第二章【第四話】「Eは絶対に……いや、あるかも?」
「―――彼女は、この紛い物のみたいな僕の人生に現れた、たった一つの光なんです!―――」
「―――君はね、私にはなーんの影響も及ぼさない。でも、そこが君の良さだよ!―――」
自身への影響を第一に考える二人が出会ったのは、まるで絵に書いたような理想のパートナーだった。
紛い物の日々と作り物の事実を求めて、二人の関係は発展してゆく―――
これはtrueENDを目指す、世にありふれた物語。
【少年】の記憶では、この後【妹】が歯磨きのため洗面所に入ってくるのだが、その音に気づかずにタオルを取ろうとした【少年】は、パジャマ姿(ここでは胸元半開きの意)の【妹】に遭遇したのだ。
今までは「【妹】は妹」を貫いてきた【少年】出会ったが、今回ばかりは事情が違う。今、【妹】は【少女】の姿形をしているのだ。【妹】とは違ってそれなりに出ている出るとこに、【少年】は何度もドギマギさせられた。
((平常心だ。素数を数えて落ち着くんだ。素数は………))
などと、一人浴槽の中で瞑想する【少年】。
◇◆◇◆◇
そして、二十分の時間が経過した。
((平…じょうし…ん))
【少年】は上せかけていた。とは言っても、風呂は【母】、【妹】そして野郎二人の順となっている。よってお湯も、もう全く熱くはない。と言うか、ぬるいを通り越して少し冷たい位になっている。ちなみに、野郎どもには一応「追い焚き」というカードが存在するが、【少年】が先に風呂に入る時は【少年】がそのカードを切り、そもそも【父】はほぼ毎日シャワーのみなので、追い焚きをしない。つまりこの湯は、【少女】の体をした【妹】(と【母】)の残り湯であるものの、追い焚きをした後。ドゥーユー、アンダスタン?
◇◆◇◆◇
その時、近くで床の軋む音がした。流石に、照明のついたままの風呂場を開けるほど、【妹】はとち狂っていないと【少年】は判断し………
ダァン
「このまま終わるとお思いで?」
「うん知ってた、はいはい知ってましたよ。」
半裸の【妹】、ここに降臨。タオルを身に纏い恥部こそ隠しているものの、ほぼ痴女に近しい格好をする【妹】に、しかし【少年】は白眼視すらできずに目を逸らす。まあ、それも仕方のないことであろう。今の【妹】は【少女】の格好をしているのだ。加えて【妹】の装備は「からだにあっていないタオル」ただ一つ。率直に言って結構見えている。客観的に見れば誘惑そのものであるが、兄妹に限って言えばそうでもない。現に【少年】も
((ゑ、もっかして誘惑されてる?))
違いました。健全な日本男児である所の【少年】は、このパイオレンスに打ち勝てないのだ。どうやったってコイキ●グはグラー●ンには勝てないし、砕氷船に立ち向かえる草舟は存在しないのと同じように。最強の悪魔が、最高の恐怖とイコールなのだとしたら、最強は間違いなく「欲の悪魔」だろう。欲というのは銃なんかよりよっぽど恐ろしいものだから。
「いつまで現実逃避しとんじゃい」
そう言って、なぜか【妹】は踵落としを選択。←+→Cのコンボから繰り出される一撃は、完っ全にタオルを吹っ飛ばした。要は、全裸の【妹】完成。
「あっ……」
「あっ……」
「『あっ……』じゃねえだろ! 早く戻って服着て歯磨いてアニメ見て寝ろ!」
「つれねぇなあ…… オレがここまでやったってのに…… 褒め言葉の一つあって然るべきだろ?」
「ありがとうございます……とでもいうと思ったか? いいや、違うね。いいか。妹にそういう感情を抱くのは、夢の国(二次元)の法だ。この世界じゃ、むしろ犯罪……」
「そりゃ、聞き捨てなるぜ。じゃあな。」
「『聞き捨てなる』は聞き捨てならねえが、取り敢えず今はそうしてくれ。」
◇◆◇◆◇
その後、【少年】は普段より二時間ほど早く床に就いた。
((あれ、Cいや、Dは堅いな……))
などという最低な思考を浄化すべく、【少年】は意識をシャットアウトした。
元の世界に戻ろうとしても、昇天してしまったため戻れず、そのうち【少年】は考えるのをやめた。
結論:D以上E未満
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