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【マイルド】異世界 きまぐれぶらり旅~奴隷ハーレムを添えて~  作者: さとうねこ


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8-14 盾使い

更新遅れました!

直前になり書き直したい部分があり、少し遅れました。

目的地への到着目前で、通行料を要求してくる賊に足止めされた。


適当に話をつなぎながら、待機組に合図を送ったが、ちゃんと意図を酌んでくれたようだ。

赤い紙で示した場所に隠れていた敵は、サーシャの矢とキスティの戦槌の餌食となった。


交渉を担当していた敵のリーダーっぽい男の額にもサーシャの射撃が命中したが、倒しきることはできなかった。が、追撃したルキは盾で敵の股間を潰すように攻撃していた。

急所は防具で守っているだろうが、それでもタマひゅんしてしまうようなルキの一撃だ。


何せ、重量感のあるルキの大盾の重量が乗っていて、しかも盾を地面に固定するための突起部分を、「スタンプ」のスキル付きで叩きつけられたのだ。

防具もろとも急所が破壊されていてもおかしくない威力。


果たしてそうなったのか、あるいはそうなる恐怖に負けたのか、偉そうに交渉していた男は泡を吹いて倒れてしまった。

……泡吹いてるし、破壊された可能性が高いか。


残りの通せんぼメンバーのうち、2人はラーヴァストライクが直撃して悲鳴を上げている。

他はダメージを受けつつも戦闘不能になるほどではなさそうだが、完全に浮足立っている。

そこに突進していくルキ。

そちらに気を取られている奴を横から、魔剣術で派手に斬り飛ばす。


「う、うわああ!」


左右にいた人間族の男2人が、ようやく事態を吞み込んで剣と槍を向けてくる。


その横合いから、狼面の戦士が長剣で右の奴を袈裟切りにした。


「あんたも来たのか、スノウ」

「無茶するねえ、ヨーヨー」


少し後ろにいた弓持ちの奴が、スノウに矢を放つ。

ひやりとしたが、スノウは難なく剣でそれを弾く。


「うっとおしい!」


スノウは下に落ちていた石を拾い、弓使いに投げる。


弓使いが防御姿勢を取ったところで、俺が身体強化でダッシュして距離を詰める。

なお短剣を掴んで抵抗しようとしたが、剣先からの魔力の奔流を避けきれずに直撃し、血が噴き出た。


「ぐあ……やられるときは、こんなもんかよ……」


弓使いが何やら呟き、崩れ落ちる。


「なかなか良いコンビじゃないの、俺たち」

「言っとけ」


スノウは長剣を振り回しながら、奥の1人に向かっていく。

気配探知をしながらそれを少し観察する。


長剣を振り回しつつも、流れるように攻撃・防御を切り替えるスノウの剣術。円を描くような剣の動き。

身体強化を使って多少強引に剣を振る俺と違って、徹底的に長剣の重量と遠心力に逆らわず、それを利用するような動きに見える。


と、気配探知に反応があった。奥の物陰から、何人かがこちらに矢を放とうとしている。

後ろにも増援がいたか。

数の差は、倍どころじゃなかったかもな。


そちらに向かってダッシュしながら、ウィンドシールドを広く展開して矢を逸らす。

広くした分威力が足りないが、何とか逸れてくれた。


「ルキ、スノウを援護しろ」


言いながら、ラーヴァボールを弓持ちの敵の方に投げておく。

適当に投げたので当たらないだろうが、けん制になるはず。

初手でラーヴァストライクを見せていると、ラーヴァボールがけん制として使いやすい。


「放てっ!」


後ろから声がして、いくつもの矢とスキルが敵に向かっていく。

商会の護衛達がやっと態勢を整えたらしい。

遅いぞ、と言いたいところだが、いきなり奇襲しはじめたのは俺だから、加勢が間に合っただけありがたい。


「伏兵もいるぞ、しらみつぶしにしろ!」


後退する敵の集団と、それを追うこちら。

その流れに逆らい、1人の重装備の敵が姿を現す。


全身を覆う重厚な鎧を着込んで、ずんぐりしたフォルムになっている。

そのずんぐりフォルムのやつは大盾を構え、力場を発生させて後退する敵に浴びせられる矢やスキルを防いだ。

ルキのような防御スキルを持ってると。


「観光気分でこんなとこにノコノコ付いてくる連中が、図に乗るな」


ハスキーで、中性的な声をこちらに浴びせてきた。

人間族だとしたら、女性かもしれないが……まあどうでもいいか。

大盾を振り回している姿とギャップはあるが、ウチでも一番の力持ちはキスティなわけだし。男だから、女だからと言っていられる世界ではない。


「こんなところで盗賊まがいのことをしている連中が言うことかよ?」


周囲の気配を探りながら、言葉を返してやる。


「だから下らん小遣い稼ぎは止めろと言ったのだ……それにしても、ロクに交渉もせずに斬りかかる連中に言われたくはないな」

「賊行為は本意ではないとでも?」

「少なくとも自分の意に沿う行いではない」

「じゃあ止めろよ。連中、個人傭兵相手に金貨まで要求してたんだぞ」

「大方、交渉のつもりだったのだろう。真に受ける奴がいるか」

「勝手なこと言いやがって……」

「そもそも、この先はブレファス公の施政権が及ぶ土地だ。仮に違法行為があったとて、いかなる権限でそれを追及しているというのだ?」

「何?」


ブレファス家というのは、これから戦をする勢力の片割れだったはず。

戦場に近づいているのだから、その勢力圏に入っていくというのは当たり前の話かもしれないが……。


どう反応すべきか、返答に迷った俺の代わりに声を発したのは、後ろから追い付いてきたスノウだった。


「推察するに、お前らはブレファス家に雇われた私兵……いや、戦場付近の露払いを依頼された傭兵団ってところかな」

「……」

「仮にブレファス家の領地に近付いていたとして。領境付近、それも観戦官の近くで無法を働くような連中は、ブレファス家も切り捨てるだろう。その脅しはちょっと無理があるね」

「……」

「だんまりか。ヨーヨー、こいつの狙いは明白だぞ。仲間が逃げるだけの時間を稼ごうとしている。それだけだ」

「ここは通さん」

「その意気や、良し」


スノウは長剣を回し振って、斬り下ろすような攻撃を繰り出した。

それを盾を構えて受け止める敵。

敵の方が少し押され、後ずさりする。


が、次の瞬間盾から弾かれるように、スノウが後ろに吹っ飛ぶ。

盾で押し返しただけにしては、不自然な挙動。何かのスキルか。


俺の後ろから飛んでいく、いくつかの矢。

それを盾を器用に回しながら受ける敵。


途中で盾を振るようにすると、周囲の土が巻きあがる。

盾から、衝撃波のようなものが出ているのか。


近づくのは怖い。サテライトマジックで火球を並べ、コースを少しずつ変えながら敵に放っていく。

敵がこちらに意識を向けてくるが、間にルキが入って敵の進路を塞ぐ。


体当たりするようにしてルキの大盾に敵の盾がぶつかるが、ルキは辛うじて踏みとどまる。

押し返せてはいないが、十分だ。


ルキと押し合っている横から、剣を振り魔力の奔流が敵を襲う。

敵は片手を盾から離してこちらに手のひらを向ける。すると、魔力の奔流の一部が何かに阻まれて、その一部が跳ね返るようにこちらに戻ってくる。


咄嗟に飛び退いてそれを躱す。

少し距離を置くように動くと、ルキも力負けをして後ろに下がる。


右の敵を一掃したらしいキスティが近くまで来ていた。ルキとバトンタッチするように前に出ると、手にした槍を突くのではなく、投げた。

これは予想外だったのか、反応が遅れて右足に槍が刺さる。


体勢が崩れたところに、俺の魔法と、味方の矢やスキルが降り注ぐ。

透明の力場を発生させるスキルを展開する敵だが、多くの攻撃を受け、一部の攻撃は貫通する。それでも分厚い鎧が攻撃を弾くが、いくつかの攻撃は隙間に当たり、確実にダメージを与えていく。


「ふうっ、ふう……」


敵は息も荒く、辛うじて立っているようだ。

いくら防御したところで、反撃の手段が乏しく、ジリ貧であることは明白だ。


「ジリ貧だぞ。降参しろ」

「ふう、ふう……断る」


言葉を交わす間にも、次々に攻撃が当たっていく。


「あの連中が、命を懸けて護る価値があるのか?」


独り言のつもりだったが、それどころではないはずの敵は律儀にそれに反応した。


「価値などなくとも……うぐっ……それでも、護る」

「……そうか」


懐に飛び込み、魔剣術を発動。

魔力の奔流を浴びせる。

それに反応し、俺の方向に防御スキルを発動する敵。


「やれ。頭を潰せ」

「うがあああ!!!」


俺が斬りかかったのとは丁度逆の方向から、キスティがハンマーを振り抜く。

ゴシャッと鈍い音とともに、これまで多くの攻撃を受け止めてきた敵が、吹っ飛ばされ、倒れた。


鎧の隙間にはいくつも矢が突き立っており、右足にはキスティの投げた槍が刺さっている。

その姿を見て、何となく武蔵坊弁慶を連想した。


こいつの相手をしているうちに、残党はすっかり散り散りになって逃げてしまった。

これから追いかけるのは難しいし、自らを犠牲にして殿を務めた盾使いに、敬意を表したいような気持ちもある。


何度も剣先で突いて確認してみながら、倒れた盾使いのヘルメットを外すと、白目を剥いて息絶えている、黒肌の女性。

年はそれなりにいっていそうで、ベテランといった風情だ。


「何とも勿体ないね」


最初に吹っ飛ばされていたスノウがひょっこりと顔を見せる。


「無事だったか」

「まあ、何とかね……」

「それで、何が勿体ないって?」

「こんな勇猛な戦士が、こんな下らないところで、ね。人類の損失ってやつじゃないかい」

「誰もが人類のために生きているわけでもあるまい。何に命を懸けるかは、ヒトそれぞれだ」

「そりゃあ、そうなんだろうね」


スノウは狼顔を包むヘルメットを外し、悲しそうな表情で盾使いの亡骸に祈りを捧げた。


「戦士の御霊よ、神の御許にて再び相まみえんことを……」


雲一つなく遮るもののない晴天に、祈りはむなしく響いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 下らん小遣い稼ぎとか自分の意に沿った行動ではないと言ってたあたり、足止めの傭兵はまだマシだったんだろうけど それがゲスな連中を守るために死んだってのは確かに勿体ない気はするなぁ とはいえ今回…
[良い点] ・ヨーヨー無双 こいつ人間相手だと本当に強いな 耐久が一定以下の相手には魔閃の初見殺し力どうにも出来ないだろ [気になる点] ・レスバに負けかけるヨーヨー ニートハッカーの割に権力持ち出さ…
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