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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
35/49

ダンジョン最深部

 37階層を過ぎてマッピー君を放つ、止まった原因は魔力が無いところだと動かないだけで故障した訳ではなかった。


 マッピングしている間に装備品をチェック、魔力の全く無い場所は初めてだったので異変が無いか確認する。


「問題なさそうね、みんなは平気?」


「大丈夫だ、問題ねぇ、そろそろ出るか」


 マッピー君が39階層に入ったのを確認して進む、先程までとは変わり魔物が結構出てくるし強い、中でもオーガはティンダーのダンジョンよりもデカくて強い、唯一の救いは単体で出現するということくらい。


「オーガ強いね、ティンダーと全然違う」


「見た目はオーガだけどハイオーガって言って上位種だからね、神眼で確認してごらんよ、だいたい強さはオーガの4~5倍くらいかな。」


 どおりで強く感じる訳だ、オーガの複数を相手してんのと変わらないんだもんね。


 そして40階層のゲートキーパー、ブルードラゴン戦、弱点は氷属性魔法で凍るのでそれを砕くのが1番手っ取り早い、私はティンダーダンジョンで手に入れた氷結の牙を手に取り発動させる、1度の発動では凍らなかったので2度3度同じ事を繰り返し撃破、コレが無かったら結構苦戦したとマーチが言っていた。


 その後マッピー君が46階層に突入したのを確認、後を追うように下層階に進む。


「ここは俺の独壇場だな」


 オクトの言葉通り、41階層は火山地帯のフロアで、魔物も警戒しなくてはいけないが、火山から時折降ってくる火山岩や突然吹き出す溶岩にも注意しなくてはならない。


 ネロが全員に防御壁を展開する、間違っても潰さないでよね……上層階で見た貝のグロ映像が蘇る。


 火山地帯はその後4フロア続き、オクトがまさに水を得た魚の様に無双していた。


 45階層に到着、ゲートキーパーは火の鳥、フェニックス?と思ったが、どうやら違うらしく、フェニックスは神獣だが火の鳥はその下位互換、だからと言って弱くはない、ドラゴンやワイバーンを主食にする空の暴食と呼ばれている、弱点は水属性と氷属性だが上空を旋回している為リーチが届かない、地上に落とすのは私、メイちゃん、マーチの遠距離攻撃、翼を狙って何度も攻撃を放つが中々ダメージが入らない、翼に纏っている炎がダメージを軽減させているようだ。


 火の鳥の攻撃は炎を纏った翼の羽を上空から矢の様に飛ばし、更にはブレスまで吐いてくる、そのうえ上空から高速降下して来ての物理と本当に嫌な鳥だ、これじゃドラゴンも丸焼きにされて美味しく食べられるはずだ。


 最終的には降下して物理攻撃してきた所をカウンターで狙い、翼にダメージを入れて地上に落とした、悪あがきでブレスを吐き散らしていたが、氷結の牙で凍らせて終了、落としてしまえばどうということはない。


 今までのドロップ品は全てネロが回収してくれた、鑑定しないでジューンが合流してからのお楽しみにしている。


 マッピー君を確認すると50階層のマッピングが終わっていた、そこに描かれていたものは


「お城?」


「50階層のマッピングが終わったみたいだね、ヨーコそれが何かわかるかい?そこは大昔の魔王城さ。」


「魔王城……でもなんでそんな所にジューンが?」


 至極当たり前の質問だ、何故マーチはそんな所にジューンが居るって言い切った?何となく答えは分かっている、でもそれを否定したい私がいる、ヴィラー様は言っていた、魔王は概念だと、魔王自身は悪しき者でもないとも……。


「それはジューンが元魔王、ジューン・カタストロフだったからさ、トラップでここに飛ばされたのは偶然だと思うけど、ボクがここへ来て色々思い出した様に、彼女もここへ来て思い出したんだと思うよ。」


「だから何?ジューンが元魔王?ジューンは女の子よ、だから魔女王でしょ、それに今は私の仲間でまとめ役で私のお姉ちゃんなんだから、何を言われても連れて帰る、異議のある人は直ぐに言って」


「真っ先に気にする所がそこ?まぁヨーコらしいけど、勿論異議なんて無いさ、ボクもそこは賛成してる、今は仲間だからね……。」


 今の私にはジューンを連れ戻して、いつものように楽しく過ごす事しか頭にないんだからね。


「まぁ、ジューンどんな顔してるか見に行かねぇとな、ヨーコが恋しくて泣いてるかもな、それだったら笑ってやるぜカカカカッ!」


「よーし、今聞いたねみんな、後でジューンに告げ口してオクトがやられてる所をツマミに宴会よ!」


「いや、待て、洒落になんねーって、どうせ戦うなら飲み比べとかの方が……」


 多分オクトは気を使ってくれたんだろう、人類にとって魔王は敵対する存在、そう仮定して宗教なんかを広めてるんだろう、でも間違ってる、私は魔王を敵と思ってないんだから。


 その後、魔物と何度かエンカウントしながらも50階層へ到着した。


 目の前には前世のシャンボール城に似た美しいお城が建っていた、一目惚れとはこの事かも知れない、全身が震える、鳥肌が立ち、目が潤んできた。


「なんて芸術……古くなっても色褪せない、それすら気品がある様に感じる、ねぇマーチ、この城を建てたのは誰?もしかしてジューンとか?もしそうならジューンは絶対連れて帰るんだから!聞きたい事が沢山できた、やりたい事も今一気に増えた、ジューンは私にこれを見せたかったのかなぁ、あぁ~それなら大正解だわ、前世含めて今私の目の前にある建物はナンバーワンよ、目を離したくない、でも中はどうなっているのかしら、中も見たい!でもこの場から離れたくない、あぁ何てものを見せてくれたのかしらジューンってばっ!」


「興奮してる所悪いんだけど、ジューンに先に会わないとね、話はそれからだよ。」


 マーチに引きずられ城の入り口付近に到着、立派で重厚感のある佇まい、アーチの組み方や桟橋に至るまで、全てが私の心を撃ち抜いていく。


 中に入ると、外の重厚感とは打って変わり、とても繊細な装飾や美しい天井絵に目がいく、私は異世界建築舐めていた、こんな素晴らしい建物があるなんて……


「ヨーコ、玉座の間だ、多分ジューンがいる、気配もある、この扉の先だ。」


 惚けた意識を取り戻し、切り替える。


「行こう。」


 玉座の間に入ると、玉座に座るジューンの姿を直ぐに見つけた、私が名前を呼ぼうとしたら


「なんじゃ貴様ら、客か?招いたつもりは無いぞ?」


 ん?なんか様子がおかしい。


「貴女はジューン・カタストロフで間違いないか?」


 マーチ?


「ふむ、妾を知っての物言いか、愚か者め!まぁ良い、名乗りを許すぞ」


「ボクはマーチ……マーチ・ライカスト、メルギル帝国第一王子で勇者と呼ばれている、魔王ジューンよ、ボクがここに来た理由はわかっているよね?」


 え?え?えぇぇっ!ちょっとマーチあんた!


「わからんな?辺境の海でも見に来たか?」


 え?何?演劇?それよりもマーチさっきなんて言った!


「人類の敵である貴女を倒しに来た。」


「敵対なんぞした覚えは無いが?」


「そうかもね、ダンジョンの街で貴女の話を聞いた、海で遭難した者を保護し、あの街で過ごさせていることも、人類と魔族の共存を願っているとも街では言っていた、でもね……」


「ハイカット!ちょっと待って2人とも、全然意味が分からないんだけど、さっき説明でジューンが元魔女王ってのはわかった、でもマーチが王子様で勇者だったなんて聞いてないんだけど」


 たまらずカットイン、劇場だったらつまみ出される痛客だ。


「なんじゃ小娘、ふむ、どうやらこの身体……妾の欠片と何やら繋がっておるな、それで?割って入って来たのには訳があるのじゃろ?申してみぃ」


「ジューン!不謹慎だけど言うね!このお城すっっごい素敵!ちょっとゆっくりお酒飲みながらお話ししたいんだけど、もうさ演劇は終わらせて良いから、案内してくれたら最の高なんだけど!」


 素で言ってしまった、だが後悔はないっ!


「くふふふふっ、小娘、お主と関わった欠片が落ち込んでおる、勇者よ興が冷めた、お主はちと後にしてやろう、小娘……ん?ヨーコか、ふむ、ヨーコよ、我が城を褒めるとは中々見る目があるのだな、案内か今は使用人がおらぬからな、ふむ…どうしたものか」


「なら案内は良いわ、自分で見て回るから、それから、貴女はジューンであってジューンでは無いのよね?出来ればもう一度だけ私の知ってるジューンとお話しがしたいの、別に貴女を否定しているわけでも敵対している訳でもないの、私の知ってるジューンに会いたいの。」


 ジューン?は考える、しばらく考えてから


「わかったわかった、必死になるな、今変わってやるから落ち着け、小娘……ヨーコよ、今お主の知る妾に変わってやる、余程思い入れが強い様だ、暴れて仕方ない、ヨーコが落ち着かせてやるとよい。」


 そして


「ヨーコ……あぁヨーコ!オクト、メイ、ネロ、マイン、レーラ、そしてマーチ、心配かけてごめんなさい、マーチは気付いたかも知れないけど、私も記憶が戻ってしまって、その記憶と一緒に昔の私も出てきちゃったのよ、彼女と一緒にこのダンジョンを歩いていたら、あの街が廃墟になっていて、ここへ来たら城だけはしっかり残っていてね、記憶が戻るに連れて彼女が強く表に出てきちゃったの、色々説得したんだけど、ここしか彼女は知らないのよ、だから外の世界に出る事を拒んでいるの、そうなるともう私に出来る事は無くてね、ヨーコごめんなさい、私はこれ以上貴女と一緒に旅をしたり、冒険したり、食事をしたりするのは無理になっちゃった、許してくれる?」


「無理!だって私ジューンの妹なんだよ?妹がお姉ちゃんに我儘言うのは当たり前でしょ?だから許さないし無理。」


 ジューンがめっちゃ困り顔、そして


「勇者よ、妾が消えてから何年経っておる」


 ジューンの別人格の妾ちゃんが出てきた。


「ん~ボクがキミと相討ちしてからだと途方もない年月が経過しているよ、ちゃんと思い出せないけど、多分数千年は経過してる。」


「そうか……ヨーコよ、ジューン・カタストロフとして願う、欠片との契約を破棄してくれぬか?」

「無理!」


 そんなもん即答に決まってんじゃん!


「最後まで話を聞かぬか!たわけっ!契約を破棄した後、このジューン・カタストロフと契約をして欲しい、欠片と絆が深くならなかったのは妾が記憶として残っていたからじゃ、欠片はいつか目覚めるやもしれん妾をお主に近付けまいと感情をセーブしておったのじゃろう、じゃが勇者の話しを聞いたら妾の時代はとうに終わっていたのじゃ、妾が消えれば良い事、さすれば絆は深まり今まで以上にお主の助けになるであろう。」

「ん~それも無理!」


「は?何故じゃ!」


 そんな自己犠牲はいらないし、更に言えばこの城の説明すら無くなるかもしれない、そんなのヤダ!


「妾ちゃんが消えて解決するって思ったから、マーチもあんな下手くそな茶番を演じたんでしょ?違ったらごめん、ねぇ妾ちゃんは自分が消えてからの世界を見てみたくないの?人族と魔族の争いまでは分からないけど、少なくとも人族同士の争いは無くなってる、自分が生きた時代から人々の営みがどう変わったのか、食べ物が美味しくなったとか、このお城みたいに芸術品の様な建物を見たりとか、美味しいお酒を飲んだりとか、楽しい事っていっぱいあるんだよ、それを見る事もしないで消滅って寂しくない?私と契約するなら条件があります。」


 契約するなら条件提示は当たり前なはず。


「私と同じ世界で生きてください、このお城を建てさせた貴女の芸術センスを失うのは今の世の中には損失でしかない、だから存在しなさい。」


「ふははっ!魔王である妾に存在しろと?たわけた事を、妾が存在すれば欠片は表に出て来れぬぞ?そこはどうするつもりじゃ?」


 あぁそっかぁ、分裂しないかなドワーフみたいに、あ、ドワーフは分裂してないや。


「ちょっとマブダチに知恵を貰いますか、ライカ~いる~」


『ど~この誰かはし~らな~いけれど~だ~れも~が~割愛、ライカ登場!とうっ!』


 出だしでマーチが膝から崩れ落ちた、私も失神しそうになったわ、ってかどっから仕入れてくんだ?そのネタ。


 とりあえず月光ライカに私の希望を話してみる。


『それは難しいわね、1つの精霊から別の個体を生み出すのは無理ね、でも今ならなんとびっくり!それが可能になるかも知れません!』


「可能になるならやってよ。」


『ちょっとマブダチ、過程は要らないの?貴女にも関わることなんだから、あのね、ヨーコがピアノというのを作ったでしょ?そのおかげでこの世界に「音楽」という文化が生まれたの、新しいものが生まれると、この世界ではそれを司る神も生まれるの、そしてつい最近その神が生まれてね、音楽と芸術の女神、名はジェネシス、私達で話し合って決まった名前なの、でもジェネちゃんはまだ系統の精霊が居ない、ここまで言えばわかるかしら?』


「その精霊に妾ちゃんがなるのね?ピッタリじゃない!見てよこのお城、妾ちゃんが造らせたんだよ、芸術センス抜群だよ、あと音楽は聞いてもらって覚えるしかないけど、音楽と芸術は切っては切れないものだから絶対平気!」


『それじゃジェネちゃんと水の女神を呼んで来るわね、ジューンって子は水の女神の系統でしょ?勝手に弄る訳には行かないから、少し待ってて。』


 しばらくの間、私は妾ちゃんに質問の

 嵐、それはもうドワーフを彷彿させる勢いで、そして話を聞くとこの城を造ったのは魔族で、設計というか理想を伝えたのが妾ちゃん、魔族の寿命は長いけど多分建築した本人は亡くなってるって言っていた、子孫でもなんでもこの城を建築したセンスと技術が受け継がれているのを願う。


 質問が終わった頃ちょうどライカがやって来た、ちゃっかり着替えてる、姿もわざと見えるようにして、自分のドレスを見せびらかしていてなんか腹立つ。


『連れて来たよ、まず私の右にいるのがさっき話したジェネちゃん、ジェネちゃん見て、あそこにいる女性が私の使徒で生涯のマブダチで、貴女の生みの親ね、ほら、恥ずかしがらないでご挨拶して。』


『はっ、初めましてジェネシスです、ヨーコママのおかげで神として生まれることが出来ました、ありがとう。』


 見た目幼さの残る可愛らしい女神様、ちょっと巻き毛でクルクルホワンな感じ、でもちょっと待って?私の事ママって呼んだ?


「あの……ジェネシスちゃん、私ママじゃないのよ?」


『えぇ?ヨーコママのおかげで生まれる事が出来たって……ライカお姉ちゃん、私にママ居ないの?……』


「あ、いや、えっと、んと、え?どうしたらいいの?ライカっ!」


『ヨーコがピアノを生み出したんだからヨーコがママでしょ、そのピアノから流れる音楽って文化がジェネちゃんを生んだんだから、ジェネちゃん大丈夫よ?ママで間違ってないわ。』


 マジかよぉ、父さん、母さん、私異世界で未婚の母になりました。


「そうね、ごめんなさいジェネシスちゃん、確かに私が生みの親になるわね」


 私の言葉に飛び跳ねるジェネちゃん、はぁ~仕方ねぇよ、可愛らしい巻き毛童女が目に涙貯めてママじゃないって言われたみたいな事言ってたら、認めるしかない。


『で、こっちは水の女神アクア、そこにいるジューンって子の属性神ね、ここまで来る間にある程度話はしてあるから、あとアクアもヨーコにお願いがあるんだって。』


 はいはい、無理難題じゃなければストレートでイエスかハイですよ。


「はい、初めましてアクア様、長谷川洋子と申します、よろしくお願い致します、それで早速なんですがお願いとはなんでしょう。」


『初めましてヨーコ、私はアクア、そこにいるジューンの属性神です、今回ジューンの件は把握しております、新しい女神を生み出した功績を評して貴女の問題を解決させましょう、そしてお願いとは、今貴女達の居る街から北に向かうと獣人の国エマールがあります、そこは水の国と言っても過言では無いほど美しい水に溢れ、私を信仰の主神として祀っている国です、そちらにある私の神殿に貴女の作った像を納めて貰いたいのです。』


「はい、承りました、アクア様のお姿を拝見したいので、街に戻ったらお呼びしても構いませんか?」


『ありがとう、えぇ、すぐに向かいます、その時はお願いしますね。』


「像が出来上がったらエマールまで持って行けばよろしいですか?」


『神殿の者に神託を出します、わざわざ届けなくても大丈夫です、そちらに向かわせますので。』


 そっかぁ見てみたかったんだけどなぁ、水の国エマール、ガトーの故郷とも聞いてるし、まぁ行くのはタイミング見てかな。


『あと、時間が出来たらジェネちゃんのドレスもお願い出来る?彼女の生誕を祝う会が神界であるのよ、それに間に合う様にお願いマブダチ!』


「了解、可愛いのデザインするわ、あと最近ライカにもお世話になりっぱなしだからその日に着るドレスもデザインしとくよ。」


『あ、それなら私もお願い出来るかしら、代わりに貴女に私の加護を授けるわ。あと、アース達と美の女神をボコる反逆同盟にも加入するわ!』


 アクア様もかよ、まぁ1回で済ませたいから作るよ、作りますよっ!反逆同盟?んなもんがあるのか!やっちまってください。


 んで肝心の私のお願い事は既に完了していて、新しい精霊が生まれていた。


『すみません、私生まれたばかりで力が足りなくて、大精霊まで進化させれませんでした、ごめんなさいママ。』


 誰がママじゃ!って言いたいけど頑張ってくれたから良しとしよう。


『なら私が手を貸しましょう、元々は私の属性でしたから、特に問題は無いはずですから、上位精霊に進化させましょう、私の力が入りますが、そうですねぇ、水の膜で小さな音も拾える様にしましょう、それが私の力と言うことで、小さな力ですがお役に立ててください。』


「ありがとうございます女神様達、お約束は果たしますのでご安心ください、ジェネシスちゃん頑張ってね!今から沢山忙しくなるから」


『はいっ!ママも頑張ってねっ!』


 クッ!なかなかの攻撃力じゃないか、あぁもうママで良いや。


 女神達が消え、ジューンは元通りに、その脇には透明だけど薄い水色がかった精霊、新生妾ちゃん。


「ヨーコ、彼女に名前を付けないと、流石にカタストロフはあれだし、妾ちゃんじゃ気の毒だよ。」


「うそっ!また名付けしなきゃか、妾ちゃんでも可愛らしいけど、そうだな~ジューンの後だからジュライでどう?安直過ぎるかしら」


『構わぬ、中々良いではないか、ジュライ、妾の名はジュライじゃ!皆よろしく頼む。』


 案の定魔力をごっそり抜かれた、そうなると次は体ね、ホムンクルスを作るか、体のベースはジューンと同じ感じにして、顔はジューンよりほんのりキツめに目は大きく、髪はマッシュショートボブ、見た目は可愛らしいけど話すと辛口、色はオリーブアッシュ入れてみようかな、アレンジで内側にマイン達と同じ明るめのミルクティーとか入れてみよう、想像出来てきた!良し早速作るぞ。


「ヨーコ、地上に戻るよあんまりチャミーを待たせたら可哀想だから。」


「あ!忘れてた、お城を案内してもらいたかったのに、んじゃここにも仕込んどこうかな……。」


 みんなに内緒でコソコソと仕込んだ。


『お主それは転移陣じゃな?どこと繋いだ?』


「あちゃぁ見つかった、みんなには内緒ねサプライズだから、一応私達の拠点よ、帰ったら説明するわ、とりあえず地上に戻りましょう」


 地上に戻るとジューンとジュライが跪いている、なんで?って思ったけどチャミーを見たからだ、格上って言ってたもんね、でもそんなの関係ねぇ!みんな同一なのだよ。


 暇すぎて不貞腐れていたチャミーにみんなで乗り込む、1人と1匹仲間が増えて凱旋だ、とりあえずリトルティンダーで馬車と馬を回収して帰らなきゃ、あとガトーも心配してるだろうから、無事だって報告しなきゃな。


 リトルティンダーに着く頃には朝日が登り始めて来た、チャミーが見つかると面倒臭いので、少し離れたところで着陸、タナカサンとヨシダクンに挨拶代わりの一撫で、ガトーはまだ起きてない様なのでジュライに教会を見せる為に向かう。


 教会の2人は既に起きていて、朝のお祈り中、何故かチャミーも肩に乗りついてきた、お祈りが終わるのを待って声を掛けると


「ヨーコさん!お仲間さんが大変だったと伺いました、大丈夫でしたか?」


「平気だったよ、みんな元通り、心配かけてごめんね、ピアノの調子はどう?」


「はい、最近は指も少しずつ柔らかくなって来て、その代わりお姉ちゃんが畑仕事させてくれなくて困ります、ドワーフさんも演奏を聞きに来てくれる様になって、今楽しいです!」


 そんな話をしているとドワーフ達が集まって来た、どうやら朝のお祈りに来たみたい。


「今日もお祈りに来て下さったみたいですね、ありがとうございます、アース様も喜ばれますのでどうぞ中へ。」


 ドワーフ達はゾロゾロと中へ入って行く、ちゃんと一列に並んで礼儀正しい、お祈りが終わるとすぐに帰らずに席に座り何かを待っている。


「皆さんお祈りが終わると、ああやって席に座ってサライの演奏を待ってるんです、いつからかそれが習慣みたいになって来て、見た目と反して礼儀正しいし、演奏中も静かに目を瞑って聞いてるんですよ、皆さんとても紳士です。」


 酒臭くなければが付くけどね、確かに紳士だわ。


「あ、演奏が始まりますね。」


 サライちゃんの演奏が始まると、ドワーフ達は目を瞑って静かに演奏を聞いていた。私の肩に乗っていたチャミーも教会の開いた窓の上にとまり演奏を聞いている、この曲も聞いた事があるぞ?曲名は分からないけど明るい感じでやる気が出てくるなぁ、チャミーは羽根を広げて踊って身体を揺らしていて、音の上を泳いでる様に見える。


 その後2曲程弾いておしまい、教会内から拍手が湧き上がる、サライちゃんはペコッとお辞儀をして奥に下がった。


 ゾロゾロ出てくるドワーフに話しを聞くと、お祈りをしてピアノ演奏を聞くと身体に活力がみなぎるらしい、スポーツ選手も競技前に音楽を聞いてモチベーション上げたり、リラックスしたりするから似たような感じなのかな?


 あれ?ジュライ?何処にいる?


「チャミー、ジュライどこに居るか知らない?」


「あの綺麗な音の出る箱の前なり、ずっとそこに居たなりよ?」


「どうしたのジュライ、なんか身体がおかしいとか?」


 ジュライがふよふよと私の方にやってきて一言。


『ヨーコよ、あれは良い物じゃ、あの箱から出る音にはあの娘の気持ちが乗っておる、感謝、喜び、安らぎ、愛、様々な気持ちが聞く者に幸福を与えていた、妾もやる気に満ちて来たぞ、アレに携われると思うと楽しみで仕方ない。』


「そう、今は1台しか無いけれど、これからどんどん増えて行くはず、ジュライが練習出来るように特別に作ってあげようか?」


『頼めるのか?妾にもあの様な音が出せるのか?』


「努力次第ね、彼女達も沢山努力して今ね域に居るから、ジュライもきっと上手に弾けるようになるわ。」


 嬉しそうにふよふよと私の周りをクルクル回るジュライ、その喜びがこっちにも伝わってくる。


「チャミーそろそろ行こうか」


 チャミーも少し興奮していた、初めて聞いた演奏に大満足の様子、なんだか私も大満足だ。


 宿屋に向かって歩いているとメイちゃんが迎えに来てくれた、どうやらガトーが食堂で待って居るらしい。


「お待たせガトー、心配かけたわね、みんな無事に元通りよ。」


「おうっ!オクトから聞いたぜ、嬢ちゃんが元通りになって俺も一安心だ、んでちょっと話が変わるんだが、明日、明後日のうちに何組かの冒険者がリトルティンダー入りするらしい、出来ればで良いんだが、顔合わせはしといた方が良いだろう?メルティも明日にはこっちに来るから、嬢ちゃん達も早めに来てくれねぇか?」


「そうね、パーティーの関係はオクトに任せてるから、彼達だけでも先にクランハウス入りする様に伝えとくね、私はちょっとやる事がまだあるから少し後になるけど、オクト達をよろしくね。」


 ガトーへの報告も終わり、私達はティンダーの屋敷に一度帰ることにした。


 やはり我が家は落ち着く、ネロ達も勝手知ったる我が家はリラックス出来るようだ。


「帰って早々で悪いんだけど、皆さんにお知らせがあります、実はリビングにある物を仕掛けました、ずっと探していたんだけどやっと見つけたの、転移の魔法陣、この屋敷とクランハウス、あとはジュライのお城、この3ヵ所を繋いであります、今後はこれを使って移動が可能になるから便利になるわよ、早速クランハウスに移動してみましょう」


 私的には満を持してだったんだけどみんなの反応はイマイチ、なぜなら今更?って感じだったそうだ、だからちゃんと伝えたよ、準備をしていたんだって、でも屋敷に転移陣が組まれた時から気付かれていたらしく、いつになったら使える様になるのか心配していたんだって、かんの鋭い精霊は嫌いだよ、そんな感じで試験転移をしてちゃんと作動する事が確認出来た。


 せっかくサプライズのつもりで隠していたのに、最初からバレバレで恥ずかしくなったよ。


 若干凹みながら私は工房に入った、工房の空気が私を癒してくれる、さぁ今からアクア様の像を彫り、ジュライの体と女神様達のドレスを作っちゃおう。

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