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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
37/49

エマールにお使い。

 早朝、辺りはまだ暗く朝日も昇る準備中、エマールへアクア様像の配達を依頼され、リトルティンダーの外に出る。


「チャミーお願い出来る?」


「わかったなりよ~」


 ぶわっと風が吹き抜けチャミーが巨大化する。


「おぉ!まさに伝説通りの神鳥ガルーダ様!この目で見れる日が来るなんてなぁ」


 先日の話を聞いてガトーが見送りに来てくれた。


「チャミーって言うの、可愛くて綺麗でしょ?」


「あぁ、言い伝え通りの神々しさだぜ、チャミー様ガトーと申します、ヨーコとは縁あって友人になりました、どうかその記憶の片隅にでも私を置いてくださいませ。」


「わかったなりよ、ガトーよ其方に幸ある事を願うなりよ!」


「ははぁー!ありがたき幸せ!」


 こういうの見るとチャミーって偉い立場の存在なんだな~って思う、こんなに綺麗なんだもん、敬うのは理解出来るわ。


 チャミーはクチバシで自分の羽根を1本抜きガトーに渡す。


「部屋に飾ると良いなり、家族親族が少しだけ幸せになれるなりよ、ヨーコの恩人にチャミーからのささやかな贈り物なり、大切にして欲しいなり。」


「ははぁー!末代まで家宝として大切に扱わせて頂きます。」


 綺麗な羽根、私も欲しい!帽子とかのワンポイントに使いたい、後でおねだりしちゃお。


「じゃぁ行ってくるね!」


「あ、ちょっと待ってくれ、これを見せればオレの家族が色々手伝ってくれるはずだ、それとこれを渡せたら弟に渡して欲しい、お願いできるか?」


「大丈夫よ、向こうに着いたら真っ先に渡すわ。」


 ガトーから手紙と弟さんへ渡す荷物を受け取りチャミーの背中に乗り込む。


 チャミーが羽根をひと煽りするとフワッと浮き上がり、あっという間にガトーが小さく見える高さまで上がった。


「ヨーコ風魔法掛けるよ」


「うんお願い。」


 マーチの風魔法のおかげで高速で飛行してるとは思えない程静か、遠くの方に海が見える、昇る朝日が海を照らして幻想的だ、お正月の初日の出を思い出して、思わず拝んだら横でメイちゃんが真似して拝んでた。


「ねぇマーチ、この際だから聞くけど、帝国にも行ってみる?」


「え?どうしたのさ急に」


「だって第一王子って次の皇帝だってんでしょ?自分の国がどうなったのか気にならないの?」


 マーチは少しだけ考えて


「今はもう気にならないかな、それに受肉する前には結構覗きに行ってたし、ボクの居た時代からもう2000年以上は軽く経ってるんだよ?今更気にする事は無いよ。」


「そう?まぁいずれは帝国にも行ってみたいけど、どんな国なの?」


「最低の国さ、貧富の差は激しく治安も悪い、他国との交流が無いのもそれを分からせないため、表向きは煌びやかに見えても、蓋を開けたら泥沼だよ、自分が生まれた時はそうでも無かったんだけどね、いつから狂ったんだか…」


 貧富の差はどこにもあるんだけどな、閉鎖的でも国としての生活が成り立つのはダンジョンのおかげなんだろう、前に王様がチラッと口にした「帝国にデカい顔」って言ってたのは帝国が魔石の輸出で他国に対してアドバンテージがあったからの発言だと思う。


 前方に山脈が見えてきた、あれがガトーの言っていた山越えポイントかな、結構高い山がポツポツ見える、あれを越えるのはかなりキツそう、距離はそうでも無いのに往路で2ヶ月の意味がわかった、しかも上の方には雪も積もって、迂回路を探したら横一列に山が並んでる、山越えで死人が出てもおかしくないな。


 世界地図で見た時、山の麓にはドワーフの国が描いてあったが見当たらない。


「ねぇマーチ、この辺にドワーフの国があるはずなんだけど、滅んだ?」


「勝手に滅ぼしたらドワーフが可哀想、ドワーフの国は地下にあるんだよ、ここからだと……!ほら右手の方を見てごらんよ、小さな砦があるでしょ?あそこからもドワーフの国に入れるはず、入り口は何ヶ所もあってね、あの山脈の3割はドワーフ達の国の一部だよ、あの中に首都があるんだ。」


 物語やアニメでもドワーフは地下に国を持つ描写がされていた、あれガチなんだね、なんかモグラみたいだな。


 いよいよ眼下には山が見えてきた、山のあちこちにジグザグの山道が見える、あれを進むのか?チャミーが居てくれて良かった、自然と背中の柔らかな羽毛を撫でてしまう。


 山の中腹から頂上付近には洞窟がいくつも見える、穴付近だけ雪も見えない事を考えるとドワーフの吸排気口か何かなのかも知れない。


 真っ白な山頂を越えると見えてきたエマール国、広大な畑が広がり、転々と小さな集落が見え、その先には城壁に囲まれた都市、あれが首都なのだと一目見て理解出来る大きさ、水の都の名に相応しく、水路が規則正しく碁盤の目の様に見える。


「チャミー、少し離れた所に降りてちょうだい、あまり人目につかないような所ね。」


「わかったなりよ~あそこの森の川原で良いなりか?」


「マーチどう?気配ある?」


「もっと近くで大丈夫だよ、風の魔法でチャミーを隠してるから平気。」


 ダンジョンで宝箱を隠していたあの魔法ね?なら近くに降りちゃえ。


「誰もいないなりね、じゃぁこの辺にするなり。」


 城壁から約30分くらいの場所に降りてもらい、城壁まで歩く、周辺に人の気配が無いことを確認してからマーチの隠蔽風魔法を解く。


「ほんのりとダストスライム臭がするわ……最近匂わなくなったから気にしてなかったけど、マーチみんなに風魔法で匂いカットしてくれる?」


 思い出したくない匂い、最近無臭だったので過剰に反応してしまった、早くティンダーからこっちまで広がって欲しいが、その前に王都になるんだろうな。


 チャミーはいつもの小さなスズメに変身して私の肩にとまる、城壁までは1キロ程の距離、ちょっとした散歩だ。


 城門まで向かう畑道、少し黄色かかった作物が鮮やかだ。


「これって麦かな?」


「バール麦よ、寒さに強くて粒が大きいの、北方の国では主食として重宝されている作物ね。」


「へぇ~ライ麦みたいな感じかな、街に入ったら食べてみない?」


「良いね、勉強にはなると思うよ。」


 マーチはこの時そんな事を言っていた、私は特に気にしなかったが後になって「勉強」と言った意味が分かる事になる。


「城門が見えてきたよ、なんか神官みたいな人達が見えるから、アクア様の神託を聞いて来たのかもね。」


 確かに城門にはそれらしき人々?いや顔がケモってる、あれが獣人?獣人ってみんな顔がケモなのか?


 城門に着くと早速門番の猿顔獣人に身分証の提示をする様言われた、素直に冒険者カードを見せる、門番が待機していた神官に報告している、アクア様なんて言ったんだろ、慌てて神官達が駆け寄る。


「失礼を致しました、貴女様がヨーコ様でよろしかったでしょうか?私エマール国、水の神殿神殿長のカープと申します、先日女神アクア様より神託を受け取りお迎えに伺った次第です、それで神託では新しい女神像を奉納されると伺っていたのですが……。」


「カープ様、初めましてヨーコと申します、女神像はこちらのマジックバックに入っております、ご心配なく、あ、失礼しました連れの紹介がまだでしたね、こちらの男性がマーチ、彼女はジューンと申します、そしてこの子はチャミー、ジューンは皆様と同じくアクア様を信仰する者です、よろしくお願い致します。」


 その後神官たちがそれぞれ自己紹介をしてきた、自己紹介も終わり私達は城門を抜けエマール国首都の中へ、中には馬車が待機しており、神殿まで馬車で移動となった。


「ヨーコ様は王国の冒険者と伺ったのですが、女神像を彫られたご本人ともアクア様が仰っておりました、そして此度奉納されるアクア様の女神像は新たなお姿をしているとも、今後その姿を真の姿とする様に熱心に言われました、いやはや神託を受けたのが初めてでしたのでなんとも言えませんが、アクア様のイメージが少し変わりました、悪い意味では無いのです、なんと言うか親しみやすいと申しますか、身近に感じたと言うか。」


「そうですね、私も女神アクア様を信仰する者として、同じ印象をうけますわ、価値観の似ている神官様で良かったと思っております。」


「因みにヨーコ様はアクア様にお会いしたのでしょうか?」


 これは正直に言うべきなのかな、なんか言ったらおかしな事になりそうだから


「はい、夢の中ですが。」


「おぉぉ!なんと素晴らしい、私は残念ながらお姿を拝見する事は出来ませんでしたが、お声から想像するに、お美しいのでしょうな~」


「はい、とても、この度の女神像は忠実に再現出来たかと自負しております。」


 その後も女神像の素材は何か?とか聞かれたから、女神様がご用意したユグドラシルを使っていると言ったら失神しそうになるし、神官長と言う割にお喋りの好きな人だった。


「あちらがアクア様の神殿にございます」


 馬車の窓から覗いて見ると、今までがヨーロッパ風だったのに対して、こちらの神殿は例えるならインドや中東にあるモスクのような造り、モスクと言えばトルコにあるブルーモスクが美しい、正式名称は長くて忘れたけど鮮やかな色合いで、死ぬ前に1度は行ってみたいと思っていた、それは叶わなかったから異世界で美しいモスク風の建物を見れたのは正直嬉しい。


 馬車を降りて神殿に入る、とにかく天井が高い!どうやってんだ?傍目からではこの高さを支えれる強度は無さそうに見える、ん?あれって…魔法陣か?私の知ってるのとは違うな、神眼先生?あれなんすか?


「物質保存の魔法陣」

 年に1度魔力を通すことにより、経年劣化を防ぎ、更に形状維持をする、使用する魔力は膨大で人族の魔力で1000人~2000人分、魔力を通さないとその形は崩れ去り砂と化す。


 これアレだ、粘土とかモルタルで形作って強引に固定させてんだ、大丈夫?下手すると崩れるんでしょ?


「あちらの女神像を新たに入れ替えろとの神託でした、今すぐに人を呼んで撤去致します」


「あ、大丈夫ですよ、1度アイテムバックに今の像を入れて新しい像と入れ替えますので」


 そう言ってパパっと女神像を入れ替えた、後ろにある魔法陣に魔力を通してギミックと他の魔法陣を発動させた。


 女神像の水瓶から水が流れ出し、台座の取水口に流れて行く、ギミックはちゃんと作動している、循環する水も大丈夫そうだ、大成功だね!


 ふと後ろを振り返るとジューンが祈りを捧げている、その横では棒立ちの神官長、祈るジューンの姿が目に入ったのか、慌てて祈り出す、他の神官達も続いて祈りを捧げていた。


「ヨーコ、実物を初めて見たけれど、感動したわ、まさにお母……アクア様のお姿、素晴らしいわ。」


 ジューンが感極まった様子、ちょっとお母様って言いそうになったところなんか可愛らしかった。


 さてギミックの話をしたいんだけど、神官長達はまだ祈っている、私は水瓶から流れる水を木のコップに掬いジューンにあげる、ジューンはそれを1口ゴクッと飲み


「清らかな水ね、とても良い水よ。」


「私も飲んでみよっと……美味しい、少しだけ体力回復効果があるけど身体が軽くなる程度に抑えられてるね、良かったわ。」


 新たにコップを出して神官長にもすすめた、神官長は恐る恐る口をつけ水を飲む、少し間を置いてその効果が実感出来たのか、他の神官にも飲むようにすすめた。


「このお水は祈りに対して効果を発揮いたします、中には水の魔石が入っており、その魔石にはアクア様の神力が宿っております、この水が枯れる事は無いでしょう、女神像には盗難防止の魔法陣が組み込まれております、万が一移動させる場合は、やましい心のない方が作業をしないと酷い事になりますのでご注意を、盗難や故意に傷をつけたり破壊しようとすると天罰が下り動けなくなります、像の近くで動けなくなっている人がいた場合、その様な考えがあったと判断してください。」


 注意書きをまとめた羊皮紙を神官長に渡し、撤去した女神像をどこに置くか聞いて所定の場所に移動、これにて女神様からのお使い終了だ、神官長がこの後食事でもどうか?と誘われたが、ジューンが柔らかく断ってくれた、次はガトーの親族に手紙と荷物を渡さなければいけないからね。


 神官長達に見送られ、街の衛兵にガトーの身内の事を聞いてみた、すると奥からガトーに似た犬顔の獣人が出てきた。


「ガトーの弟でリドーです、兄の友人と伺ったのですが」


「はい、ガトーは私の命の恩人です、たまたまエマールに行く事を話したらこれを弟さんに渡して欲しいと、手紙もあったのですが私達が先に用事を済ませてしまったので、多分手を貸して欲しいとかの内容だと思いますが、一応渡しておきますね。」


 ガトーからの手紙を読むリドー、何度かうんうんと頷いて、私達を見た。


「兄ガトーがお世話になっているそうで、色々書いてありました、ティンダーには今日出発されるのですか?もし1日でも滞在されるなら宿屋を手配して、街を案内をしますが」


「でもお仕事が……」


「兵長から丁重に対応する様にと言われましたので」


 あぁ!最初の段階で神官長達がVIP扱いしてくれたからか、猿顔から兵長に報告が行ったんだな、なるほどね。


「出発は今日中と考えております、ただ朝から何も口にしていないので、皆さんが行くようなおすすめの店があれば教えて頂きたいのですが」


「お食事ですか?お安い御用です、今支度して参りますので少しお待ちください。」


 ガトーの身内にしては喋り方が丁寧だな、ってかガトーは冒険者だからね、リドーは衛兵隊だから横柄な態度や口調はしないんだろう。


「お待たせしました、それでは参りましょう。」


 姿はガトーにそっくりなのに口調が違いすぎて調子が狂うな、さて初エマール飯、どんな感じかな~


 案内された場所は水路脇にあるレストラン、レストランと言っても庶民的な感じでファミリー層も客として居た。


「手紙にヨーコさんはどんな高級な料理よりも美味しい料理を作るから、逆に家族で普段行くような所を案内しろと書いてあったので、この店は家族の誰かが誕生日の日に必ず来る店です、所謂特別な日に使う店、兄も最初にヨーコさんを案内したのは、特別な日に使う店だったと書いてあったので。」


「ありがとうございます!そんな特別な店に連れて来て貰えて嬉しいです、エマールの料理は初めてなのでリドーさんにメニューはお願いして良いですか?因みに好き嫌いはありません!なんでも食べます!」


「わかりました、ではご満足いただけるように選ばせて頂きます。」


 その後運ばれてきた料理の数々、その中にバール麦のパンが籠で運ばれてきた。


「ピタだ、ピタパンだ、私好きだよ!これ」


 そう思って口に入れたがカチカチのパサパサで、味もそばの実のような風味がする、蕎麦のガレットが近いかも、確かにこれ単体では美味しくない、でも


「中に料理を入れて食べるのよね多分。」


 空洞部分に豆とひき肉を煮た料理を入れて食べてみると、中々美味しい、料理の汁気をバール麦のパンが吸って柔らかくなり食べやすくなった。


「流石ですね、初見の方は皆さん顔を顰めてスープ等に浸して食べるんですが、本来の食べ方はヨーコさんがやっいるように間に料理を入れて食べるんです、もしかして兄から聞いてましたか?」


「いえ、私の知ってる料理もそうやって肉や野菜を挟んでからソースをかけて食べるので、何となくやってみました、風味が独特で、料理とも合いますね!私は好きです!」


 マーチはキョトンとしていたが、生前にさっきリドーが言っていた初見の食べ方をしていたのだろう、私達の真似をして食べるとまた驚いた表情、主食にするくらいだ、エマール料理もそれに合わせた物が多いのだろう。


 日本人でも主食の米に合わせた料理が多い、米単体も美味しくはあるけど、料理と一緒に食べれば美味しさが倍増する、それと同じ考えだと私はすぐに勘づいた。


「マーチ勉強になったわ、うふふっ」


「ヨーコにやられたよ、ボクはさっき彼が言ってたような食べ方しかしてない、食に関してはヨーコが数倍詳しいよ、さっきの発言が恥ずかしい。」


 よっしゃ勝った!マーチをわからせてやったぜ!


「でも本当に美味しいわね、バール麦の風味が気にならないのは料理の味付けと香辛料ね、ちょっと沢山食べちゃいそうで怖いわ。」


「本当にそうね、多分お店のチョイスが良かったのよ、ありがとうございますリドーさん。」


「喜んで貰えたら幸いです、兄の書いてあった印象そのままで安心しました。」


 ほう?なんて書いてあったか気になる所ではあるが、まぁその辺はいっか、ガトーの事だから変な事は書いてないだろう。


 その後食事をしながらガトーの話になった、リドーさんからは小さい頃のガトーの話を沢山聞いた、私達からはガトーとの冒険の話や現在の状況、今度Aランク試験を受ける話など、知ってる事は全部話した。


「はぁ~お腹いっぱい!幸せだぁ~リドーさん、美味しいお店教えてくれてありがとうございました、またエマールに来た時は必ず使わせていただきます。」


 そして飲食代を支払おうとしたら


「兄からもらっているのでコチラの支払いは大丈夫です、他に興味があるところがあれば案内しますよ?」


「ガトーったら、それじゃお言葉に甘えてごちそうになります、そうですね、色々興味はあるんですが、帰りの事もありますので今日は大丈夫です、今度ゆっくり来れたら頼ってもよろしいですか?」


「はい、いつでも声をかけてください」


 あ!そうだ、1個気になる事があった。


「一つお伺いしたいのですが、お爺様はご健在でしょうか?」


「祖父ですか?はい、母方も父方もまだまだ元気にしております、どなたかお知り合いでも?」


「いえ、チラッと会話の中でお爺様も冒険者だったと聞いていたので」


「でしたら父方の祖父ですね、純血種ですので長生きなんですよ、まだピンピンしてますよ!」


 オクト良かったね、友達まだ元気だよ。


「そうなんですね!安心しました!お身体を大事にとお伝えください。」


「はい、必ず伝えます。」


 リドーさんが門まで送ると言ってくれて、門の近くでリドーさんと別れ、最初に対応してくれた猿顔衛兵さんにもお礼をして外に出た。


「チャミー美味しかった?」


「ヨーコの料理とネロの料理の方が美味しいなり、でも初めての味は楽しかったなりよ。」


「チャミー、それは舌が肥えたってやつだね、ヨーコの料理は別物だからさ、でもまだまだ色んな料理があるからチャミーの口に合うのもそのうち出てくるよ。」


「そうなりか?!ならチャミーが色んな所に連れて行くなりよ、そうしたら沢山の料理が食べれるなり、次はどこに行くなりかねぇ~」


 確かにチャミーが居てくれれば何処へでも一飛びだ、世界の料理を食べ歩く旅行も夢じゃないね。


 エマールから十分に離れたのでチャミーに乗ってリトルティンダーに戻る、雪の山脈を越える頃には辺りは暗くなっていて、所々に小さな集落の明かりが見える、そんな暗闇の中で一際明るく見える場所、あそこが多分王国の王都なんだろう、王都を過ぎるとティンダーの明かりも見えてきた、ティンダーの少し先に小さな光が見える、あれがリトルティンダーだな、まだ光の数は少ないけど、何も無い所から始まった事を考えたら、十分栄えたと思える。


 リトルティンダー付近に到着、冒険者の目もあるから入念に周辺を確認して着陸した。


「楽しい空中散歩だったわ、ありがとうチャミー」


「どいたまなりよ~また何処かに行こうなり!」


 スズメになったチャミーを肩に乗せリトルティンダーに入る、クランハウスの明かりが増えてる、何組かのパーティーが入居したようだ、少なくとも場末の宿屋よりは快適だと思いたい、部屋が少し狭いかもだけど、そこは妥協して欲しい。


 マイクランハウスに近付くと、教会から微かにピアノの音が聞こえる、チャミーは真っ先に教会に飛んで行った、ちゃんと帰って来るんだよ、一応チャミー用の出入り口も作っておくか、場所は私の部屋で良いかな~。


「ただいま~」


「おかえりなさいませなのです」


「ただいまレーラ、ネロ達は?」


「ティンダーのお屋敷に行ってるなのです」


 なんか忘れ物でもしたのかな?


「ご主人様、お食事はどうするのです?ご用意するのです?」


「大丈夫夜、食べてきたから、みんなは部屋?」


「ハイなのです、あ、でも今皆さん降りてくるのです。」


 ブラウニー特性なのか、私は気づかなかったが、すぐにみんな降りてきた。


「お姉ちゃんおかえり~」


「はいメイちゃんただいま、今日はお疲れ様だったね、ちゃんと出来た?」


「うん、大丈夫だったよ!」


 メイちゃん達は新しく来た冒険者達に、ダンジョンガイドをギルドから依頼されていた、メイちゃんの話だと5階層のゲートキーパーまで案内して、転移陣リングの使い方を説明したそうだ、冒険者達のダンジョン評価は高評価で、3日後に解禁されるダンジョン攻略に意欲を燃やしていると言っていた。


 明日以降も続々と攻略パーティーがリトルティンダー入りするようだ、今日も新たに2組のパーティーがクランハウスに入居したが、寝具等が無いため宿屋に宿泊しているそうで、宿代はギルド持ちで2日間までは認められている、家具や寝具に関してはギルドが仲介に入り多少安くなるので注文が殺到している。


「オクト、ガトーのお爺様まだ元気でピンピンしてるって、今度エマール行ったらあってみる?お爺様は純血種らしいから長生きなんだって、どれくらい長生きかわからないけど」


「本当か?そっかアイツまだ生きてんのか、前にガトーに聞いた時には生きてるかわからんって言ってたからよ、ガトーは20年くらいエマールに帰ってないらしいぜ、都合が合えば連れてってやりてぇなぁ」


 え?ガトーっていくつよ?犬顔だから年齢が分かりにくいんだよなぁ、子供の年齢からすると30代前半くらいかな、って事は10代前半にあの山越えしたの?獣人すげぇな。


「それは名案ね、ガトーの家族も一緒に連れて行きましょ?」


「そうだな、それが良いな!」


 ネロ達が地下室から出てきた、何忘れたんだろ。


「ヨーコ様おかえりなさいませ、先程ティンダーのお屋敷の結界に異変があったので向かったところ、空き巣でしたので衛兵に摘み出してから戻りました、お出迎え出来ず申し訳ございませんでした。」


「大丈夫よ、ご苦労さま、屋敷に被害は無いのよね?」


「はい、防御壁を突破された訳では無かったので、裏側から敷地内に入って屋敷に侵入しようとしていたようです。」


 被害がなければ問題ない、全く何考えてんだか。


「顔見知りじゃ無いよね?」


「はい、衛兵隊のお話しだと他所の国の方と言っておりました。」


 全く、他国に来てまで盗みなんかすんなよ、とりあえず私も魔法陣組んでおくか、悪さするヤツらにはビリビリしてもらおう。


「そう言えばカタストロフダンジョンのドロップ品チェックしてなかったよね、近いうちにチェックしたいね、そうだな~ジュライの受肉が済んだらにしよう、ネロそれまで保管よろしくね。」


「はい、かしこまりました。」


 世界最古のダンジョンだし、それなりに敵も強かったし、楽しみだね。


 楽しみと言えば別の意味での楽しみがある、世界地図の別大陸もちょっと行ってみたい、新しい発見だらけだろうし興味がある。


 とりあえず今日はお風呂入ってゆっくりしよう。


「ジューン、一緒にお風呂入ろ~」


 初めての別の国、色んな発見があった、新しい物を見ることはものづくりの刺激になるからね、次はこの前スルーしたミルザにでも行ってみよう。



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