第二章【プロローグ】「理央ちゃんの『ブタ野郎だね』が最っ高にぶっ刺さる頃に」
「―――彼女は、この紛い物のみたいな僕の人生に現れた、たった一つの光なんです!―――」
「―――君はね、私にはなーんの影響も及ぼさない。でも、そこが君の良さだよ!―――」
自身への影響を第一に考える二人が出会ったのは、まるで絵に書いたような理想のパートナーだった。
紛い物の日々と作り物の事実を求めて、二人の関係は発展してゆく―――
これはtrueENDを目指す、世にありふれた物語。
六月二日と三日が切り替わろうとする夜遅く。【少女】は一冊のノートを机の上に置いて、エアコンのタイマーを三時間に設定し、床に就いた。
しかし、【少女】は眠れなかった。七子に微笑む【少年】の顔が、頭から離れなかった。彼が今まで自身に向けていたものと酷似しており、しかしどこかいつもの彼の微笑みとは異なる雰囲気を醸すそれに、彼女は疎外感を感じた。
家の外では、少し遅れてやってきた雨雲がしとしとと地面を濡らし始めていた。
[【××】くんと七子ちゃんの観察日記 Vol.01]
これから先に書いてあることは信じられないかもしれないけど、全部本当のことなので絶対に最後まで読むこと。
絶対に!
四月四日(火)私は、【××】くんに出会った。私は、気が付くと彼に話しかけていた。彼は××い人だった。×学で××委員をしていた時も、彼はいつ×、×××××××××××××××××××××××、×××××××××××××××××、××××××××××××。×××××××××××××××××××××、×××××××××。
××××××××、××××××××××××××。××××××××××××××××。×××××××××××××××××××××××、×××××××××××××××××××××××××××××××。××××××、×
×××××××…
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忘却――すっかり忘れてしまうことを意味する語。人間には生存能力の向上のため、記憶力が備わっている。そして「生存能力の向上」のために、人が一番記憶すべきは、恐怖や憤怒、苦しみを伴う記憶である。そのために、よく「忘れたいこと」は「忘れられないこと」と言われるが、これは正鵠を射ていると言って差し支えNo,No,No...。しかし【少女】の身に宿る「忘却の呪い」は、それらを振り切って全てを忘れさせる。辛いことも、苦しいことも、誰かの死、さえも。
※なお、「忘却の呪い」というのは、「永遠なる厨二」こと作者のネーミングであり、【少女】本人にそう呼ばれているわけではない。
◇◆◇◆◇
その日、【少年】が目を覚ましたのは、四ヶ月前――【少年】たちが通うことになる香龍学園の始業式の日――だった。
ご精読ありがとうございます。




