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第十五話 謎の暴露大会

「……確かに言っていたんだな」

「伝言なんで、それ以上は何も」

「そうか、それならいいんだ」


 平日はいつものように屋上で作戦会議。もはやこれが日常になってきている気がする。そしてその場で俺はいつものごとく購買部で買ってきたパンを頬張りながら、緋山さんと之喜原先輩の意見交換に耳を傾けるだけ。


「それにしても、どうしてあの人――じゃない、魔人は敵に塩を送るようなことをしているんですかね」

「さぁな。別に頭イッてる奴の考えをまともに受け止める必要はねぇしな」

「おや、その頭イッている人の元へ修行に行っている人が言う言葉ですか?」

「別にあいつは俺の恩人でも師匠でもねぇよ。ただ俺が詩乃と出会った時におまけで突いて来て、勝手に稽古つけてきやがるだけだ」

「そんな押しつけを喰らってるっていうなら断ればいいんじゃないですか?」

「……ハァァアアア」


 えっ? 俺何かおかしいこと言った?


「言っておくがお前の話の言う通りなら、その時の魔人は恐らく実力の1%も出してねぇぞ。そんな奴に今の俺が勝てるワケねぇだろ」

「……まじすか?」


 俺は思わずパンをその場にポロリと落としてしまった。力の差があるとはいえ、銃を持つ兵士をあれだけ手玉にとっておきながら、実力ほぼ出していないってどういうことですか。


「一つ聞くが、奴が一度でも四肢のどこかに黒いオーラを纏ったか?」

「黒いオーラ? そんなもの見ていないですけど」

「だろうな」


 緋山さんは苦々しい思い出でも思い出すかのようにしかめっ面を浮かべながらカフェオレに手を伸ばす。そして左手に紙パックを持った状態で右手をストレートに前に突き出してこう言った。


「それを出した状態で奴が右ストレートでも打ち込んでもみろ、その区画一帯が地図上から消し飛んでしまうからな。しかも黒いオーラは奴曰くまだ第一段階に移行する途中らしい」

「……いやいやいやそれは無いでしょ」

「喰らった本人が言っているんだから事実だアホ」


 ……何それ?


「なんで生きているんですか?」

「あ? そりゃギリギリのところで何とか相殺できたからに決まっているだろ……あん時はマジで死ぬかと思ったぜ」

「そうですか。面白くない」

「面白くねぇとはどういう事だ之喜原」

「そのままの意味です」


 相変わらずこの二人は剣呑としておりますなぁ。

 それはそうと。


「ラウラについてなんですが」

「あぁ。詩乃から大方聞いているが、今のところどうなんだ?」


 それが今結構困った状況になっている。


「どうもこうもないっすよ。家で倒れてたラウラを担いでグレゴリオさんのところのカプセルで治療してもらって、今も療養中です」

「そうか。その割には浮かばない顔しているな。まだ何か問題でもあるのか?」

「実はあの一件以来妙にべたべたしてくるんですよ」

「出血的な意味でか?」

「違いますよ!」

「……なんだよ、まだ騙されているのかよ」

「いやそれが明らかに以前とは質が違うんですよ。彼女もいない人が言うのもアレですけど」


 明らかにラウラは表面的では片づけられない好意を持って、俺のそばにいる。根拠はないけど。


「安心してください。緋山さんも童貞ですからその辺よく分かっていませんよ」

「余計なこと言うなブッ殺すぞ之喜原ァ!」

「だって貴方まだ詩乃さんと致していないんでしょう?」

「て、てめぇマジ後で殺す……!」


 何か余計な情報を仕入れてしまった気がするのは置いておくとして、ラウラはまだ怪我の療養中で動く気配がないことを伝えないと。


「とにかく、グレゴリオのおっさんが言うには後一週間は動くのは難しいとのことです」

「そうか。だったラまだこちらも対策を打つことができるな」


 昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴ると共に、緋山さんは立ち上がる。


「放課後、ひなた荘で作戦をたてる。ついでに晩飯も食っていけ」

「えっ!? そんなにいいんですか!?」

「お前詩乃の飯食ったことねぇだろ? 絶対うまいから来いよ」

「最後にさり気ない惚気とは、怖いですねぇ」

「うっせぇバーカ!」

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