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1-1 始まり
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ...
朝の館に、けたたましいベルが鳴り響く。俺は、寝ぼけまなこを擦りながら、ベッドから起き上がった。
「なんだよ朝っぱらから...」
大方、この館の主が寝ぼけているのだろう、という推測を立てながら、部屋を出る。途端、かなり不快な匂いが、俺の鼻を刺激する。
「なんだよこの臭い...」
長い廊下を歩き異臭の元へ向かうと、例によって例の主の部屋だった。ドアからは、黒い煙が漏れだし、それ自体は多少赤みを帯びていて...
…ん?煙?赤み?
「...!!」
反射的にドアを蹴破り、中に入る。奥のベッドに、主が寝ている。呑気に寝息を立てながら、だ。
「何やってんだ...!」