0 転生
短いです
僕は絶望していた。
この世に生まれて17年と5ヶ月が絶った日。
僕は自殺した。
僕はいじめられていた。
母は14の時に病死し、父はその時から酒に溺れ、僕に暴力を振るうようになった。
高校に入って、クラスのやつにいじめられるようになった。
意味もなく腹を蹴られ、髪を切られ、コンパスで刺された。
教師は自分に責任が来るのを恐れ、見て見ぬ振りをした。
父に相談したら殴られた。
全てに絶望していた。
生きる意味を見出せなかった。
父が会社に行った後、僕は家で首を吊った。
遺書は書かなかった。父が揉み消すと思ったからだ。
苦しかった。
あぁ…これでやっと楽になれる…
しかし、目が覚めた。
いや、目が覚めるとはまた違うのかもしれない。意識がはっきりしない。
なんか暗いな…しかも何か硬いもので覆われてるような。なんだ…?何か話し声が聞こえる。日本語ではないようだ。あぁ…意識が…
まだ硬いもので覆われている。ここはなんなんだ?
ちょっと動いてみた。またすぐに眠くなってそのまま意識を手放した。
今度はもう少し動いてみようと思う。パリパリ音がする。いったいなんなんだろう。またすぐに眠ってしまった。
何日経ったのだろう。動いては眠ってを繰り返して、外から光が漏れてくるようになった。
意識もはっきりしてきて、考えられるようになってきたので、現状把握に努めようと思う。
まず、僕は死んだ。それは間違いない。あんなに苦しかったのに死なないわけがない。
ならこの意識はなんだ?ここはどこなんだ?まあわからないことは置いておこう。まずは現状把握だ。
体に違和感がある。そりゃあこんなよくわからん狭いとこに閉じ込められてたらそうだろうが、そうではない。尻の少し上あたりに異物感があるのだ。
これは、もしかしなくても尻尾だろう。どういうことだ?僕は生まれてから死ぬまで尻尾なんて持っていなかった。人間だったからな。僕は人間じゃなくなったのか?それはとてもいいことだ。人間にはもううんざりだからな。
外から声が聞こえていたので、覗いてみることにした。
…あれはなんだ?あれが話しているのか?
距離感の掴めないほど大きな体。長い尻尾。鋭い凶悪な爪に、禍々しい翼。頭にはねじ曲がった角が生えている。体には鱗が生えている。体表は漆黒で、赤い亀裂のような模様が入っている。
外にいたのは御伽噺に出てくるような龍がいた。それもあれは明らかに邪龍だ。神話に出てくるような神々しいものではない。世界を終わらせるサイドの神と言われれば納得してしまうほどの禍々しさだ。
どうしてあんなのがいるところに僕はいるんだ?囚われているのか?
邪龍が近づいてきた。そして何やらこちらに話しかけてきている。
そろそろ現実逃避はやめよう。僕の体と邪龍の体の共通点が多すぎるのだ。
どうやら僕は転生して、邪龍の子になったようだ。
とりあえずプロローグ的な