ラッキーからの強制命令!2
綾音が屋上で演技練習をしている時、一人の青年が階段を上っている。
彼の名は上谷幸樹。彼も綾音と同じ二年生でありクラスも一緒。
「やばいかもしれない。期限までに間に合うかわからないな」
幸樹はライトノベル作家になるため執筆活動をしているが、いつも二次審査で落選している。
近々コンテストに応募する予定。しかし、ここに来てクライマックスに足踏みしていた。
一度詰まると彼はなかなか進めない傾向にある。
「屋上で考えをまとめるしかない」
メモ帳と筆記用具を手に幸樹は階段を上がっていたのだった。
「星奈の最後のサービスシーンどうすっかな~?」
頭の中で自身の小説に出てくる登場人物を想像し動かしている。
一段一段と階段を上がっていくとドアが見えてきた。
「やっぱブラは見せるべきだな! ピンク。いや、清純な白も良いな~。でも、読者の意表を突いて紫ってのも良いなー」
少しエッチなシーンを妄想し顔をほころばす。
人がいないから良かったものの、普通に見れば変な奴。気持ち悪いと思われるだろう。
幸樹はドアノブに手を掛け開けると。
「えっ!?」
信じられない景色が幸樹の双眸に映った。
「えっ!?」
綾音も幸樹を見て驚き固まってしまっていた。
彼女シャツのボタンを開けたままで谷間とブラジャーが見えている。
「星原……」
「上谷君……」
二人は互いに名前を呼び合いつつも、その後の言葉が出なかった。
ふと、幸樹は視線を谷間に映す。
「なっ!? 何だと!? フリルが付いているブラジャーなんて……しかも水色! こんな組み合わせがあったとは! これだよ! この組み合わせならいける! ありがとう綾音」
彼の頭に閃きという明かりが灯り始めすぐに帰ろうとしたが。
「ちょっと! 待ちなさいよ! 何ちゃっかりやり過ごそうとしているの。上谷君見たよね?」
「じっくりと見させてもらいました。ありがとうございまーす!」
元気よく頭を下げた。