24.味噌汁の具
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明日も早いのに、悪いな。お前だってそうだろって、……いつもお前は優しいな。だから、お前に最初に聞いてほしい。まだ、お前にしか話せない、いや、話したくない。
俺、引退しようと思うんだ、味噌汁の具。
そんなにびっくりした顔するなよ、驚かせるつもりはなかった。でもずっと、ここ何年かぼんやり考えてたんだ……なんかさぁ…………便利使いされるの、ほとほと疲れちゃってさ。
まあ、俺は味噌汁のバイプレーヤーに誇りを持っていた時もあったよ。どんなトリッキーな具材がこようと、俺がいればなんとかなる、俺がなんとかしてやるって……少し熱かったよ。
その通りだって、ありがとう。お世辞でも、お前にそう言ってもらえて嬉しいよ。お前とはほとんど一緒だったからな、いや、お前を見ない日は無いよ。そこまでじゃないって、また謙遜する。みんなお前のことは、一目置いてるさ。お前がいないと締まらないって。
俺も?俺は違うよ。
お前は豚汁にも入るじゃないか、ネギ。
誰とは言わないけど、出しゃばり過ぎじゃねって、話してんの聞こえてきてな。まあ、主役級だったけど、まだまだルーキーのひよっこが、テレビで何度か紹介されたぐらいで調子に乗って…………あっごめん、こんな事が言いたいんじゃなくて……そうだなぁ、俺のモチベーションの問題なんだよ。
俺がいなくても、もう大丈夫なら引退して、余生はスープに専念して、ゆっくり過ごそうかと考えているんだ。
そんな寂しい顔するなよ。お前とはいつでも会えるし、俺のスープにもお前は不可欠だ。これからも、よろしくな。
あれっ、豆腐。お前、隠れて聞いてるなよ。どこから聞いてたんだ?最初からって、おいおい泣くなよ。俺はお前の最高のバディだって、俺もそう思ってるよ、これからだって……だからお前には、言えなかった、すまん。でも、ネギがいるから大丈夫だって。
えっ、あおさが肩をぐるんぐるん回してたって、次回の好きな味噌汁の具ランキングの上位を狙ってる。海藻類じゃ、俺がいなくなれば、天下取ったも同然だって、そんな事言ってるのかあいつ。俺の前では、大人しく畏まっているのに……そんな。
何っ、豆腐にも最近馴れ馴れしい。時々、ため口になるって…………そうか、舐められたもんだな俺たち――――。
よし、今の話は無かった事にしてくれ。
明日の朝食に備えて、もう休もう。
長い付き合いのネギと豆腐は、わかめのモチベーションの上げ方を知っていた。
あおさも好きです。




