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第十四話 犬猿の仲

「とりあえず之喜原先輩のところは明日に行くとして……」

「フン、ここは犬小屋か? 人間が住むにしては随分と狭いようだが」

「フッ、確かに駄犬が住むには少々大きすぎますね」

「ここのメイドはなんだ? 主人がおかしいとメイドまで無礼に働くようになるのか」

「キャンキャンと鬱陶しい犬っころですね。これからお世話になる家主の悪口を言うとは、よほど飼い主のしつけがなっていないのでしょうね」

「なんだと貴様!」

「私と一戦交えるか? 仔犬風情が」


 とりあえず、どうしてメイドと執事でガン飛ばしあっているんですかね? しかもロザリオは爪見せているしラウラはホルスターに右手を伸ばしているし。


「ちょっと、二人とも一旦落ち着こうよ」

「ロザリオさんも落ち着いてください」


 犬猿の仲とはまさにこういうことを指すのだろうか。ラウラもロザリオも普段の主人に対するような柔らかな応対など無く、明らかに敵意に満ちた表情で火花を散らしている。


「真琴さん。こんな輩を家に置いておくことはあまりよろしくないかと」

「お嬢、やはりこのような輩を信頼できません!」


 このまま二人に喋らせておくと平行線のままな気がする。そう思った俺はてっとり早く部屋を貸すことを説明して、後はラウラを連れて隣の部屋へと移動しようと考えた。


「とにかく俺の部屋を貸すから、そして俺とラウラは隣の部屋で寝るから」

「えっ、なっ! 真琴さんと一緒に寝られるのですか!?」


 えっ、もしかして嫌だった系? それだったら俺のガラスのハートが砕け散る事になるんですけど。


「でしたらどうぞ、この部屋をお使いください! 私は真琴さんと隣にいますのでごゆっくり」

「えっ、ちょっとラウラ――」


 何これ急にラウラに小脇に抱きかかえられて外に出て行かされているんだけど。


「では真琴さん、私たちはさっさと隣の部屋に移動しましょう」

「えっ。ちょっと待って――」


 明日も学校あるんですけど!? ねぇ聞いています!?


「フフフ、真琴さんと久しぶりに共に寝られます……ウフフフ……」


 あっ、ヤバいこれ反転しておかないと貞操の危機に関わるやつだ。



          ◆◆◆



「――ふぁぁ、危なかった。いつの間にフラグを立てていたんだ俺は」

「チッ、もう少しで真琴さんと添い遂げられたのに……」


 肉食系って怖いなー(本音)。

 っという感じで昨日は結局女の子になって(それでもおっぱい揉まれるとかいう謎の展開が起きたんだけど)一緒にベッドで寝たんだけど、いまいち寝つきが良くなかったのかいまだに欠伸あくびが出てくる。


「さて、今日も学校にいってくるから」

「行ってらっしゃいませ。その間に私は隣の犬に躾をしてきますので」

「それはしなくていいから、この力帝都市を軽く案内してあげてよ」

「っ、そのようなことなどする必要が――」

「俺だって最初にラウラに色々と教えてあげたことあるんだし、今度はラウラが観光案内してあげてよ」

「……分かりました」


 よし、これで昼の間に何とか仲良くなってくれれば御の字なんだけど。


「その前に学校に行く前にロレッタ達の様子を見てから行こう」


 俺は合鍵を使って自室を開けると、そこにはエプロン姿のロザリオの姿が――って。


「えっ?」

「は?」

「なに料理やってんですか」

「朝食を作っているだけだ。悪いが冷蔵庫の中身を少し漁らせてもらった」


 後ろでは苦々しい表情を浮かべつつ両手でコップを持って牛乳を飲むロレッタの姿が。


「ロザリオさん、やはりこのぎゅーにゅーは飲み干さないといけないのでしょうか?」

「牛乳は体内で血を生成するには必要なものです。他にはレバーなどもよろしいのですが……あいにくこの小さな冷蔵庫には入っていないようで」


 そんな料理の定番チックにレバーがあってたまるか。しかも俺はそういう内臓系は嫌いなんだよ。


「それはそうと、貴様朝食は食べたのか?」

「いや、俺は大体朝飯抜いていくから――」


 俺が最後まで言い終える前に、ロザリオはラップで握られたお握りを俺へと投げ渡す。


「朝食は取っておけ。特に頭を使うのであればな」

「お、おう……ありがとう」


 なんだよ、ツンデレですか?


「……文句あるなら返してもらって構わんが」

「いや、貰って行くよ……」


 何か初めて親切受けた人みたいになっちゃってるじゃん俺。

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