超・番外編 ぶれいく・おぶ・わーるど ~年越し編~
今回さらに世界観がぶっ壊れている+自分の作品のキャラも出てきます(よく分からない展開になっていたら先に謝らせていただきます、すいません(´・ω・`))。
先に要約しておきますと、三年間サイトで様々な作品を連載させていただけたことと、来年も頑張りますという意気込みをキャラを通して書かせていただきました。
えーはい、という事で年越し特別編です。本当なら二話投稿するとか作者がほざいていましたけど急遽一話に取りまとめることになったそうです。
「正月前にビックマウス叩いたバカの末路だな」
「結構作者に対して悪口吐いているけどその後の扱いとか大丈夫なんですかね?」
「オレはいいんだよ、読者から苦情が来れば作者を直接しばきに行く役割も兼ねている御意見番サマだからな」
「えぇ……」
というワケで今回は特別編だそうで、今のところ大広間にポツンと置かれた大きなこたつに、俺と魔人の二人だけが足を入れている状態になっている。
「後は誰が来るんですか?」
「今のところチェンジ・オブ・ワールドからはオレと榊真琴と後は澄田詩乃が遅れてくるか来ないか、ってところだな」
「えっ、澄田さんだけ来るんですか? 緋山さんはどうしたんですか――って、その前に作品名言ったってことはもうメタ発言ありな上に他の作品からも誰か来るってことですよね?」
俺は目の前に置かれているみかんに手を伸ばしながら、この場においてはあるはずの無い妙な寒気に襲われる。
「マァそうなるな。後はパワー・オブ・ワールドから穂村正太郎、そしてこれは完全な田作品だが、現世で数学が苦手な(中略)魔導方程式の解明者から主人公の東条薫ってヤツが、ブックマンからサブ主人公の本多勝希ってヤツが来るらしい」
「えぇ……これ小説本編以外読んでいない人はついていけないんじゃ――」
「大丈夫だ。作者が一回だけやってみたかったことらしいし、全ての作品内容をかいつまんで説明する。それに加えて過去作品で完結しているから宣伝も兼ねてゲフンゲフン――」
あんた読者の御意見番とか言いながら作者の代弁者にもなりつつなってないか?
「大丈夫だ。本編のオレも『語り部』として大抵イカレてるからこっちでイカレていても何らおかしくはない」
「えぇ……」
「それに特徴かいつまんで自己紹介してもらうつもりだ。そうそう事故は起きやしねぇよ」
フラグ過ぎるんで止めてもらえますかそれ。
「っと、そろそろ来客が来たみてぇだ」
この部屋へと続く唯一の扉が、ゆっくりと開かれる。するとそこにいたのは――
「ありゃりゃ? ルヴィがここで待ってるって聞いていたんだけども男二人しかいないんだけどにゃー」
ドアを開けて入ってきたのは三つ編みに眼鏡をかけた俺と同じ年齢と思われる少女。しかも猫言葉を喋ってて結構可愛い……いやいやいや、俺も反転すればあれくらい可愛くなれるはず!
「ねぇねぇ、ルヴィっていう可愛い女の子知らない?」
「悪いな、ルヴィはここにはいねぇ」
「そっかー……ってえっ? どういうこと?」
「悪いな西条薫――もとい東条薫。ちょっとここで年越していけよ」
「……にゃーんであたしの本名知っているのかにゃー?」
えっ? ちょっと登場早々にして険悪なムードになって来ていないか? なんか両手から電気がバチバチ火花散らしているんですけど。もしかして東条っていう人は電気系の能力者だったりするワケ?
「おい榊真琴知ってるか? こいつも性別反転できるんだぜ?」
「えっ!? この人もですか!?」
「にゃーんであたしの元々の性別が男だって知っているのかにゃー?」
えっ? どういうこと? この人もしかしてTSでは先輩にあたるの? というよりこのままだと色々衝突しそうだし、こっちも手の内見せた方がいいのかな。
「えぇっと……反転」
俺もとりあえず東条の目の前で反転して見せると、東条はとても驚いた様子で俺の手を握ってきた。
「えっすっごい! あんたも女の子になれるんだ!」
「え、ええ……まあ」
「いいなー、あたしは神様に死亡時期を間違われて死んじゃってさ、そのお詫びとして異世界で女の子として生きていってるんだよー」
な、なんか壮絶な人生ですね……。まさか神がそんな直々に来て異世界への扉を開けるなんて……異世界への扉っていうと女の子になるのもある意味そうだけどさ。
「ソイツが住む世界は魔法だけが発達していて、生活殆どに魔法が深く携わっている」
「すっごい、よく知っているねー」
「一回だけ行ったことがあるからな」
「あれ? あたしはあんたみたいなやつ見たことないけど?」
「クク、そりゃそうだろ」
相変わらず意味深な含み笑いしますねこの魔人は。
「とりあえず座れよ。テメェもここに呼び出されてんだからよ」
「えぇー、年越しはルヴィと一緒って決めていたのにー」
「今年は諦めろ」
「ぶぅー」
東条は不満げに頬を膨らませながらも、渋々炬燵へと足を入れ始める。
「そういえばさぁ、あんた達誰?」
「それ最初に出るべき質問ですよね?」
という経緯から、俺は自己紹介をしてひとまず親交を深めることにした。
「あたしは榊マコ。男の時は榊真琴。何でも反転させる能力を持っているんだ」
「へぇー、能力? それって魔法とは違うんだよね? 何でも反転できるって凄いにゃあ」
そうして今度は東条が自己紹介する番。
「あたしは東条薫。男だった時は西条薫って呼ばれてたんだけど、今はもう男に戻るにはシステマに――って言っても分からないか、神様に頼むしかないんだよね」
「なんか大変そう」
「んー、でも結構こっちの身体でも便利だよ? なんてったって魔導器官が常人とは比べ物にならないほどの容量だし、そのおかげで魔導方程式も二十三階層の組み合わせとかできちゃったりしたし」
魔導方程式? 階層?
「あぁー、魔導方程式っていうのは呪文みたいなやつで、階層っていうのが普通のゲームとかの上級とか初級とか、魔法の等級を決めるやつだって思ってていいよ。階層が深い程レベルが高いってこと」
「ちなみに最高の組み合わせは?」
「んー、十三と十三の式の組み合わせで二十六階層かな。ちなみに普通だと組み合わせて十階層を唱えるだけでもかなり才能があるみたい」
つまり超天才ってことですかこの子は!?
「……凄いなぁ」
「こっちの世界だとまずSランクは確定だろうな。それにさっきの雷撃、そこらの魔法使いなんざ一瞬で消し炭にするほどの電力だぜ」
「ふっふーん、まぁねー」
そんな魔法の申し子みたいな人が一緒のこたつにいる中で、またもドアがガチャン! と勢いよく開かれる。
「千夜様ァ! どこにいらっしゃられるのですかぁ!!」
「よく来たな本多勝希。騙して悪いがここに徳川千夜はいねぇぞ」
「アァン? ……何だテメェゴラァ」
うわっ! 右目に眼帯をつけた明らかにガラの悪い兄ちゃんが、入ってくるなり魔人の首根っこを掴み上げ始めたんですけど。
「テメェどこの家のモンだぁ? 石田はもうこんなクソ回りくどいマネはしねぇという約束じゃなかったのかぁ?」
「残念ながら石田の回し者じゃねぇんだよなぁオレは。それと徳川千夜は実家で徳川雅家と年越しそば食ってるぞ」
「チッ!! だったらなんでオレを呼び寄せてんだ! どこのモンだっつってんだよテメェ!!」
うわよく見ればボロボロのパーカーの端々に血糊がついているんですけど!? この人道中で人でも殺して来たの!?
「それに何だこの集まりはぁ? 前田にそっくりな眼鏡のガキに、千夜様とは程遠い程の濁った眼をした女はよぉ」
「うわぁ、初対面にそれいうかにゃー」
悪かったね濁った眼をしていて。よっぽどその徳川千夜って子が純粋なんだろうね。
それにしてもさっきから徳川だの石田だの、まるで戦国時代みたいな話が飛び出してきますなぁ。
「チッ、とにかくここに用はねぇ。オレは戻らねぇと――」
「その必要はないぞ本多勝希。テメェはここで年越しだ」
「……徳川家でもねぇクセにオレに指図してんじゃねぇぞぉ」
「徳川千夜とはすでに話をつけてある。曰く「お友達と楽しんできてね。初詣には迎えに来てね」とのことだ」
「……その話をどう信用しろってんだよぉ」
「何ならここのヤツ等ブチのめしていくか? テメェにゃ無理だろうがよ」
「……上等じゃねぇかゴラァ!」
本多勝希と呼ばれた男はまるで鬼のような角を額から突き破らせ、こちらを威嚇してくる。額からは痛々しく血が流れ、こちらに対してまさしく鬼がいるという恐怖を煽らせる。
「『武骨』を知らねぇクズ共がぁ、血祭りにあげてやんよぉ!!」
「とりあえず落ち着きましょうよ!」
「そーそー、あたしだって好きでここにいるわけじゃないんだしさー。あぁー、ルヴィに会いたい」
「……テメェらは殺る気じゃねぇのかよぉ」
どうやらこの場において闘り合う気だったのは本多ただ一人だけの様子。俺と東条はというと、既に現状に慣れた様子でこたつから動こうとしなかった。
「……チッ! オレだって積極的に女に手を出すつもりはねぇからなぁ」
「あら紳士的」
本多は角を戻すとドカッと乱雑にこたつの前に座り始め、改めてこちらの話を聞く体勢に入る。
「テメェを呼び出したのは他でもない、本多勝希。テメェが出ている小説こそ、作者がなろうに最初にのせた小説だからな。色々と因縁があるんだよ」
「小説ぅ? 何いってんだコイツ」
「そうかテメェはメタ発言できない方だったなぁ」
本多は何を言っているんだとでも言わんばかりに首を傾げている。まあメタ発言できる方がヤバいと思うんですけどね。
「とにかく、だ。今日はここで過ごしていけ。知らないヤツと友好組めねぇと、『ブックマン』を見習ってなぁ」
「……テメェ、どこまで知っているぅ?」
「さぁな。知りたきゃ最後までここにいろよ」
「上等だぁ。終わり次第口を割いてでも口を割ってもらうからなぁ」
ゴキリと首を鳴らしつつも、本多は納得したのかこたつの中に足を入れる。
「……チッ、コンロつけっぱなしで出てきちまったかぁ……確かめる方法がねぇしよぉ……」
「安心しろ。松尾桃子が気づいて消している」
「テメェが何で服部のことを知っているのかは置いておくとしてだぁ、アイツは飯とゲームに関しては積極的に動きやがるからそうだろうなぁ」
今度は服部……でも服装は現代っぽそうだし、現代で戦国時代的な事をしている世界なのかなぁ。それにしては『武骨』とかいう物騒なものがでてきたけど。
「それにしても正月だっつぅのにみかんしか置いてねぇのかこの部屋はよぉ」
「だったら今からキッチンを用意してやるから何か作ってみろ、本多勝希」
「ケッ、なんでオレが作らなくちゃならねぇんだぁ?」
「そりゃ料理が上手だからに決まってんだろ? 毎日徳川家の台所に立ってんだからよ」
「クソッ、どこまで知っていやがんだテメェ」
「クックック……さぁて、どこまでだろうな」
本多は舌打ちをしながらも、新たに壁に現れたドアに手をかける。
「……テメェ、魔法使いか何かか?」
「さぁ、どうだろうな」
「チッ、ワケわかんねぇ」
どうやら本多の住む世界には魔法や能力といった類のものはなさそうだ。
「暇だにゃー、本多って人が料理を作ってくれるって言ってたけど何かにゃー」
「分かんないね。どれだけ料理上手なのか――」
「遅れてごめーん! お夕飯の買い物が遅れちゃって!」
あぁ、やっと知った顔がドアから出てきてくださいました。
「こんばんは澄田さん」
「マコちゃんこんばんは! 今日は魔人さんからこっちで年越すように言われたんだけど、あれ?」
「うわっ、すっごい美人!」
東条が澄田さんに対して最初に漏らした言葉はこれであった。
「初めまして。私、澄田詩乃っていうの。きみは――」
「あたし、東条薫。あたしはなんかそこの魔人に騙されてここに来たの」
「もう、魔人さんってば」
「悪いな澄田詩乃。今日は年越し特別編なんでな」
「そっかー、それならしょうがないね」
いやそんな簡単に納得しないでくださいよ。
「キッチンに既に入っているヤツがいるが気にするな。いつも通りの澄田詩乃でいれば別に危害は加えてこない」
「そんな危害を加えてくる人を何で呼んだんですかねぇ?」
魔人の忠告をききつつも澄田さんはビニール袋を手に持ったまま、キッチンのドアを開く。するともちろん中には本多がいるワケで――
「誰だテメェ?」
「私、澄田詩乃っていいます。多分私より年上……?」
「オレの名は本多勝希……歳は十八ィ」
「そうなんだぁ、一個上の先輩だね!」
「……なんでここに入ってきてんだぁ」
「えぇーと、見た所おそばをつくってるみたいだし、私も手伝おうかなーなんて」
「……勝手にしろぉ」
流石オカン。取りつく島もなさそうな本多を見事に懐柔しちゃったよ。
「おそばってことは年越しそばかにゃー? あたしの世界じゃそんなもの無かったし、久しぶりの日本食って感じ?」
東条がそう言ってそれまで部屋の隅で静かになっていたテレビの電源をつけ始める。
「テレビを見るのも久しぶりだにゃー」
「東条さんの世界ってどれくらいの文明が発展しているんですか?」
「あたしの世界は全部魔法で済ませているからねー、テレビよりも新聞紙に魔法で映像が投影されたりとかその辺が発達している感じかな」
「へぇー。こっちの世界も魔法はあるけど、現代科学も発展しているよ。だからテレビもある感じ」
「いいにゃー、うらやましいにゃー。今度ルヴィと一緒に遊びにいきたいにゃー」
「おう、暇ならオレが連れて行ってやらなくもないぞ」
「本当に!?」
そんなことしたら本格的に世界観ぶっ壊れ始めるんですがそれは。
そう思っているところで最後の客がドアを開けて入ってくる。
「…………」
「待っていたぞ、穂村正太郎」
「……帰る」
「ダメだ」
「なんでだよ!?」
いや正直言って俺もこのメンツでどんな年越しになるのか知らないよ? だけど呼び集められたんだからしょうがないじゃん。
「チッ、仕方ねぇ」
「テメェもいい加減本編進めねぇとなぁ」
「うるせぇ。作者の筆が進まねぇんだよ」
「あたしはもう完結したし楽勝の日常を送っているけどねー」
メタ発言飛び過ぎて頭痛くなってくるわ。
「……そろそろできたみたいだな」
「年越しそばできたよー!」
「ったく、調子狂う女だぜぇ……」
澄田さんと本多が運んできたのは年越しそば。少し濁っただしに大きなエビの天ぷらがのって美味しそうに見える。
「流石澄田さん、料理が――」
「ううん、私はネギとか切っただけで、お出汁とかは全部本多くんがやってくれたんだよー」
「…………」
「……なんだよ」
「……いや、なんでもねぇ」
なーんか本多と穂村がにらみ合っているけど、なんか因縁でもあるんですかねぇ。
「気にするな。最初になろうに出したかカ○ヨムに出したかの違いだ」
「だからそのネタ普通分からないし興味ないから!」
とりあえず出されたからにはいただくとしよう。もう時間も十一時を回っているし。
そう思いながら俺は手を合わせて早速そばへと手を伸ばす。
「……美味しい」
「当たり前だぁ」
いや本当においしい。日本料亭で出されてもおかしくないレベル。どういうことなの?
「私は市販のやつを使おうと思ってたんだけど、本多くんはわざわざ鰹節とかを使って本格的にだしを取っていたんだよ」
「本当だ、すっごくおいしい」
「……うまい」
その場の全員が認める美味さに、本多も調子がくるっているのか言葉を出さずに照れくさそうに頭を掻いている。
そんな中、魔人が一人ごとのように呟く。
「しかしこう思えば、投稿開始が三年前か」
「最初に投稿したのがブックマンだっけ? その時からサブに男女一組を作っているよね。今の緋山とさっきの澄田ちゃんのような感じじゃないけど」
魔人の呟きに対して東条が最初に反応し、その次に澄田さんも言葉をつづけ始める。
「その間も色々と書いてるみたいだねこの人」
えぇーと、なんで徐々に作者の黒歴史を掘り起こすようなことをしようとしてるんですかね?
「まっ、最初は文章も下手であんまり読んでもらえなかったりとかいう事もあったみてぇだが、それから徐々に感想とかいろいろつけてもらったりして、作者としては読んでもらっている人には感謝の言葉が見つからないみてぇだな」
おい魔人、あんた完全に今作者の代弁者になってるよ。
「こうしてまた一年終わるけど、これからもよろしくお願いしますってことだにゃー」
「おい待て、俺来たばっかりでもう終わりみたいな雰囲気になってないか?」
「コイツ等何を言っていやがるんだぁ……?」
穂村に至っては登場して早々に話をまとめられようとしているし、本多はメタ発言についていけないようだし……。
「そういえばまた新しい話のネタを考え付いたみたいだけど、流石に連載三つはあまりいい思い出が無いみたいだにゃー」
「そこは頑張れよ」
鬼かあんたは。ただでさえ今毎日更新が厳しいのに。
「ヤベェ、話についていけねぇ」
本多が小言を漏らしているけど、大半の人はそんな感じだから大丈夫だと思う。
「まあ一つだけ言えることは――」
――来年からも、楽しい作品を作っていきたいと思っているので、来年もよろしくお願いします。よいお年を。
「……えっ? これだけの為に俺まさか呼び出されたの?」
「セリフが六個ある上に年越しそば食ったんだからいいだろうが」
……本当に、よいお年を。
ということで、書いている自分も「こんなキャラだったっけ?」と過去の作品を思い出しながら楽しく書かせていただきました。2017年も楽しめる作品を、そしてユニークなキャラクターを作り出していければいいなと思います。皆さんよいお年を。




