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第五話 ぅゎおんなのこっょぃ

サブタイトルに無理がある件についてはツッコみなしで(汗)

「とりあえず今日が土曜日で良かったわ」


 ひとまず外に出るにしても、女性用の服を買うには女の子にならざるを得ない。しかし嬉しいことに今日は学校が休み。よって堂々と女の子の姿で出ても何もおかしくはない……はず。


「……しかしほんと、便利なんだか不便なんだか分からない能力だなぁ」


 おさらいだけど能力を実験して分かったことは、反転した先――つまり逆になった事象を俺自身が分かっていないと発動しないという事。

 たとえば昨日の重力。これは地球に向かって働く引力ともいえるが、それの反対は斥力せきりょく――つまり物同士が離れようとする力となる。


「だから地球から勢いよく離れるように飛んで行った、と」


 まあそんな難しいこと考えなくても、重力の向きを反転させれば済む話だけど。


「でもそれだと家にあったフライパンとか反転できないものもでてくるんだよなぁ……」


 事実、家にあったものの中で反転できなかったものは割と結構ある。だからといって視点を変えればいくらでも反転できるんだけど。


「まあこの能力のおかげで冷凍食品を一瞬であつあつの食べ物にできるから、少しは便利かもね」


 とそんな感じで上機嫌に歩いていると、やっぱり周りの目が気になる……。


「……女の子は自分の胸を見られているって分かるっていうけど……これは確かにいえてるかもね」


 ついでに鼻の下を伸ばすって表現の意味も。そんなにこれがいいのか!? 言っておくが大きくて質量があるせいで肩紐が食い込んで結構痛いんだぞこれ!


「全く、どうして反転したらおっぱいが大きくなってんだって話なんだけど……」


 もしかして男の時に胸板が薄いからとか……まさかね……。


「全く……」


 とりあえず研究所にこの力のことを報告して、それから服を買うとしよう。


「…………ふんふーん……♪」


 やべ、何の鼻歌だよ。何歌っちゃってんの俺。

 まあ確かにこの顔と身体、男の時の俺なら多分玉砕覚悟で告白するレベルだが、今は俺自身がその女の子なんだよな。


「……複雑だわ」

「何が複雑なんだよ?」

「げっ……」


 こいつらこの前俺を穂村のところに引きずり出しやがった不良どもじゃん。

 あ、やべっ。榊真琴とは別人の振りしなくちゃいけないんだった。


「……あ、あの……何の用ですか?」


 俺はこの時人生初の営業スマイルとやらに挑戦した。多分鏡で見てもなかなか上手にできていたはずだと自負できると思う。


「あ、あんた達は誰ですか?」

「俺? 俺達は見ての通り、イケメン集団さ」


 ……さっむ。


「あ、あのーあたし先を急いでいるんで――」

「ちょっとお茶するぐらいいいじゃん」


 うげっ、折角わきを通ろうとしたのに壁ドンして塞いでくるとか……。


「いいじゃねえかよちょっとくれえよお」

「きひひっ」


 あーもうきっもいきっもい。こうなったらさっさとこいつらふっとばそうかな……。

 そう思って俺が重力を反転させようとしたその時だった。


「やいお前達! 嫌がっている女の子を集団でナンパするなんて恥ずかしくないのか!」

「あぁん? 誰だてめぇ? こいつの連れか?」


 いや、俺も知らないけど。


「その子を離すんだ!」


 俺の目の前に映っているのはショートへアの男の子だった。

 ……いや違う、女の子だ。目元とか構えを取っている腕や手をよく見たら女の子だ。


「その子に乱暴するつもりだろ! そんなこと、ボクがさせない!」

「ちっ、うぜぇな……そのうざってえ口を今すぐに閉じさせてやるよ!」


 あっ、これマズイよね。俺が加勢した方が――


「チェストぉ!」

「がはぁっ!?」


 俺が加勢しようとする前に、不良のうち一人の鳩尾みぞおちに強烈な蹴りが突き刺さる。


「ごほっ、がっ!?」

「なっ!? てめえ!」

「次、かかって来い! この栖原すばらあかねが相手だ!」


 ……これあの子に任せて大丈夫なのかな?


「んだとてめえ!」

「おっと! こう見えてボクはCランクだ。つまりお前達が束になっても勝てないぞ!」


 そう言って栖原はポケットから自信満々に緑色のランクカードを取り出し、まるで印籠の様に見せつける。

 しかしそれが逆効果だったのか、不良たちの闘争心に更に火をつけることに。


「だったらてめえを倒せばCランクになれるってことか!!」

「なっ!? なんでこうも毎回挑んでくるんだ!?」


 そりゃランクアップしたい奴らにとってはあんたがカモに見えるんでしょうよ。

 でもその口調からして加勢する必要はないって感じか。


「はぁっ!!」

「ごっ!?」


 武器を持っているとはいえずぶの素人。それに栖原とかいう女の子は武術を体得しているらしく、大振りに振ってくる相手を適当にいなしては的確に打撃を加えていく。


「押忍ッ!!」


 ――数分後、そこにはボコボコにされた不良の山が出来上がっていた。

 自分でもやろうと思えばいくらでもできたが、ひとまずこの子にお礼ぐらいは言っておかないと。


「……あの、ありがとう」

「……はぁー……」


 えっ?


「またやっちゃった……ボクは普通の女の子になりたいのに……」

「えぇー……」


 いやいや、強いことはいいことでしょうに。


「はっ! 気持ちを切り替えなきゃ! 君は大丈夫だったかい!?」

「あ、うん……大丈夫だけど……」

「そうか……じゃ、ボクはこれで!」


 そう言って栖原茜という少女はその場を立ち去ろうとしたけど――


「うわぁっ!?」


 ――その前を、巨大な石壁が通せんぼする。あれ? この展開なんか見たことあるぞ?


「栖原茜ですね? 随分とうちらの役立たず共をボッコボコにしてくれたみたいですね」


 そう言って現れたのは、恐らく中学生くらいと思われる小さな少女。なんか背伸びしているのか知らないけど口調が少しおかしい気がする。


守矢もりや四姉妹の三女、守矢もりやかなめの相手になってもらいますぜ」

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