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前世は大工女子の異世界生活  作者: 森林木林森
19/49

ダンジョンの拠点作り。

「じゃぁ、昨日反省会で話した通り今日はガトー達とオクトとジューンがダンジョン探索ね10階層まで行くのよね?ディレイさんも行くなら1階層から行かないとだけど大丈夫?」


 昨日の反省会で、ガトー達はサポートに回ってくれていたから今日は暴れたいって話になり、ガトー1人だと前衛が足りないので、エレメントの前衛が助太刀に入った。


「オクト、はい、マッピー君」

「おう、サンキュー」

「ジューンも気を付けてね。」

「えぇ大丈夫よ。」


 残った私達は拠点作りになった、照明が来たので、通路10メートル毎に3つずつ上に取り付ける、ドワーフに作らせた照明は裏の形状がネジの様になっていて、メイちゃんにネジ穴加工してもらいはめ込む。


「地味な作業だけど必要な事だからね、これで入り口からのはラスト!」


 魔石をセットした段階で点灯する、少し光量が少ない気もするけど、通路を通るのには問題ない。


「フロアは店舗前は5メートル毎、中心の通路は10メートル毎につけていこう。」


 店舗前がくらいと何売ってるのかわかんないし、中心は店舗前の明かるさがあるからスポットで大丈夫だろう。


「今ある分だとここまでかな、次が来た時用にネジ穴だけ開けておこうか、メイちゃん頼める?」


「はーい、すぐ終わらせるね」


 メイちゃんが両手を床に付き、少しして手を離したら終わっていた。


「すごっ!流石だね~」


 地上に出て残りの仮設小屋を建てる、流石に15戸並ぶと小さな商店街のようだ。


「一応魔物もあそこの森から出てくる事があるんだよね、城壁じゃないけど壁くらい作った方が良いかな?」


「お姉ちゃんメイがやるよ?パバッて、街くらいの高さで良いの?」


 街くらいって10メートルくらいあるけど、これはエリック案件だわ。


「メイちゃんちょっと待ってね、今エリックに確認してみるから。」


 馬車からタブレットを取り出し、エリックにコール。


「エリックだ」

「早ッ!」

「ヨーコか、早く出た方が良いだろ?」

「そりゃぁそうですけどね、早すぎてビックリしたんです、ワンコールすらしてない気がしたので。」


 これあれだ、触ってたな、触ってなきゃあのタイミングで出ないはず。


「それで、要件はなんだ?」


「あ、そうだ、ダンジョンの地上部分の規模ってどれくらい考えてますか?」


「冒険者用の宿屋、ギルド、飲食店、武器屋、雑貨屋、鍛冶場、平たく言えばリトルティンダーを想定している。」


 リトルティンダーか、何ヘクタールくらいにするつもりだ?


「広さは?」


「貴族街程度、王国各地から冒険者が集まるだろうし、宿屋は急務だろうな。」


 貴族街の広さわかんねぇ、でも地下街があるから、最悪地下街を別の用途にも使えるし。


「魔物避けの壁みたいなのを作ろうかと思ってね、一応連絡したの、作って平気?土壁だからそれをベースに煉瓦とかで補強も出来ると思うけど。」


「ん?あぁ、土を盛るだけだな?それくらいなら構わんぞ?それよりもダンジョンへの道は整備出来たのか?昨日の様子だとまだなのだろうが、そっちを最優先で頼む。」


「そっちはドワーフに作らせてる道具次第かな、まぁ今はとりあえずダンジョンには行けるよ。」


「ふむ、そちらがある程度目処が着いているなら、好きにして構わんぞ。」


「わかった、敷地は広めに取っておくよ、忙しい所ごめんね、またね。」


 さて、確認も取ったし、誰が見ても恥ずかしくない、立派な城壁を作りますか。


 そうして私はマーチ達と簡易的な測量を開始、貴族街の中心にエリックの家があったから、ダンジョンの入り口をセンターにして、時速3キロくらいで30分と仮定~凡そ半径1、5キロメートルの四方か、結構広いな。


 そう言いつつマーチに馬で印を付けてもらった、同じように縦の方向へ1、5キロと、こんなに広かったかな……。


 まぁ大体だし、大は小を兼ねるし、それに大峡谷側は壁を低くしておけばいっか高さは~


「ねぇマーチ、この辺に出る大きい魔物ってどれくらいの大きさ?」


「う~ん、この辺はどうかあまりわからないけど、熊系の魔物で2メートル~3メートル、オーガで2メートル50くらいかな、ドラゴンとかは別だけどこの辺には出ないよ。」


 オーガのジャンプ力とかわからないけど、7メートルくらいあれば平気かな、幅は防衛を考えて2メートルくらいか。


「メイちゃん、高さはここからあそこくらいで、幅は私からメイちゃんくらいだけど行けそう?」


「大丈夫だよ~」


 メイちゃんは地面に手をついて目を瞑った、そして


「んよいっしょっ!」


 可愛い掛け声と共に3方が高い土壁で覆われた。


「相変わらず凄ぇ、重機も土も要らないでこれだけの物が……本当に凄いねメイちゃん!でもあそこら辺に入り口作りたいからアーチ型に高さ5メートルくらいでくり抜いて貰える?」


「わかった~んどっこいしょっ!これでいい?」


 最の高!この後は角に見張り台の塔を作り直して、途中に壁に上がる階段を幾つか作った、後は私が「硬化」と「固定」の魔法陣を仕込んで、完了かな、でも出入り口もっと作るか。


 マーチに馬車で移動して貰いながら計3ヶ所にアーチ型の入り口を作った、出入り口の巾は30メートル取ったから広すぎても狭い事は無いだろう。


 最後に崖から5メートル中に入った辺りにも、3メートルの高さで土壁を展開して終了。


「出来上がった後で言い辛いんだけど、本当に大丈夫?」


 マーチが不安になる事を言ってきたけど


「エリックには許可もらってるから大丈夫よ、後でなんか言われても突っぱねるから平気、それに工事費用もらった訳じゃないんだし」


「そうかもね、いや、そうかな?」


「そうよ、後はドワーフに出入り口の門を作って貰えば完璧じゃないの!」


 とりあえず、エリックに終了報告入れとくか、そうすれば来ていきなり文句は言われないだろう、それじゃエリックにコールっと。


「エリックだ、今戻っている、あと20分程でティンダーに着く、何かあったのか?」


「いや、また早ぇなぁって、とりあえず土壁完成したから終了報告をね!」


「完成しただと?まだそれ程時間は過ぎて居ないだろ、冗談を言うな。」


 カチンッ!冗談は顔だけにしろだって?よし上等、見せてやるよメイちゃんの力作を!


「あ~んじゃ映像送るわ、はいどーぞ」


「…………待て。」


「うん、待つ。」


 あんまり見えなかったのかな?とりあえずぐるーっとタブレットを回して見せよう。


「ヨーコ、さっき土壁と言ったよな?」


「はい、土壁ですよ、原材料土オンリーです!」


「これは城壁と言うのだっ!!何と言うこと……いや、決して悪い事では無いのだ、勘違いするな、いや待て、ヨーコ、ダンジョンへの通路を見せてもらえるか?」


「あ~まだ未完成ですけど良いですか?」


「構わん。」


 私はタブレットを持ってダンジョンの入り口に向かう、既に向こう側で「あ~」とか「はぁ~」とか聞こえるがとりあえず無視、通路を降り始めたら「灯りが」とか「こんな広い」とかボソボソ聞こえるけどやはり無視してフロアに到着。


「ヨーコ、ここがダンジョン内か?」


「違いますよ、あと2フロア下ですよ、ここは地下街の1階です。」


 その後も説明をしていたが「もうわかった、勘弁してくれ」と言われて地上に戻って来た。


「先に言ったよ?エリックは任せるって言ってたし、壁も土壁作って良いか聞いたし、出来が悪いんだったら直せるところは直すし。」


「ヨーコ、そうじゃないんだ、出来はこの上なく素晴らしい、土壁も安全面を考えたらこの上なく素晴らしい、だがな、もう少し、本当にもう少しだけ「常識」を覚えてくれるか?僅かな時間で地下街?やら土壁という名の城壁は作れないのだ、わかるか?」


 なんだよ、別に素晴らしいなら良いじゃんね、常識?この世界の常識なんてわかんないよ、トイレットペーパーの代わりに葉っぱで拭くような世界の常識ってなんだよ。


「前にバーコードフサフサにも言ったけど、うちの土魔法使いはスペシャリストなの、土魔法使わせたらこの世界に右に出る人は居ないの!めっちゃ可愛いし、自分の感覚を常識と言って人に押し付けないで!」


 はい、逆ギレしてみました、確かにわかるよ言いたい事は?重機も何も無いこの世界で、前世より早く大きな物が作れるとか、魔法とか魔法陣とか凄いなぁって、そんな世界の常識語られても知らんわ!初体験だわ!


「いや、押し付けている訳では無い、それはすまなかった、ただやりすぎなのだよ簡単に言えば、ダンジョンの話を聞いたのが2日前、ダンジョンにアタックしたのが昨日、今日には地下街と城壁が出来ました、ヨーコはどう思う?」


「魔法って凄いなぁって思う、実際そう思ったし、私も使えたら便利だろうなとも思ったよ。」


「はぁ~そうか、ヨーコは魔法が使えないんだったな、だからそのスペシャリストがどれほど凄いのかわからないのだな、良いか、スペシャリストは神の御業級だ、私がもし同じ事をしろと言われたら死ぬまで完成しない、そのレベルだ。」


 その後も懇々と愚痴愚痴言われ、最終的には「今からそこへ行く」と言って通話を切った。


 それから15分後、「大統領」が出入り口から入って、すぐにこっちに来ないで城壁を1周してこちらにやってきた。


「ヨーコ、先に言っておく、出来は完璧だ、パーフェクトだ、今すぐにでも職人を呼びダンジョン街を作りたい、だが……。」


 流石メイちゃん、素晴らしいだろ?顎に手を当て悩むエリック。


「因みにだが、この後はどうするのだ?」


「地下水脈から水を吸い上げ、パイプを使って街のあちこちで飲み水が取れるようにしたい」


「わかった、至急職人を手配しよう、他には」


 取り急ぎ、地下街のギルド出張所の内装が最優先、次にショップ街の内装、最後に飲食店街かな、そこまでやれば後はテントでもなんでも、宿屋が出来るまでは何とかなるだろうし。


「最優先はギルド出張所かな、木材が足りないから、あそこにある簡易小屋を臨時で使うか悩み中、最悪カウンターだけ作って置こうかなくらい。」


「よし、ヨーコはもう開発には手を出すな、代わりに口は出せ、ギルドの方には私が言っておく、このダンジョン街、リトルティンダーの草案が出来次第コールする、頼むからヨーコは手を出すな、口だけ出してくれ。」


「わ、わかったよ、悪気はないんだよ?早くダンジョン街が出来れば良いなって思って。」


「そこは感謝しかない、ありがとう。」


 そして「大統領」に乗り込みティンダーに帰るエリック。


「最後開き直ったんだね、だから言ったでしょ?」


「マーチがドヤ顔してる、メイちゃん一緒にマーチをやっちまおうぜ!」


「マーチをゴツンするの?やるー!」


 メイちゃんが拳を振り上げて下ろすと「ブボッ」って風切り音、慌ててメイちゃん止めたよね、あれ拳で出ちゃいけない音だから。


「ヨーコに言っとくね、潜在能力はメイが1番高いからね?ヨーコが名付けたんだから、神が名付けしたのと同じなんだよ、ヨーコの身体は神が依代にしても平気なレベルなんだからね、覚えといて、本当に肉体が滅びるかと思った。」


 マーチが冷や汗をかいていた、メイちゃんってそんなに凄いんだ、さすメイちゃんだわ。


「でもみんなの名前はそれぞれの神様が付けてくれたんじゃないの?」


「ボク達は名前を持つ事が許されただけ、ネロもそう、だから自分で名乗っているのは自分で付けた名前だよ。」


「んじゃメイちゃんが成長したら?」


「土の精霊女王になる可能性がある。何百年先になるかわからないけど、そのくらいの力があるって事。」


 わお!メイちゃんは精霊界のエリートって事?素敵じゃない!


「メイは女王にならないよ?ずっとお姉ちゃんの妹だからねっ」


 あ~尊いわぁ鼻血出るわ、思わずキャーって言いながら抱き着いたよ、わかった!私はずっとメイちゃんのお姉ちゃんでいりゅっ!


「おーい、戻ったぞー、ん?これはメイがやったんだな、お疲れさん、今日はとりあえず10階層まで行ってきた、中々良いのドロップしたぜ、宝箱も幾つか当たりだった。」


 オクト達がダンジョンから戻ってきた、いい探索だったみたいで満足気、でもガトー達は壁を見上げて呆然としていた。


「おーいガトー、ヨーコ達にドロップ品見せてやろうぜ、ってどうした?」


「お、おう、いや、オクトはなんとも思わないのか?この光景」


「ん?メイがやったらこんなの朝飯前だろ、俺達の力関係を能力で順番つけたらメイ、ジューン、オレ、マーチだぜ?」


 マーチ最下位じゃん、でもマーチには知識があるからね!


「ボクが1番下なのは癪だけど、大体あってる、でも1番はメイじゃなくてヨーコだけどね。」


「確かにそうですね、メイの上にヨーコがいますね、腕力なら私もメイと良い勝負なんですけど、総合的には劣ります。」


 どーよ、私の妹凄ぇだろ!


「ってかやべぇっすね、もし戦時中だったらメイさんは城塞女王とか言われてそうっすね、今は平和っすから駆り出される事は無いと思うっすけど。」


 確かにメイちゃんいれば、難攻不落の城壁とか簡単に出来ちゃうわ、良かった平和で。


「勿論私達がそんな事メイにさせませんけどね、ふふっ」


 ジューンの笑みが怖ぇ、ディレイが目を背けちゃったよ。


「まぁ良いじゃねーか、そのうちこうする予定だったなら、早いに越したことは無いしよ、ダンジョン潜る連中にしたらありがたいこったろ、それより見てくれ、10階層のゲートキーパーがな」


 オクトが本当に楽しそう、マーチも行きたかったんでしょうけど、我慢してくれてありがたいわ、ガトー達もオクトの会話の中に入って楽しそうだ。


「ヨーコォ見て見てぇ~これ8階層の宝箱から出てきたの、フレイムロッドって言う炎系の専用杖、オクトンが使えって私にくれたの!」


 神眼先生でフレイムロッドの詳細を見ると、振り上げて下ろすだけでファイヤーアローが出るみたい、便利ね。


「火の魔石かしら?綺麗ねぇ、それ振り上げて相手に振り下ろすとファイヤーアローが出るみたいね、詠唱要らないって事は、詠唱したらダブルで魔法が使えるのね、かっこいいね!」


「え?そんな特殊効果あったの?ちょっとやってみる、あ……えぇぇ~私が使う魔法より強いかも~」


 メルティが放ったファイヤーアローはかなり高火力だった、それを見ていたオクトが。


「お嬢は詠唱しなくてもイメージで魔法使えんだろ、火の魔力と相性が良いんだからよ、詠唱なんかしてイメージを作るより「こうしたい」ってイメージして魔法使やぁ行けんだろ」


「えぇ~無詠唱って事?そう言えば昨日オクトン詠唱してなかったかも、私にも出来るの?」


「出来る出来る、良いか、魔法ってイメージが大切なんだ、詠唱ってのはイメージを増幅させるだけで、元から火のイメージが出来てりゃ詠唱なんて要らねぇんよ、今やってみ?」


 そこからはオクト先生の無詠唱口座で、途中ジューンの補足も入り、メルティは見事に無詠唱マジックキャスターとなった。


「凄っ!出来ちゃった、しかも魔力消費が少ない気がする、なんで?」


「無駄が無くなったんだね、多分メルティさんは詠唱中に戦況を見てるから、雑念が入るんだよ、今は炎を頭に浮かべた状態で「行け」って思うだけで魔法が出るから、魔法そのものに無駄が無くなるんだよ。」


 マーチの補足も入った。


「それも火の魔力と相性が良いから出来ることよ、メルティちゃんは火に愛されてるのよ。」


 火気厳禁に入って来ちゃいけない子なのねメルティは。


「なんか今だけでめちゃくちゃレベルアップした感じ!大魔法使いメルティ様の誕生ね!」


 ドヤるメルティ、胸を張ってるけどお互い寂しいお胸だよね。


「えぇ私は魔女っ子メルティの方が可愛いと思うなぁ~」


「ヤダッ!子供みたいじゃん!」


「子供だろ?」


「ちょっとガトーっち!!」


 因みにドムも無詠唱で初期の回復魔法が使えるようにはなったが、ジューン曰く体の中の構造や血の流れのイメージが不十分だからそれ以上は無理と言われていた「貴方は努力家ね」ってジューンに言われて顔が真っ赤になっている、魔性ですよジューンは。


 それを離れた所で見ていたディレイがボソッと、「化け物しか居ねぇ」って言っている、私がみんなにディレイさんは?って聞いたら


「あんた、元は斥候職だろ、それも手練だ、上手く隠してっけど、歩き方や位置取りですぐにわかった、多分お偉いさんに俺達の監視かなんか頼まれたんだろ、もったいねぇ、ガトーの仲間になりゃ最っ高だろうに、もったいねぇよ本当に、その任務終わったらガトーのパーティーに入らねぇか?。」


 オクトが本当に残念そうに言ってる、確かにダンジョンに潜るなら斥候は重要、通路内の罠や隠し扉、宝箱の罠回避等かなり役立つ、それにオクトがそこまで言うなら戦闘も行けそうだ。


「優秀な斥候なんて、喉から手が出るほど欲しい、いつでも待ってるぜディレイさんよ。」


「うわぁ、楽勝でバレてんすね、尚且つ監視員だろうが気にしないとか、皆さん大物っすね、いやぁ自分もギルドの仕事はそろそろ良いかなって思ってたんすよ、ガトーさん達が受け入れてくれるなら、時期見て入れて貰いたいっすね。」


 へぇ、本人も乗り気じゃん、良いんじゃない?バランスが取れてダンジョン攻略しやすくなるだろうし。


「階層が深くなるに連れ、やっぱ武器も良いもん使わなきゃダメだ、その点オクトの大剣は凄ぇな、レッサードラゴンだっけか、物理攻撃に強えぇアイツが真っ二つになったの見た時は肝が冷えた、どこでそんな武器手に入れた?」


「んあ、これはヨーコが作った。」


 馬鹿オクト、ほら見ろジューンにボディブローをもらってる、まぁガトーなら平気か。


「おいおい、嬢ちゃん武器も作れんのかよ、でも俺が作ってくれって言ったら気を使わせっからそれは止めとく、ドワーフの鍛冶屋でも久しぶり覗いて見っかな。」


「別にガトーになら作っても良いわよ?今更遠慮って変でしょ?なんなら今在庫である武器見てみる?マーチが使えたらって思って作った両手剣だけど、マーチには「幸村」があるし。」


「凄ぇ興味はある、良いのか?」


 私はリュックから両手剣を取り出して見せた。


「おいこれ……素材はなんだ?」


「芯はミスリル合金、それを覆う様に特別(オリハルコン)な鉱物と魔力を帯びた鋼、魔鋼の合金にルートラットの骨を合わせて防錆付与されてるわ、血糊もつかないし、耐久性と切れ味は保証するけど少し重いの、ガトーが使えるなら使って?私が持ってても肥やしになるだけだから。」


 ガトーが素振りをし始めた。


「因みに魔力を通すと周りに魔刃が展開するから切れ味は増すし、芯のミスリルが良い感じに硬くなるから耐久性も増す、魔力を通さなくても使えるけど、ゲートキーパーなんかを殺る時は魔力込めた方が戦いは楽かもね。」


 素振りをしていたガトーが魔力を込めた、刀身に魔刃が浮かび上がる、それを見たオクトが薪を投げ、スッと音もなく切れた薪を見たガトーが


「幾らだ?ミスリル使ってるから高ぇだろうが、これ使ったら他のが使えなくなるかも知れねぇ、だが幾ら払っても欲しい。」


「ガトーの言い値で良いわ、貴方の命を預ける武器ですもの、恩人からお金は取りたくないけど、それじゃガトーが納得しなそうだから、ガトーの言い値で。」


「かぁぁぁ、1番困るじゃねぇか、オクト幾ら払えば嬢ちゃんは納得するんだ?」


「ん?ヨーコか?多分ガトーが銅貨1枚って言っても、それで良いって言うと思うぜ」


 オクトわかってるねぇ、私は別に儲けたいとは思ってないから、ガトーがしばらく悩んでから


「白金貨1枚出す、俺にはそれが限界だ、すまねぇな。」


「それじゃ貰いすぎ、なら金貨1枚で良い、その代わりダンジョンとかで、パーティーメンバーをその剣で守ってね、勿論ガトーも死んじゃダメ、それが守れるなら金貨1枚すら要らないわ。」


「勿論だ!パーティーメンバーは俺が守り通す、それは約束する、だがそれじゃ……」


「お金より友達が居なくなる方が悲しいわ、だから「命大事に」無理しないでよ?」


「よっしゃわかった!嬢ちゃんの気持ち有難く受け取る!」


 ガトーに鞘と腰に固定するベルトをあげ、持ち手を調整する柄生地を渡した。新しい剣を腰に下げ「どうだ?おかしくねぇか」って皆に確認してる、子供みたいでウケるわ。


「あとコレ、マッピーと30階層までマッピングした羊皮紙、これはヨーコよりディレイに渡した方が良いか?」


「そうね、ディレイさんがギルドに提出してくれるでしょ?そっちの方が私は楽だし。」


 マッピングの件でギルドに呼び出されても迷惑だ。


「いや、これだけで王都の一等地に家買えるっすよ?自分見てましたけど、かなり正確に書かれてるっすよ」


「なら転写して冒険者に売ればギルド運営費の足しになるでしょ?死人が出るのを未然に防げるし」


 マッピー君がいればどうとでもなるし、バーコードの所為でギルドに苦手意識がついてしまったので行きたくない。


「それ見たらわかると思うけどよ、21階層から26階層までフィールドエリアだ、んで注目したいのが26階層、ここには魔物の存在が確認出来ねぇ」


 全員がマッピングされた地図を見る、確かに26階層だけ罠も、魔物の印も無い。


「行ってみなきゃ何とも言えねぇけど、

 もしかしたらセーフエリアかも知れねぇな、ダンジョンにはあんだよ偶に、もしそうなら25階層のゲートキーパーは、かなり上位の魔物がいる可能性が高いな。」


「それなら全員が20階層までの転移陣を潜れる様にして、全員でゲートキーパーにアタックした方が良いわね、でも参ったわ、誰かここに居ないとそれも難しいのよ」


「自分がギルドに行って増援要請して来るっすよ、馬車じゃなきゃ1時間掛からないっすから、今から行って明日の朝戻って来るっす。」


 ディレイがギルドに応援要請しに行ってくれるらしい、かなり助かる。


「凄く助かるわ、でも平気?ダンジョンに行ってたんだから疲れてるんじゃない?」


「いやぁ、自分隅っこで見てただけっすから、体力的には余裕っすよ、んじゃちょっと行って来るっす。」


 馬に跨り走り去るディレイ、私達は明日からのアタックについて話し合いを詰める。


「ヨーコ、ちょっとお花摘みに行ってきていい?」


「えっ?いいわよ、1番奥の右側の小屋が女子トイレになってるから、ついでだから私も行こうかな。」


 メルティが不安そうな顔をしていたので、行きたい訳じゃないけど一緒に向かう。


 小屋のドアを開けると、正面には鏡のついた洗面台が3台並び、その横にはパーテーションで仕切られた4個室、全て水洗仕様、排泄物も小屋下部に作った浄化槽へ行き浄化処理されて川に流す。


「終わったら横のボタンを押せば水が流れれるからね、ペーパーもあるから使ってね。」


「ヨーコの家と一緒のやつ?なら大丈夫!使った事あるから~」


 洋式トイレは50台持って来た、私のリュックがかさばったのは、ほぼこれのせい。


「あ~これを体験してから、ウチのトイレが苦痛で仕方ないの、これもそのうち売るの?」


「残念だけど、これは下水工事が必要になるから結構先になると思うわ。」


 メイちゃんの土魔法ならすぐに行けそうだけど、規格外って言ってたし、それは私の役目じゃない。


「えぇ~んじゃ私トイレしたくなったらヨーコの家に行く、ダメ?良いでしょ?」


「来ても良いけどトイレだけで来るの?まぁネロも居るだろうし言っておくわね。」


「冗談のつもりが、すんなり了解されちゃった~ラッキー!」


 冗談かよ、まぁメルティなら別に構わないけど、途中で「お母さんにも教えて良い?」って母もかよっ!って突っ込んでそれは却下したよ。


「これ売り出したらお母さんに買ってあげるんだ~」


「良いと思うわよ?親孝行ねメルティは。」


 手を洗いながら鏡を見て髪を直すメルティ、どこの世界でもやる事は一緒なんだなって思った。


「メルティ、ちょっと毛先が傷んでるから後で切ってあげようか?」


「お願~い!ちょっと気になってたんだけど、中々ね」


「ふふっ、んじゃ隣の小屋見てみる?」


 隣の小屋を開けると脱衣場があり、その奥にはシャワーと浴槽、屋敷のよりは小さいが3人くらいなら一緒に浸かれる。


「なんと!お風呂でございますですか!今日入れるの?」


「口調がおかしい、そうね、全員一緒は無理だけど2人ずつ交代で入ろっか。」


「うん!」


 ルンルン気分のメルティ、なんだか私も楽しくなる、子供の頃の林間学校を思い出したよ。


 その後他の小屋も見てもらう事にした、ミニキッチン付きの宿泊小屋、寝袋を使えば5人は寝れる、私達は馬車があるから使わないのでギルド職員用だと説明した、その他、趣味で作ったゲーム部屋にはリバーシやこの世界仕様のトランプを置いて、小さなバーカウンターもありお酒も楽しめる。


「ヨーコワールド全開だね、家より快適かも」


 その後夕食を食べ、お風呂に入り、一杯飲みながらババ抜きをして、オクトがリバーシ弱すぎて笑い、楽しい夜を過ごした。





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