疑い
「あれ・・・?」
気が付いたら真っ暗なところにいた。
どうやら捕まってすぐに気を失ったようだ。辺りを見てみると、隣で湊が横たわっている。
石造りの所で、足元には鉄格子があった。 そして、俺の持ち物は無く、制服を着た状態。また、香がいない。
あのデカい男が言っていたことと関係があると思っていいだろう。
少し探ってみよう。
探ってみると、俺が思っていたとおり通り、ここは牢屋だ。僅かな隙間をのぞいてみると隣にも同じ石造りの牢屋があり、さらに鉄格子から遠くを覗くと頑丈そうな牢屋が立っていた。そこから香のと思われる髪が見えたので、薫はそこにいると思っていいだろう。
この建物自体、そこまで大きくないみたいだ。
さて、どうしようか。このままでは俺たちは何もしていないのに罪人になってしまう。
そう考えていると看守と思われる人物が、
「おい、起きろ面会だ」
と俺と湊に伝えに来た。
一体誰と面会なのだろうか?まあいい。それよりあの男もそうだったが、言葉は通じるらしい。話が通じるだけいいか。
「とっとと出ろ!」
看守がせかしてくる。
ていうか、俺たちは今から誰に会うんだろうか?
聞いてみよう。
「なあ、今から誰と面会するんだ?」
「この村で一番偉いお方だ。」
看守が答えた。
この村で一番偉いお方、つまり村長か。
多忙なはずの村長がわざわざ来るということはよほど暇なのか、それか罪深い犯罪者と勘違いされたかのどちらかということか。
これは早く誤解を解かなければならない。
「湊、行くぞ」
「痛たたたたた!」
まだ寝転がっている湊を強引に引っ張り起こした。俺も悪いと思う。でも、看守が明らかにご機嫌斜めなんだもん。
恐いからさ…
「行くぞ‼」
「分かった。分かったから!」
湊を引きずりながら看守についていった。




