使命
暗い。
暗くて何もない。
俺は今、どこにいるんだろう。
体ががどこかに流されていくのが分かる。
気がつくと人の姿があった。
黒い髪が特徴の人物。
俺をどこか懐かしむように見ている。
ボロボロで傷だらけだった。
声が聞こえる。
優しく語りかけるような声が。
「いいか、これからお前は、使命を背負って生きていくことになる。
それは、『世界の危機を救う』ことだ」
世界を救う?
突然のこと過ぎて理解できない。
「俺が果たせなかったことを、お前に託す。
そして、無力で魔法の才能もないお前に俺の能力を授ける。
最初は弱いが、少しは戦えるようになるはずだ」
全身に何かが植え付けられる感じがした。
「お前ならできると信じている」
「いいか、お前は今から『終わってしまう世界』へ行く。お前が救うんだ。
これから終わってしまった世界を巻き戻す。
巻き戻せるのは一回だけだ。これ以上は巻き戻せない」
「頼んだぞ…」
後から何か言ったように感じた。だが、聞き取れなかった。
どうやら厄介な役割を押し付けられたらしい。
流れがどんどん速くなっていく。
流れが速くなっていくうちに、俺は気を失った。




