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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
33/49

ダンジョンの罠

 ダンジョンの先行攻略再開すると言ってから今日で4日目、マッピングをしながら進むため、前半の様なスピードは無い、1日ワンフロアのペースて探索している、ドムは先行攻略に不参加だったが、ゲートキーパー戦の録画担当で参加している。


 メルティはティンダーに戻って、下着工房の投資や自身が住む予定のクランハウスに置く家具、インテリア等を吟味している、そして私経由(私設計)でドワーフに新しい家の建築を依頼、両親にプレゼントするそうだ。


 今回の依頼で莫大な金額の報酬を手に入れたメルティ、市場では「あのメルティが」とか「ウチの子の嫁に」とか子供達も「メルティみたいになる」等、現在噂の中心になっている、当の本人はそんな事になっているとは知らずに今日もウチに来ている。


「ヨーコの家のお湯が出る道具って買うと高い?」


「高いのは火の魔石だけね、後は大した事無いわよ、でも4~5年で交換しなきゃいけないからちょっと高くつくかな。」


 羊皮紙にかかる予算を書いて渡す、火の魔石自体が金貨10枚から大きさによっては30枚になるためコスト自体は安くない、それを削減させるにはダンジョンに入り自力で魔石を手に入れるか、火の魔石を自分で作るかだ。


 火の魔石の作り方はオクトが教えてくれた、魔力の抜けた空の魔石に毎日火魔法をイメージした魔力を込める、魔石のサイズにもよるが、毎日やって1~2年同じ事を繰り返す、それだけで火属性の魔石になるらしい、気をつけなければ行けないのは必ず空の魔石を使わなければならないところ、少しでも残留魔力があると火属性に変化しないそうだ。


 メルティはオクトから聞いていない為その方法は知らない、私がオクトに口止めされているから教える事もない。


「うぅぅぅ、やっぱり冒険者は続けなきゃダメだ、小さいのはダンジョンの低層階でも出るけど、拳大のサイズになると中々出てこないから50階層以降にも入らないと。」


 今のボイラーは拳大の魔石じゃないとお湯にならないけど、ドワーフがやってる火の魔石を配管に練り込む方法なら小さくてクズな火の魔石でも役に立つ、まだ未完成な物ではあるが彼等の中では既に完成する未来が見えていそうだ。


「自宅の建設には時間が掛かるんだから焦らない方が良いわよ?時代の変化って早いんだから、ドワーフ達が新しく便利な物を世に出すかも知れないし、配管だけ工事しておいてボイラーは最後でも平気だと思うわよ?」


「むぅ~そういう物?って出来るのかな、私が生まれてから新しくなったイメージないもん、ヨーコの家は新しい物ばかりだし、クランハウスも最新だから感じないかもだけど、街自体は変わってないし……」


「これからよ、リトルティンダーはモデルなのよ?この街を生まれ変わらせる為のお試しなの、この先数年で大きな変化があると思ってる、この屋敷の物が古臭く感じる程度には変わるわよ。」


 私の発言はメルティを慰めるものでも何でもない、絶対に起こる未来の話、ドワーフ達の吸収力と新しい物への探究心は必ずこの時代に革命を起こすはず、私の作った物なんて過去の遺物になるくらいのね。


「後は、今高価な物でも時間が経つとびっくりするくらい安価になる事があるの、作るのが大変だったから高価だった物が、きっかけ一つで大量生産出来るようになって、二束三文になるなんてざらにある事だから見極めも大切よ。」


 そんな物は前世でいくつも見てきた、農産物や車、設備、機械、全てあげたらキリがない、逆に原材料が高騰して昔安かった鉄や銅、金、銀なんかの価値が上がったり、そういうのを見ている私にしたら、メルティの行動は危うく感じるまである。


「ヨーコが言ってる意味は少しわかるよ、下着なんか今は高価でも、この先どこでも作られる様になったら手に入れやすくなるって事よね?でもそんな事言ってたらなんにも出来ないし。」


「そうね、だから今ある最高を全て揃えるより、最低限必要なものを揃えておいて、タイミングを見て切り替えるのが良いんじゃないかしら、メルティは全てを最高にしようとしてるから、後で出来る事は後で、今はその対応が出来るように妥協点も見つけないと、少なくとも新しい家になれば今よりは便利になるでしょ?住んでみて、ここは改善したいなって思う所をチェックして、自分が納得出来る物を見つけたら切り替える、それでいいと思うよ?」


 建物にしても総工費数億円の立派な御屋敷が、数千万で売りに出されたなんて事も見ているからさ、そんな御屋敷買ったって、前の古い設備を交換するだけでもかなりの金額が掛かるんだから、買う人は少なくない設備費が掛かる、売れ残る豪邸のよくある話だ。


「そうだよね、今の家に比べたら、お風呂やトイレだけでも十分なんだよね、確かにヨーコの言う通りかも、ドワーフとヨーコが話していた時、水周りはしっかりって言ってたのはそういう未来を見据えてって事?」


「そうね、古い家に水周りを新たに入れると手間とお金がかかるけど、先にやっておく分には手間もお金もかからないのよ、初期の設備って大切なの。」


「わかった!ヨーコの言う通りにする、バーベキューの時に言ってた「育てる!」だね!自分の家も自分で育てる、よくわかったよ!」


 いや、焼肉の肉と自宅を同じにすんなや、まぁ自分好みにする所は間違って無いけど、比較対象が間違ってる、メルティだから仕方ないか……。


 私との会話で手応えがあったのか、メルティはルンルンで帰って行った。


「この世界がこの先どう発展するのか楽しみね、貴族の建築物はルネサンス風だったから、次は産業革命かな、ドワーフが蒸留器の仕組みから、なんか研究していたから、蒸気機関なんか出て来たら一気に時代が動くわね。」


 産業革命、蒸気機関を含めた技術が一気に発達した時代、蒸気機関の運用から100年くらいで蒸気機関車が出来たんだよね、確か紡績なんかも飛躍的に変化したのもこの時代だった気がする、飛べジョニー水を見ろ?見る?だったかな?なんか語呂合わせで覚えた記憶がある、懐かしいなぁ。


 紡績に革命が起きればマルティさんの苦労も無くなるんだけどね、今はあっちこっちに掛け合って布を集めてもらっている段階、機織り機なんかは知識としては作れるけど、この世界の布ってどうやってんだろ、今度おもちゃの機織り機作ってドワーフに見せて反応を見ようかな。


 布を見る感じ機織り機は存在すると思う、手編みじゃキメが細すぎるし機械じゃないとあれ程大きな布を作るのは大変だ、そういえば毛糸ってまだ見てないな、工房には毛糸に似た物はあった気がする、気候的に必要ないと思ったから注目はしてないけど、物はあっても作り方を失伝してしまった物もあるだろうし、マーチの教えてくれたグレイシアの砂糖みたいに、伝聞でしか伝わって無いものは前世にもあったなぁ、文字で残す習慣の無い時代の物は特にだ。


 身近な物だと日本刀の古刀かな、ダマスカス鋼なんてのもその部類よね、東京タワーなんかもそうかもなぁ、親方に同じもの作れるか酔っ払って聞いたら「東京タワーは命を懸けた傑作だ、俺には無理だ職人の域を超えてる」って言ってたっけ、全く違うけど戦艦大和にもそんな職人技が組み込まれてたってテレビで見たなぁ。


 技術は見て触って盗め、弟子入りした時よく言われた言葉、私は親方に面倒くさがらずに紙に書いてよ!って言ったら「そんな頭でっかちな考えなら職人なんて辞めちまえ」って言われて大喧嘩した記憶がある、確かに力加減やタイミングなんかは体感しないと分からないけど、分からない事が分からないから、頭で理解したかっただけなんだよ、頭で理解してないから質問も出来なくて、しばらく悩んだ記憶、職人なら誰もが通る道、だから失伝した技術って、当時の職人に声を大にして言いたい!


 でも最近気付いたんだ、ドワーフ達を見て本当に思った事、教えるのが下手くそで言葉が足りな過ぎる、そのくせ人から教わる時にはしがみついてでも学ぶ、理解した事を説明出来ないから作業の出来にムラがある、私はそこを真っ先に否定した、大型建築に個性は必要無いからね、そのおかげもあって、同時進行が可能になった、やってやりっ放しを禁止して遅れた仲間の作業には手を貸す、これを徹底させた、それにより遅れたドワーフは原因がなんだったのか理解する、理解したら同じ失敗が無くなる、結果入れ替わりで新人が来ても作業のムラが無くなった。


「人を育てるのって大変だよね、今までは教わる一方通行だったけど、ちょっと親方の気持ちがわかるようになって来たよ。」


 今日はマーチ達は帰って来ない、55階層のゲートキーパー討伐したら戻ってくるけど、やはり移動時間が勿体ないようだ、クランハウスが完成したらそれも無くなる、そして私が何故地下室有りを選んだかわかって貰える日も近い。


 だから今日はネロと2人っきりで鍋パなの、市場に大豆が売ってたから大量に購入、工房で海水からニガリを抽出、そう豆腐が出来上がったのだ、何にでも合う豆腐、大豆を見つけたら作ろうと思っていたんだ、枝豆はよく見たけど大豆を全然見なかった、多分大豆になる前に収穫しちゃうんだろうね、それが収穫漏れの豆として家畜用に格安で売られていたのだよ、無知は可哀想だね、フハハハハ!


 そして搾りたての豆乳をゴクリと飲んで悶絶した、美味すぎる!少し豆臭いけど濃厚で、調整豆乳しか飲んで無かった私からしたら初体験だった。


 冷奴、湯豆腐、肉豆腐、揚げ出し豆腐に厚揚げなんかも良いなぁ、最近はあまり見なくなったが、一昔前は豆腐売りの爺さんが歩いて売ってたっけ、最近でもたまに若い兄ちゃんがリヤカー引きながら売ってるのを見た、まぁ予想より価格が高くて、貴族の豆腐って呼んでたけど美味いのは美味かった。


「湯葉も捨て難いなぁ~ポン酢もいいし、ワサビ醤油……ワサビが無ぇ!生姜醤油は試した事無いな、冷奴に生姜が合うんだから行けるはず!生姜は工房にあったから世界のどっかにあるんだよ、ちょいちょい料理には使ってるけどね。」


 あれだけ味の良い豆腐、そのままいくのが至高なんだろうけど、今日は水炊き、コカトリスの水炊きに豆腐をポン酢で喰らう、あぁヨダレが垂れてくる。


 ネロは今買い出しに行っている、そろそろ帰ってくる頃だ、葉野菜使えるのあれば良いなぁ


 そんな時私のタブレットが鳴った。


「ん?誰からかな、もうゲートキーパー戦か?それには早すぎるな、エリックかな?なんだろう。」


「ヨーコ、ごめんなさい」


「マーチ?どうしたの?急に謝られても分からないんだけど、何があったの?」


「うん、ジューンとマインとレーラがトラップに掛かって何処かに飛ばされた、ダンジョン内だと魔力が濃すぎて居場所が掴めない、ヨーコが持たせてくれた位置情報がわかる魔道具をみんな付けてるから、そっちから分からないかと思って。」


「ちょっと待って、今調べてみる!」


 工房の世界地図、それを模写した地図に連動する様、魔法陣の術式を組んだから位置情報は反映されるはずだ。


「いた!多分ダンジョン内よ、え?ちょっと待って、1つだけ離れてる、海の方に1つ反応がある!マーチ達の場所から東の方向!この水色は……ジューン?多分ジューンだけ別の場所に飛ばされてる、双子はダンジョンにいるみたいだけど何階かまでは分からない、上かも知れないし、もっと下層かも知れない、映像用のタブレットは持ってない?ジューンに持たせてるはずだけど。」


「タブレットはジューンからメイが持たされてる、まずは双子を探す、オクトとガトーはここから上を、ボクとメイで下を探す。」


「マーチ!私がそっちに行く、ネロと一緒に、私達が上から降りるから貴方達は揃って下に行きなさい、ガトーは大丈夫なの?」


「大丈夫だ!ツインズは必ず見つけっから心配すんな、嬢ちゃん!宿屋にドムが居る、メルティも声掛けりゃ協力してくれっから、使ってくれ!マップはグランドマスターが持ってるはずだ、訳を言えば出すはずだ。」


「わかった、貴方たちも気を付けて、マーチ、オクト、メイちゃん、ガトーを守るのよ。」


 まさか本当に転移させるトラップがあるなんて、とにかく今は準備しなきゃ、食料、アイテムは工房があるから何とかなる、みんな心配だけど、一番心配なのはジューンよね、小さな島みたいな所に反応はあるけど、地図も一応持って行かなきゃダメね。


「違う!ダンジョン内を上から見るなら、マッピー君使えばあの子達の居場所も分かるはず!」


 慌ててマーチにコールする。


「はい、マーチです」


「マーチ!ガトーに上に戻ってもらって、マッピー君使ってもらったら、2人が上の階に居れば分かるんじゃない?」


「残念だけどマッピーはジューンが持ってる、確かにマッピーを使えば2人が上の階層に居れば反応があるね、ボク達はこのまま進むから、ヨーコはマッピーを使って上から探して欲しい、見つけたらコールして。」


 ちょうどその時ネロが帰って来たのでネロに説明をする。


「私の能力で彼女達の居場所は分かります、会話も可能ですので試みてみます。」


 ネロは2人の上位存在、補佐になった2人とは思考のパスが通じて居るらしく、それを通じて会話が出来るようだ。


「ネロです、マイン、レーラ聞こえていたら返事を」


 ネロが会話を試みている、しばらくして


「ヨーコ様、2人は無事でございます、装備のおかげで敵には対応出来ている様でございます、戦闘した敵は人の体に蛇の下半身を持つ魔物、大きな斧を持つ二足歩行の牛魔物、馬の体に人の上半身を持つ魔物だそうです、食料等も問題なくあるそうで、牛魔物からは肉がドロップしたと言っていました、元気そうですが、上の階層に行く事が出来ない様です、階段の場所までは行ける様ですが。」


 ゲートキーパーの先って事かな、早速マーチに連絡する。


「なるほど、ナーガにミノタウロス、ケンタウロスかな、まだボク達はその辺に遭遇していないし、階段を上がれないなら下の階だね、倒せるなら下に向かって行ってゲートキーパーを倒すのも手だけど2人にはまだ厳しいかも知れない、ヨーコの装備があれば不可能ではないかも知れないけど。」


「マーチ、その考えは今は捨てなさい、行った先が最下層とかなら殺されに行くようなものじゃない、それでもゲートキーパー階のすぐ下ってわかっただけ良かった、ゲートキーパーを倒してなくても上の階には行けるでしょ?行けないって事は上にゲートキーパーがいるって事になるよね?水は大量にマジックバックに持たせてるし、ミノタウロスを倒したら肉がドロップしたみたいだから食料は平気、ネロに逐一コンタクト取らせるから、マーチ達は引き続きお願い。」


「わかったよ、このまま探索を続けるよ、次のゲートキーパーを倒してすぐ下の階に2人が居なかったら1度ガトーだけ地上に戻すよ。」


「そうしてちょうだい、私はジューンの方に行く方法を考えるから、遅くても今夜中にはそっちに行く。」


 タブレットを切って、ネロに双子に下には行くなと伝えてもらい、世界地図を見る。


 情報が欲しい、地図上だと海まではティンダーから王都までの距離の倍はある、途中の街の名前は「ミルザ」お米のところか、そこから少し行けば海、船が必要よね、島まではさらに東へ……遠い、別大陸との真ん中くらいにある、前世で例えるなら日本からアメリカ大陸に行く中間くらいの距離だ、しかもその大陸には街が無い、未開の大陸って事か?


 エリックに連絡しておこう、力になってくれるかもしれない。


「エリック、ヨーコです。」


「うむ、どうした?」


「仲間の1人がダンジョントラップで海の島に飛ばされたの、ミルザの街のさらに東、別大陸との中間にある小さな島」


「なんだ?その別大陸とは、ミルザの東の海か、それで私に何をして欲しい」


「船が必要、大型の船、無理ならこっちで何とかするけど今は少しでも早く向かいたい。」


 コール先でため息が聞こえる。


「戦争が終わり、軍艦は全ての国が破棄した、今ある船は全て漁師が使う小型の舟しかない、ミルザの先に漁村がある、今の経路ならばそこで手配するしか無いな、長い航海は不可能だ、反対側ならば共和国の商船等も手配出来ただろうが、南に行けば聖皇国の港町があるが、協力を求めればかなり厳しい条件を出して来るだろう。」


「わかった、そこまで情報を貰えれば平気、どれだけ離れていても必ず迎えに行くから、少しティンダー離れるけどコールしてくれたら出るから、情報ありがとう。」


 その後マーチからコールがあり、56階層に2人の姿は無かった様だ、ガトーと一緒に戻り水だけ補給して3人は再度潜ると言っていた。


 今まではジューンが居たから水関係を心配しなかったが、そのジューンが居ない、肉体を持ってから水は必ず必要な物だ、ジューンは水に関しては心配無いが逆に食料が心配だ、リュックには常に沢山の食料を入れる様に言ってある、少しはもつかも知れないけど早いに超したことはない、装備自体に温度調節が付いているから暑くても平気だろう、あのダンジョンの湖で見せた水を浮かせる荒技は、魔力消費が激しく長時間は無理だと聞いている、十戒の映画の様に海を割って歩くのは流石のジューンにも不可能だろう。


 ネロが貸馬屋から馬を借りてきた、馬には負担が掛かるが、私は馬に乗れないので2人乗り、日が完全に落ちる前に出ないと厄介だ、私達はすぐにティンダーを出た。


「ライカ、居る?」


『天知る地知る人ぞ知る、女神ライカのお出ましよ!』


「私に怒られてすぐに帰りたいの?」


『ちょっとマブダチ!それは冗談よね?』


 面倒くさい女神ライカにも説明する。


『あぁ、なるほどね、その島は絶海のダンジョン、この世界が出来てからある最古のダンジョンよ、島は断崖絶壁で侵入者を拒む、入るには絶壁を登るか空からね、地上に居れば私でも探知出来るけど、探せないから多分ダンジョン内ね、階層は深く無いけどひたすら広いって話よ、海神から聞いた事があるもの、その海神に最近言い寄られてるのよ、その他の神にも、最近の私めっちゃモテ期なのよー!』


「うざっ!地上に居ないってわかっただけでも呼んだ甲斐があったか、今からそこに向かうんだけど、船で行けるよね?」


『うざって言われた~クスン、嬉しくて報告しただけなのに……』


 面倒臭ぇぇぇ!


「ドレス姿が可愛かったもんね、ライカのモテ期に嫉妬しちゃっただけよ、ごめんなさい。」


『あぁん!違うの!ヨーコには感謝してるの、本当よ?だから謝らないで?私が調子に乗っただけなの、大切な仲間がそんな所にいたら心配よね?わかった、移動手段は私が何とかするわ!任せてマブダチ!』


 おやっ?なんかチョロ女神、頼んで無いのにめっちゃ協力的じゃん!好都合女神最高だぜ!


「ライカ……そこまでしてくれるなんて、貴女がマブダチで良かった、本当に良かった。」


『あたり前田のクッキーよ!最高の移動手段を用意してあげるから!ヨーコ達が準備出来たらまた呼んで!泥舟に乗った気で待ってて!ヨーコの永遠のマブダチである私に任せてよ!』


 いやぁぁ不安しかねぇぇ!どうしよう断ろうかマジで……あぁでも背に腹はかえられぬだな、大好きなジューンのためだ我慢するかぁ!


「うん、頼りにしてるよマブダチ!」


 くっそぉ!何用意すんだろ、怖くて仕方ねぇけど覚悟を決めろヨーコ!!ライカがスッと消えて私達2人になった。


「ヨーコ様……酷いですね……流石にちょっと不憫に思えました。」


「誰がとか言っちゃダメよ、あの子来ちゃうから、名前を出しちゃいけないの、わかった?ネロ。」


「仰せのままに、主様(ヨーコ様)……。」


 その後ネロは再度双子とコンタクトをとる、今はミノタウロスの肉を焼いて食べているらしい、意外と逞しいのね。


 双子のいる場所は結構な頻度で魔物が襲って来る様で、近くにあった小部屋に入り交代で休むそうだ、小部屋の前にいた魔物を倒したら部屋に魔物が入って来ない様子、一定時間が過ぎるとその魔物がリポップするので、倒して休むを繰り返すと言っていた、小部屋には宝箱があったらしく、門番みたいなその魔物を倒すと部屋にポンッと出現する、現在3個宝箱が湧いているが中はまだ見てないそうだ、10個になったら開けるらしい。


 ゲームで言うハメ技みたいなもんかな?なんか双子も楽しんでそうだが、それってあのライオネルとかにも出来んのかな?出来たらマジで攻略法だね。


 ホテルが薄らと見えてきた、辺りは日が落ち月明かりを頼りに向かう、高々30メートルくらいの建物だが、周りに何も無いからちゃんとランドマークになっているみたい、良かったわ。


 リトルティンダーに到着した私達は宿屋に居るガトーの元へ、ガトーの話だと私の魔道具で罠は発見出来たが、解除に失敗、魔法陣が浮き上がりジューンは魔法陣のそばに居た双子を抱えて脱しようとしたが、間に合わなく飛ばされた、その後罠は跡形も無く消えてしまい、追跡も出来なかったらしい。


 元来転移の魔法陣は、形跡が残っていればどこに飛ばされたか追跡出来るそうで、綺麗に跡形もなくなるのは珍しいタイプとマーチが言っていたそうだ。


「でもまだ良かった、ガトーじゃなくて、不謹慎かも知れないけど、ジューンなら余程じゃない限りは大丈夫だと思うから。」


「俺がついていながら、悪かった。」


「大丈夫だって、マインもレーラもジューンも平気だから」


「けどすげえ魔道具だな、ネロってメイドと双子のメイド服が通信出来るんだろ?そういう便利なもんが沢山出てくりゃ事故も少なくなるだろうな。」


 あぁ、多分マーチ劇場だな、ガトーにバレないように気を使ってくれたのだろう。


 ガトーの説明を聞いたあと、私は1人クランハウスへ、みんなを驚かせようとしてもったいぶって居たが悪手だった、私は今回の件を反省しながら地下室に向かった。


「後悔っていつもそう、後からしっかりやって来る、先に後悔しても必ず最後に絶望になって追いかけて来る、後悔先に立たずか、本当にその通りね。」


 マーチ達が帰って来るまでに出来ることしておかなきゃ、反省なら取り返せるんだけど、後悔って取り返せないんだもん、後回しにして後悔するなんてまっぴらごめんだわ。


 クランハウスを出て拠点宿屋に戻る、ドワーフ達が宴会中だ、お酒も出しておかなきゃだな、いつ戻って来れるかわからないから沢山出しておかなきゃ。


 その日の夜、ヴィラー神殿の横には200樽の火酒と同数のラガーが並べられていた。


 ~~~~~~~




「マイン、お洋服切れてるのです、直してあげるのです」

「レーラありがとうなのです。」


「敵来ないウチに直すです、脱ぐです」

「はいなのです。」


「マイン、貴女にも見えたです?」

「うん?何がなのです。」


「あれは誰なのです?」

「意味がわからないのです。」


「ジューン様……」

「助けてくれたのです。」


「違うです」

「何がなのです?」


「なんでもないのです。」

「なんなのです?」


「ご主人様……ジューン様を助けてなのです。」

「何を言ってるのです?」


「あれは良くない者なのです……。」

「良くない者なのです?」


「ジューン様ずっと気付いていたのです」

「そうなのです?」


「マインは平気なのです?」

「平気なのです。」


「マインは……居るのです?」

「隣に居るのです。」


「違うのです」

「何が違うのです?」


「ネロ様……ごめんなさいなのです。」

「ネロ様は許してくれるのです。」


「違うのです。」

「大丈夫なのです!」


「マイン……」

「なんなのです?」







「マイン……ジューン様をどこへ飛ばしたのです?……いや、マインじゃないお前、マインをどこへやった!」


「レーラどうしたのです?…………マ・イ・ン・テ・ナ・ン・ダ・ナ・ノ・デ・ス・・・・ケケケッ!」








「マインを返せ!ジューン様を返せ!レーラは許さない!絶っっ対にっ!マインを何処へやった!返せっ!返せっ!カエセ!カエセッ!コロス!コロスッ!オマエハコロスッ!オマエヲコロシテマインヲトリモドスッ!ワタシノカゾクヲトリモドスッ!」


「………ケケケッ!バーカお前が死ね!」

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