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異世界を救えるなら  作者: オシダサユキ
異世界
8/13

誤解


 看守に付いていくと看守がある所で立ち止まる。

 立ち止まった先は、香が閉じ込められているところだった。


 「入るぞ!」


 と言い、看守は何が何だかわからない様子の香の手を拘束し始めた。固く拘束し終えると香を引っ張るように連れ出す。

 そして、また歩き出した。


 少し歩いた先に、頑丈に作られたに面会室が見える。もちろん石造りだが。

 俺たちは看守とともに中へ入り、



 「さあ、三人とも入れ」


看守はそう言って俺たちを入れ、木製のドアを閉めた。


 ドアから振り向くと、長い白髪が目立つ年老いた老人が座っている。いかにも村長です!って感じの人だ。


 「座ってよいぞ」

 と言い、俺たちを座らせる。落ち着かない。


 「わしはルージャ・ベルロット ベル爺と呼ばれておる。」

 

 「どうも、左から...」


 「自己紹介はいらん」

 いや、させてくださいよ一応。重い空気だから言えないけどさあ。

 


 「あの、自分たちはなぜこのようなことになっているのでしょうか。」

 湊が聞く。

 こいつは真面目になるといつものふざけた感じじゃなくなる。完全に真面目になるのだ。

 本当に不思議だよ。


 湊の問いにルージャは、

 「とぼけるなよ...」

 睨み付けてきた。完全に何か誤解している。

 

 すると香を指差し、

 「そいつはそこの村、いやこの国を抜け出し、何かを企んでいる反逆者ビーオ・ディイラーだろう?わかっておるのじゃ。さっさと殺せばよかったものをあの馬鹿が拘束しおって」

ルージャが言った。


 ビーオ・ディイラー?

 変わった名前だ。聞いたこともない。


 「私は違うよ~」


 香は言う。


「違うのなら証拠はあるのか?どこからどう見てもビーオなのだが?」


「証拠ならあるよ!」

 香は力強く主張する。

 「なにかね」


 「これだよ‼」


 「これは⁉」

 ルージャは驚いていた。

 俺も驚いた。拘束された手で器用に自分の身分証を出したのだ。

 まあ、ルージャが驚いた理由とは違うと思うが。

 でも通用するのか?この身分証。


 「間違いない... 本当に申し訳ない。」


 ルージャが謝る。


 どうやら誤解が解けたようだ。


 よかったよかった。



 

 


 


 

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