイク教えて、向こうでも出掛ける時にして行けばメイクの宣伝にもなるし、よしっ!エリックの娘には悪いけど利用させてもらうわね。


 後は奥様よね、前世だったら同級生からちょっと下くらいよね、下着も補正下着にしてあげようかしら、経産婦だから少し大きくなって下がり気味のおしりをキュッと持ち上げて、よく見てなかったけどお胸もそれ程大きく無かったのは印象で覚えてる、マシンガントークさえ無ければ好感が持てるわね、巨乳が嫌いじゃ無いのよ?私に無いものだから嫉妬してるだけ、ジューンのお胸とかは好きだもの、ライカのは……妬みの対象でしか無いわ、なんなのあの子、自分が大きいんだから私のも大きくしてもバチは当たらないと思うのよ、せめてもうワンサイズ、今はB+からC-の辺り、不満は無いけど……不満です。


 そうね、下着もそうだけどピラティスみたいな産後に体型を戻す運動何かも教えようかな、あれって実際やると結構大変で、DVD再生して鏡見ながら自宅でやったけど、陸に打ち上げられたトドみたいだったわ、あの姿を見た時に何一つポジティブな言葉が出てこなかったのよ、でも今なら出来る!なんならシェリーザブートキャンプだって!今なら最後にビクトリーって叫べるよっ!


 そういや色々やったなぁ、たっかいエステも行ったし、小顔マッサージにも行った、深夜の通販で謎マシンを買ったり、中周波でお腹プルプルするやつも買った、サプリも色んなもん飲んだ、でも1番効果があったのは炭水化物ダイエットね、一気に痩せたよ、でも顔は小さくならなかったんだ、多分頭蓋骨がデカいんだよね私。


 一気に痩せて親方が病気なんじゃないか?って心配してさ、やたらとライス大盛りのスタミナ弁当を買って来んの、この人私を殺しに来てると思ったよね、でもそのうち申し訳なくなっちゃって、結果花道びっくりのリバウンド、後悔はしていない、だって親方の優しさはプライスレスなのよ。


 またまた思考が横道にそれた、とりあえずやる事を整理しなくちゃ、真っ先にやる事はジュライの体を仕上げる事、明日には仕上がるはずだけど、肝機能と肺活量を他の子達より強くしてるから1日伸ばして様子を見たい。


 その1日を使ってアレの試作品を作る、ドワーフ達にしたら画期的な発明になるはず、アレが出来たらコールタールなんかも出てくるはず、でもコールタールって私の知ってる使い道は、地面とアスファルトの接着剤代わりくらい、その知識もアスファルトの駐車場作る時見てたくらいだし、あまり触れたくは無いかな。


 どちらかと言えばアスファルトの方が欲しい、馬車が良くなっても道があれじゃ意味ないし、物流インフラ考えたらアスファルトは必要、コールタールになんか混ぜたら前世のアスファルトみたいになんないかな、異世界仕様でさ、そもそもの粘度が違うから無理か、昔は地面にコールタールだけの道路もあったって聞いた事あるけど、前世でコールタールの有害さを知る私からしたら怖くて使えないわ。


 やっぱり1番安全なのはコンクリート道路になるのかな、間違いも少ないし、エリックに許しをもらってからになるけどリトルティンダーからティンダーまでコンクリート舗装してみようかな、でも剥がす事考えるとさ、まぁその辺は追々やるでいっか。


 今の時間は午後2時か、中途半端だな、誰か居たら一緒にパパっと肉屋さんにでも行ってこようかな~


 そんな事を考えながら食堂に降りるとメイちゃんがオヤツを食べてた。


「ヨーコ様、軽食でもとりますか?」


「大丈夫よネロ、メイちゃん、それ食べたら私と肉屋さん行かない?」


「いふっー!!」


 メイちゃん口の中いっぱいにして喋っちゃダメよ?女の子なんだから、1時間くらいで帰って来れるかな~


 食べ終わるのを待って装備をチェックしながら装着、ついでだし酒の種とバッカスフルーツも回収してこようかな、まだ沢山あるけど、次いつ行けるかわかんないし。


 メイちゃんと並んで歩いていると、前から冒険者パーティーがやってきた、彼等はメイちゃんに片手を挙げて挨拶をする、メイちゃんもそれに応えて手をフリフリ、こういう時に私も手を振った方がいいのか悩む、とりあえず面識ないし頭を軽く下げてスルーした。


「彼等はメイちゃんが案内した冒険者?」


「知らない人だよ~」


 その答えに吹き出しそうになった、マジで今牛乳とか飲んでなくて良かった~


「メイちゃん、知らない人に着いてっちゃダメよ?何されるかわかんないんだから」


「お姉ちゃんの知ってる人にしかついて行かないよ~嫌な事されたらゴツンするから平気だよ~」


 死人が出るわ、ちゃんと半殺しねって教えとかないと。


 ダンジョン地下街は結構人が居た、その中に知ってる顔が、ダンゴさんのお店のヨリンさんとリク君も居る、まだオープンは先なのにみんな熱心ね。


 仕事の邪魔をしても仕方ないからとりあえずスルーして、でもそれじゃ冷たいか、挨拶だけしとこう。


「ヨリンさん、リク君こんにちは、お仕事頑張ってくださいね、また近いうちに顔出しますので、今日は失礼します」


 最低限の義理は果たしたはず、さてダンジョンへレッツラゴー。


 私とメイちゃんは25階層へ飛び、まずは肉屋さんで蹂躙祭りシャトーブリアン目指して行くぜ!と意気込んで来たけど結果メイちゃん無双で終了、私はドロップ品の肉の回収係、ちょっと戦いたかった、ウチのみんな過保護だからカタストロフダンジョンでもみそっかすだったし、でも仕方ないか、戦闘に関してはみんなの方が慣れてるし。


 渋々肉を回収していると……あったの!ついに見つけたの!シャトーブリアン様!しかも2つも!テンションマックスになった私、全部の肉を回収して26階層へ向かう、バッカスシリーズを回収、他に何か新しい発見がないか探したがそれ以上の成果は得られなかった。


 シャトーブリアン様をどうやって食ってやろうか、ステーキがやはり至高?いやローストビーフか肉寿司も究極よね?ワサビ醤油で……ワサビがねぇって言ってんだろが!くっそぉ~


 とりあえず帰ろう、ワサビ無いんだから仕方ない、あ、炭酸石アナに持って行かないと、山積みになってる炭酸石を回収中にメイちゃんが


「お姉ちゃん、その石の山の向こう空洞になってるよ?お部屋?みたいになってる。」


「え?本当にメイちゃん!」


「うん、石で隠してるみたい、どかす?」


「うん!お願い!」


 隠し部屋とか浪漫じゃない?新しいお酒がゲット出来るかもしれない!メイちゃんが魔法で炭酸石の山を避けると扉が現れた、罠は無いとメイちゃんが確認してくれた、恐る恐る扉を開けるとそこには綺麗な水が流れる部屋、奥に続く通路の脇には幾つもの培養機、中には何も無いがまだ綺麗で使えそうだ。


「メイちゃん魔物が出るかもしれないから気を付けて!」


「大丈夫だよお姉ちゃん、ここは良い所だよ、精霊界みたいな、お姉ちゃんの工房の中みたいな感じだよ」


 メイちゃんにそう言われたらそんな気がしてきた、素材こそ無いけど雰囲気は確かに工房に似ている、通路を奥に進むと右手に扉が現れた、私は疑いもせずに扉を開ける。


「人の部屋?」


 扉の中にはベッドに机、ギッシリと本が並べられた本棚があり、机の上には眼鏡と羊皮紙が一枚あった。



誤字訂正ありがとうございます!感謝感謝です。

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