表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
34/49

ジューンの本心?

 宿屋に戻るとネロが頭を抱えてしゃがみ込んでいる姿が目に入った。


「どうしたのネロッ!」


「怒りが、哀しみが、暗闇が……ヨーコ様!すぐに行かないとっ!2人がっ!!」


「行くってどこにっ!」


「ダンジョンに……間に合わないっ!早くっ!」


 頭を抑えながらネロがフラフラとダンジョンに向かって行く、私は急いでネロの後を追う。


「ねぇ、ネロどうしたのっ?ちゃんと教えてくれない?」


「2人の、いえ、もう一つ何か分かりませんが、感じるんです、感情が伝わって来るんです、それが私に助けを求めています、行かなくては……手遅れになる前に。」


 ネロの表情から焦りが伝わってくる、この表情どこかで見た記憶が、そうだ、私が突然原因不明の高熱になって倒れた時の母さんに似てる、私が熱にうなされているのを見て、お医者さんに助けを求めてた時の母さんの顔、自分じゃどうする事も出来ない無力感にやるせない時の顔だ。


「大丈夫よネロ、一緒に行こう、助けないとね2人を、25階層から行くよ」


「はい!」


 マーチにコールして私達も向かう事を伝えた、グランドマスターからマップはもらって来ていないので、マッピー君を用意して放った。


「ネロ、2人に声を掛けなさい、安心するかもしれないでしょ?」


「先程から問いかけておりますが、反応が……2人は存在しているのは確かなのですが」


「眠ってるのかもよ?疲れてるだろうし。」


 ネロは納得していない様子だったけどダンジョンを黙々と進む、30階層、35階層、40階層と最短距離で進みゲートキーパーを撃破、ネロの力は凄まじく、ゲートキーパーを防御壁に閉じ込めて圧殺する、そんなやり方もあるんだ?って感心すらした。


 45階層、50階層もクリアして50階層のドロップで、マッピーEXというアイテムがドロップ、神眼先生の説明では50~100階層のオートマッピングが可能と書いていた。


「ネロ、これは使えるよ、2人の位置が分かる!」


「はいっ!これも神の思し召しです!感謝を……。」


 マーチにもコールしてマッピー君EXの事を伝える「合流するからそのまま待て」と言われたのでマッピー君EXを放ち待機している。


「今は60階層を回ってるわね、今のところ反応無しね、かなり深い所にいるのかしら」


「心配です、相変わらずパスにも反応はございません、何も無ければ良いのですが。」


 マーチ達が来るまでマッピーを見ていると66階層に魔物やトラップ、宝箱以外の反応があった、ただ同じ場所に魔物の反応もある、これが門番魔物か?


「マーチ!66階層に反応あった、今どこに居る?」


「今64階層!次のゲートキーパー倒したら合流しようかと思ったけど、このまま行った方が早そうだ、ヨーコ達は待機の方がいいかもしれない、どうする?」


「ネロが行きたがってる、私達もマップ見ながら行くわ、気を付ける敵はいる?」


「ここまでならそんなに警戒する魔物は居なかった、ゲートキーパーは何が出るかわからないから気をつけて!」


 マーチ達がそのまま行くなら向こうの方が早く着くだろう、それを待つのも手ではあるのだけれど、ネロの気持ちを考えたら私にその選択肢は無い、私達の選択は2人に早く会うために進むだけ。


 ~~~~~~~~


「ケケケッ!さっきから避けてばかりで口程にもない、威勢よくいきがったは良いがその程度か?」


「ウルサイッ!オマエハユルサナイッ!」


「ケケケッ、許さないって言ってもなぁ、どうする?まさかこの身体が心配で攻撃出来……レー……こ……して……出てくんなよっ!大人しく取り込まれてろやカスッ!」


 一瞬、本当に一緒マインらしき感情が覗き込んだ、マインの身体にいるソイツはマインの感情を抑え込もうとしている。


「マイン……うっ…うぅっ……わかったのです、大丈夫なのです」


 レーラはずっと持たなかったマンゴーシュに手を掛けた。


「マイン、ちょっと痛いかもなのです、でも大丈夫、私もすぐ一緒に逝くです」


 レーラはマンゴーシュを抜き身体を深く沈める、その姿は野生の獣が飛びかかる寸前の様な姿、全身をバネのようにしならせて、その一撃に全てをかける。


 マインの装備を脱がせたのはこの時のため、レーラは脱がせた時からこの結末を想定していた、とても辛く苦しい選択、脳裏にはマインと過ごした僅かな日々が蘇る、声を掛けてくれた市場の人々、一緒に遊ぼうとせがむ子供達、優しく包んでくれたネロの姿、自分達に名を与え、身体をくれたご主人様の顔、視界が歪む、鼻の奥がツンとする、ボヤける視界をそのままにレーラは光の様な一撃を放つ。


 レーラの手に伝わる肉の感触、そして血の温もり、俯きながらボヤけた視界でそれを見る。


「ハッ!やっぱりレーラは速ぇな、捌けなかったぜ、っててて、マイン!お前混ざってんな、マーチ!多分コイツはドッペルゲンガーだ!メイッ!影を狙えっ!奴の本体はそこだっ!」


「わかった!マインから出ていけっ!!」


 マインの影に対し無数の土槍を刺すメイの魔法、その直後マインの身体から力が抜け崩れ落ちる、マーチは素早く抱えて確認する。


「大丈夫、もうマインしか居ない、レーラよく頑張った、オクト平気かい?」


「あぁ、ちょっとズレてたらやばかったかもな、レーラの躊躇いと未熟さに救われたぜ!これならヨーコのポーションで治るな。」


 ドッペルゲンガー、他人の影に潜み、段々と精神を侵食していくレイス系の魔物、侵食スピードが速く取り憑かれたら1~3日で乗っ取られる、個体数が少ない為発見例は少ないが、宿主に成り代わり、日常に溶け込んでいる者もいる為、一概には言えない、完全に憑依されると影が無くなる、それが看破のコツだが、そこまで行くと既に宿主の魂は吸収されている為救う事は出来ない。


「レー……ラ、ごめ……い……の……す。」

「マイン……大丈夫なのです、痛くしようとしてごめんなさいなのです。」


「ネロ様が……守ってくれたです、私の魂……」

「私達守られてるのです。」


「ネロ様に会いたいのです……」

「レーラもなのです。」


 その後私とネロが合流し、ネロは双子を抱き締めて静かに泣いていた。


「オクト大丈夫だった?レーラの渾身の一撃食らったって聞いたけど」


「おぉ、危なかった、レーラが速すぎて剣で弾くの間に合わなくてな、仕方なくって感じだ。」


「でも良くやったわ、それじゃ次はジューンの迎えに行かなきゃね」


 いつまでも泣いているネロの頭をポコンと叩いて復活させてさせて、私達は65階層の転移陣を抜け地上に戻った。


「それじゃネロ達は待機していて、私達で行ってくるから」

「ダメなのです!」

「ジューン様は私達守ってくれたです!行くのです!」


「こーら!大丈夫だからネロと待機を……ネロ?」

「私達も向かいます、ヨーコ様どうかお許しください。」

「「お許しくださいなのです!!」」


「はぁ~来るなって言っても無理そうね、でもライカの用意する乗り物に人数制限とかあったらダメだから、そこはちゃんと言うこと聞いてよ?」


『誰だっ!誰だっ?だ…ライカだ~♩♩』


 もうさ、普通に登場して欲しいんだけど、見てみなよマーチのあの顔、初めて見たよあんな泣きそうなマーチ、んで乗り物は?


「ライカとりあえず今から向かうんだけど大丈夫なの?」


『お任せあれ~ガルーダちゃん!カモンッ!』


「チュンチュンなり~!我が名はガルーダ、神鳥ガルーダなり~」


 ライカの声に応えて登場したガルーダと言う……ちんまいスズメ?


「ライカ……あのさ、ってえ?みんなどうしたの?」


 全員片膝をついてガルーダって名前のスズメに頭を下げてる。


「苦しゅうないなり~おもてをあげよなり~」


「ヨーコ、ガルーダ様は空を司る神獣様だ、ボク達より格上だから。」


 大精霊よりも格上なんだ?馬鹿っぽいのに?多分鳥頭よ?すぐ忘れちゃう感じよ?


「ライカ様の使徒よ、お主とチャミーは同格だから許すなり~」


「あら、私はヨーコ、長谷川洋子よ、よろしくねチャミー」


 その時一瞬にしてゴッソリと魔力が吸い取られた、少しクラクラするくらい、今までに無い感覚だ……


「はわわっ!ライカ様!契約しちゃったなり、ヨーコって使徒と私契約しちゃったなりよ?」


『え?えぇぇぇっ!ちょっと!本当に?ガルーダちゃんと契約?ヨーコ貴女の魔力ってどうな……レベルアップだぁ、レベルアップしてるんだぁ~そりゃそうよね、神の像を何体も作るし、私とヴィラーとアースの加護も、ポコポコ色んな物作ってるし、レベルアップしてるんだわ、えっとガルーダちゃんって誰か他の神と契約してる?』


「今はしてないなりよ?でも久しぶりでびっくりしたなり、ヨーコはチャミーのご主人様なりよ、衣食住頼むなりね!」


「木の上に鳥小屋作れば良いの?」


「んなわけあるか~い!なり、一緒に暮らすなりよ、久しぶりに人族の世界でも楽しむなり、ライカ様、ありがとうなり」


『まぁガルーダちゃんが良いなら良いけど、ヨーコ喋る可愛い鳥ちゃんと思って可愛がってあげてね?』


 可愛がりで良いの?私の可愛がりって相撲部屋レベルだけど平気?ビール瓶とか空飛ぶよ?


「契約しちゃったから仕方ないよね、私が死ぬまでよろしくねチャミー、でもどうしようか、この人数どころか1人でも無理じゃない?空を飛ぶなんて。」


「あ!このチャミーちゃんは驚かせないようにしたなりよ、ちょっと離れてついてきて欲しいなり」


 ダンジョン街の外に飛んでいくチャミー、私達はそれについて行く。


 門の外に出るとブワッと風が吹き草が舞い上がる、そして現れたのは


「チャミーの真の姿なりよ、本当はもう少し大っきいなり、でもその人数を背に乗せるならこれで十分なりよね?」


 種子島とか行くプロペラ機くらいのサイズの白い鳥、羽の一本一本が光に輝きとても美しい。


「チャミー美しいわね、本当に綺麗」


「うふふ、言われ慣れてるけど、そうやって純粋に言われると照れるなりよ~」


 その美しい姿に見とれていたが、目的を思い出し我に返る。


「チャミー、私達を絶海のダンジョン島まで乗せていってもらえる?」


「お安い御用なりよ、ほらそこの精霊達も遠慮するななりよ」


 ん?ちょっと待って、それはダメ!


「チャミー、私と契約したんだから上下関係は無しよ、みんな同等、間違えたらお互いが指摘出来るようにね、そうね、仲間であり、家族であり、親友でもある、そんな関係だからさっきみたいな言い方はダメよ?その代わり楽しい事をいっぱい教えてあげるから、貴女が私と契約して良かったって思える様にね!」


「うぅ、ごめんなり、わかったなりよ、精霊達もチャミーの事チャミーと呼んで良いなり、だからみんなの名前も教えるなり、覚えるなりよ!」


 めっちゃ可愛いじゃん!なになに?素直なコ〇助じゃん、可愛がり?ビール瓶なんて投げないよ?バカじゃないの?昭和の相撲部屋じゃないんだから。


 全員がチャミーの背中に乗った、マーチが風魔法で全員の空気抵抗を軽くする、鳥目が心配だったけど、そんなのお構い無しでぐんぐん進む、ライカありがとう、声には出さないよ?アンタ来ちゃうから。


 さて、地図上だとあと少しのはず、チャミー頑張って!


「マイン、レーラ、トラップが発動した時にジューンはなんか言ってた?」


「何も言ってないのです」

「でも…少し悲しそうだったのです。」


 レーラの方が感受性つよいのかな?マインは見たまんまを語り、レーラは感じだ事を伝える、マインの方が簡潔でレーラは曖昧、なんか面白いぞ?2人をゆっくり観察したいな。


「ヨーコ、見えてきたよ、あれが絶海のダンジョン、カタストロフだよ。」


「へぇ、ダンジョンに名前があるのね、んじゃリトルティンダーのダンジョンにも名前ができるのかしら」


「基本的には発見された土地の名前が付くよ、多分ティンダーのダンジョンって呼ばれるんじゃないかな?」


 なんかつまんないかも、でも下手な事すると「ヨーコダンジョン」とかになりそうだから触らないどこ。


 島に降りて第一印象、草木が全くない、ダンジョンの入り口だけがガパッと口を開けている、島の説明を聞いた時は岩場かと思ったけど砂地できめ細かい砂浜の様な感じ。


「ふぅ、相変わらず気持ちいい砂なり、ここは変わらないなりな。」


「チャミーは来た事あるの?」


「羽休めに来るなりよ、前に来たのは200年くらい前なりかな?」


 長生きだなぁ、まぁ私の周りは長生きしか居ないんだけどさ、100年寿命があるって聞いた時は気が遠くなったけど、周りを見てると私の寿命なんてあっという間なんだろうね。


「マーチ、聞いた話だとめちゃくちゃ広いんだってここ、マッピー君今から投入するけど、全部書き込めないかも」


「あぁ、でも多分大丈夫だよ、何となくだけどね、いつかは忘れたけど来た事がある気がするんだ。」


「本当になんでも知ってるのねマーチ、頼もしくて感心するよ。」


 その時のマーチの顔は見えなかったけど笑ってたのかな?


 マッピー君のマッピングの様子を見て私達はダンジョンへ潜る、マッピングを見ながら中に入ると地面は濡れていて滑りやすい、全員トレッキングシューズなのだがそれでも滑る、戦闘になったら気をつけないと。


 魔物の数は入るなりいきなりエンカウントする状態、魔物が濃い、必ず複数で現れるので油断は禁物だ。


 マッピー君は既に3階層にいる、まだジューンの反応は無し、入る前に世界地図で確認したけどここに居るのは間違いない、下手に動かずじっとしているのか、それとも動いているのか、動いているなら同フロアならマーチ達が気付くはずだ。


 聞いていた通り、ダンジョンはかなり広い、ティンダーの10フロア分くらいの広さだ。


「魔物のレベルはそうでも無いが数が多いな、しかもダンジョンの状態が良くねぇ、罠らしきもんは見つかってねぇから安心は出来るけどな、本っ当に魔物多い。」


「使えるか分からないけど、魔物避けのアクセ付けてみる?」


「そうだな、低レベルの雑魚が出ないだけでもちったぁ進みやすくなるだろ。」


 ヒップバッグから全員分のアクセサリーを取り出し手渡す、各自首から下げて装備は完了した。


「少しでも減ってくれりゃいいけどな。」


 チャミーはスズメサイズになって私の肩に乗って様子を見てる。


「少しは効果があったのか?エンカウントが少なくなった気がするな。」


 確かにさっきは角を曲がる度魔物がいたが今はそうでも無い、体力的にもどこまで潜るのか分からないから少なくなるのは助かる。


「ねぇ!マーチ、オクト!マッピー君が止まったわ、4階層で動かなくなってる。」


「チッ!嫌な予感しかしねぇ」


「とにかく進もう、必ず原因があるはずだから。」


 足元の滑りを気にしながら2階層、3階層と進み、マッピー君の止まった4階層へ。


「うっ!」


「これは……ちょっと」


 目の前は全て水に覆われていて、遠い先に島が見える。


「大丈夫だよ、確かこっちに……」


 マーチが壁伝いに何かを探している。


「あった、これだ。」


 マーチが壁の隙間に腕を入れて何かすると


「水が引いていく」


「ギミックだね、たまにあるんだよ。」


「流石マーチ、物知りね!」


「物知りってレベルじゃねーぞこれ。」


 水が引くと再びマッピー君が動き出した、しかし島までの道は一本道、迷路の代わりにギミックで行く手を阻んでいたのかもしれない。


 島に着くと下層階への階段がある、メイちゃんと私が入ろうとすると


「待って、それはダミーだよ、この先に本物があるから」


 マーチからストップが掛かったので、一先ずマーチについて行く事にする。


 しばらく進むと目の前に下層階への階段が見えてきた。


「あのまま進むと干上がった水が中に入って来るんだ、いやらしい罠だよね」


「良く知ってるわぁ、感心するよマーチ様々だね!」


 5階層に入ると、ゲートキーパーが現れた、この階層はティンダーと同じくらいの広さだがゲートキーパーがデカい、神眼先生によるとクラーケンというイカの魔物、火魔法を弱点に持つ、10本以上ある脚には毒を持っていて、近接は控え、遠距離からの火魔法で倒すのが攻略法のようだ。


 最後に食用可と書いてあるが食べる気にはならないな、でっかいアニサキス兄さんとかいそうだもん。


 ゲートキーパーはオクトの火魔法で丸焼きにされた、ムカつく程香ばしい匂いがして、醤油を出そうか迷ったけどグッと我慢した。


 マッピー君は現在7階層にいる、6階層にもジューンの反応は無かった、長期戦の予感がする、次のゲートキーパーを倒したらそこで休憩するように提案しよう。


 8、9階層と問題なく進み、10階層のゲートキーパー、シーサーペントという海蛇の魔物、魔法耐性を持っている為ガチな肉弾戦となった、オクトが大剣でザックリと真っ二つにして終了、呆気ない終わり方だった、オクトもある意味化け物よね。


 マッピー君に先行させて私達は小休憩をする、カロリー高めのカスタードパイと水を各自に渡す、常に魔物とのエンカウントを警戒している為か、頭が疲れる、糖分補給は必要だ。


「今マッピー君が13階層に入ったわ、今回は最短で進んでるけど、ワンフロアがこれだけ大きくて魔物の数も多いとなると厄介よね、何フロアまであるのかしら、聞いた話では深くないとは言っていたけど」


「変わってなければ50階層で終わりだね、ダンジョンが成長してなければだけど」


 この広さで50階層あるってかなりヤバい、私達は探索では無くジューンを探しているから早いけど、本気で探索したら寿命が尽きるまでかかりそうだ。


「でも餌がないから成長はしていないかな」


「餌って?」


「人間の魂」


 うっわぁ~前にティンダーのダンジョンで中途半端な冒険者は養分になるって言ってたのガチネタだったのか!


「まぁボクが知ってる頃から人間が何度も来ていれば階層は増えてるかもね、多分それは無いと思うけど」


 何年くらい前?って聞こうと思ったけど、マーチの雰囲気があまり聞いて欲しく無さそうに見えたから辞めておこう。


「そろそろ行こうか、今日は20階層まで行こう、ジューンの事だからダンジョン出れるなら出ているはずだし、多分身動きが取れないんだろうね。」


 確かにそうだ、ダンジョンの特性上、下層階に進んでゲートキーパーを倒せば転移陣が出るから、それに入れば脱出出来るはずだよね。


 地上には書き置きしてあるから、出ていたら気付くはずだ、マーチが普通に身動きが取れない状態って言ったのが恐ろしく感じた。


「大丈夫かな……」


「ん~分からないけど、ボク達は精霊界と繋がっているから死ぬ事はないよ、肉体は滅んでもね、こうやって外に出るには時間が掛かるかもしれないけど、消滅する事はほぼ無い。」


 ほぼ無いって事はなくも無いって事?


「ヨーコともっと絆が深かったら契約しているから分かるんだけど、ジューンはそれをしなかった、なんでかは知らないけどね」


「えっ、ちょっとショックなんだけどそれ、ジューンは私を信用してないって事?」


「ごめん、言い方が悪かった、多分ジューンは怖がってるんだよ、ヨーコって存在に自分が惹かれているのを、ヨーコには寿命があって、ボク達にはそれが無いに等しい、楽しければ楽しいほどヨーコが居なくなった時のダメージは大きいからね、でもこの前メイが言っていたじゃないか、ヨーコの子供達を見てみたいって、面倒を見たりしたいって、それにはボクやオクト、ネロ達だってそう思ったんだ、だから一気に絆が深くなったけどジューンはヨーコが大好きだから、メイ以上にヨーコを愛しているから無理だったんだろうね、割り切ることが出来なかったんだよ、彼女には想像出来なかったんだよ、ヨーコの居ない世界を……実は1番大人に見えて1番子供なんだよジューンって。」


 ジューン……私に言ってよ、そうならそうって言ってよ、私バカだからわかんないんだよ、他人の事は気付けても自分の事なんてわかんないんだよ、いつも1歩引いて私達の事見てるから、私に関心がないって勝手に決めてた、謝らなきゃ、そしていっぱい話ししなきゃ。


「絶対助けるよジューン」


「そうだな、助けようぜ。」


「うん、ジューンはお姉ちゃん大好きだから。」


 マッピー君は今16階層まで行ってる、ジューンの反応は無い、ジューンの居場所が最下層だろうとなんだろうと絶対行ってやる!


 小休憩が終わり進み出した私達、だがマインとレーラが辛そうだ、予定している20階層まで行けるか微妙、15階層で一度上に戻るか相談してみよう、体力的にはポーションで回復出来ても集中力や気力は回復しない、休ませてあげないと無理だ。


 その後も順調に進み15階層のゲートキーパー戦、魔物はでっかい貝、口を閉じている、防御一辺倒なのか口を開く気配がない、しかしそれは悪手だった、ネロが防御壁に閉じ込め圧縮しての圧殺、貝が割れて中身が出てきた時の光景はかなりグロかった。


「マーチ、マインとレーラがそろそろ限界よ、一度地上に戻りましょう」


「そうみたいだね、連戦だったしまだキツかったね、了解したよ。」


 地上に戻ると太陽が真上にあった、しかも多分既に一周している、このダンジョンに来て2日目の昼だ、私はリトルティンダーで回収した仮設小屋をリュックから取り出し組み立てた、雑魚寝にはなるが雨風はしのげるだろう。


 出発を10時間後にしてみんな休む事にした、ネロが守護結界を張ってくれた、見張りは要らないし安心して休めるからありがたい。


 私はこの間に工房に行き、足りないものを作り足していく、食事に飲み物作れる物は全部作った、今出てもしっかり休めないだろうから、このまま工房で休み外に出た方が良さそう。


 工房から飛び出したら既にみんな起きていて、ネロが食事を提供していた、ネロに工房で作った食料を渡しておく、私もネロの食事を口にしてダンジョンに向かう、チャミーには留守番を頼んだ、ジューンが戻って来た時用に誰かいた方がいい、月明かりもなく暗い空、強い海風が時折砂を舞い上げてくる。


 15階層からリスタート、マッピー君をチェックした時に37階層でまた止まっていた、ジューンの反応はやはり無く、ここまで無反応だと不安を通り越して開き直れる。


「ここまで無反応だと最下層周辺かもね、いや、最下層かな、多分あそこにジューンは居るよ。」


「あそこって?」


「このダンジョンの最下層にはちょっとした物があるんだ、多分そこに居る。」


 マーチが何か確信めいている、そう思ってからは早かった、20、25、30、35階層を難なくクリア、この辺りから招かれている気すらする程魔物が出てこなくなってきた。


「なんかおかしくない?」


「あぁ、ちょっと様子がおかしい」


「そうだね、誘われている感じがする、何かあるかも知れないから注意は怠らないでくれる?」


「了解」


 マッピー君が止まっていた37階層に到着した私達が見たものは


「街?違うな廃墟か?マッピーは?」


「反応無しだね、どっかに引っかかってんのかな?」


「んな訳ねーだろ!」


「ねぇ、ここ魔力ないよ?」


 メイちゃんがふとそんな事を口にした。


「ネロッ!ヨーコを守れっ!」


 マーチが叫ぶ、それと同時にネロの防御壁が展開した。


「ネロはヨーコのそばに居てくれ、ボクは周辺を確認して来る、オクトはボクと、メイとマイン、レーラは周辺を警戒、ヨーコを守っていて。」


 メイちゃんが私の前に陣取る、反射的に頭を撫でてしまった、不意に撫でられたメイちゃんは私の方を向いてニコッとする、癒しだわ。


「下層階への階段を見つけたら戻るから、それまでは動くな。」


 辺りはシンと静まり、聞こえるのは自分の呼吸音だけ、音のない世界は恐怖心を煽る、集中したら心音とかも聞こえそうだけど、私自身この身体になってから自分の心音を聞いたことが無い、心臓あんのかな、ライカ製の身体だからちょっぴり不安だ。


 しばらく経ってマーチ達が戻って来た、下層階への階段を見つけた様だ。


「滅んだんだねこの街、よく思い出せないけど、ここはダンジョンの拠点だったんだよ、魔力がないから魔物が出なくてね、ダンジョンから取れる魔石が全ての動力で、あとなんだっけ……思い出せないや。」


 我慢出来ないや、聞いてみよう。


「その記憶ってマーチの微精霊時代の記憶?」


「違うかな、多分人間だった時の記憶だと思う、ボク昔人間だったんだよ、モヤッとしていて確実とは言えないけど、この街を何度も見てるし、最下層にある物も、ジューンの事も、断片的だけど少しずつ繋がってきてる。」


「なるほどね、だから物知りなんだね」


 私の言葉とは裏腹に精霊達はキョトンとした顔でマーチを見ている。


「それ本当か?」


「多分」


 オクトはその返事を聞いて黙ってしまった。


「まぁいいじゃない、そんな変わった精霊がいたって、ここには他の世界から来た人間だっているんだし、気にする事じゃないわ。」


「ははっ、、確かにそうだな、違ぇねぇや。」


 オクトもなんか諦めた感じで開き直ったみたいだ。


「私のいた世界、違うな私が育った国ではね、身の回りからありとあらゆる物全てに神様がいるって教わったの、八百万の神って言われてて、人間から神様になった話なんていくつもあったわ」


「ヨーコとかそうなりそうだよね、既にドワーフからは酒女神って呼ばれてるし、ヨーコが神様になったらどうなるんだろう」


 多分このままだと思う、断言出来る、ライカと喋って、ヴィラー様と酒飲んで、アース様と美の女神シバくトレーニングしたりして、付き合いは変わってもやる事は変わらないだろうな。


 不思議な廃墟エリアを見渡し一礼、マーチのカミングアウトもあったが、37階層を後にして下層階へと進んだ。

ちょっと忙しくなってきて、週1~2話の更新目指します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ