薫 香
「寒い…。」
今の季節は秋。寒さが本格的になってきたころだ。
寒い中「信じてないなら確かめにいこうぜ!」
なんて言うあいつ(湊)はすごいと思う。
あの行動力、俺は尊敬する。
しかし深夜だぞ。 誰だよこんな迷惑なうわさをながしたのは…
暗い道をのろのろ歩いていると後ろから例の迷惑ボーイが懐中電灯をこちらに向けながら走ってきた。
「お、追いついた?」
なぜ疑問形にした? まあいいか。
「とにかくいこう!!」
早く向かいたいのか懐中電灯を振り回しながら走っていった。
他の通行人にはいい迷惑である。
俺、間違ってもああしないようにしよ。
湊を追いかけていると学校についていた。
ここから先が悪夢の始まりだった…
学校の校門を抜け、校舎に入ろうとしたときに、
「ねえ、君たちもかい?」
と声をかけられた。
「⁉」
突然話しかけられたから、驚いてしまった。
話しかけてきたのは顔は可愛らしい女の子。
でも何故か男子制服を着ている。
「ねえ、君たちも学校の中へ?」
「そうだが。」
「そうなんだ~。」
「そーなのかー。」
湊も話に入ってきた。
「君らも行くならさ、一緒にいかない?」
「そうしよう」
俺は即答した。 馬鹿と二人なんてごめんだ。
あれ?じゃあなんで俺、ここまで来たんだっけ?
まあ、考えないでおこう。
「じゃあ一緒だね。あ、私の名前は 香 薫
よくある苗字とよくある名前だよ~。」
いや、俺が知る限り苗字と名前が同じというのは珍しいと思うぞ。それに、なぜ男子制服を着ているんだ?
まあ、聞かないでおくことにする。
「俺は黒上、隣がみなと湊。」
簡単に自己紹介しておく。
「じゃあ薫、黒上行こうぜ!」
会ったばかりの人とすぐ簡単に話せるあいつ(湊)はすごいと思う。
人と話すのが苦手な俺にとっては、とても羨ましい。
「じゃあいこっか。」
香は湊についていった。
二人とも仲良くなるのがはやいこと。
俺は二人と共に校舎に向かった。




