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龍の牙〜Gods is playing the game〜  作者: こばん
第一章 アストと獣人
2/114

#1 序章2

5/27訂正、追加しました。

地球ではないどこかの世界で・・・

彼は眠っていた。長い、とても長い間眠っていた。

しかし彼の寿命からすれば、ほんの午睡ていどの時間ではあるが・・・


暗く一筋の光も差さない場所に彼は身を横たえている。大地の地脈に深く入り込んで、その流れを整えているのだ。

少し前、人間の感覚では千年以上前に、増長した人間が魔力を使いすぎて枯らす寸前までいった事があった。

人で言う血管のような働きをしている大地の地脈が枯れれば、末端のほうからこの世界は崩壊していくだろう。


たまには羽を伸ばしたいものだ・・・彼はそう思い、ほんの少しだけ身をよじった。それだけでどこかでゴゴゴと低い音がなっている。


目が覚めたということは何か異常が起きつつあるということだ。でなければ彼は大地とともにいつまでも眠り続けるであろうから。


・・・また矮小なる人族が分を超えた力を手に入れようとしているのだろうか。そう考え、地脈をたどって調べてみようとしたところ、小さな異変を感じた。

大地の地脈から力をごそっと奪った者がいる。


・・・またこの世界が乱れるのか。嘆息して己の眷属に動くよう思念を飛ばす。

彼は動けない。地脈の深いところに体をうずめているから・・・彼が動けばまたこの大陸の半分が隆起して地形を変えるようなことになるかもしれないから。


人は彼を龍と言う。それも神と称されるほどの・・・

龍神が送った思念は同じ世界はおろか次元すら超えて飛んでいくのだった。






「ふう・・」


落ち葉を掃く手を止めて、一息つく。紅葉の季節も過ぎ、掃いても掃いても枯れ葉が舞い落ちてくるのだ。

ここは神社。特に有名でも大きくもない、ただ由緒だけがある神社だ。

お守りを販売する売店もなく、参拝客などほとんどいない。たまに近所のおばあさんがお参りに来るくらいだ。


「滅多に人も来ない所を毎日毎日掃く必要があるのかね・・」


誰に言うでもなく呟きながら終わりの見えない作業を再開する。

なぜ俺がそんな神社の境内を掃除しているかというと、ここが俺の家だからだ。先祖代々この小さな神社の宮司を勤めてきた。

現在は、俺が物心つく前に両親を亡くしているので、じいちゃんがずっとここの神社の宮司を勤めている。

俺はまだ高校生だが、一応禰宜という立場にある。なので学校からの帰宅後、特に用事がないときは掃除をするよう言いつけられているのだ。


将来は俺が継ぐ事になるんだろうなぁ。とぼんやり考えたりするのだが、いまだ実感も使命感も持つことができず、惰性で過ごしている。


ある程度掃いたところで、俺は集めた落ち葉を決まった場所に運んで箒を物置にしまい、手水で清めて本殿に向かった。朝にお供えしたご神饌を下げるのも俺の役目になっている。

うちの神社でお祀りしている神様は天照大御神とオオヤマツミ?となんとか女龍王?だったかな・・

やばい、祀ってある神様をうろ覚えって・・・我ながらのいいかげんさに苦笑いしながら三方を手に取る。


そして振り返った時に違和感を感じた。一瞬目の前がぶれたように感じたのだ。

あれ?っと思いながら数回まばたきをする。あまりにぼんやり作業していたから立ちくらみでも起こしたか、自分を祀る人間(俺)のあまりの不信心さに軽くバチをあてられたか・・・


などと考えながら神殿から一歩踏み出した。するとまた同じ違和感を感じた。さっきよりかなりはっきりした違和感だ。

さすがにおかしいな、と思ったところでさっきまで持っていたはずの神饌の乗った三方を持っていない事に気づく。


「えっ?」


周りを見るが、落としているわけでもない。というか、探して振り返った時にさっきまでいた神殿もなくなっている事に気づいた。


「ちょっ!・・え?・・・」


訳がわからずキョロキョロしているうちに、またきた。

さっきの違和感。

今度はさらにはっきりとわかるほど強く感じる。


背筋がゾクッとして、嫌な汗が吹き出てくる。そして次の瞬間目に入ったのは夕焼けに染まった茜色の空。

もう倒れるという感覚もなかった。

死ぬのかな?他人事のようにただそう思っただけだった・・・



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