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UNNAMED  作者: 筆名
10/15

第一章【エピローグ】「真偽不明の世界」


 「―――彼女は、この紛い物のみたいな僕の人生に現れた、たった一つの光なんです!―――」

 「―――君はね、私にはなーんの影響も及ぼさない。でも、そこが君の良さだよ!―――」


 自身への影響を第一に考える二人が出会ったのは、まるで絵に書いたような理想のパートナーだった。

 紛い物の日々と作り物の事実を求めて、二人の関係は発展してゆく―――

 

 これはtrueENDを目指す、世にありふれた物語。

 結論を言えば、そんなことはなかった。ただ七子が【少年】に感謝を伝え、「どういたしまして」で返すだけの他愛ないやりとりを交わしながら、二人は遊園地へと入っていった。

     ◇◆◇◆◇

 そんな二人を眺めながら、後ろの噴水のベンチに座っていた少女――鴻 千綿――は、ゆっくりと動き出す。

 ((よし、とりあえず第一段階はクリアかな? しっかし…なんで七子はよくわからん輩とかに目つけられなかったんかな? そこは女の子が一人になったんだから、ちゃんとチンピラとかに襲わせて男の子に守ってもらんなきゃ! そんでもって、【少年】に謝って逆に「七子は可愛いからこういうことも考えとくべきだった」とか言わせる! ああ、テンプレートのいと尊きよ…))

     ◇◆◇◆◇

 鴻 千綿――彼女は生粋の「恋愛ROM専」であった。どこぞのすれ違いカップル×3(だと作者は思っている。いさなちゃんは負けていない! 人は戦うことをやめた時初めて敗北する 戦い続ける限りはまだ負けていない さあ 戦うぞ(数十分後…)やぁだあああ やめてえええ いやあああ)のうちの一人の顔がちらつくワードだが、無視して頂いて構わないし、必殺技「ザ・ゾーン」の所有についてもここでは割愛する。自身の恋には全く無関心であるものの、他人の恋には積極的に後押しし、場を整える。アーカー●ャ端末の演算機能を大きく上回る状況把握力に加え、エルヴィン団長ばりの「今何をするべきか」を理解・行動する能力に長け、なんと学校の後輩が変装しておっさんとデートしていても、「あえて」スルーを决めこむことのできる少女――それが「この世界の『片桐 ア●ネ』」こと、鴻 千綿である。

     ◇◆◇◆◇

 その後、二人は大まかな行程すら考えずに遊園地を満喫した。そのせいで、初っ端から観覧車に乗って、フードコートの長蛇の列には合計三回並び直し、締めには、はしゃぎすぎて疲れが溜まっていた七子のためにコーヒーカップが選ばれた。時折後ろから刺さる視線には、【少年】は終始無視を決め込んだ。七子は微塵も気づいていなかった。

 「ありがとう 回復しました 完全に 七子」

 「よかった。じゃあ…帰ろっか。」

 「二人にも お話ししよう! 今日のこと 七子」

 「そうだね。今日は最っ高の一日になったよ! 今日は来てくれてありがとう。」

 そんな会話をしながら七子を家まで送り届け、七子ママからは感謝を、七子パパからは恨みを伝えられた。

 「本当に 楽しかったよ また明日 七子」

 「じゃあ、また明日。」

 別れの言葉を告げ、扉を閉じる七子に手を振ると【少年】は踵を返し、帰路に立った。

    ◇◆◇◆◇

 時間は少し遡る。それはちょうど、【少年】と七子が談笑しながら七子の家に向かっているところだった。中学の頃の友人とカラオケに行っていた【少女】は、その光景を偶然目撃してしまった。

 ((あれって…【少年】くんと七子ちゃんだよね…なんでこんな時間に? まさか…))

 その時【少女】の頭によぎったのは、考えたくもないような可能性。しかしながら【少女】はそれを、あり得ないと断じることができなかった。

((噓…))

かくして、不安の種は蒔かれた。蒔いた本人にすら自覚がなく、蒔かれた当人では、どうしようもない種が。

――◯――

第一章【完】

ご精読、ありがとうございました。

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