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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
24/49

そのスタイル、私がプロデュース。

ストックが切れました、今後は週に1~2話更新目安にしてます。

 今朝も早から頑張りますか!いつも通りに全員分の朝食作りをしていると、「ハイホーハイホー」と野太い声、酒焼けにも似たしゃがれた声で歌いながら行進するドワーフ、私は朝食を作り終えてからドワーフの様子を見に行く事にした。


 ドワーフを遠くから見る分にはコロコロしていて可愛らしい感じだが、腕は女性の太腿くらいに太く髭もじゃ、体臭含めて全てにおいて酒臭い、それなのに綺麗好きで毎日水浴びを欠かさない、石鹸をあげたら喜ぶ前に何で作られているのか調べる程勉強熱心。


 常に新しい物への好奇心が強く、初めて見る物にはへばりつく習性がある、初めてコンクリの匂いを嗅いだ時なんか、足跡をつけたり、手形をつけたり、本能よりも好奇心が先に立つ猫に似た連中だ。


 ドワーフが猫っぽいと表現したのには理由がある、似ても似つかない両者だが、飽きっぽい所はそっくりで、関心が無くなると勝手に居なくなる、よく説明の途中で居なくなったりするので、鉄拳制裁で何度も押さえつけた。


 興味の有る仕事に関しては本当に真面目、食事を忘れて熱中する、その代わり酒は常に飲んでいる、汗をかいたら水替わり、休憩時間のお茶替わりと仕事中だろうがお構い無し、酒を飲まないと仕事が出来ない極度のアル中集団。


 私の師匠である親方も、夏場の昼休憩で食事に行くと必ず一杯飲んでいた、私がそれに意見しようもんなら「馬鹿野郎、この暑さで酒なんざすぐ抜けらぁ」と逆ギレされる、そして本当に事故や間違いが起きないのだ、あれは不思議でしょうがなかった。


 そんなアル中集団ドワーフ達の行先はホテルの建設現場、先日チラッと見た時には4階部分まで終わっていた、魔法使いがマジックポーション片手にフル稼働、私も上層階にコンクリを流し込む用に魔物革製、ジョイント可能な極太ホースを渡しておいた、吸い上げの魔法陣が付与されており、地上からコンクリを吸い上げて上層へ流す、これを私が渡すまでは人海戦術でやっていたと言うのだから恐ろしい。


「魔法陣じゃなくてポンプなんかの構造を教えなきゃだ、基本手作業は私なんかよりも数倍上手いし、左官屋さんにあんな連中が居たら助かるなぁ、早いし綺麗だし、ちょっとしたミスも見えなくしてくれるんだろうな~」


 実際私も何度か左官屋さんに助けてもらった事がある、人には言えない様なミスもそのコテで塗りつぶしてくれたっけ「修正しといたから次から気をつけな」って終わった後に言ってくれてさ、密かに想いを寄せていたけど、綺麗な奥さんが居たんだよ、でもバレンタインとかあげたんだ、ちょっとお高いチョコレートと、モルタルで汚れていたジャンパーの新しい奴、次に現場で見た時に着てくれててさ「これサンキューな!あったけぇよ。」って、お礼の言葉聞いた時、すっげぇ嬉しかったなぁ。


 昔の甘酸っぺぇ記憶を思い出しながら歩いていると、数人のドワーフが大きめの木の板を持って階段を上がって行く、あんな板何に使うんだろうと思って見ていると、1人のドワーフが怪我をしたらしく、担架代わりに使った様だ、私は怪我の状況が気になって怪我人の方へ向かった。


「大丈夫、どういう怪我?」


「足を折ったんだぞおいっ!折れた骨が出て来たから運んだ!」


「大怪我じゃない!ポーションとかあるの?」


「酒飲めば治るぞおいっ!」

「治んねーよ!馬鹿言ってないで見せてみなさい。」


 阿呆なこと言ってるドワーフの太腿から折れた骨が飛び出していて、出血もしていた、私は麻酔効果のあるポーションを患部にかけてからジューンを呼んだ。


「ジューン治りそう?」


「1回足を開いて、飛び出した骨を元に戻してから回復させないと長引くわね、でも大丈夫よ治るわ。」


 そこからは中々のスプラッタで怪我したドワーフは途中で気を失っていた、自分の足が魚みたいに開きにされてるんだからそりゃぁ気も失うさ、ジューンは骨を合わせてから魔法で骨を治し、開かれていた足も魔法で治していた、出血が無かったのはジューンが血液を操っていたのだろう、意識を取り戻したドワーフは元通りの足を見て


「オッパイの姐さんすげえなおいっ!」

「ゴスッ!!」


 余計な一言を言った瞬間、ジューンから顔面に拳が埋まるくらいの打撃を受けてまた気を失った、生きてんのかコイツ……。


「ジューンもそう言うの気にするんだね?」


「いえ?全く気にしないですよ?自慢の身体ですから、ただ流れでやった方がいいのかと思って、ふふふっ」


 こっわ!!そんな流れ作業で顔面おしりの穴みたいになったドワーフ、これに懲りて余計な口をきかないようになれると良いね。


 それにしてもドワーフ達の仕事が早い、この様子だと後5日~7日くらいでホテルの外回りは出来上がるかも、内装工事で更に1週間~10日かかったとして…ヤバっ!この規模の建築物が1ヶ月で出来ちゃうじゃん、コンクリの内部が完全に乾くまではそれこそ年単位だろうけど、魔法ってマジで凄っ!


 ドワーフ達の様子を見終わり仲間の所に戻ると、ダンジョンに向かう準備をしていた、ダンジョンも50階層まで攻略したら私達はティンダーに戻る予定、あと少しで終わるし街に戻ってからやる事を考えなきゃ。


 さて、私が今までやってきた事を整理しようかな、砂糖の普及、腕時計の製造法、馬車の改良、蒸留酒の開発、女性関連のものづくり、ダンジョン街の設備、魔法陣知識の復活、ツーバイフォー、RC、SRC工法関連の知識提供と、こんなもんか……。


「あと私の出来る事は何があるかな、建築以外では簿記とか?娯楽を楽しむにはまだ早い気もするし、農業とかなら浅知恵だけど多少は知識もある、メイちゃんもいるし色々出来るだろうな、ってダメだ!仲間を頼るのは知識だけにしなくちゃ、あの子達の力は桁外れだから人が真似出来ない。」


 この世界の人が自分達の手で作って、初めて私の転生した意味があるんじゃないかな、ティンダーの街だけじゃなくてもっと広い視野を持たなきゃ、工房には沢山の素材があったけど無かった物も沢山あった、チート頼りで忘れかけてたよ、ヴィラー様は色々作れって送り出してくれたんだった、ライカにしてもこの世界で生きやすいように体を作ってくれたんだ、よしっ!落ち着いたら他の街にも行ってみよう。


 さて、新たな目標も出来たし巡回でもしますか、真っ先に向かったのはホテル、現在5階部分に取り掛かっている、今回はフロア毎に仕上げで行く方法を取った、ドワーフ達の理解が一番早かったので、問題があるとすれば上層に行くに連れて、建物に歪みや亀裂が入ってしまう可能性がある事、それでも対応出来るように強度は過剰な程にしている。


「何か問題はある?」


 現場監督をやらしているドワーフに声を掛けると


「問題ねぇぞ!水が下に溜まるのが気になるだけだ、取水パイプでそれも解決した」


「なるほど、どうやったか見てもいい?」


「いいぞ!案内するぞ!」


 監督ドワーフに案内されて水の溜まった場所に行くと、足首くらいまで水が溜まっていた形跡があった、先の方には穴が空いていて、ドワーフの説明だと溜まった水は浄化槽へ流れる様にしたらしい、これなら大雨が降って地下に水が溜まって溢れ出て床上浸水なんて事も無いだろう。


「図面に無かったのによく作ったわね」


「おいっ!ドワーフは毎日学ぶ、酒女神様の知識からヒント貰う、失敗怖くない、毎日試す、作る、新しい物生まれる、酒女神様の言葉だぞ、おいっ!」


 酒女神が誰かは放置して、素晴らしいよ本当に、改善点があれば色々試して試行錯誤した結果、前より良い物が作れる、ドワーフ魂って素晴らしい!図面が全てだった私には出来ない事だ、彼等は図面と現場を見ながら最善を尽くす、本当の職人だ。


「凄いじゃない!!流石ヴィラー様の眷族ね、私も貴方達から学んだわ、ありがとう。」


「照れるだろおいっ!儂らも酒女神様から毎日学んでいるぞ、若い奴らギラギラしてるぞ、新しい風だぞおいっ!」


 いやぁ、私いい気になってました、天狗になってました、ちょっと昔に親方もなんか言ってたなぁ。


「図面通り作るのは誰でも出来る仕事、だが使うのは他の人だ、その人達が後悔しない物を作るのが職人の仕事、職人が図面を鵜呑みにして不便な物を作り始めたら進歩は無い、同じ箱を作って楽しいか?」って。


 でも私は図面通りが当たり前と思っていたし、それが私の仕事だと、図面を渡されて、ここにこれ必要か?とか思いながらも、考える事を放棄して図面通りに建てていた、前世ではそれが当たり前って、親方を生きる化石みたいに言った事もあった、その時の親方の寂しそうな顔を今でも忘れられない。


 親方の時代はこのドワーフ達みたいに、使う側に寄り添っていたのかも知れない、日本だって発展する前はそうやっていたんだろうし、考える職人が多かったんだろう、技術を持った職人も多かったんだろう、ドワーフ達に言った言葉とは裏腹に私は過去を思い出してしまう、反省だ、考えを改めないとすぐにドワーフ達に置いて行かれる、ここは発展した前世じゃない、私は一からやり直すぞ!


「あぁ~なんか泣きてぇ、親方に愚痴りてぇ、慰めてもらって頭撫でてもらいてぇ、ってお前が撫でんな!くっそぉ撫でられると悪い気しないのが腹立つわぁ、もっと優しく撫でろっ!」


 私の独り言を聞いて監督ドワーフが困り顔しながら頭を撫でる、酒臭いし手はゴツゴツしてるし、力加減は下手くそだし普段なら殴り倒してんだけど、今はあったけぇって感じる、情緒不安定?当たり前だろ!何不自由ない世界からトイレットペーパーすらない世界に来たんだから、情緒が安定して俺TUEEEEやハーレムしてる奴の方が異常だろ!


「よしっ!ありがとう!もう大丈夫!後で火酒出しとくから好きなだけ飲んで!お礼よっ」


 立ち直った私を見て、ふふんと笑う監督ドワーフ、火酒の単語にも動じない……いやめっちゃ手が震えてんじゃん、自制心で抑えてんだな、可哀想だから私は他の現場に向かった、現場から出て歩き始めるとホテルの方から「ハイホーハイホー」と上機嫌なドワーフ達の歌声がする、まさかドワーフにわからされるなんて……。


 気を取り直して次はクランハウスの現場へ、ホテルへのコンクリを優先させたのでクランハウスはまだ土台部分と鉄筋だけがある状態、ここに木製パネルで型を取り、中にコンクリを流し込む、図面上、通気性が悪いので換気にはかなり力を入れた、カビだらけになったら嫌だからね。


「クランハウスの方は特に問題無さそうね、この段階で問題なんて中々起きないけどさ」


 各クランハウスの敷地を見て回る、その先にはこの街で働く人達の為の社宅を作る予定、ファミリー向けに20戸、単身者向けに3階建てマンションを2棟、ホテルが終わったらクランハウスと同時進行する予定。


 ファミリー向けの住宅は木造建築のため、既に何戸か建っている、5LDKで統一していて小さな庭付き、グランドマスターの話では、この街で働くのはギルドでも花形で給料も高めの設定だそう、確かに王国の目玉になる訳だし、エリートが集まるんでしょうね。


 マンションに関しては男女分けるつもり、恋愛とかは自由にやって貰って結構だけど、節度のない人間も中にはいるだろうからセキュリティ高めにする。


 街で仕事をする人全員分を賄うにはあと1棟必要だけど、商人や飲食店で働く人なんかは、ティンダーから毎日通勤するから作っても空き部屋祭りになる、余ったら冒険者にと考えたけど、冒険者は素性の怪しい人が多く管理しきれないとグランドマスターが言っていた、いやアンタが言うなとも思ったけど実際そうなんだろう。


 ご近所さんが集まれるカフェとかあった方がいいかな、一応教会とかもこの後作る予定だし、土地もまだ空きがあるから、公園予定地の端っこに作ろう。


「教会は誰を主神にするかよね、ライカ?ヴィラー様?両方が良いかしら」


『私なんかおすすめよ、ヴィラーもライカも既にあるのでしょう?』


 うっ、なんか聞こえた。


「あの、どちら様でしょうか……。」


『自己紹介もせずに突然ごめんなさいね、私は大地と豊穣の女神アース、大地母神アースとも呼ばれております、貴女が名付けてくれた「メイ」の母です。』


「メイちゃんのお母様!初めまして、ライカとヴィラー様に転生させていただきました、長谷川洋子です、よろしくお願いします。」


 なーんとメイちゃんのお母様が来ちゃったよ、名前大丈夫だったのかな、勝手に付けちゃったけど。


「あの、メイちゃんに勝手に名前付けちゃったのすみませんでした、本人には気に入ってもらってるみたいですけど、アース様的には大丈夫だったでしょうか?」


『えぇ、とても可愛らしく呼びやすい名前をありがとう、メイもすぐに報告に来てくれました、良き名前を感謝します。』


 良かった~「何勝手に他人の家の子供に名付けてんだコラァ」とか言われなくて、それよりさっき主神の事言ったら自分がおすすめって言ってたな。


「えっとアース様の教会は無いのですか?」


『私が主神として祀られる所はありませんね、大地に暮らす人々にはあまり知られて無いのかもしれませんね、悲しいです、悲しさの余り大地を揺らしてしまいそうです。』


「待ってください!揺らさないでっ!今揺らされたらアース様を信仰する者が居なくなります!」


 暴れちゃダメだよ!地震が起きちゃうから!


『冗談ですふふふっ』

「冗談かよっ!シャレになんねーわ!あっ!すみません、ちょっと口が滑っただけなので暴れないで下さい。」


 やっべ!暴言吐いたかも?


『大丈夫よ、私はそのくらいで怒ったりしないわ、包容力の塊ですから』


『ちょっっと待ったぁぁぁ!!誰が包容力の塊ですって?この貧乳!!』


『チッ!やかましいのが来たわね、今大事な話しをしているの邪魔しないでライカ!』


 ライカが来たの?私呼んでないよ?何しに来た?


「ライカ久しぶりだね、どうしたのよ?」


『えっ?なんか私の扱い軽くない?ってちょっとヨーコは私の使徒でマブダチなの、アースが入る隙なんて貴女の薄っぺらい体でもこれっぽっちも無いんだからね!』


 えっ?いつマブダチに?ちょっと話しをしただけでマブダチ認定とか、もしかしてライカってぼっち女神か?


『へぇ、薄っぺらい?貴女の教えよりは分厚いわよっ!何なのかしらあの他人任せの教え、反吐が出る!ペッ!』


 おっ!!良いぞ良いぞ!やれやれー!巨乳女神と貧乳女神のキャットファイトなんて中々見れないぞ!


『ヨーコ、すまんなこやつら仲が悪いんじゃ』


「あれ!ヴィラー様?せっかくなんで喧嘩でもなんでもやらせましょう、私には止めれないし、あ!そうだ一杯やりますか?火酒出しますよ!ツマミ代わりにキャットファイトとか珍しいじゃないですか?」


 私がヴィラー様にジョッキを出して火酒を注ぐ、私もハイボールを注いでカンパーイ。


『『そこの2人!酒盛り始めねぇで止めろや!』』


「チッ!バレた。」


『お主らが程度の低い争いなんぞするからじゃ、そもそも原因はなんじゃ』


 これまでの経緯をヴィラーに話した。


『うむ、確かにアースの言い分もわかるのぅ、ヨーコよアースが大地母神であるのは聞いたと思うが、人々は大昔にあった地揺れが大地母神=破壊の女神の怒りと勘違いし、讃える事を敬遠しとる、アースがその気になれば草木は枯れ果て死の大地になってしまうのにな、それをしないのは今でも人間を信じているからじゃ』


 まさに被害者女神じゃん、包容力って……確かに人々からの信仰が少なくても、我慢して作物を実らせてるんだから優しい女神ではあるんだろうけど……。


「ヴィラー様、ありがとうございます、アース様のお気持ちもよく分かりました、ライカはなんか言いたい事あるの?あるなら今のうちに言ってスッキリしたら?私は誰の味方もしないけどライカだけ黙ってこの場を去るのはフェアじゃないからね」


『なんで私だけ呼び捨てなのよ……』

「だってマブダチなんでしょ?それともよそよそしくした方がよろしいでしょうか、ラ・イ・カ・様?」

『ヤダヤダッ!今まで通りがいい!』


 ったくなんなんだよ面倒くせぇな。


『いいことアース!今回は()()マブダチに任せるわ、確かにアースを主神として祀る寺院や教会は無いものね、私が言い過ぎたわ、でも忘れないで、ヨーコは()()マブダチなの、取ったら泣くから大号泣するんだからねっ!』


『そんな事しないわよ、私は子供に素敵な名前を付けてくれた彼女にお礼をしたいだけ、確かに私を祀ればダンジョンの崩落は無いし、この周辺は私の祝福でどんな作物でも育つだろうけど、小さくても良いの、1人でも私に祈ってくれるだけでも、だから主神に祀られなくても良いの、ライカの方がメジャーなのは私も知ってるから、ライカの隅にでも置いてもらえるだけでもね。』


『ちょっとアースそんな……なんかごめんなさい、やっぱりヨーコ、彼女の像を作ってくれないかしら?マブダチとしてお願いしたいの、彼女の方が相応しいわ。』


 うわぁ目の前で私の知ってるチョロ女神が軽く転がされたわ、大地母神アース様やるわね、でも嫌いじゃないわそういう強かな女性って、でもダンジョンの崩落事故とか無いならアース様の像が最適よね。


「わかったよ、ライカの言う通り、この街を見守る主神はアース様にお願いします、それにメイちゃんが頑張ってくれたおかげでこの街が出来たようなもんだし、アース様がどんな考えでいようとも、私の信仰対象はライカで尊敬するのはヴィラー様だから、アース様には結果を出して貰って人々に認めて貰いましょう、そうしたら他の場所でもアース様が祀られて信仰されるだろうから。」


 ライカを転がして良いのは私だけ、アース様には結果を出せと釘を刺した。


『あぁ~もう、ライカごめんなさい!私、今罪悪感で押しつぶされそう、ヨーコさんはわかってるみたいだけど、本当に私で良いの?』


「はい、今の言葉は好感が持てました、アース様がお優しいのも分かりました、作りましょう立派なアース様の像を、あと貧乳の同志として多少盛ることもやぶさかではないです!」


『え?何?何なに?私二人の会話の意味が分からないんだけど?』


「わかんなくていいの、ライカはそのままで大丈夫だから。今夜工房で像を彫ります、アース様、その時お姿を拝見してもよろしいでしょうか?」


『えぇ!大地母神のくせに貧相な身体だけれど、お願いね。』


 その後手の空いたドワーフに教会を作るようにお願いすると「ヴィラー様の教会か?」って聞かれたけど、私の尊敬する同志の女神様を祀る教会だから、手を抜いたら髭を全部抜くぞって脅しておいた。


 さて、神様の醜い争いが終わる頃には日が傾いてきた、夕飯作らないとね、みんなお腹空かせて帰って来るだろうから、やっぱり肉かな、肉屋さんで手に入れたお肉がまだあるからファミレスの定番ミックスグリルにしよう、後はミックスグリルにはライスでしょ!工房で炊いて持って来れば行けるはず、今日はちょっと落ち込んだからライスにしましょう!


 お米を食べるとなると自然に鼻歌を歌い出してしまう、醤油が作れたらどんぶりもん行きたいよね、親子丼、牛丼、他人丼、カツ丼、天丼、あとカレーだよカレー!ダンジョン最終日に間に合うようにスパイスを調合してみるか。


「と言うことで、馬車経由工房行き~」


 工房に入ってまず米を研ぐ、水を入れて火にかける、その間火酒やらワインやら果実酒を仕込む、それが終わったら米の火加減調整して、炊き上がりを待つ、付け合せ用の野菜もいくつかカットしていこう、アスパラっぽいのは食べて美味しかったから今日はそれにしよう。


「前に作ったミンサーも持って行くか、色々使えるもんね、この前のハンバーガーは包丁で叩いたから疲れたし、あとは~」


 ブツブツと独り言を呟きながら工房を出た、後はキッチンで料理してみんなの帰りを待つか、そろそろドワーフ達が戻って来るから火酒を出しとかないと、約束だしタップリと40樽ね。


 ドワーフ達が飛び跳ねながら酒樽を抱えて行った、ミンサーに牛肉を入れてグリグリ、豚肉もグリグリ、出来上がったた挽肉にパン粉と牛乳、卵を混ぜて捏ねる、ハンバーグの中に棒チーズを仕込みタネが完成、次はチキンソテー、これは塩コショウで味付けるだけ、皮目はパリッとさせるのが美味しさの秘訣、真ん中にはティンダーで買った大きな腸詰。


「よしっ、あとはアスパラに肉を巻いてサイドにさり気なく、付け合せのポテサラの上にチーズ乗せて炙って出す、これが美味いんだよ。」


「お母様ただいまぁ~あれ?違う?お姉ちゃん、お母様が来てない?」


「メイちゃんおかえりなさい、お母様?あ~えっとねぇ」


 目をキラキラさせながら戻って来たメイちゃんに昼間の経緯を話す、時折寂しそうな顔するけど、ダンジョン街の教会にアース様の像を祀るって言った時には、それはもう満面の笑みで私にしがみついてきた。


「どうしたメイ、何時にも増してヨーコにベッタリだな、ほらヨーコの邪魔になるから行くぞ。」


「オクト大丈夫よ、気にしなくて平気だから、私もメイちゃんとベタベタするの好きだし。」


「そっか、ならいっか、俺達はグランドマスターの所に報告行ってくる。」


 オクトとジューンはグランドマスターに報告に向かった。


「ヨーコ、アース神の加護が着いてるよ、メイがくっつくのも無理はないかな。」


「加護?いつの間に?そんなん貰ったら大変なんじゃない?なんか使命とか言われても困るよ?」


「大丈夫だよ、お姉ちゃんは居るだけで良いの、メイが頑張るから、お姉ちゃんメイを置いて離れないでね。」


 離れまてん!甘えん坊のメイちゃん可愛い!頭撫でちゃう、サラサラで柔らかい髪の毛、ずっと撫でていれそう。


「マーチも撫でてあげようか?」


「なっ!大丈夫だよっ、べっ別に羨ましいなんて思って無いんだからねっ!」


「照れるな照れるな、ほらこっち来なさい」


 プイッっと顔を背けながら頭をスッと出てきたマーチ、私とメイちゃんの2人で頭を撫でてやる。


「もう大丈夫、悪くないね、人族がなんで触れ合うのかわかった気がする、安心するんだ、誰かに触れられると。」


「今度はヨーコにしてあげるよ、やられっぱなしは悔しいから、ほらメイもやってみなよ」


 マーチとメイちゃんのぎこちない手つき、悪くない、ホッとするし安心する、たまにはこうやって甘やかされるのも良いな。


「さて、夕食の仕上げをしなきゃ、メイちゃん手伝ってくれる?」


「は~い」


 フライパンでハンバーグを焼き、もう1つのフライパンでアスパラ肉巻きを焼く、チキンソテーは完成してるから温める程度、ボイルした腸詰も乗せて~


「はい、出来上がり、今日はパンじゃなくてライスにしたよ、苦手な人はパンもあるからね。」


 最近では宿屋の食堂でみんなで食べている、私達を含めみんな宿屋で寝泊まりしていて、使い心地を試す名目で無料にしてる。


「うおっ!美味そうだな、俺はコレ知ってるぜ、東の街ミルザの主食のライスだな、昔の勇者が広めたってやつだろ!俺はライスで行くぜ」


 ガトーがライスを見てそんな事を口にした、昔の勇者って日本人じゃね?少なくとも米主食なんてアジア圏の人間の可能性が高いよね!今度ライカに聞いてみよう。


 それぞれがライスとパンの両方を食べ比べしている、ガトー何杯食うんだよ、グランドマスターは酒のツマミにミックスグリルを楽しんでる、私はライスにお肉をワンクッションしてから頬張る、美味ぇ、濃い味が口にある間に米を口に放り込む、うん最っ高!そしてハイボールを腹に流し込む、これ至高だわ。


「毎回思うんだけどよ、嬢ちゃんの食い方美味そうに食うよな、腹いっぺぇなのにまた食いたくなる。」


「「「本当にそれな!」」」


 全員揃ってんな事言われたら食べづらいだろ、黙って食え!


 夕食の片付けは最近男衆がやってくれる、私がボソッと「賄い婦じゃねぇ」って言ったら、ギルド職員達とガトー達が慌てて手伝うようになったのだ。


 夕食も終わり、メルティとジューンがお風呂に向かった、私は馬車に行ってから工房に入る。


「メイここで待ってるね、お母様の像1番に見たいから!」


「うん、待っててね。じゃぁ行ってきます。」


 メイちゃんを馬車に残して工房に入った。


「アース様、来れますか?」


『は~い、今行きます、実体化出来るかしら、久しぶり過ぎて、えっと確かこうかな?どっせい!!』


 目の前がピカッとひかり、その姿が現れた、髪はブラウンでロングヘア、頭には月桂樹の冠、緑色のドレスにレースのストール、手には果実を付けた枝を持っている。


「想像していたよりも綺麗でビックリしました、女神様達ってみんな綺麗なんですね」


『わおっ!初めて言われたかも、綺麗か……私なんて神の中ではモテないから、いつもライカと2人で最下位争いしてるのよ。』


「神様って見る目無いんですね、見る目の無い男神なんてろくでなししか居ないから気にしない方がいいですよ、はぁ~眼福眼福!」


 私はユグドラシルの枝を持って来て、目の前のアース様像を彫り始めた、確かにライカとかに比べたらスリムなスタイルだけど、背も高いし脚も長い、多分ドレスがいけないんだな。


「アース様、正規のドレス姿の他に、私がイメージしたドレス姿の像を彫ってもよろしいでしょうか?」


『えっえぇ、かまわないけど、理由を聞いても?』


 ドレスが合ってねぇなんて言えないけど、言い方を変えて~


「アース様のスタイルを更に綺麗に見せるドレスを私は知っています、手脚が長くて細身、それでいてヒップラインは女性らしく美しい、そんなアース様にピッタリだと確信してます。」


『うふふっ楽しみかも、気に入ったらずっとそれにするわ、前のは男神に「土臭そう」とか散々言われたから、とりあえずソイツはボコっといたけどね』


 それは酷い!ボッコボコの刑で当たり前だ!


 とりあえず、正規品は出来た、Aラインに近い型なのかな、それじゃ身長ばかり目立って色っぽいヒップラインが出にくい、私がイメージしたのはこれだ!1・2・3


「とりあえずデザイン画を書いてみました、これはマーメイドスタイルで長く美しい脚を見せるため深めにスリットを入れました、靴はサンダルじゃなくてヒールを履きます、更にスタイルを良く見せるからです、デコルテも本当に綺麗だから見せちゃいましょ、手に持つ枝はワンポイントアクセサリーに、胸元はレースで飾りボリュームを演出、色はやっぱり緑色、緑は癒しのイメージ色なので、アクセントとして腕には3連のブレスレット、ゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドで月桂樹をデザイン彫りした物を。」


 イメージがあるうちにやっちまえ!


「ふぅっ、出来上がりました、どうですか?」


『これが私の像?凄く素敵、ちょっと待ってね、えっとこうかしら、えいやっ!』


 メイちゃんの掛け声はこの人の影響だな、光がアース様を包むとあら不思議、私が彫った像と瓜二つのアース様、実物の方が数段良いわ~


「やっぱりスタイルが良いですね、素敵ですよ、ライカ、居るんでしょ?出てきなさいよ」


『えぇーなんでわかったのよ!』


「いや、あの昼間の様子なら絶対見てると思ってさ、んでどーよ、私プロデュースのアース様は」


『ずるい』


「いや、そうじゃなくて、見た感想だよ、妬む前になんか感想ちょうだいよ。」


『綺麗でずるい、私の知ってるアースじゃない、こんなのモテないはずがない、ずるいっ!何なのかしら、私こんなに妬み言う性格じゃないのに、今のアースを見ると妬みしか出て来ないの、やっぱりずーるーいー!!』


「ズルくない、元々持っていたスタイルを活かして無かっただけ、本当は髪もアップにしてうなじとかも見せたかったんだけどね、女神様のイメージとかあるでしょ?色っぽくなり過ぎちゃうからさ~」


 アース様を下からガンを飛ばすように見ているライカ、時折舌打ちが聞こえるが、当のアース様は御満悦。


「外でさ、メイちゃんが完成を待ってくれてるからこの辺でお開きにしようか、アース様、どっちの像を教会に納めますか?」


『新しい方が素敵、メイにもこの姿見て欲しいし、こっちでお願い。』


 それから私は魔石を仕込み、魔法陣を付与していく、私の付与以外にもアース様が豊穣の加護を直接付けていた、これまたヤバいんじゃね?まぁ付けちゃった物は仕方ない、私は責任もって怒られるよ。


 工房を出ようとしたらライカが次は私の!ってうるさかったから「次ね」って言って逃げてきた。


「メイちゃんお待たせ、出来たよアース様の像、見る?」


「見る!」


 まず最初に見せたのはデフォの方、メイちゃんはお母様だって言って撫で回している、次に出したのはチューンナップしたアース様、最初はジッと見てから私を見てまた像を見た。


「綺麗なお母様だ~お出かけ用?」


 確かにお出かけ用かも、でもこれがデフォルトになるんだよ今後は。


『メイ、ヨーコが作ってくれたの、貴女が頑張ってくれたお礼ですって、ありがとう、本当に嬉しいわ。』


「お母様、凄く綺麗だよ、メイはこれからもお姉ちゃんの為に頑張るから見てて。」


『えぇ、いつも見守ってるわ、其方のあなた達も、メイの事よろしくね』


 いつの間にか近くにいたマーチ、オクト、ジューンにアースが声を掛けた、3人とも頭を下げていてアース様を見ない、まぁ自分の属性神じゃないからかもだけど、あれが精霊の礼儀なのかな?


 アース様はフッと姿を消した、私は教会が出来上がるまで像をリュックにしまって置くとメイちゃんに伝えておく。


「メイちゃんお風呂は?」


「お姉ちゃんと入る!」


「そう、みんなも宿に戻ろうか」


「だな、マーチラスト1勝負頼む!次は良い勝負になるはずだからよ!」


「オクトはリバーシが好きだね、あと1回だけだよ?」


 マーチはオクトに付き合わされてんのか、この中じゃオクト最弱だもんね。


「メイ、良かったわね、お母様に会えて」


「うん、ジューンも会えると良いね」


「ふふ、そのうちね」


 他の3人の神様ってどんな感じなんだろ、そのうち会えるかな~

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