フィールドフロアのおっ宝!
朝食を終えた私達の目の前には、何故かリトルティンダーの計画書がある、それを持って来たのは執爺、エリックのつかいで来たようだ、現在エリックはスラムを取り壊し、砂糖工場の建設にかかりっきりで、ダンジョンの事はグランドマスターと私に任せたいと、何故私?と思いながらも呼ばれたなら仕方ない。
「んで草案がこれって事ね、まぁバランスは良いんじゃないかしら、宿屋が必要以上に多い気もするけど」
「全部建てても半分以上が空き地だな、んで領主様はこれをどうにかしろと?」
執爺が困った顔で「その通りでございます」、まぁエリックからしたら片手間で街作れって言われても、必要最低限の物があれば大丈夫だろ?後は必要だと思ったら作れって感じなんだろうな。
「グランドマスター、王国の冒険者ってどれくらい居るんですか?」
「ザックリと計算しても3万人は居ないくらいだ、身分証代わりに登録する奴らも居るから、実質活動してんのは半分以下だろうよ。」
意外と多い気がするけど、私も最初は身分証欲しさに登録したんだった。
「マスターの選抜した攻略パーティーの数はどれくらいですか?」
「あぁ、エレメントと灰色の剣を含めりゃ30パーティーだな、打診はしてるがまだ返事をもらってないパーティーもいくつかある、ダンジョンに来るのは20パーティーくらいだろうな。」
マーチから、ダンジョンに1度に入れるパーティー人数の上限は10人と聞いている、それ以上になると見えない力によって弾かれるらしい、転移陣もゲートキーパーの部屋も入れない、どんな力かは分からないが、ダンジョンでカウントしているのかも知れないって言っていたな。
「なら、攻略パーティーのクランハウスにしたらどうですか?賃貸にして毎月賃料を取る、建物は貴族が住んでもおかしくない立派な物を用意して。」
「んで、クランってなんだ?」
あ~そこからか、グランドマスターにクランのメリットデメリットを説明、クラン証があればダンジョンへの入場料が無料になるとか、この街で生活する上での優遇措置を設けるとか、最後にギルドでルール無用の冒険者達を管理しやすくする為だとか色々説明したよ。
「なるほどな、攻略パーティーをトップにした集まりって事だな、んで所属の冒険者が問題を起こしたら所属クランにペナルティが行くと、最終的にタチの悪い連中は居づらくなるって事か、うーん、理想ではあるが……。」
「勿論さっき言ったようにデメリットもあります、クラン同士の足の引っ張り合いとかもね、その為には互いのクランに対しての不干渉のルールや公正公平なギルドの存在が無ければいけませんが。」
冒険者は自己顕示欲の強い人間が多い、俺TUEEEE系も居れば俺賢い系もいる、互いが互いを認めない、そんな連中だからそれを上手く使う、力任せのダンジョン攻略も、魔物に対しての知識やアイテムも必要、それぞれの特化した能力をギルドは加算点として公表する、それぞれのクランを最終的には、ダンジョン攻略の専門店みたいに私はしたい。
「マスターが声を掛けたパーティー全部が武闘派って訳じゃないんですよね?ならどんな冒険者にもチャンスは必要だし、未知への挑戦に必要なのは総合商社よりも専門店ですよ。」
「ヨーコの考えは理解した、もう少し詰める必要はあるが、新しい案としては面白い、だが間に合うのか?王族からは3ヶ月後には形にしろって言われてんだが」
「資材さえあればドワーフ達がその半分で仕上げますよ、仕事は早いんですよ彼等。」
仕事も早い、飲み込みも早い、足りないのはそれ以外、致命的に足りないのだ。
「ドワーフ達はお前の何だ?いや違うなお前はドワーフ達の何だ?が正しいか。」
「同志ですよ。」
笑いながら応えた「ドワーフ姐さん」とか言われたく無いから。
「んじゃ私は行って良いですか?」
「おぉ、出発前に悪かったな、怪我するなよ、ハンカチ持って行けよ、あんまり遅くなるなよ。」
「オカンかっ!!」
軽くコントを終えて仲間の元へ向かった。
「ごめーん待ったよね?」
「いや、今準備が終わった所だ」
えぇっ!?私としては「待ちくたびれたぞ!」の返事に「そこは今来たって言うのよ」ってやり取りをしたかったんだけど……
「直ぐに準備するね!」
「気にすんな、慌てて忘れ物すんなよ。」
私が馬車でゴソゴソと準備をしているとコンコンとノックされた。
「ヨーコぉーきちゃった~」
「うっうん、どうしたのメルティ調子悪そうね、大丈夫?」
「アレが来たの」
……!あぁ!
「あら大変、痛い?」
「大丈夫、薬飲んだから、でも……」
「これ使ってみる?」
私は試作品数枚をメルティに渡した、馬車の中で使い方を説明、浄化をしてから使用した。
「ちょっとゴワゴワするかもだけど、多分他の人にはバレないと思うわ。」
「ありがとう~ジューンさん達に相談したら、ヨーコに聞いてみてって言われて、ごめんね~」
まぁ女子あるあるだし、ジューン達は知らないからね、その辺も教えておかなきゃだなぁ。
「使った感想教えてね、まだ試作品だからさ。」
「うん」
メルティに私特製の鎮痛剤も渡した、これも錬金術師会に作ってもらっているから、そのうち市場にも出回るはずだ。
その後もメルティが子猫の様に甘えてくる、確かに辛いからね、今日は甘えさせてあげよう。
「ねぇねぇヨーコ、コレ凄いね、全く気にならないよ?」
「もし違和感が出たらすぐ交換するのよ?沢山あるからこまめに交換してね。」
そうこうしてるうちに21階層に到着、数回のエンカウントの後宝箱を発見、罠だった、どうやら中身は入っているが開けた瞬間毒霧が吹き出すようだ。
「ガトーなら開けれるよ、外套が毒を防いでくれるはず。」
「おっおう、防ぐと聞いていても緊張するな、んじゃ開けるぜ。」
ガトーが宝箱を開けた瞬間、紫色の霧がガトーに向かって噴射した、しかし毒霧は外套によって弾かれ霧散した。
「これは履き物か?」
ガトーの手にしているのは靴下、スピードが上がる効果が付いている。
「靴下ね、靴を履く前に足に履くの、素足だと足を痛めるからね、汗も吸うから靴が臭わなくなるわよ。」
私達は皆靴下を履いているが、ガトー達は履いていないので履かせた。
「これは良いな、足が痛くねぇ、砂が入った時の煩わしさもねぇ」
「本当だ、なんで今まで無かったんだろう」
「ダンジョン終わりに足の匂いが気になっていたので助かります。」
ガトー達が喜んでいる、ドムが言ってたようにこの世界の靴って木製か革だから蒸れるのよね。
靴下を履いてからのドム達は足取りが軽かった、速さが上がっているのもあるけど、素足に比べたら快適さが段違いなんだろう。
21階層にある残りの宝箱を漁り22階層へ、21階層と打って変わり辺り一面草原、遠くには魔物も見えるが固定型なのだろうか動かない。
「皆!足元っ!!」
メイちゃんが初めて大きな声を出した、次の瞬間地面が盛り上がりエイリアンの口をしたミミズが出て来た。
「ワームだ、数4、ジューン頼む!」
ワームの弱点は水属性の魔法、オクトがジューンに指示を出す…………だが物理で撲殺、残りもモグラ叩きの様に、オクトがアチャーって顔をしてガトーもポカーンとしている、唯一ドムだけが別の目付きをしていたが触れずにおこう。
「いや、ジューン、俺は魔法を頼んだつもりだったんだけどな」
「あら、このレベルに魔法なんて要らないじゃない、オクト弱くなったの?」
ジューンがオクトを煽ってる、その後もメイちゃんが感知して知らせるが、オクトとガトーがワームを蹴散らしていた。
「どうだジューン!」
「当たり前でしょ?まぁ褒めて欲しいなら次に来たのもお願いね。」
焚き付けた、ジューンはブースターか何かなの?
「オクト~来るよ大っきいの。」
メイちゃんの癒しボイスがまた教えてくれた、大っきいの?
目の前の土が大きく盛り上がる、飛び出して来たのは新幹線並の大きさのワーム、生臭いし気色悪い……。
「クソッ、ジューン知ってたな、ったく、ガトー、マーチ手伝ってくれ」
「バシュッ!グチャッ!ごめんねオクト、気持ち悪くて撃っちゃった。」
大きなワームは粒子になって消えた。
「うへっ、ヨーコ~頼むぜ、俺の見せ場をぉ~」
オクトがガックリしていた、ジューンは「まだまだね」とか言ってるし、ごめんねオクト。
でっかいワームは魔石の他にアイテムをドロップした「ワームの糞」そう、うんちだ、神眼先生によると作物の土に混ぜると成長が速くなり、立派な作物に育つそうだ、ネロにあげたら喜びそうだったので私が持ち帰ることにした。
22階層の宝箱はほぼハズレ、気を取り直し固定型の魔物に向かう、途中から見えたが「マンイーター」と言う肉食植物だった、甘い匂いで獲物を近寄らせ蔦で絡め殺して養分にする、火属性が弱点。
「俺が殺る、殺らしてくれ!」
オクトがめっちゃムキになっている、仕方ないやらせるか。
結果オクトの完勝、途中蔦が巻きついたけど、火魔法で焼き払いそのまま大剣で真っ二つにした。
ドヤ顔するオクトの後ろに宝箱がある、メイちゃんに調べてもらって、罠無しが確定する頃にはメルティがスタンバッていた。
メルティが宝箱を開けると中身は葉っぱだった、一気に興味を失ったメルティだったけど、それ「世界樹の葉」よ?って言ったら物凄い勢いで戻って世界樹の葉を眺めていた。
22階層も突破した私達は23階層へ、23階層は真ん中に湖のあるフィールドで、空にはワイバーンが旋回している。
「ゲッ!湖かよ。」
猫以上に水が苦手なオクトが後退りするが、いつの間にか後ろにいたジューンの豊満な胸に背中が当たり、行く手を阻まれた。
「オクトの見せ場ね!」
ジューンが嬉しそう、逆にオクトは涙目、その様子がおかしくて笑っちゃったよね。
24階層に行く為には湖を突っ斬らなければならない、どうやって行くか悩んでいると。
「こればっかりは仕方ないわね」
ジューンが前に出て水に手を当て何かを呟いた。
「ザバッザバザバザバザバッ」
まぁなんという事でしょう、湖の水が全て上空に浮き上がった、湖底ではビチビチと横たわる魚の魔物、水辺にはワニ型の魔物もいたけどガトーとオクトが切り刻んでいる、私達はビチビチしてる魚魔物をプスプスとトドメを刺すだけ、至る所にある宝箱は罠もなく全て中身入り、中からは水系統の魔石が多く出て来た、属性魔石はかなり希少でメルティが持っているフレイムロッドにもはめ込まれている。
「ワイバーンどうするよ」
「ヨーコとメイなら大丈夫でしょ?」
「ボクもいけるよ多分」
上空のワイバーンは私達が担当する、まずはマーチが幸村を振り風の刃を飛ばす、今回は死体が残らないので羽を切り裂き湖底に落とした、落ちてきたワイバーンをガトーが倒し、次は私が同じように羽の付け根を狙う、一発外したけど錐揉みしながら落ちてきたワイバーンをオクトが真っ二つに、最後はメイちゃんがクロスボウでヘッドショット、空で魔石に変わって落ちてきた。
「ワイバーンの魔石がデカイな、こりゃすげぇや」
ガトーが魔石を手にとって見せてくれた、確かにこの前見たワイバーンの魔石よりも二回りくらい大きな魔石だ。
その他ワイバーンの肉や魚魔物の大きな切り身などを回収、今夜の食事が楽しみだ。
23階層を難なく抜け、24階層に入った、22階層の様な草原なのだが魔物の数が多い、神眼先生によると「ブラックカウ」「ホワイトピッギー」「コカトリス」が群れている。
「肉だな」
「肉だ」
「肉ね」
「肉よ」
「肉だよ」
私達が目の前の魔物を見て「肉」と表現して呆れるガトー達。
「俺は牛肉に行く」
「じゃぁボクは鳥肉にするよ」
「私は豚肉ね」
「ブタヤロウはメイの獲物」
「ガトー達は何の肉にするの?因みに私は牛肉」
それぞれの肉の元へ散開する私達、ガトーはコカトリスに向かって、メルティとドムは魔石とドロップ品の回収班になった。
蹂躙だよね蹂躙、肉と魔石が大量に収穫出来て上機嫌、私達から24階層は「肉屋さん」と名付けられた、ただ24階層に宝箱は無く、メルティは残念そうだ、肉達は倒すとほぼ肉をドロップするので「タンかカルビかシャトーブリアーン」と部位を叫びながら牛を倒していたよ。
肉フロアを抜け25階層へ、降りた瞬間ゲートキーパーが見えた。
「レッドドラゴン、火属性のドラゴンで弱点は水属性、物理防御も高く、喉が膨らみ始めたら炎を吐く合図、さっき見つけた水の魔石で大ダメージだそうよ?」
「「勿体ない、普通に倒す」」
「あ、ちょっと待って、こういう敵の時は連絡するんだった」
私はタブレットのスイッチを入れてコールする。
「「「「エレメントか?」」」」
早いわ、多分王様達も触ってたかタブレットについて話し合ってたかもしれない。
「会議中とかでしたら申し訳ございません、エレメントのヨーコです、現在ダンジョンの25階層で、ゲートキーパーのレッドドラゴンと戦闘する所をお見せしようかと思ったのですが……大丈夫でしょうか?」
「イーグルだ、構わんが、レッドドラゴンにお主らは勝てるのか?」
パーティーやガトー達を見ると大きく頷いた。
「大丈夫です、勝てます。」
「「「おぉー!!」」」
「うむ、わかった、存分に楽しませて貰おう。」
討伐には私とメルティを除いたメンバーで戦う事になった、私は撮影、メルティは相性がめちゃくちゃ悪い、マーチに「氷結の牙」を渡して、王様達に神眼先生からの情報を元にした説明を入れる。
「レッドドラゴンの弱点は水属性で喉が膨らむと炎のブレスを吐く合図です、ブレス吐く合図が出たら、水属性の魔法や水属性武器で攻撃するとブレスは吐きません、動きはドラゴンの中ではアースドラゴンの次に遅いのですが、空を飛ぶ事が出来るので、アースドラゴンよりも戦い辛いでしょう、尻尾による打撃も強力ですが、2回地面に尻尾を叩き付ける予備動作があるので、回避行動も取りやすいかと、攻略法として、まず羽を削り空を舞えない様にします、地に落としたらブレス攻撃と尻尾攻撃に注意して、本体を叩きます、この際余裕があれば尻尾を先に落とせば、討伐は格段に楽になるでしょう」
説明が終わりバトル開始、ドムが全員にバフを掛けてから、説明通りにメイちゃんとマーチが遠距離から羽を削り、ブレスの予備動作が入るとジューンが水魔法でカット、羽がボロボロになり地面に降りたら、ガトーとオクトで物理、尻尾の予備動作を見てジューンとドムが盾を構え受け止めた瞬間、オクトとガトーが尻尾を切り落とした、すぐにブレスの動作に入ったレッドドラゴンを見たマーチが「氷結の牙」を発動、一瞬にして氷漬けになったレッドドラゴンをオクトとガトーが粉砕してバトル終了。
「素晴らしい!!何たる強さ!個々の武も然る事乍ら、息の合った連携、あのレッドドラゴンが赤子同然であったな!ルビーもレッドドラゴンを討伐した事があったな、あの時と比べてどうじゃった?」
「はっ!我々の時はドラゴンを地に落とす前に何人もの兵が犠牲になりました、今の戦いを見て知識と言うのは大事なのだと思い知らされました、魔物の知識一つでこうも変わるとは、再戦する事があれば今の戦術を試してみたいですな!」
「陛下、それとレッドドラゴンの魔石と大きな鱗がドロップ品として出ました、こちらはギルド経由で献上させていただきます、レッドドラゴンの鱗とミスリルを錬金術で合わせた合金は、火属性無効の付与が付きますので。」
「ほう、詳しいな!素材に関して我等に無い知識を持っている、だが城にもレッドドラゴンの鱗はある、鱗は其方で活用すると良い、その知識を献上の品として有難く受け取ろう。」
「はい、ありがとうございます。」
「エレメント、灰色の剣、ご苦労であった、また胸が熱くなるバトルを見せてくれ」
「はいっ!」
王様とのコールを切るとすぐにもう1つのタブレットが鳴る、エリックか
「はい、もしもし?」
「ヨーコ、頼むから先に教えてくれ、会話を聞いていてハラハラしたぞ、今後王を相手にする時は事前に知らせてくれ。」
「ありゃりゃ見てたの?黙って見るなんてエッチね」
「なっ……わかった、近々其方に行く予定が今できたぞ!ヨーコ、首を洗って待っていろ!」
「エリック、それ悪役に言う言葉だよ?友達に言っちゃダメなんだからねっ!」
その後もギャースカピースカ叫んでたけど、適当に流してから通話を切った。
「なぁ嬢ちゃん、不敬罪って……前にも聞いたか、わははははっ!」
レッドドラゴンは宝箱も落としていたが、マーチが風魔法で隠していたみたい、やるなぁマーチ。
レッドドラゴンの宝箱からは「ドラゴンキラー」が出た、ドラゴン系の魔物に対してダメージが2倍になる特攻武器、ガトーにあげようかと思ったけど拒否され、王族に献上するかギルドに売るか迷い中。
25階層に転移陣が出現、これに入れば今日は終わりだが、セーフゾーンではないかと言っていた26階層が気になるので覗きに向かう。
26階層、それは天国だった、見渡す限り色とりどりの花が咲き、立ち並ぶ木には見た事のない果実、神眼先生に仕事をしてもらうと「バッカスの畑」と出た、バッカスって前世だと酒の神様だよね?そう思いながら果実を鑑定。
「バッカスの葡萄」樽に満タンの水を入れ1粒入れると、1時間後にはワインになる。
「バッカスのホップ」同様にラガーになる。
「バッカスの桃」同様に果実酒になる。
「バッカスの杏」同様に果実酒になる。
「バッカスの梅」同様に果実酒になる。
「バッカスのライチ」同様に果実酒になる。
「バッカスの米」同様に和酒になる。
「バッカスの竜舌蘭」同様に火酒になる。
「バッカスの炭酸石」水が炭酸水になる。
天国じゃねーかよ、火酒あったじゃん!早速ドワーフの土産にしよう、竜舌蘭って事は火酒ってテキーラか?あぁ確かに火が着くわ、米で和酒って日本酒かな?私は手当り次第リュックに詰め込む、お酒お酒お酒~お酒が飲め~るぞ~などと歌いながら収穫をした。
「どうやらここは趣味のフロアだね、しかも最っ高に良い趣味してる、バッカスさんにも蒸留酒飲んでもらわないとなぁ」
ガトー達も幾つか収穫していたので、お酒の事は教えておいた、バッカスさん必ずまた来ます!見えないバッカスさんにお礼をして、私達はダンジョンの入り口に戻った。
ダンジョンのギルド出張所はほぼ完成していた、トイレも私の特製洋式水洗になっていて、男女ちゃんと別れているし手洗い場所も設置してあった、上のフロアも10メートルに1店舗を両サイドに作ってあったな、20店舗がここに出店予定、その上も同様に20店舗が出来上がっていた、本当に仕事が早い。
地上に上がると丁度ドワーフ達も作業を終えた辺りだった、明日からは地上に取り掛かる予定らしい、私は酒樽をまた30程出してドワーフ達に提供した、樽は回収すると伝えてね。
そして私はズルをする、馬車経由工房へイン!早速火酒を作ろう、20樽くらいで良いかな、果実酒も、後はやっぱりポン酒よねぇ、肉がたっぷり取れたからラガーも作っちゃえ!ハイボールも良いな!炭酸水もイケイケ~ドンドン!
仕込みを終えて出る前に、前に作ったデミグラスソースを持って行こう、人間2人入るくらいの鍋もリュックにぶち込んで~アウト!
外に出てドワーフ達に肉を差し入れ、その足で仲間の元に戻ってビーフシチューの仕込み開始、大きめお肉をバターで炒めて、人参、丸ネギは半分にして、じゃがいもは皮を剥いてそのままドン、野菜は大きめゴロゴロが好き、赤ワインと水を入れて灰汁を取りながら煮込む、灰汁を取るのはジューンに任せて私は馬車にGO!
馬車から工房に飛び込んだ私はお酒のチェックをする。
「本当に出来てる、うっひゃー凄い!ラガーも炭酸ガス入れたんじゃね?ってくらい不思議~よしっ!全部持って行こう。」
ジューンと交代してコンソメ投入、お肉がホロホロになるまで煮込みたいけど、今工房に持って行ったらバレるし、仕方ないナイフフォークで食べて貰おう、ジューンにハイボールを渡して鍋を見て貰う。
ヴィラー様の神殿へ、火酒とウイスキーをお供えしてからドワーフ達に火酒を出す。
「これも強いから気をつけてね!私の特製火酒。」
「おいっ!火酒だと!ヨーコ神様から火酒じゃ!」
「火酒じゃ!ヨーコ神様から火酒だと!おいっ!」
ドワーフの盃に並々と注ぐ、反応が見たい。
「えっ?えっ?えっ?なんでよ?」
ドワーフ全員号泣、思ってたのとちがーう!
「「魂がおいっ!喜んでるぞおいっ!」」
魂が喜ぶとは?だけど泣きながら飲み続けるドワーフ。
『造られなくなって大分経つからな、先祖からの血が喜んどるんじゃ。』
「ヴィラー様?これ大丈夫?」
『ありがとうヨーコ、大丈夫だドワーフの血と火酒が会話をしとる、良かったなぁ。』
「大丈夫なら良いけど、ヴィラー様も飲んだの?」
『馳走になった、ワシも久しぶりに胸が踊った、感謝じゃ。』
「なんかしんみりしてるから火酒出すのやめよ……冗談よ、なんで更に泣きそうな顔になるのよ、はいこれ、今あるので全部だからね、また出来たら持って来るから、明日も頑張って。」
ドワーフキャンプからジューンの所に戻った、ジューンには空になったハイボールのお替りを作ってあげて、ビーフシチューにデミグラスソースを入れる。
「いい匂い、トマトソースも少し入れよう、あと30分くらい煮込めば出来上がりね。」
オクト達はグランドマスターにダンジョンの報告に行っている、メイちゃんは焚き火の前でスヤスヤしてる。
「ジューン私も飲もうかな~」
「はい、グラス、炭酸水って初めて飲んだわ、私これ好きよ。」
ジューンと一緒にハイボールをキューッと飲む、美味い、揚げ物が欲しくなるけど我慢だ、ナッツがあるから取り出して2人でポリポリ、メルティは体調不良で馬車で休憩中、もうちょいしたら呼びに行こう。
前に工房で焼いたパンを山盛り出して、木で作ったスープボウルを出す、呼びに行こうと思ってたメルティが来たので、ジューンにハーブティーを頼んだ。
「ヨーコ、すっごくいい匂い、これシチュー?前のは白かったけど今日のは茶色いね。」
「前のはホワイトシチュー、これはブラウンソースを使ったビーフシチュー、今日のお肉たっぷり入ってるから、食べれるならしっかり食べてね。」
ガトー達も戻って来たので、メイちゃんを起こして夕食になった。
「俺達も良いのか?」
オクトにグランドマスター達も呼んできてって頼んだから良いに決まってる。
「どうぞ、男だけだとパンと干し肉を齧るだけでしょ?みんなで食べた方が美味しいですし。」
ビーフシチューを渡してグラスにエールを注いだ、グランドマスターはニカッと笑ってエールをギューッと一気に飲み干し良い笑顔、お替りを注いで私も飲む、熱々のビーフシチューを口に入れると「幸せ」と自然に声が出る、みんな夢中になって食べてる、30人前くらいあるけど足りない?って思うくらい食べっぷりが良かった、メルティも2杯食べてお腹をさすってる。
「あ、そうだ、グランドマスター、ドラゴンキラーって剣があるけど買いますか?」
夕食を食べ終えエールからウイスキーに切り替えたグランドマスターに聞くと
「個人的には引退したから買わねぇな、だがドラゴン特効武器だろ?現役だったら買ったが……あ、ルビー公爵に売ったらどうだ?あの方は武器を集めるのが趣味だからな、それにドラゴンキラーは持ってないはずだ、なんなら今度王都に戻った時に聞いといてやるよ。」
「じゃあ値段は任せます、20パーセントを手数料で持って行って下さい。」
「良いのか?結構な額になるぞ?」
「お貴族様への販売手数料なら安いですよ、私みたいな平民が会話出来ない人ですから。」
ドラゴンキラーの件は方がつきそうだ、明日の私はダンジョンお休み、メルティも体調不良でお休みだから、2人で街の開発を考えよう。
「メイちゃん、ちょっと相談があるんだけど、今良い?」
「うん、なーに?」
「メイちゃん、これって屋敷の庭で栽培出来るかしら?」
メイちゃんは私の手渡した実を手に取りじっと見つめる。
「大丈夫、出来るよ?今する?」
「ううん、今は大丈夫よ、屋敷に戻ってからで平気。」
「わかった~」
よっしゃ!酒の素確保~!そうだ、アナにも少しお裾分けしてあげようっと。




