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龍の牙〜Gods is playing the game〜  作者: こばん
第四章 龍の牙
101/114

#101 非公式の会談

本日の定期更新、今日2話目の投稿です。

「さて、私がスーベイル王国の11代目国王のゲイル・ウォン・スーベイルだ。龍の牙からの使者で間違いないかな?」


あくまで穏やかな様子で国王陛下は話しかけてくるが、こちらは絶賛パニック中でうまい言葉が浮かんでこない。とりあえず頷くことしかできなかった。


「うむ・・・いきなりで緊張するのは分かるが、そう固くならなくても良い。そのために侍臣も外して非公式の謁見という形を取っているのだ。儀礼的な会話ではなくゆっくりと話したくてな」


スーベイル国王はそう言って優しく話しかけてくれる。そのおかげもあってようやくパニックから立ち直り掛けた時、ニアが動いた。

いまだニアの行動は読めない事がある。一瞬ドキッとしたが普通の様子で目の前のカップを取って置いてあるお茶を注いで俺の前に置いた。

ここまで動じない神経にびっくりするが、俺の緊張をほぐそうとしてくれているようだ。そこで、喉がカラカラになっているのに気付いた。


「大変失礼しました。おっしゃる通り龍の牙より参りました、アストと申します。こっちはニア、正式な使者として来ていますが、二人ともただの傭兵です。ご無礼はお許しください」


ニアが入れてくれたお茶を一口飲んで喉を潤した後、ようやく幾らかまともな挨拶ができた。


「うむ、先ほども言ったが儀礼的なことは気にしなくて良い。私も王位継承権が低かったから、即位する前は傭兵をしていた事もある。普通通り話してくれ」


さすがにそこまでは砕けることは無理っす・・・


そこで、衝立の向こうから俺たちをここへ連れてきてくれた少年が姿を現した。少年は国王の前だというのに普通に歩いてきて俺たちよりスーベイル国王に近い椅子に座った。


「ルーラス、使者殿を連れてくるならせめて先ぶれを出すものだ。いきなりで私も驚いたが使者殿はもっと驚いていたぞ。きっと何も伝えずに連れてきたんだろう?」


咎めるような口調で、ルーラスと呼んでいる少年話しかける国王。


「それもそうか。ごめんね、びっくりさせちゃった?でも大丈夫だったでしょ?」


ルーラスは少しも悪びれることなくそう言って笑った。

ますますこの少年が何者なのかわからない。国王とも普通に話しているし、国王も何も伝えずに連れてきた事は咎めても、その態度には何も言わない。


「使者殿には関係のない事だが、こうやって会ってしまったのは何かの縁だろう。そこの者はルーラス・スーベイル、私の息子だ。まあ正式には認める事ができずにかわいそうな事をしてしまっているがな」


苦笑いをしながら国王はルーラスとの関係を話してくれた。さっき言っていたように、元々王位継承権の低かった国王は即位する前はかなり自由に暮らしていたようで、傭兵をしたり普通に町娘と恋愛していたりしていたらしい。

そこで一人の町娘と結ばれルーラスが生まれた頃、王宮内で政変が起き上位の王位継承権を持つ者がこぞって命を落としたり行方不明になってしまい、離れて暮らしていた自分が王位を継承する事になってしまった。しかし平民の身分の町娘は王宮に入る事ができず、子供も諦めるよう言われたのだが王位継承権を与えない事を条件にして、共に王宮に入ったとういうわけだ。

ちなみにルーラスの母は侍女としてそばに仕えているのだそうだ。


「まあそんな感じで、微妙な立場にしてしまって周りからはいないものとして扱われているのだ。今となって王宮に連れてきたのが正解だったのかもわからん。」


顔に後悔の色を浮かべて話す国王にルーラスはあっけらかんとした口調で言った。


「いや、そんな立場でも父上は息子として扱ってくれるし、母さんも一緒に裕福な暮らしができているし感謝してるよ?まあ退屈なのが玉に傷だけどねー」


ルーラスはそう言うと、俺の前に割り込んできてフルーツをつまんでいる。


「すまん、余計な話だったな。なぜかルーラスも心を許しているみたいだし、つい話し込んでしまった。本題に戻ろう。スーベイルの王宮内では竜の牙への対応に意見が分かれている。想像はつくだろうが、自国内に獣人の集落ができるのをよく思わない連中がいるのだ。だが今回の戦でイムスリア軍をほとんど自分たちだけで追い返した事と、近隣の村から困っている事を解決してくれたとの声が多数上がってきている。あの近辺は土地も痩せていて、魔物も多く誰も入ろうとはしなかった土地だ。私はそのまま使ってくれていいと思っている。まあ税は納めてもらう事になるだろうがな」


意外にも、こちらとしては願ったりな条件が出てきた。税くらい収めますよ、じゃないとまた宰相やブタ子爵あたりがうるさそうだし。


「それは龍の牙の正式な回答という事でいいな?大まかに言うとスーベイル国内にいる私兵団のような扱いで、そこにいる限り税を納めてもらう。あとは敵対行為をしない限り自由にして構わない。できれば獣人と人族の友好の一助になってほしいんだがな?」


この国王は獣人に偏見を持っていないと言うのは本当だったらしい。それにしてもこんなかなりいい条件で大丈夫なんだろうか?


「まあ、うるさいのが色々言ってくるだろうが、私が決めた事だ。手出しはさせんから安心しろ。それに考えても見ろ、我が国から見た場合、あそこにイムスリア軍を追い返す事ができるくらいの傭兵部隊を置こうと思ったらどれだけの費用がかかるか。誰も欲しがらない土地を貸し与えただけでその部隊が常駐して、さらに税まで上げてくれる。さらに中央から手が届きにくい村々の問題を解決してくれるんだぞ?我が国にとってもいい話ではないか。」


笑ってそう言ってくれた。会ってみたら気さくないい王様だった、お互いいい条件で和解できたと言えるだろう。ここで終わればよかったのだが・・・





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