始まる…
「ふう…」
何とか校内に潜入した。
「何とか入れたな!」
湊は言っている。
入るのに時間がかかった原因が、まるで自分の手柄のようなことを言う。
こいつは寒さで頭をやられたみたいだ。
まあ、いつものことだしいいか。
「これから私は忘れ物を取ってくるけど君たちはどうする?」
香が聞いてくる。
「俺はこの馬鹿についてく」
はっきり言って嫌だが、香より湊の方が話しやすい。
「じゃあ、少し別行動をしよう。幸いここには私たち以外いないみたいだし~。」
「そうしよう!」
何故こいつはハイテンションなんだろう。
そういうわけで別行動しようとしたときだ。
辺りを見回すと、見たことがないドアがあった。
そのドアはこの学校のどこにもないような高級感のあるデザインをしている。
「おい、こんなドアあったか?」
二人に聞いてみる。
「「知らない。」」
答えが同時に返ってくる。
どうやら全員初めて見るようだ。
「なんだろう?」
香は首をかしげる。
「開けてみようぜ!」
「中は何かな~新しい教室かな?」
二人は興味深そうにしている。
俺も中がとても気になった。
気になって仕方がない。
見たことがないものを見ると面倒なことが起きそうだから見なかったことにする。
でも、なぜか中が気になった。
「おい、開いてるぞ。しっかり戸締りを確認してもらいたいな!」
と言いながらドアを開けるとまるで、ブラックホールのような空間が広がっていた。
「なんだこれ?」
湊がそう言った途端、
「うわ!」
香がドアに引きずり込まれた。
「やばいんじゃないのか⁉」
湊によびかけた。
だが、俺たちもドアに引き寄せられる。
「まずい…。」
「おい、黒上!」
湊が壁につかまりながら言う。
「いくぞ!!」
湊はドアに吸い込まれていった。
ドアの引き寄せる力が強くなっていく。
俺もいくしかないな。
俺はドアの中へと入った。




