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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
27/49

あらまぁそうだったの?

 神々との宴会の翌朝、いつものように朝食作り、今日は朝から丼物、丼と言ってまず1番に思いつくのはカツ丼?牛丼?否、親子丼が私は1番好きだ。


 でも昨日の夕飯で照り焼きチキンを食べたので、2食連続で鶏肉はダメだ、だから今朝は牛丼の卵とじにした、ブラックカウのバラ肉を薄切りにして炒め丸ネギを投入、出汁を入れて醤油、酒、砂糖、で味付け、今日は錬金術で抽出した昆布出汁を使った、少し味気ない気もしたけど気にしない、この世界にはない料理なんだから、これがナンバーワンでオンリーワン。


 味のついた牛肉を1人前ずつ小鍋に移して卵でとじる、出汁を吸った卵がトゲトゲしい醤油味をまろやかにしてくれる。


 豚汁を出したいがワカメしかない、出汁も昆布出汁だから合わなくはないが、ワカメと大根の味噌汁に変更、大根は前世と同じような青首大根でちゃんと辛い、懸念点は味噌汁の匂い、私にはとても懐かしく喉が鳴る匂いだが、欧米人の中には苦手な人もいると聞いた事がある、欧米寄りの体格をしたこっちの人達に受け入れて貰えるかが心配だ。


「おはようお姉ちゃん、手伝う?」


「大丈夫よ、もう終わったから、メイちゃんお茶でも飲む?」


「うん」


 メイちゃんにお茶を準備していると、オクト達も食堂に来たので、全員分用意し朝食を出す。


「これは牛とじ丼、箸はまだ無理だろうからスプーンで食べて、あと汁物ね。」


「このスープ、なんだろ不思議な感じだ、落ち着くって言うか……」


「マーチ気に入ってくれた?味噌汁って言うのよ、私のソウルフード。」


「うん、気に入った、こっちもいただくね。」


 牛とじ丼を1口食べたオクトがガツガツと一気に口に放り込む「美味い!これ良いな!」口に物が入っている時に喋っちゃダメでしょ。


 ガトー達も遅れて起きてきた、心配していた味噌汁に抵抗もなくバクバク食べてる、オクトもガトーも物足りなそうなのでもう一杯作ってあげた、自分の料理を沢山食べて貰えるのは本当に嬉しい。


 メイちゃん達も完食、朝食後のお茶も済ませて、今日はいよいよ50階層を目指すみたい、各自装備を整えて準備していた。


「これ、小腹が空いたら食べて、蜜芋を蒸したやつ、お腹に溜まるから満足感はあるはず。」


 ダンジョン組におやつを渡してお見送り、1の鐘の辺りにはタブレットのスイッチを入れる約束をした。


 最近の日課であるホテルの現場、外側はほとんど出来上がり、ちょっと手直しする程度、内装は急ピッチで行われていて、既に3階のサッシまでつけ終わっていた、部屋のドアも重厚な造りになっていて、そう簡単には蹴破れないだろう。


「何かトラブルはある?」


「おいっ!大丈夫だぞ、問題ねぇ!少し木材が足んねぇくれぇだぞおいっ!」


 木材は正直足りてない、ティンダーから他領にも注文を出しているが、それでも足りていない、砂糖工場用の資材も必要だから仕方ない。


「それは仕方ないわ、ティンダーでも同じ様に事業がスタートするんだから、こっちは待つしか無いわ。」


 まぁアース様にゴリ押しすれば何とかなりそうだけど、そうもいかないものね。


 ホテルの現場では内装の一部を木材で賄う、監督ドワーフの話だと節約しても5階フロアが完成するくらい、残りは木材が着次第って事になる、ままならないものだ。


 ホテルの現場を出てクランハウスの方へ向かう、こちらもホテル同様に内装や設備に木材を使う為、外側だけ先に仕上げる、内装もホテル優先の為後回しだ。


 既にクランハウスの半数以上がコンクリを流し込み、ある程度の形が出来てきている、ファミリー向けの社宅も残り2棟を残し工事を中断していた。


 木材と言っても伐採してすぐに使えるものでは無い、乾燥させて水分の少ない状態にしないと建物の歪みに直結する、ただこの世界には魔法がある、魔法で木材を乾燥させることは可能、今持って来ている木材も半分は魔法で乾燥させている。


 ティンダー側の出入り口から馬車が数台入ってきた、多分あれが地下街に入る店の人達なのだろう、1番最後に見た事のある馬車がいた、ダンゴさんだな、御者席にはリク君が座っている、あの子御者も出来るんだね、凄い子だ。


 今ダンゴさんに会っても面倒だから知らんぷりして教会に向かう、今日も花が満開であそこだけ別世界だ。


「こんにちは、何か不自由はありませんか?」


「ヨーコおねえさん!大丈夫です、今姉は裏の方に居ます、呼びますか?」


「大丈夫よ、これを渡しに来ただけだから。」


 鍬と鋤と鎌をサライちゃんに手渡す。


「凄い鉄製の農具なんてありがたいです、やっぱり姉を呼んできますので、少々お待ちください。」


 別に良いのに、小走りで駆けていくサライちゃん、来た時より表情が明るい、ちょっと安心したよ。


「ヨーコ様、お待たせして申し訳ございません、立派な農具ありがとうございます。」


「気にしないでください、今日は他にもキッチンで使うナイフとか、調味料も持って来たんです」


「何から何までありがとうございます、お茶を淹れますのでどうぞ中へ。」


 ちょうど喉も乾いていたしお言葉に甘えちゃうか。


 教会内に入ると花のいい香りと、抜ける風が私を癒してくれる、この教会は久しぶりのヒット作だ、ドワーフの気づかいもあり完成品と言っても過言じゃない。


 奥のキッチンに入ると林檎の爽やかな香りがした。


「アップルティーですか!私大好きなんですよ!そうだよ林檎があるならできるじゃんね、あぁ、すみません、ちょっと興奮しました。」


 この世界にもフレーバーティーってあるんだな、私も研究したいかも、ベリー系や柑橘系、チャイみたいなスパイス系、あぁ良い暇つぶしになる!


「ご存知でしたか、裏手の林檎の実がとても香りが良くて、最近の楽しみなんです。」


 アップルティーの他に多分おやつ用のクッキーが出された、食材はあるから作れるんだね、外側サクッと香ばしいけど中はしっとり、大好きなアメリカンクッキーだ。


「凄い、私なんかが作るより数倍美味しい!え~作り方教えてください!」


「はっはい!喜んで」


「代わりと言ってはアレですが、ちょっと変わった調味料があるんで、お裾分けしますね。」


 私はヒップバッグから醤油と味噌テーブルに出した。


「醤油と味噌っ!」


「えっ!知ってるんですか?そうです醤油と味噌です!やっぱりどこかで作られてるんだ~」


「えっえぇ……」


「ん?どうしました?」


「いっいえ、なんでも無いです、ありがとうございます。」


 ん~?なんだなんだ?


「えっと、私は知らんぷりした方が良いですか、それとも何か話す事があるなら、私だけに留める事を約束してから聞きますけど。」


 2人が目で会話してる、少ししてからミライさんが口を開く。


「ヨーコ様は日本人ですか?」


「あらまぁ、もしかして?ミライさんも?いやサライちゃんもかな、日本人?」


「はっはい。」


「わぁっ!嬉しいっ!2人は日本人だったの?あははっ!なんだよ、めっちゃ泣きそう、ごめん……。」


 涙が止まらなくなった、本当は寂しかった、知らない世界にひとりぼっちな気がして、マーチ達も優しいし、周りの人達も良い人ばかりで、でも心のどこかでなんとも言えない寂しさがあった。


「ヨーコ様、大丈夫ですか?すみませんいきなり。」


「ううん、違うの、本っ当に嬉しくて、なんだろ、ずっと知らない土地で1人な気がして、でも仲間はみんな優しくて、周りの人も優しい、それでも……。」


 しばらく泣いた、何故か2人まで泣き出しちゃって、3人で泣いたよ。


「はぁ~ずびばぜん、もう大丈夫です、改めまして私は長谷川洋子、日本人です、向こうでは大工をやってました。」


「はい、私は細谷未来、妹の咲来です、私は大学生、妹は高校生でした。」


「2人共若いなぁ、私なんて40歳独身だったよ、ブスだったから転移する時「可愛くして」ってお願いしたのよ。」


 自虐ネタだが嘘じゃないし。


「2人はどうしてこの世界に?ってか私から言うのが筋だよね、えっとねぇ」


 私は今までの経緯を2人に話した、どうやら2人共私が異世界人だと気づいていたようで、いつかタイミングがいい時に話そうと思っていたらしい、今回はサライちゃんが醤油と味噌見て口に出しちゃったけどね。


「なんだ~わかってたなら教えてくれたら良かったのに、でも言えない何かがあったのよね、中身おばちゃんだからちゃんとその辺は理解するわ!」


「全然おばちゃんじゃないです!私達に声を掛けてくれた時、少し年上のお姉ちゃんだと思ってましたから。」


「あらヤダ、何か出さなきゃ行けないかしら、飴ちゃんくらいしかないけどふふふっ!」


 その後彼女達の話を聞いた、ハッキリ言って胸糞悪くなった、彼女達は聖皇国に召喚された勇者だったらしく、ミライさんの方が能力適合者で、サライちゃんは鑑定眼しか無かったようだ、姉と離れたくない彼女は魔法を必死に覚えて、なんとか戦えるくらいになったそうで、そんなタイミングでダンジョンの魔石回収に連れ出された。


「サライがダンジョンに行くのを私は知らなかったので、知った瞬間ダンジョンに向かったんです、そうしたら25階層のゲートキーパーと戦わされてるサライを見つけて、すぐに私も戦闘に参加しました、あと少しのところで魔法を放っていたサライにゲートキーパーが炎を吐いたので、咄嗟にカバーして火傷を負いました、ゲートキーパーは討伐出来たのですが、火傷は残ってしまい。」


「お姉ちゃんはその火傷が酷くて美の女神に力を奪われて、私達は着の身着のまま放逐されました、色んな村で手伝いをしながら大地母神様の教会でお世話になっていた時、神託を受けてこちらに来たんです。」


 私は2人を抱きしめた、本当に辛かったと思う、知らない世界で着の身着のまま、多分ちゃんと食べれなかっただろうし、シャワーだって、昨日のバッカスさんの話といい、美の女神って本当にカスだな。


「わかった、もう2人が不自由しないようにしてあげる、私が護るから、約束する。」


「はい、ありがとうございます……。」


「よしっ!日本人なら日本人らしくしなくちゃね!今色々出すからちょっとスペースちょうだい。」


 私は洋服から下着、生理用品、化粧品、鏡や櫛、石鹸とシャンプーにトリートメントや日本酒に至るまで、私が今出せるものを出した、お米も出してあげたいけど、工房のお米って玄米じゃなくて精米されてるんだよ、だから炊かないと外に出せないんだ、本当に便利だけど残念。


「この下着可愛い、自分で作ったんですか?」


「そうよ、だってここほぼノーブラなんだもん、日本で生きてるとやっぱり抵抗あるでしょ?この世界は衛生面では中世以下だから、そういう所から変えていかないとね、ダンジョン街には下水なんかも設備として作ったけど、地上は領主様がやらなくていいって、スライム使うみたい、そうだ!これもあげる。」


 ここの浄化槽にもダストスライムを使う様に作ったから、スライム薬をあげた。


「これスライムにあげたら匂いが無くなるから、大体2~3日に一粒あげてね」


 あとは~浄化の魔道具とアイテムバック、靴も何足か必要だね。


「今あるのはこんなもんかな、2人の足のサイズ教えて、布製のスニーカーっぽいのと、革のブーツ、畑をやるなら長靴も必要ね、全部用意するから、あとこれも、タブレットね、私に連絡したい時はこれを使って、まだ個別通話はあんまり登録出来ないけど、私の魔力紋を記憶させておくから、コールをタッチしたら繋がるから。」


「ヨーコおねえさん凄いですね、なんでも作っちゃうんだ。」


「私は神様から便利な能力をもらったからね、2人が何か思いついたら教えてくれる?化学の分野以外なら大体大丈夫だから、化学は本当にポンコツなのよ。」


 どうやら2人共文系らしく、化学に関しては無知に等しいらしい、まだ日本でもリケ女の方が少ないよね。


「この街にも子供が来ると思うから、読み書き数学とか教えたらどう?授業料もしっかり取ってさ、教会の寄進だけじゃやって行くのは難しいだろうから、私もなんか考えるよ、誓いの言葉とか分かれば結婚式をやるのも良いかもね、パイプオルガンは無理でもピアノなら作れそうだし、どっちかピアノ弾けない?」


「2人共ピアノは小さい頃からやっていたので弾けます、楽譜もある程度頭に入ってます。」


 それはスンバラシイ!この世界にピアノ演奏が文化として根付くかもしれない。


「よしわかったよ!一応ピアノの内部構造はある程度把握してるつもり、私の母がピアノの先生していたの、私はピアノよりも内部構造に興味をもっちゃってさ、いつも中を覗いたり潜ってみたりしていたの、いつかお母さんにピアノを作ってあげようと壮大な目標もあったけど、前世では無理だった、だからこの世界で夢を実現したい!」


 私の頭の中にはピアノの設計図がある、子供の頃、母にオネダリして手に入れたグランドピアノの設計図、小さい頃から眺めていたんだ、チートがあるから部品は作れる、組み立てだって何回もシュミレーションした、あとの問題は調律、母のピアノの調律に何回か立ち会ったが、調律師によって入室は拒否された、最大の難関だ。


「問題は調律ね、作れても音が理解出来なきゃ完成しないよね」


「あの、私調律の勉強してました、将来調律師になりたくて、半人前ですけどピアノがあるなら挑戦したいです。」


 何たる棚ぼた、ご都合展開!流石異世界?それは関係ないか、なら私も頑張る!


「あ!ヤバい、今何時!あ、良かったまだ大丈夫だ」


「どうしました?」


「今日仲間が50階層のゲートキーパーを倒すんだけど、その映像を見る事になってるの、あと10分くらいしたら始まるからもし嫌じゃなかったら一緒に見る?」


 と言うことで急遽教会でダンジョンのゲートキーパー戦を見る事になった。


 タブレットをオンにしてしばらく待機しているとコール音が鳴り響く、私はタブレットのコールをタッチして映像を待つ。


「それでは今から50階層のゲートキーパー戦を写します、ヨーコ解説お願い~」


「メルティが撮ってるのね、ちゃんとゲートキーパー写してくれたら代わってあげるよ、もしかしたら陛下も見てるかも知れないから」


「おぉ、エレメントのヨーコか、イーグルじゃ、今日は不参加なのじゃな、よろしく頼むぞ。」


「はい、陛下、アナウンス努めさせていただきます。」


 神眼先生をセットして、ゲートキーパーを見る。


「ベヒモス、獣の頭に竜の体を持つ魔物で、動きは遅くタフネス、魔法耐性がありその上物理攻撃にも耐性がある、攻撃パターンは噛み付きと突進、体力が少なくなると大地を揺らす地揺らしを発動、地揺らし後の突進は脅威、まず最初に突進力を無くすため足を中心に攻撃、前足よりも後ろ足を先に攻めるのがコツ、突進力が無くなると噛み付き攻撃が多くなる、予備動作として雄叫び後口を大きく開く、魔法耐性があるのは外皮のみなので、この時に口内を狙って魔法攻撃をすると、腹を出してひっくり返る所謂ダウン、起き上がるまで時間があるので一斉攻撃、腹部は防御力が低い為、高ダメージを与える事が出来る」


「なっ!ベヒモスじゃと!一日で共和国の半分を破壊し尽くした化け物じゃ!数百人の召喚士がドラゴンを召喚して海に追い払ったと言われておるが、そんな化け物に主らは勝てるのか?」


「陛下が心配してますが、現場のオクトさん、勝てますか?」


「楽勝だ!任せとけ!」


「だそうです、陛下、今は見守りましょう。」


「うむ、頼んだぞエレメント、灰色の剣よ、見事勝利してみせよ!」


「「はっ!」」


 ダンジョンチームが戦闘態勢に入った。


「攻略法としてはまず後ろ足、前足の順番に攻撃し、噛み付き攻撃の予備動作が出たら口内へ魔法攻撃、必ずひっくり返るので一斉攻撃、起き上がったら同じ事の繰り返し、突進力が無ければ地揺らしも怖くないのでタフネスですが比較的倒しやすい魔物かと。」


「簡単に言うが大丈夫か?」


「グランドマスターも観戦されてるのですね、大丈夫です、私の仲間を信じてください。」


「私はルビーだ、共和国の話は聞いていた、今後もしもの為に勉強させてもらう。」


「ルビー閣下、是非とも参考にして下さいませ。」


 あ~疲れる。


「早速、ガトー、オクト、ジューン、メイが後ろ足を狙いに行きました、まずは右後ろからのようです、人間と同じ様に魔物にも足の腱がございます、腱を切ると一気に動きが遅くなります、以前傭兵の著書にも、戦場で生死をわけるのは足を負傷しているかいないかで、生存率が9割違うと書いてありました、現在全員が靴下と呼ばれる布製の足履きをつけてます、軽く考えがちですが布1枚で大分違うので、もし気になるようでしたらお試しください。」


「ほう?布1枚でそんなに変わると?」


「はい、全く違います。」


「うむ、早速軍に採用してみよう。」


「今ガトーが右後ろ足の腱を切断したようです、次は左後ろ足を攻撃します、この時に大盾を持ったタンクがヘイトを稼げるかどうかも攻略の鍵になります、10人のパーティなら2人はタンクが欲しいですね。」


「タンクか、確かに軍には無いポジションだな。」


「上手い!今シーフが隙を見て腱の切断に成功しました、次は前足です、そろそろ噛み付き攻撃も出そうですね、動きが遅い分、噛み付かれたら最後です、その破壊力は鋼の鎧でも紙切れの様に噛み砕くでしょう」


「あのでかい口に噛まれると想像するだけで冷や汗が出るな、だがやはり動きは遅い、あれならば冷静に戦況を見ていれば避けるのは難しく無いな。」


「はい、今噛み付きの予備動作に入りました、雄叫びをあげてタンクを狙っています、あっと!タンクが下顎を盾で打ち上げた、同時に口内にシーフの魔法が突き刺さりました、ウチのタンクはパワフルなのであんな力技が出来ましたが、あまり参考にしないでくたさい。」


「何たる剛の者、物理僧侶とは本当に恐ろしい力を秘めているのだな。」


「口内へ魔法を受けたベヒモスが腹を出してひっくり返りました、これから総攻撃に入ります、起き上がるまでの時間には個体差がありますが最低でも2分間はこの状態です、この時にどれくらいダメージを与えられるかがキモになります。」


「本当にこのまま倒す勢いだな、ダメージというダメージを受けていない、この前のレッドドラゴンといい、魔物の知識は研究に値するな。」


「その件に関しましてはグランドマスターが、便利なダンジョンアイテムを持っております、詳しくはグランドマスターにお聞き下さい。」


 丸投げしまーす!


「はっ!エレメントのヨーコが言ったように、非常に有用なアイテムが出ました、ルビー閣下の率いる軍の演習にも使えるかと、現在ダンジョン街に闘技場の建設を予定しております、そちらでこのアイテムを使いダンジョンの魔物と戦う事ができるのです、今後かなり役に立つ物かと。」


「おぉ!素晴らしいではないか、闘技場が完成後に視察させてくれ、ラルク卿見ているなら返事をくれ。」


「はっ!ルビー公爵閣下、闘技場完成次第ご連絡致します。」


「うむ、頼むぞ、全ては国防の為でもある、個人的に私が見たいのもあるがな!わははっ!」


「皆様ご覧下さい!これが地揺らしです!立って居るのが困難な揺れで足元を揺らします、今回はベヒモスの足を潰しているので突進はありません、体勢を整えて再度噛み付き攻撃の予備動作を待ちます。」


 その後2度目のダウンを取り総攻撃してベヒモスは粒子に変わった。


「これで50階層のゲートキーパー攻略となりました、ドロップ品等はグランドマスターに報告させていただきます、先行攻略としてはコチラで一区切りとさせていただきます、今後は王国内の冒険者によって攻略が進んで行くでしょう、エレメントと灰色の剣も引き続きダンジョン攻略はしますので、またゲートキーパー攻略の際には映像を送りたいと思います。」


「うむ、エレメント、灰色の剣、長い時間ご苦労であった、これまでの先行探索に対する褒美をラルクに渡しておく、受け取るがよい。」


「「「はっ!」」」


「此度も満足した、また頼むぞ。」


 イーグル王のコールが切れた、ふぅ、とりあえずみんなが無事故で良かった。


「ヨーコおねえさんの仲間も凄いけど、1番ヨーコおねえさんが凄かった、今お話ししていたのって王様ですよね?」


「えぇ、そうね、私の言葉遣いも大目に見てくれる良い王様ね。」


「聖皇国とは大違いでした、聖皇国でしたらドロップ品は全て献上、魔石も没収で僅かな報奨金が出る程度でした。」


 うっわ!良かった~最初が王国で、なんなんだよその、お前の物は俺の物、俺の物も俺の物的な強制ジャイア〇システム。


「この国ならそんな事はないわ、もしされたら一緒に出て行こうか、教会も収納してね!」


「あははっ!豪快ですね、そうなったらお供します!」


「あ、そう言えば、これはちょっとアレかもしれないけど、背中の火傷治せるわよ?サライちゃんの為にも治さない?気にしてるんじゃないかな。」


「その、はい、この火傷は自分の所為だと、結構酷いのですが治るのですか?」


 治るけどちょっとグロいかも、でもちゃんと説明しないとな。


「えっと、麻酔効果のあるポーションを使って、火傷部分の皮膚を切り取ってから、回復魔法で治すんだけど、綺麗に治るから大丈夫なんだけど怖いかしら。」


「いえ、麻酔が効いているなら問題無いです、それにその程度、サライの気持ちに比べたらなんて事は無いです。」


「お姉ちゃんだね!わかったよ、今日は無理かもだけど、早ければ明日にでも治しちゃおうか、サライちゃんもそれで良いよね?」


「はい、お姉ちゃんをお願いします。」


 明日また来ると伝えて教会を出た、社宅予定地を回ってから拠点に戻る。


「あぁぁ!ヨーコ様!」


 やべぇ、ダンゴさんだ、ちょっと面倒臭いなぁ。


「ダンゴさん!お久しぶりです!お忙しそうで、お身体に異常はないですか?」


「はい、忙しいのは大歓迎でございます、それで今回はリトルティンダーの視察でまいりました、いやぁ素晴らしいですな!既に店舗ができていてあとは商品が入るだけ、それに通路も階段じゃないので商品の運搬もし易い、全てヨーコ様がやったのですよね?」


 大興奮じゃん、しかし近いな。


「私はプランだけ考えて、ほとんどドワーフ達に任せっきりですよ」


「このダンゴ、目ざとさだけは王国でトップクラスと自負しております、わかっております、ヨーコ様が表立ってその活躍を口にしない事を、大丈夫でございます」


 話を聞かねぇのは前からだから気にしないどこ。


「時計の方はどうですか?上手く行きそうですか?」


「はい、現在の進捗は約4割程ですが着実に進んでおります、上手く行けば年内にもお貴族様向けに販売ができるかと、これも一重にヨーコ様のおかげでございます。」


 いやぁ、今まじで面倒臭いな、どうにかしてこの場を離れたいな、なんか無いかな。


「ダンゴさん、ここだけの話なんですが」

「はい、ワタクシここだけの話が大好きでございます!」


 更に近ぇ……。


「今婦人会と錬金術師で共同開発している物があります、女性の生活に関するものです、ただ販路と資金的に難が出る可能性があります、もし成功すればダンゴサンショク商会の名が更に広がるかと、私からの紹介は出来ませんが、その辺の交渉はお得意ですよね?」


「ヨーコ様もわかってらっしゃる!全て語らずともワタクシ理解しました、ティンダーに戻り次第、婦人会に接触を試みてみます、情報に感謝致します、それでは落ち着きましたら店の方に顔出しして下さいませ、失礼します。」


 ふぅ、販路に関しては元々相談するつもりだったし、素材に関してもダンゴさんの商会が入る事はお互いメリットだろうから、悪い事じゃないよね?ないよね?多分。


「お!ヨーコさっきはお疲れさん!」


「オクトもお疲れ様、みんなも戻って来てるの?」


「おう、マーチとジューンとガトーが今グランドマスターんとこに行ってる、メイはさっきまでチョロチョロしてたけど、教会に行ってるかもな、お嬢とドムはさっき地下で商人に捕まってたな、なんか色々聞かれてたみてぇだけど、大した事じゃねーだろ。」


 商人達からしたら、ここは宝の山になるはず、多分エリックがその辺はちゃんと選定してるだろうから、変な輩が来る事は無いだろうな、ジューンのミライさんオペが終わったら、帰れるな、帰ったら早速ピアノ作りだ!


「お姉ちゃんただいまぁ~」


「メイちゃんおかえり、さっきナイスだったね!スパッてカッコよかったよ。」


 いつものゴロニャンスタイル、メイちゃんの頭を撫でると胸に顔を埋めてスリスリ、ごめんね~貧乳だからスリスリじゃなくてゴリゴリかも。


 私がメイちゃんに癒されているとドワーフ達も仕事が終わった様だ、いつも通りラガーと火酒を樽で出す、ぼちぼち1度帰ることも伝えないとな、明日にでも言っとくか。


 ガトー達も報告が終わったみたいだ、明日からどうするんだろう、まだ潜るのかな、ちょっと後で聞いておこう。


 今日の夕飯はダンジョン打ち上げで、ガトーの希望でバーベキュー、なんか2日置きくらいでバーベキューな気がする、しかし今日はちょっと違う!タレを作る事にしたのだ、まずはポン酢、この世界にも酢はある、前世よりも酸味が弱く柑橘系を加えて酸味を強くする、ミリンが欲しいが砂糖で代用しよう。


「こんなもんかな、ちょっと甘いかな、まぁ及第点だな。」


 次にニンニク、しょうが、ゴマ、砂糖、柑橘、醤油、酒、で特性焼肉タレ、ニンニク強めでパンチを出した醤油ダレ。


 味噌ダレは味噌を酒で伸ばして砂糖とニンニク、しょうが、最後に醤油ダレを少しまぜて味噌ダレ完成。


 ラガーとワインを樽で出して、ウイスキーのボトルと炭酸水、各種リキュールも出して肉も山盛りドン!さぁ宴の始まりだ!


 焼肉のタレは好評だった、この世界のバーベキューは基本肉を丸焼きにする、焼けた所から削いで食べる、シュラスコみたいな感じ、でも私のやるバーベキューは、肉を切って炭火で焼く所謂焼肉スタイル。


 バーベキュー用に作ったトングでさえ珍しいものらしく、便利な物だなぁと感心していた。


 この方法のバーベキューを1番気に入ってるのはガトー、焼肉のタレを付けた肉を食べた時の喜び方は印象的だった、そんなガトーがボソッと「引退したらヨーコ式バーベキューの店でもやるかな」と、実際こういう料理を食べさせる店は無い、やりようによっては成功するかも、ガトーがタレのレシピを聞いてきたから素直に教えたよ、恩人だからね。


 それに食文化が発展するのはいい事だ、前世の日本が海外から旅行地として受け入れられたのは、観光地も然る事乍ら、徹底された衛生管理と新鮮な食材、豊富な調理法で提供される様々なメニューもかなりのウエイトをしめていたと思う、日本食を食べて驚く海外の人の動画をよく見ていた、旅行に来た外国人のリピート率が高いのは、飲食店の皆さんの努力の賜物だろう。


 だからガトーが引退後、飲食店をやるなら喜んで色んなレシピを渡すつもりだ、私の料理を1番ガツガツ喜んで食べてくれる彼に、私の喜びを分けてあげたいからね。


 宴もそろそろお開きだ、片付けをし終わった元気な男衆は、ゲーム部屋に集まりゲームタイム、女性陣は食後のデザートでバッカスの桃を食べた、メロンが甘いんだから桃だって甘いだろう、そう思って食べたら案の定、天にも登る至高の甘さ、幸せな気分で夜の時間を過ごした。




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