生活
「すまん。本当にすまなかった。」
ルージャが何回も謝る。
「いいえ、もういいですから」
香がもうやめてと言わんばかりにやめさせる。
流石に何度も謝られると対応に困る。
「あの、これ聞いていいか分かりませんがどうして信じてもらえたのでしょうか?」
真面目モードの湊は聞く。
するとルージャが
「君らは異世界の人だろう?」
香の拘束を解きながら言った。
「「「知ってるんですか!」」」
一同は驚いた。まさか自分たちの事情を知ってくれる人がいるなんて。
「ワシの事は後で。君たちはどうやってこの世界に来たのか教えてもらえるかな?」
ルージャは聞く。
「俺たちは夜に学校へ行ったら、見たことがないドアがあったんだ。その扉を開けると扉に吸い込まれていまに至る」
俺は簡潔に説明しておいた。
「そうだったのか。実は最近、君たちのような事情を知らない者たちが他の町で沢山見つかっているのだよ。その者たちをワシらは『異人』と呼んでおる。見たかった渡り人のはとんどが奴隷にされたのだ。そやつらの持ち物には、ある文字が書いてあったそうだ。ワシはその字を一度見たことがあってな。その字と特徴が似ているところがあったのでな。君らは渡り人。つまり無実なのだ。」
「そうなんですか。なら僕らも『異人』ですね」
「そうだ」
「これから奴隷になったりは...」
「しない」
事情を知らない者...そして特徴がにている文字。間違いなく同じ世界の人だ。
つまり俺たち以外にもここに来たものがいるということか。
どれい奴隷制度があるのか。流石に運が良かったとしかいえない。
「それより俺はビーオ・ディイラーという人物が気になる。一体何者なんですか?」
「ビーオ・ディイラーはこの国、ロンバリスの元冒険者だ。ビーオは特殊なスキルを持っておっての。それが多分、君達がこの世界に来ることになった原因だと思う」
特殊なスキル...
「スキルとは稀に人が持っている属性がない魔法のことじゃ。魔法もいすれ詳しく知ることになる。」
「そのスキルは一体なんですか~?」
「分からない。記録も、知っていた者の記憶も残っちゃいないのだよ。恐らく『消された』と思う」
ビーオ・ディーラー。きっと『世界が終わる』原因かもしれない。
「覚えているのはこの村の者ぐらいじゃ。忘れはしない」
「と言うことはこの村に何かあったということですね」
「そうじゃ。今は話さんがいずれ知ることになるだろう。ま、ここにいればの話だがな」
ルージャは真剣に言う。
言わないのはきっと、言えない理由があるからだろう。
「そういうことでじゃ、君らはこれからどうする?」
「何も考えていませんね」
湊はそういった。
「ならうちの村にしばらくいなさい。ここらの常識くらい教えよう」
「そうさせてもらいます」
まだ完全に信用できないがここ以外知らないから信じておこう。
「唐突だが君たちには今から名前を決めてもらう。」
「「「え?」」」
俺たちは意味が分からなかった。
「まあ、考えておいてくれ。実はこの世界は名前による差別があってな。君たちの同郷の者たちが奴隷にされている原因は名前なのじゃ。」
すると香を指さしながら、
「この文字、今は亡きある国の文字でな。その国の元兵士らは全員奴隷にされたのじゃ。今はその字を書けるものは今の国を否定していると見なされ即、奴隷にされる」
亡き国?つまり俺らと同じ日本人が国を作ったということか。
すげぇ。
「じゃあ俺らをなぜ奴隷にしない?」
「言っただろう。君らはビーオ・ディーラーによって送られた。そして事情を知っている村人たち。保護しないわけがないだろう?」
「そうですか」
つまり運が良かった。それだけだ。
ルージャは辺りを見回すと、
「こんな所で村の説明も何だから外で歩きながら話そう。おい、こ奴らは無実じゃ。ここから出しても良いな?」
近くの見張りに言った。
「出ようか、外へ」
「そうさせてもらいます」
俺達はようやく無実だと分かってもらった。良かったと思う。
外はきっと見たことがないところだろう。
でも、
それが俺達の新たな暮らしなのだ。




