表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UNNAMED  作者: 筆名
5/15

第一章【第四話】「少女の見た世界」


 「―――彼女は、この紛い物のみたいな僕の人生に現れた、たった一つの光なんです!―――」

 「―――君はね、私にはなーんの影響も及ぼさない。でも、そこが君の良さだよ!―――」


 自身への影響を第一に考える二人が出会ったのは、まるで絵に書いたような理想のパートナーだった。

 紛い物の日々と作り物の事実を求めて、二人の関係は発展してゆく―――

 

 これはtrueENDを目指す、世にありふれた物語。

 【少女】には、他人にはない特権がある。それは、誰が与えた権限なのか分からない。もしかしたら呪いかもしれない。何かから与えられたその呪い、その効果は…

     ◇◆◇◆◇

 【少女】の母方の祖父の葬式の日は曇りだった。

 死因は【少女】を庇っての事故死。少女の命と引き換えに自らの命を投げ打った。

 母親は彼女に向かってこう言った。

 ((おじいちゃんは、あなた自身の記憶の中でずっと生きてるのよ))

 何を言っているのお母さん?それよりこの歌は何?何の集まりなの?みんな泣いてるよ?何があったの?ねえ!今日は家族みんなで旅行に行こうって、前から言ってたじゃん!そうだ!おじいちゃんはどこ?おじいちゃん言ってたよ、私が分かんないことがあったら何でも教えてくれるって、おじいちゃんは物知りなんだよ!ねえ……どうしてなの……返事してよおじいちゃん!おじいちゃんはもういないって?嘘だよ!だっておじいちゃんはとっても健康だったんだよ…おじいちゃんは物知りなんだよ…

 【少女】は世界を知った。死んだ人間は蘇らないと。

 【少女】は世界に憤った。どうしておじいちゃんは死んだのかと。

 【少女】は世界に嘆いた。なぜおじいちゃんは死んだのかと。

 【少女】は世界を諦めた。おじいちゃんが生き返らないから。

 【少女】は世界を呪った。おじいちゃんを消したから。

 世界は【少女】を知った。底のない苦しみに蝕まれる存在を。

 世界は【罪】を知った。自身でさえ裁かれうるのだと。

 世界は【少女】を助けたかった。それは意志の問題だ。

 世界は助かりたかった。【罰】から逃れたかったから。

 その時からだった。その時、世界はこの少女の苦しみを取り除いた。

 「忘却」という麻薬を使って…―――

    ◇◆◇◆◇

 かくして、【少女】は生まれた。世界を忘れた、まだ当時八つの女の子が…

ご精読ありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ