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第十六話 家宅捜索とか聞いていませんけど!?

「へぇー、このマンションに榊クンが住んでるって事かな?」

「そ、そうなりますね……」


 学校が終わってからの放課後、俺は今自分のマンションのエレベーター前にいるワケだが……やばいよこれどうしようこれ!? 取りあえずラウラの方の部屋を俺の家って言えばいいんだろうけど、どうかロザリオとロレッタが隣の部屋にいませんように!


「ん? どうかしたのかしらぁ?」

「い、いや何も……」


 やばいよ、なんでよりによってエレベーターがうちの階で止まっているんだよ! 明らかにロザリオたちが戻っていたことを示しているようにしか見えないんですけど!

 そんな事を知ってか知らずか、ロザリンデは更に笑みを増してエレベーターのボタンを押し始める。


「ちょ、何勝手に押してるの!?」

「いえ、上の方を向いていらしたので、少なくとも一階ではないと思ったのでぇ☆」


 完全にこっちの心を読んでいるかのような、手玉に取るような言動と行動に俺は完全に振り回されている。

 ……どうにかしてごまかし通さないと。


「…………」


 制限時間はエレベーターが降りてくるまで。俺は必死で考えた。多分期末のテストの解答欄を埋める時よりも頭を使っている自信があるくらい、俺は悩みに悩んだ。だが無情にもエレベーターが与えてくれた時間は十秒足らずで、俺はロザリンデに後押しされる形でエレベーターへと押し込まれることとなった。


「それにしても、狭いエレベーターですね」


 それはあんたがくっついてきているからでしょうが、この痴女め。俺にはそういう胸を押しつけるような誘惑は効きませんよーだ。


「さて、降りますよ」

「はいはーい☆」


 さて、ここまで考え抜いた結果……運を天に任せるしかないという結果にまとまりました。つまり、どうしようもありません。


「どちらに行けばいいのかしらー?」

「こっちですよ」


 だが俺は一抹の希望をかけて、ラウラの方の部屋のドアに手をかける。

 ……もうどうにでもなれ! いざという時は反転させて何とかするしかない!

 そう思いながら俺はドアを開き、一か八かロザリンデに中へ入るように促す。


「ここが俺の家、まずはあがっていってよ」

「お邪魔しまーす☆」


 ロザリンデは俺の予想していたより素早く部屋へと入りこみ、早速ベッドの上へと腰かけ始める。


「……あらぁ?」


 ぎくっ。


「ど、どうしたんだ……?」

「なぁに、これぇ」


 そう言ってロザリンデが手にしたのは――


「――この下着、随分とエッチな下着ねぇ。もしかして榊クンの趣味だったりする?」

「ち、違うっての! 俺の同居人が――って、なんでタンスをひっくり返しているの!?」


 ロザリンデはまるで浮気の証拠でも掴もうとする彼女であるかのように、部屋の片っ端から引き出しを開けていっている。


「ちょちょちょ、ちょっといきなり何を――」

「ふーん……同居人サンって、随分とエッチな方なのねぇ」


 だからピンポイントで布面積が少ない下着をピックアップしないでもらえます!? その中に俺が興味本位でこっそり買った女の子のとき用の下着も交じっているんですけど!? これ単なる公開処刑だよね!?


「そっかそっか……まぁ、どうでもいいわぁ」


 どうでもいいならきちんと下着を元の場所にしまってもらえますかね? そのまま放置って一

番ひどいパターンだと思うんですけど。


「さて、ワタクシはそろそろおいとまさせてもらいますわぁ☆」


 目的のもの、あるいは人が見つからなかったのか、ロザリンデはさっさと俺の家から立ち去ろうと玄関のドアノブを握り始める。


「ちょ、おい! せめて片づけてから行けよ!」

「あらあら、女の方の下着を集めているなんて噂、ばら撒かれたくもないでしょう?」

「別に俺が集めているワケじゃ――」

「じゃあ、また後日学校でお会いしましょうねぇ」


 ロザリンデはぺこりと軽くお辞儀をすると、ドアを閉めて音を立てて去っていく。


「……次会った時には絶対に片づけさせてやる」


 それにしても、ロザリオたちがいるという痕跡とかに気づかなかったようでよかった……。

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